~IS~好きな機体で駆け抜けろ   作:豆紳士

10 / 34
第十話

ーside一夏ー

 

 

 

「な、なに?」

 

「なんだ?なにが起こっているんだ?」

 

 

 

いきなりアリーナの中央が爆発し俺と鈴は困惑している。一体なにがあったんだ!?

 

 

 

≪織斑、凰聞こえるか!≫

 

 

 

千冬姉からの通信だ。

 

 

 

≪試合は中止だ!直ちに退避しろ!≫

 

「わかった・・・ん?」

 

 

千冬姉から退避の指示が出た時「ステージ中央に熱源。所属不明のISと断定。ロックされています」と警告文と出てアラームが鳴っている。誰かが学園にISで襲撃しに来ってことなのか!?

 

 

 

「一夏、試合は中止よ。すぐピットに戻って」

 

「鈴、お前はどうするんだよ?」

 

「あたしが時間を稼ぐからその間に逃げなさいよ!」

 

「逃げるって・・・女を置いてそんなことできるか!」

 

 

 

幼馴染の女子を置いて逃げるなんて男のやる事じゃない!

 

 

 

「バカッ、そんな事言っている場合じゃないでしょ!あたしも学園の先生達が来るまで・・・」

 

「危ない!!」

 

「キャアッ!」

 

 

 

鈴に向かってビームが飛んできた。急いで彼女を抱えて回避する。あのビーム兵器はセシリアのよりも出力が高そうだ。アレに当たったらタダじゃ済まないぞ。

 

 

 

「一夏、あれ!」

 

「あれ?」

 

 

 

煙が晴れ黒い人型の物が見えた。アレが襲撃して来たISなのか?

 

 

 

「なんだんだコイツ・・・これでもISなのか?」

 

「あんな機体見たことない・・・」

 

 

 

アイツは全身が装甲で覆われて搭乗者の顔が見えない″フルスキン″タイプだ。

 

 

 

「お前、何者だ!」

 

「・・・」

 

「答えろ!お前は何者で、何が目的だ!」

 

「・・・」

 

 

 

聞こえているはずなのに応答がない。一体何なんだコイツは?

 

 

 

≪織斑君、凰さん、今すぐアリーナから脱出して下さい。すぐに先生達がISで制圧しに行きます≫

 

 

 

山田先生から通信が入った。本当は逃げるべきなんだけど観客席に居た皆が避難できているかは分からないしアイツをこのままにしておく訳にはいかない。

 

 

 

「いや、皆が逃げるまで俺達がアイツを食い止めます」

 

≪いけません。すぐに避難を・・・≫

 

 

 

ザァァァァッ・・・・・・

 

 

 

「あれ?もしもし、聞こえますか!?」

 

 

 

急に通信が聞こえなくなった。タイミング的にアイツが妨害しているに違いない。

 

 

 

「鈴、こうなったら俺達で戦うしかない。出来るか?」

 

「誰に向かって言ってんのよそれ?やってやろうじゃない!」

 

「よし!」

 

 

 

抱きかかえていた鈴を解放し黒いISに向かっていく。俺達が皆を守るんだ!!

 

 

 

ーside勝輝ー

 

 

 

閉じた隔壁、点滅する非常灯、響く警告音。一瞬の出来事だったが恐らくこれはテロだ。アリーナの防護壁を破って何者かが攻撃を仕掛けて来ている。しかも扉がロックされ開くことが出来ず通信も繋がらない。避難する事も助けを呼ぶ事も出来ず状況は最悪と言っていい。

 

 

 

「どうなってるの?」

 

「怖い・・・」

 

「誰か助けて!」

 

 

 

まずいな・・・恐怖の余りに少しずつパニックになりつつある。このままでは扉に一気に人が押し寄せ最悪の場合死者が出るかもしれない。今ここでバスターを展開し扉を破壊しようにも威力が高過ぎて周囲にどんな被害が出るか分かったもんじゃない。他に方法はないのだろうか・・・。

 

 

 

「・・・・・・ッ」

 

「ん?」

 

 

今誰か何か言ったか?一瞬声が聞こえたような・・・

 

 

 

「・・・・・・ッ」

 

 

 

また聞こえた。″ペンダントを端末に翳せば扉が開く″だって?どうゆうことだ?よく見るとペンダント・・・待機状態のバスターが少し光っている。よく分からないがここから出れるかもしれない。席を立ち女子生徒達の間を縫いながら扉まで進む途中で「何?割り込む気!」とか「どいてよ!!」とか言われたが無視。

 

 

 

扉の前に辿り着き横の端末のパネルにペンダントを翳す。本当に開くのか?

