兎は炉神に想いを捧ぐ   作:自堕落無力

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九十二話

 

 ベル・クラネルとリリルカは明日より、このオラリオに数多くある【ファミリア】の中でも頂点に近い権威と勢力を有する最大派閥の【フレイヤ・ファミリア】とダンジョンへと遠征を向かう。

 

 ただ、ベルにとっては【フレイヤ・ファミリア】との遠征は不安になるしかない。

 

 普段から自派閥の本拠内でアミッドと肩を並べるくらい優秀な治療師であるヘイズやその他の治療師と薬師も含めて蘇生しているだけで実質的な殺し合いを【フレイヤ・ファミリア】は行っているのだ。

 

 

 

 遠征はフレイヤの直々の命令なので団員達は従う。従うが、聞いた話では遠征中なのに深層域で『洗礼』を行う程の仲の悪さである。

 

 フレイヤの好意だけでなく、実際に愛を注がれているベルも眷属たちにとっては敵意や対抗心をぶつけるべき対象だから気を抜けば、自分が遠征中に内戦を引き起こす要因になりかねない。

 

 

 

 「うーん、なんでダンジョンで味方からの襲撃を考えなきゃいけないんだろうね……怖いよ」

 

「ま、まあ大丈夫ですよっ、ていうかだいじょうぶにしなきゃいけないのが困りものですね、本当に……」

 

「でもやり遂げないとね」

 

「はい」

 

 ベルとリリルカは遠征のために必要な物資を調達するためにオラリオを歩いていた。

 

 すると……。

 

 

 

「おーい、ベルー!!」

 

「あ、ティオナさ……って、え、バーチェさん?」

 

「う、うむ……昨夜ぶりだなベル・クラネル」

 

 ティオナが声をかけてきたので振り返りながら応じればティオナの傍には昨夜、メレンの海蝕洞で戦った【カーリー・ファミリア】のバーチェもいて、彼女は照れるような調子でベルに挨拶する。

 

 

 

 【カーリー・ファミリア】はメレンで騒動を起こし破壊した建物等の賠償金を払う事となり、そのためしばらくメレンに滞在する事になったのだという。

 

 そして更に【カーリー・ファミリア】のアマゾネスたちはアルガナはフィンに、バーチェと何名かのアマゾネスはベルというように戦いで負けた異性に対し、女として愛するようになったのだという。

 

 更にこの事により、今までアルガナに怯えながら戦っていたバーチェはアルガナがフィンに夢中になった事で戦う必要が無くなったし恐怖から解放された。

 

 

 

 その礼が言いたいとティオナに頼み、オラリオを案内して貰いながらベルを探していたのである。

 

 

 

「……という訳だ。本当に感謝しているぞ、ベル。ありがとう」

 

「どういたしまして……恐怖が無くなって良かったですね。バーチェさん」

 

「……っ、ああ……」

 

 ベルが笑みを浮かべればバーチェは顔を赤らめ、胸をときめかせた。

 

 

『(可愛い)』

 

 ベルとバーチェの二人の様子にティオナにリリルカはどちらも可愛いという感想を抱いたのである。

 

 

 

「え、【フレイヤ・ファミリア】と遠征……大丈夫?」

 

「ま、まあ……なんとかしますよ」

 

 こんな話をしつつ、ティオナにバーチェと別れて物資の調達を再開したのであった……。

 

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