兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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八十六話

 

 久しぶりにベルはヘスティアにリリルカと【ヘスティア・ファミリア】としての時間を過ごそうとオラリオ市内を巡って買い物や食事など交流の時間を楽しみながら過ごした。

 

 そうして夜になり、夕食も済ませたので『戦いの野』に戻ろうとしたところでどこかへ駆け出す【ロキ・ファミリア】のラウルを見つけ、話を聞いた。

 

 彼によれば【ロキ・ファミリア】の主神であるロキと女性陣は皆、慰安旅行と称してオラリオの南西から三Kの距離にある港街のメレンに向かったのだそうだ。

 

 メレンは巨大汽水湖――ロログ湖の湖岸沿いに栄える街でオラリオの海の玄関口になっている。

 

 海と通じる汽水湖には連日数えきれない異邦の船が入港し、多くの積荷をメレンへ下ろしている。その積荷の多くがオラリオの輸入品であり、都市内の交易所に入る前の貿易品がメレンに集まるのだ。

 

 海路は大量の品を運び出せる利点がある。当然、オラリオもメレンから大陸内の国々に向け、魔石製品などを海洋へ繰り出させている。

 

 メレンこそオラリアにとっての海洋進出の要所なのだ。

 

 しかし、そんなメレンに行ったロキと女性陣はティオネにティオナがオラリオに来る前に所属していたテルスキュラというアマゾネスにとっての聖地である島国を治めるカーリーという女神を主神とする【カーリー・ファミリア】と遭遇した。

 

 

 

 そうして、現在、レフィーヤが捕らえられなど交戦状態に入っているとの事だった。

 

 ともかく、【ロキ・ファミリア】の男性陣が集まっているというオラリオの南西の市壁の上へとラウルの案内で向かう。

 

 ヘスティアとリリルカは緊急事態である事とフレイヤへの事情説明の為に『戦いの野』へと帰還させたが……。

 

「団長、ベル君と偶々あったんですけど、援軍として来てくれるっす」

 

「こんばんは、フィンさん。一緒に遠征に向かった仲ですし、よろしくお願いします」

 

 ラウルがフィンへとベルの事を説明し、ベルも頭を下げながら援軍としての参加許可を求める。

 

「うん、こんばんは。ベル、君が援軍になってくれるなら願ったり叶ったりだよ。それにアイズ達も喜ぶからね……それにしても君に対しては本当に借りが出来てばかりだな」

 

 フィンはベルの求めに笑みを浮かべて歓迎する。最後の方は苦笑したが……。

 

「本当、良い時に来てくれたのぅ。助かるぞ」

 

「ふん、まぁ役に立つから良いか……」

 

 ガレスやベート、男性陣はベルをすぐに受け入れる。遠征前から一緒に暮らしたりもしていた仲であるので当然ではあるが。

 

 

 

「ベル、ありがとうね……よろしく頼むわ」

 

「はい」

 

 メレンからロキによる救援要請をフィン達に伝えたアナキティがベルの頭を撫でながら、援軍を頼み、ベルは笑みを浮かべて頷く。

 

 そうして一同はメレンに向けて巨大市壁を飛び降り、壁を蹴って着地するとオラリオを発ってメレンに向かうのであった……。

 

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