ChanGe 作:名無しのR
それではどうぞ!
事件の元凶となったデヴィット博士と加担した助手とヴィランは捕縛された。
博士は今回の件を清算するために刑務所に入ろうとしたが、優秀な研究者を放置できるわけなく保護観察処分として監視やI・アイランドに軟禁になるが一応自由のみになった。
事情をある程度話したあたりで出久は料理をしているミチルの後姿を見ていた。
「博士はやるせないままだろけど、ああいった人は好きなことに撃ち込ましていったほうが落ち着く」
「しかし自分の発明の奪取が目的とはねぇ。緑谷、棚から深皿を2枚出してくれ」
「はいはい。オールマイトが奢ってくれると言っていたのにいいのか?」
「いいさ。私は君と食事をしたかったからね。それに人が多いのは苦手なんだよ」
煮込んでいたビーフシチューを皿に分けてテーブルに置く。
芳醇な牛と野菜が溶け込んだ匂いが鼻奥を刺激する。サラダと手作りパン取り分けて席に着く。
「「いただきます」」
熱々のビーフシチューをひと掬い、ホロホロとした牛肉と良く煮込まれたジャガイモが口に入った瞬間噛まずに溶けた。肉の旨味や野菜の旨味がデミグラスソースと共に食道を一気に突破し胃へ届いた。
「ウマい、ウマすぎる!!店どころか三ツ星シェフレベルかよ!!」
「気に入ってくれてなによりだよ」
トーストしたパンにつけてもカリッとした触感が負けない。
箸休めで食べるサラダはさっぱりとしたドレッシングを使っているため口の中がリセットされる。
あっという間に食事が終わってしまった。
「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
持ってきてもらったラテアートを『ズビュュュュン!!』と飲み干す。
「あ、相変わらず変わった飲み方をするね」
「気にするな。……なあ名字呼びなんだ?」
「君もだろ」
「あんたが名字呼びをし始めたから真似したんだよ」
「……思春期だから言っておくかな?」
「そういうことにしておくよ。今はいいんだよな?ミチルねぇ」
「そうだね、うん、そうだね、デっくん」
何気ない会話をして昔話に花を咲かせ、寝るまで続いた。
一方オールマイトとデヴィット博士は一室で話し合っていた。
「というのが私と歴代たちの宿命だ」
「まるでAFOみたいだな。いや、弟だから同じなのか」
「ああ。だからデイブ、君を巻き込むわけにはいかないと思っていたが家族がいるからな。だがそれが君を苦しめてしまった。謝っても許されないがそれでも謝りたい。すまない!!」
「トシ。……君と私は親友だろ。一発殴らせろ」
右頬に右ストレートが打ちこまれる。吹っ飛びはしなかったが赤い痣ができた。
「さて、お互いスッキリしたことだし、話したいことがある」
「なんだい?」
「ミラを知っているか?」
「ああ、彼女がどうしたんだい?」
「驚かないでほしい。病死した」
「う、うそだろ?」
「いや本当だ。彼女は死ぬ間際に君には連絡しないでほしいと頼まれた。トシのヒーロー活動を妨げたくなかったようだ」
「はは、そうか。いや彼女のことだから、ね」
「あともう一つ君に言わなければならない。彼女には娘がいた」
「娘?ああ結婚していたんだね。なんだい娘も私のファンか?」
「いや、君の子だ」
「……?」
衝撃の事実に宇宙猫みたいな状態になるオールマイト。
工事猫のようなポーズをしながら吐血し驚いた。
「HAAAAAAAAゴフッ!?」
倒れこんだオールマイトに近寄るデヴィット博士。起こしながら更なる爆弾発言をする。
「その娘が誘拐された」
「コフッ!?」
再度血を吐くオールマイトに袋を渡すデヴィット博士。
近くの椅子に座り込み、荒い息を整えて問いただし始めた。
「む、娘は、いや妊娠はいつから、いや私いつキメた?」
「一つづつ明かしていくが、妊娠が発覚したのは君が帰ってから1か月後わかり、彼女自身も一応もしかしたらと思うことが1つあったそうだ。君の娘は無事健康に生まれて彼女が死ぬまで秘密にしようとしたのがね。不幸なことに治すことができない病気にかかり、君の娘が5歳くらいの時に息を引き取った。それと同時に誘拐もされて今もアメリカでは捜索を行われている。
今思えば君のことを感づいていたんだろう。女の感はすごいね」
「……そうか。デイブ、娘の名前は?」
「トーカ、トーカ・
「トーカ、とうか、冬華。そうか名前はああ、あの時彼女に話していたことが名前になったのか」
「トシ」
昔をしみじみに思い出しているオールマイト。
突如筋肉を膨れ上がらせて、立ち上がった。
「AFOとの件が片付いたら私も探しに行く。例えどんな姿だとしても」
「そうだな。私のほうからもまた宛を探ってみるよ!」
「頼むぞ親友!」
「ああ!」
二人は固い握手を交わした。
しかし娘との再会は意外と近いものとなるとは知らなかった。最悪な形として。