ChanGe 作:名無しのR
ヒーロー科に所属している生徒でも休息は必要だ。それが雄英高校に所属している者でも。
出久は千葉から少し離れ東京へ遊びに来ていた。
静岡から来る悪友が1人、志村転弧を待っていた。
志村転弧、国立雄英高等学校ヒーロー科の高校2年生。
個性:ホローアウト、5指で触れると半径15Cm消滅させる。消滅したものはどこに行くのは不明。最近は努力して半径2mまでの空間を消滅させ移動する技術を身につけた。
出久と転弧の出会いはもう一人来てからが来ないと話せない。
志村転弧の生い立ちは壮絶だった。
父は大のヒーロー嫌いだった。ヒーローのことをしゃべることさえ厳しく罰せられた。父がヒーローに何をされのかはわからなかったが、怪我では済まないことは転弧自身はわかっている。
それでも転弧はヒーローになりたいと夢は諦められなかった。
そんなある日、姉が見せたいものがあると転弧を父の書斎に入れた。そこで見せられたのは子供の頃の父と女性が笑っているツーショット写真だった。あれが父の母、転弧の祖母にあたる人だった。マントを羽織っていることからヒーローだと分かった。なんとなくだが祖母が死んでいることがわかった。そして父がヒーローが嫌いな理由がわかった気がした転弧。
だが、夢を見てしまった転弧には諦めるということはなかった。
そんなある日書斎に入ったことが父にバレた。しかも写真を見たこともバレている。
自分を叩く父へ泣きながら謝る。転弧の耳には泣く姉の声と止めようとする母と祖父、祖母の声、犬の声。
ああ、この家にいると僕が死んでしまう、考えてしまった転弧。意識が消えかかった転弧は一筋の光が見えた。
目が覚ました時は夜になっていた。そばには犬が近くに渦巻くっていた。
光が灯すリビングを見てその光景が憎たらしく思った。ここは夢を持つことさえ許さない牢獄。
逃げるなら今。そう思い逃げようとした時だった。犬と母に見つかった。家に入れようとする母を看守に見えた転弧はその手を振り払い拒んだ。
母の手が触れる前に転弧の五指が触れた瞬間母の腕が消えた。
痛みで叫ぶ母、近寄ろうとした転弧は蹴られた。蹴られた方を見ると恐ろしいものを見る父の姿だった。
ああ、もう嫌だ。逃げよう。
転弧は逃げるように走った。家から町から逃げて逃げて。
逃げた。母を傷つけた自分から逃げた。ヴィランになった自分から逃げた。
逃げて逃げて、どこへ逃げればいい?
逃げて逃げて、こんな自分を受け入れてくれるところは?
逃げて逃げて、ヒーローになれない!
力が尽きた転弧は何処かの路地に倒れた。最後に聞こえたのは老人の声だった。
目を覚ました転弧は起き上がり辺りを見渡した。
一見普通の部屋に見えたが、床に血を流しながら倒れている一人の老人。
「し、死んでいる!?」
「生きとる!」
「生きてる!?」
自分を助けてくれたこの老人にお礼を言う転弧。そのまま出ていこうとしたが引き留められた。
「お主、何があった?この老いぼれに話してくれんか?」
なんとなくだが、信頼できる人だと判断した。
自分の家であったことを突然個性が発動し母の腕を消したこと、父からヴィランを見る顔で蹴られたこと、それから逃げて逃げてここに倒れたこと、ヒーローになることを否定されたこと、父に叩かれたこと、父の祖母がヒーローで死亡したことでヒーロー嫌いの父にヒーローのことをしゃべるのを罰せられることなど。
それを聞きながら老人は転孤の頭をなでた。
赤の他人自分にどうしてそうしてくれるのかわからなかった。しかし、泣かずにはいられなかった。
転弧が寝落ちしてから老人は部屋から出ていった。
転弧が次の朝に目覚めると老人はたい焼きを食べながらテレビを見ていた。
「おはよう、ございます」
「おう。……坊主お前さん今日から少しの間だが俺の家に住め」
転弧の頭に?が出ていた。少し経ってから驚きながら詰め寄った。
老人曰く母親を傷つけたことを個性の暴走として処理するとして、知り合いに話したそうだ。その保護観察者として老人が高校に上がるまで面倒を見るそうだ。
その辺と生活費や養育費は父親が持つことで決着がついたそうだ。
「坊主、俺は酉野空彦ってんだ。よろしくな」
これが志村転弧と酉野空彦との出会いである。
話は現代に戻る。
柱に背中を預けながらスマホをいじっている。
「お~い待ったか?」
癖っけのある黒髪の男が声をかけてきた。
「まあな。廻はまだ来ないぞ」
「あ?また組騒動か?」
黄色と黒の缶コーヒー飲料を飲みながら近況を話していた。
「は?ヘドロヴィランと戦っていた?」
「現場にいたやつらは他のこととかしていたしな。んで、ジジィと俺で対応していた」
「こっちでも話題になっていたがそっちのインターンって早いな」
「いや、ジジィと先公が早期経験でもいいだろうって判断。本来は仮免取ったら行う。まあ、ジジィも年だしな。早くヒーローになれ~って思ってんだろ」
ヘドロヴィランと遭遇した話を終えたとき、小走りでこちらに近づく赤みかかった黒髪の男が向かってきた。
「わりぃ遅くなった」
「巻き込まれたか?」
「いや、壊理にせがまれていた。お前らのことだ壊理の教育に悪いことをさせるからな。泣く泣く親父に任せた」
「俺がスプラッター系が好きだからって子供に悪いことはさせねえよ」
「まったくだ。ガキがいるからって男子高校生特有のアレ系を散策にはいかない。動物園とか東京ミレニアムツリーとかに行くぞ」
三人集まったことで目的地へ向かって改札口へ歩いて行った。
騒がしい3人だが、出会いは最悪である。
片や厳つい顔で人を何人も病院送りにした。片や幼少期のやらかしで悪名が響かせている。片や家が組一家であることを恐れられている。
「あれから4年くらいか?」
「ま、あれはあれでいい思い出だな」
「お前らのせいだがな」
読んでいただきありがとういございます。
今回は志村転弧の幼少期の話でした。
なぜ崩壊が個性ではなくなったのかはAFOが植え付けた個性というのもありますし、あの家系で それはないかなと考えてそれでいて幼少期の強いインパクトと死亡エンド回避を考えていたらザ・ハンドみたいな能力がいいんじゃないかとそれにしました。
ここで感想のお礼っていいんでしたっけ?
ティガ・レウスさん感想ありがとうございます!
セリフに関してですが、カミナというより違うキャラが言っていたのを参考にしました。感想で言われて「あ!確かに言っていた!」と後から気づきました。
ドリルいいですよね!この小説で使わせたい。いいや、制作させたい。出久に!
それでは次も見てください。ありがとうございました。