 

 

 

ピー、ガシャン

 

 

 

ロックが解除され扉が開いた。マジかよ・・・なんでかは知らないがこれでここから出られる。

 

 

 

「アッキー、コレって・・・」

 

 

 

いつも間にか布仏さんが後ろに居た。彼女はパニックになっていないようだ。見かけによらず豪胆なのかもしれない。

 

 

 

「布仏さん頼みがある」

 

「なに?」

 

「俺、他の扉も開けてくるからここで避難誘導してくれないか?」

 

「・・・うん、いいよ」

 

 

 

危険な事を頼んでいることは分かっている。今居る場所が攻撃されるかもしれない。本当は真っ先に逃げたいだろうけど彼女は嫌な顔をせずに引き受けてくれた。強い人だ・・・。

 

 

 

「じゃあ、頼んだ」

 

「うん」

 

 

 

俺は他の扉の場所へと向う。開いたら近くのパニックになっていない奴を指名し避難誘導をさせて次へ向かう。途中、人だかりを押しのけなければならない場面もあった。その度に「何すんのよ!」とか「邪魔!」とか言われたり顔や頭を叩かれたりしたがそんな事を気にしている場合じゃない。一刻も早くここから出なければ・・・。

 

 

 

「よし・・・」

 

 

 

他のクラスの奴も含め粗方は脱出出来たようだ。では俺も避難するか・・・。

 

 

 

「アッキー、大変!」

 

「布仏さん?」

 

 

 

布仏さんがこっちに走って来た。なにかあったか?

 

 

 

「どうしたの?」

 

「あのね、しののんが皆と反対の方に行っちゃったの」

 

「反対?・・・反対ってどっち?」

 

「あっち」

 

 

 

布仏さんが指差したがアリーナは隔壁が閉じていてなにがあるか分からない。

 

 

 

「あっちになにがあるの?」

 

「たぶん放送室」

 

「放送室?」

 

「うん、試合を実況したりする用なんだけど・・・そこガラス張りになっていて・・・」

 

「え?・・・それって・・・」

 

 

 

そこからならアリーナの中を見ることが出来る。通常なら遮断シールドが守っているだろうが爆発が起きた時それが破られる攻撃があったよな・・・マズくないそれ?

 

 

 

「布仏さん、俺ちょっと行ってくる。君はもう避難して」

 

「でも・・・」

 

「俺にはコレがあるから大丈夫だよ」

 

 

 

俺は待機状態のバスターを見せる。これで安心してくれればいいけど。

 

 

 

「うん、分かった。気を付けて~」

 

「おう」

 

 

 

観客席場から飛び出し放送室へ向かう。間に合えよ・・・。

 

 

 

ーside一夏ー

 

 

 

戦闘が長引き体力とシールドが心許なくなって来た時、俺はある違和感に気づいた。アレって人が乗っているのか?

 

 

 

「なぁ鈴、アイツの動きってなんか変じゃないか?」

 

「はぁ?こんな時になに言ってんのよ」

 

「アイツの動きはなんだかワンパターンて言うか機械ぽいような・・・」

 

「・・・そういえばアイツ、さっきからあたし達が会話している時にはあんまり攻撃して来ないわね」

 

「だろ?」

 

 

 

鈴も気づいたか。もし無人なら・・・人が乗っていないなら・・・

 

 

 

「で?無人機だからってどうなの?」

 

「俺の武器、雪片の″零落白夜″で全力の攻撃をすれば勝てる」

 

「・・・ソレがなんだか知らないけど攻撃自体が当たらないじゃない」

 

 

 

確かに鈴の言う通りだが理由はある。この雪片で全力の攻撃をするとシールドを無効化してしまい搭乗者諸共ダメージが入ってしまう。だから訓練や学内大会では全力で使う訳にはいかない。でも相手が無人機ならその枷を外せる。

 

 

 

「次は当てる」

 

「ふーん・・・言い切ったわね」

 

「おう!」

 

「それじゃ、やってやろうじゃない!」

 

「よし、俺が合図したら衝撃砲を撃ってくれ。そしたら・・・」

 

 

 

鈴に指示をしようとした時・・・。

 

 

 

「一夏ぁあ!!」

 

「「!?」」

 

 

 

アリーナに聞き馴染んだ声が響いた。振り返ると放送室のガラス窓には箒の姿があった。なんであんなところに!?

 

 

 

「男なら、男ならそれ位の敵に勝てなくてなんとする!!」

 

「・・・ッ!」

 

 

 

声に反応したのか黒いISが箒の方を向き両腕を構え始めた。あのビームを撃つ気なのか!?俺は鈴の前へ出る。

 

 

 

「鈴、今だ!やれぇ!!」

 

「やれって!どうするの!?」

 

「いいから早く!!」

 

「ああもう!どうなっても知らないわよ!」

 

 

 

背中に衝撃を受けた。そのエネルギーを利用して一気に加速する!!俺が箒を、皆を守るんだ!!

 

 

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

雪片を振り黒いISの腕を切り落とすが直後に蹴りを食らってしまい吹き飛んでしまった。

 

 

 

「グッハッ!!」

 

「一夏!?」

 

 

 

そしてビーム砲が箒の居る放送室に撃たれてしまった・・・。

 

 

 




本作も二桁台に行けました。読んでくれた方、評価してくれた方ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。