~IS~好きな機体で駆け抜けろ   作:豆紳士

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第十四話

ーside勝輝ー

 

 

 

「自分だけさっさと行くなんてヒドいぞ秋月!!」

 

「はぁはぁ・・・」

 

 

 

更衣室で着替えていると織斑とデュノアが息を切らしながら入って来た。ここに来るまでに他のクラスの女子達に追いかけられたようだな。皆が憧れる織斑先生の弟でイケメンで人気者の織斑は今やIS学園のアイドルみたいなもんだから休み時間や教室の移動の度に大勢に絡まれることが多い。一緒に居ると俺も巻き込まれてるからなるべく別行動するようにしているが織斑の方から絡んでくるから堪ったもんじゃないな。

 

 

 

「時間が無いんでな」

 

「でも転校して来たばかりの奴を置いて行くなんて―――――」

 

「遅れるぞ」

 

 

 

文句を言おうとした織斑とまだ息の荒いデュノアを置いてグラウンドへ出る。挨拶も無しにさっさと行ってしまうのは正直どうかと思うが今回はタイミングが悪い。早く移動して準備しなければならないから一々付き合っていられんよ。

 

 

 

ーside一夏ー

 

 

 

「なんだよアイツ・・・」

 

 

 

女子達に追い回されてやっとのことで更衣室にたどり着いた俺達を置いて秋月の奴は行ってしまった。急いでいるのは分かるけどいくら何でもヒドくないか?

 

 

 

「彼っていつもあんな感じなの?」

 

 

 

ようやく落ち着いたのかシャルルが話し掛けてきた。秋月の事は分からないところが多いから俺もなんて言えばいいか困る。アイツと初めて会った時から思っていたけど何か暗いよな。笑っているところなんか一度も見た事ないしクラスの皆ともあんまり話をしてなさそうだで付き合いも悪い。きっと人付き合いが苦手なんだろうな。居るよなクラスに一人位そうゆう奴。

 

 

 

「えっと・・・まぁ・・・あんな感じかな」

 

「そ、そうなんだ・・・」

 

「と、とにかくさ、これからよろしくな。俺は織斑一夏、一夏って呼んでくれ」

 

「よろしくね一夏。僕の事もシャルルでいいから」

 

 

 

お互いに自己紹介が終わりもっと話したいが時間が無い。遅刻したら千冬姉から厳しい指導が待っている。俺達は急いで着替えた。途中でシャルルの方を向こうとしたら「あっち向いてて!」って言われたけどどうしたんだろうな?まぁ見られるのも嫌だよな。折角新しい友達が出来たんだから仲良くしなきゃな。

 

 

 

ーside勝輝ー

 

 

 

如何にか授業には間に合った。二つのクラス合同で実習をやるので結構な人数だな。隊列の前では織斑先生とISを装着した山田先生が居た。

 

 

 

「本日から実習を開始する。ますは専用機持ちに戦闘を実演してもらう。凰、オルコット前へ出ろ」

 

「私と鈴さんでですか?」

 

「実力の違いを見せてあげるわ!」

 

 

 

凰とオルコットが前へ出る。凰の方は自信ありげだな。代表候補生で専用機持ちのこの二人の戦いは今後の参考になるだろうからしっかり観ておこう。

 

 

 

「慌てるな。お前達の対戦相手は山田先生だ。」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

 

代表候補生同士の戦いが観れると思ったら山田先生が相手するのか・・・まさか2対1でやるのか?さすかに分が悪いのでは?

