「いやー天気がいいなぁ」
ムスー
訓練機を使った実習が終わり昼休みになった。今俺は織斑、篠ノ之、オルコット、凰、デュノア達と校舎の屋上に居る。なんでも篠ノ之が実習中に織斑を昼食に誘ったようだ。恐らく本人は二人っきりだと思っていただろうに。織斑はそれが分かっていないらしく他の奴にも声を掛けたようだな。そのせいかさっきから篠ノ之が不機嫌な顔をしている。"アレ"に鈍感な織斑にはっきりと言わなかった篠ノ之が悪いとしか言えないから擁護のしようがない。ちなみに俺は教室で食いながら今日の事をレポートに書こうと思ったら織斑に誘われた。断ろうとしたが織斑がしつこく誘ってくるし篠ノ之も「いいからお前も来い!!」と言われ渋々行くことになった。その時に篠ノ之に少し睨まれたような気がする。俺は悪くないんだけどなぁ・・・。
「はい一夏、アンタの分よ」
「お、酢豚だ。うまそ~」
「今朝作ったのよ」
凰が自分の弁当を織斑に分けている。どうやら転校して来たばかりの頃にあったトラブルは解決したようだな。よかったな。
「一夏さん、よろしければ私のもどうぞ」
「お、これもうまそうだな。それじゃ早速」
オルコットもバスケットを織斑に差し出す。中には綺麗なサンドイッチが並んでいる。織斑が一つ取って食っていたが・・・。
「うっ・・・」
「沢山食べてくださいね」
「あ、うん・・・後でいただくよ・・・」
なんか表情が固まっている。どうしたんだろう?まぁいいか。俺も自分の分をポケットから取り出し包みを空け口に入れながら端末を取り出す。今日の試合の事を週末にモルゲンレーテ社に提出するレポートに書かなければならない。
「秋月、お前・・・」
「アンタそれが昼ご飯なの?」
織斑と凰が驚いている。昼飯がカロリーメイトってそんなに変か?いつもなら食堂で食うが面倒な時や今日みたいに他で時間を使いたい時にはこうしている。
「レポートを書くから今日はコレだよ」
「ちゃんと食べないと体が保たないぞ」
「今はこっちが優先だ」
「一夏さん。その四角い物はなんですの?」
オルコットが不思議そうに見ている。見た事ないのかカロリーメイト。
「カロリーメイトって奴で要はお菓子だよ」
「まぁ!昼食がお菓子だけなんていけませんわ!秋月さんもこちらをどうぞ」
オルコットが俺にバスケットを差し出す。断る理由がないから一つ取って口に入れる。特に変な感じはしない。普通のサンドイッチだよな?普通に食っている俺を見て織斑が「信じられない」と言いたげな目で見ているがまぁいいか。
「ありがとう。オルコット」
「いいんですのよ。他者に糧を恵むのは貴族として当然ですわ」
オルコットが胸を張って答える。口調はとにかく根は優しくていい奴だな。その後織斑が篠ノ之に飯を食べさせたのを切っ掛けに騒がしくなったが俺は気にする事なくレポートを書いている。ふと後ろを向くとデュノアが覗いていた。
「なに?」
「え!?いや、その・・・なに書いているのかなって・・・」
気付かれるとは思っていなかったのかデュノアが戸惑いながら答えた。別に見られても困る内容ではないからいいが見られながらでは書きづらい。一旦手を止めてデュノアと話すか。
「学園には慣れたか?」
「えっと・・・まだちょっと・・・」
「今日来たばっかりだからな大変だろう」
「うん・・・今日もいきなり追いかけられたりしたからね。アハハ・・・」
「まぁ、頑張れよ」
「ありがとう。一夏も秋月君も男子だから目立って大変だね」
「ああ、そうだな・・・」
織斑はとにかく目立つ事に関して俺の場合はそれだけではないだろう。クラス代表戦でのやり取りや祝賀会での発言で悪い噂が広がっているのは知っている。祝賀会のは織斑が言った事も原因だが当人は気付かないだろうな。それにこの間の襲撃事件で扉のロックを解除する為に人を押しのけていったりしたから更に悪い事になっている。曰く「押されたせいで怪我をした」とか「どさくさに紛れて体を触られた」という噂が一部で広がっているようだ。最初の扉のロックを解除した時点で逃げていればよかったなと後悔はするがまぁいいか。
それにしてもデュノアは本当に男なんだろうか?見た目で判断するのはよくないが怪しい。ISを動かせる男が見つかったなら何らかの形でメディアに出てもいいはずだ。織斑の時は毎日テレビで報道していたし俺の時は織斑に注目がいったお陰でそんなに目立たなかったがネットで検索すると顔写真とかが出てくる。許可した覚えはないが一度ネットに出ると消すのは難しいだろうな。そのせいで外出も出来んよコッチは。今日まで何も情報がないならデュノアの関係者が情報の秘匿をしていたのか或いは何か別の理由があるのか・・・考えても仕方がないが何かが起きる予感がする。
キーンコーン、カーンコーン
予鈴が鳴った。たしか午後は整備の実習だったな。格納庫まで遠いなぁ・・・。
「ヤバい!急がないと!行こうシャルル!」
「え、あっ・・・うん!」
「あ!コラッ待て一夏!」
「逃げたわよ!!」
「一夏さん!お待ちになって!」
チャンスと言わんばかりに織斑はデュノアを連れて行ってしまい女子三人が急いで追いかけっていった。騒がしかったなぁ。お陰でレポートも書き終わってないよまったく・・・俺も行こう。端末を片付け格納庫へ向かう。今日は朝から騒がしかったからこれ以上は何も起きないで欲しいな・・・。
タイトルにある「好きな機体」がまったく出番がないなぁ・・・