 

 

 

「え?2対1でですか・・・」

 

「いや、さすがにそれは・・・」

 

「山田先生は元代表候補だ。実力は私が保証する」

 

「昔の話ですよ。それに候補生止まりでしたし・・・」

 

 

 

へぇー・・・山田先生は代表候補だったのか。普段の様子からは想像も出来ないが彼女はIS学園の教師だ。実力が無ければ務まらないよな。

 

 

 

「安心しろ。今のお前達なら手も足も出ないぞ」

 

「・・・いいでしょう」

 

「やってやろうじゃない!」

 

 

 

織斑先生に煽られたオルコットと凰がISを装着し山田先生と合わせて空中へ上がる。

 

 

 

「では、始め!!」

 

 

 

試合が始まった。合図と同時にブルー・ティアーズのビットと甲龍からの衝撃砲の集中砲火を浴びるが山田先生は綺麗に躱している。如何しても避けられない場合は機体の肩部の盾で防いでいる。その後凰が接近戦を仕掛けオルコットがライフルでの狙撃を行うが山田先生は凰の追撃を躱しつつオルコットへ攻撃を行い回避を強制するが途中で凰とオルコットが空中で衝突して動けなくなった。そのタイミングで山田先生はグレネードランチャーで二人をまとめて撃った。試合とはいえ生徒でも容赦がない。

 

 

 

「「キャアアア!!」」

 

 

 

オルコットと凰がまとめて落下してきた。土煙が落下地点辺りを覆う。

 

 

 

「うぅ・・・まさかこの私が・・・」

 

「あんたねぇ!なに面白いように回避先読まれているのよ!!」

 

「鈴さんこそ!無駄にバカスカ撃つからいけないのですわ!!」

 

 

 

オルコットと凰が喧嘩を始めた。元気だなこいつら。試合を観ている限りではロクに連携を取ろうとしていないのがよく分かる。片方が主、もう片方が従となって作戦を立てれば少しは結果が違ったかもしれんがまぁ口では何とでも言える。

 

 

 

「これで諸君にも教員の実力が理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

なるほど・・・実力を見せるためのデモンストレーションだったか・・・たしかに山田先生を舐めている奴は一定数居るだろうからこれで彼女の威厳を示そうとしたってことだな。だとしたら織斑先生が今回の試合を組んだ理由にも納得がいく。織斑先生が俺の方を向いた。

 

 

 

「秋月、お前もどうだ?代表候補生に勝った事があるならいい勝負が出来るんじゃないか?」

 

「御冗談を。山田先生はその代表候補生の二人を圧倒していたんですよ。俺なんか秒殺ですよ。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「もし許可頂けるならやらせてください!」

 

 

 

まさか織斑先生から勧められるとはな。教員と試合が出来る機会なんて滅多にないだろうからこの際やらせてもらおう。今の俺では惨敗するのは目に見えるがそれでも挑む価値はある。仮に冗談で言っていたとしても前向きな姿勢を見せておくことが大事だ。世の中如何しても避けられない事がある。それが分かっているなら逃げるよりも立ち向かう方がいい。その方が早く終わるだろうし傷も浅くて済む。

 

 

 

「ほう・・・やる気があるのは結構だが時間がない。次にグループになって実習を行う。専用機持ちがリーダーを務める事。では分かれろ」

 

 

 

ちぇ、山田先生との試合は実現しなかったか。まぁ仕方がない。元々は彼女の実力を示す為のものだろうからね。グループに分かれてやるはずなのに女子のほとんどが織斑とデュノアの周りに集めっている。人気者だねぇ。まぁ相手する人数が少ないならこっちも楽出来るので良しっと思っていたら織斑先生が注意したため均等になってしまった。

 

 

 

「アッキーよろしくね~」

 

「おう、よろしく」

 

 

 

布仏さんは最初から俺のところに来ていた。人数が少ないから長く訓練機に乗れると思って来たのだろうか?意外とめざといなぁ。それから訓練機の動作説明をしながら順番に動かしてもらい俺は機体を装着しサポートする。大体の奴は今日初めて実機に触れるので動きはぎこちないが初めてならこんなもんだろう。俺なんか突っ立っていることしか出来ずに絶望したよ。

 

 

 

そう考えるとクラス代表戦でオルコットに勝ったとしてもこの間の敵機を倒せたとしても俺の実力は大した事ないなと思う。今日の試合を観て思った事は本物の実力者が相手だったら俺はあっさりやられているだろう。だからこそ今以上に知識を学び訓練を重ね強くならなければならない。"あの日"に起きた事を繰り返さないためにもな・・・。

 

 

 

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