ーside一夏ー
特訓するために俺とシャルと箒でアリーナへ向かっている途中で「代表候補生同士で模擬戦をやっている」と聞いたから急いで来てみればセシリアと鈴がラウラと戦っていた。いくら代表候補生でも2対1では不利じゃないかと思ったけど見ている限りではラウラが二人を圧倒している。千冬姉の元教え子とは言えあんなに強かったなんて。今度のトーナメント戦で対峙した時に俺は勝てるのか・・・そう思い俯いていると。
「一夏!アレッ!」
「アイツ・・・」
シャルと箒の声で我に帰ると目の前の光景に俺はぞっとした。動けなくなったセシリアと鈴をラウラが一方的に攻撃していた。いたぶる様に殴り、蹴り、踏みつける。これはもう模擬戦じゃない!ただの暴力だ!
「やめろ!ラウラ!やめるんだ!」
アリーナのシールドを叩きながら叫んだ。声が届かないのは分かっているけど叫ばずにはいられない。俺のことに気づいたのかラウラがこっちを向いて笑った。そしてやめるどころか見せつけるかのように二人に攻撃を続けていた。このままじゃ二人が危ない。止めないと。白式を呼び出しアリーナのシールドを破りラウラへ突進した。
「その手を放せぇ!!」
「フンッ」
ラウラが右手を出した瞬間、突進していたはずが急に体が動かなくなった。さっき鈴の龍砲を止めたA.I.Cとかいう奴だ。このままじゃ二人を助けられない。どうすればいいんだ・・・。
「これが教官の弟とはな・・・聞いて呆れる」
「クッ・・・」
「やはりこの私の敵ではないな。消えろ!」
「!!」
動けない俺にラウラは大砲を向けてきた。この距離で撃たれたらマズイ!このままじゃやられるっと思った時。
ボカーン!!
「「!?」」
俺達の間近で爆発が起きた。突然のことでA.I.Cが解除されて動けるようになった。セシリアと鈴は束縛が解かれ地面にへたり込んでいる。急いで二人を回収しアリーナの端へ向かう。
「セシリア、鈴、大丈夫か?」
「一夏・・・」
「一夏さん・・・」
二人共なんとか意識はあるようで良かった。それにしてもさっきの爆発は一体なんだったんだ?騒ぎに誰かが駆け付けたのだろうか?振り向くとピットの出入り口にISが一機居るのが見えた。あれは・・・秋月の機体じゃないか。なんでアイツが?
ーside勝輝ー
「出遅れたか・・・」
急いで向かった筈だったが少し遅かったようで状況が変わっていた。どうやって入ったかは知らんが織斑がボーデヴィッヒの気を引いている内にピットの出入り口から狙撃砲でワイヤーブレードを破壊しオルコットと凰の束縛を解く事が出来た。ISが解除されていないところを見ると無事とは言えないが最悪の事態は避けられたようだな。
「貴様・・・なんのつもりだ?」
ボーデヴィッヒが俺を睨みながら言った。邪魔されたのが気に食わないのだろう。
「決着は付いただろ。もうやめろ」
「ほう、どうやら貴様も死にたいようだな」
シュヴァルツェア・レーゲンのレールガンがこっちに向いた。ロックオンされたようで警告音が鳴った。どうやら脅しではないな。武装を連結したまま身構える。相手に一発撃たせる。
「私の邪魔をしたのだからな覚悟しろ!!」
ドンッ!!
撃ちだされた砲弾が直撃し爆音と衝撃が機体を包み込んだ。
ーsideシャルルー
一夏に続いてアリーナへ入りオルコットさんと凰さんを介抱していた時、爆音が轟いた。振り返るとピットの出入り口のところが爆煙で包まれていた。そこには秋月君が居たはず・・・ボーデヴィッヒさんは彼を撃ったみたいだ。このままだと先生達が来る前に被害が増えるかもしれない。ドイツの最新鋭機に僕のリヴァイヴが敵うかは分からないけど今はやるしかないね。武器を取り出し構えようとした時に爆煙の中から複数のミサイルが飛び出して来た。
「無駄だ!!」
ボーデヴィッヒさんはミサイルをA.I.Cで防いだ。アレが咄嗟に出せるのは彼女の腕の良さを証明している。ミサイルの爆煙が晴れる前に秋月君が突進して来た。ボーデヴィッヒさんは右手を突き出したまま構えている。このままだと一夏と同じ様に彼も強制停止させられてしまうと思ったら・・・。
バッシュ!!
「くぅ!?」
なんと彼はA.I.Cの範囲手前で機体を停止させ発砲した。至近距離から撃たれたビームがシュヴァルツェア・レーゲンのレールガンに直撃し爆散させた。
「ぐはっ!」
爆発の勢いでバランスを崩したシュヴァルツェア・レーゲンは転倒した。
「き、貴様・・・」
「動くな。ボーデヴィッヒ」
どうやら秋月君は追い打ちをかけるつもりはないみたいで倒れたボーデヴィッヒさんにビーム砲を構えているだけだった。よかった。ひとまず今回の騒動は収まりそうだ。ふと一夏の方を見ると鋭い目つきで秋月君を見ていた。心なしか唇を噛んでいるようだけどどうしたんだろう?
ーside勝輝ー
正直ここまで出来るとは思ってはいなかったがボーデヴィッヒが油断してくれたお陰でどうにかなったな。後は先生方が来れば収まるだろう。
「貴様・・・これで終わると思うなよ」
ボーデヴィッヒが俺を睨む。今はいいけど彼女はたしか軍人だったよな・・・生身じゃ絶対に勝てないな。今後は夜道には気を付けてよう・・・ん?なんだ?なにか嫌な予感がする。ボーデヴィッヒからと言うよりは機体の方から何か嫌な感じがする。言葉には表せないこの感じはなんだ?よく分からないがこのまま引き金を引いた方がいい気がする。
「そこまでだ」
「きょ、教官!?」
発砲しそうなところで織斑先生が来た。武装の連結を解除し背中に懸架する。
「模擬戦をやるのは構わないがアリーナまで壊されては教師として見過ごせない。この決着は学年別トーナメントでつけろ。いいな?」
「教官がそう仰るのなら・・・」
ボーデヴィッヒはISを解除した。織斑先生の言う事なら素直に聞くようだな。
「秋月、お前もそれでいいな?」
「はい」
「では学年別トーナメントまで私闘の一切を禁止する。解散!」
織斑先生がこの場を治めてくれたので俺もISを解除する。学年別トーナメント前なのに面倒な事になったなぁ・・・しかしさっきの嫌な感じは一体なんだったんだろうか?ただの気のせいならいいけど・・・考えても仕方がない。オルコットと凰の姿が見当たらないな。医務室へ運ばれたのだろう。後で見舞いに行くか。
表現の仕方が悪いのか効果音が入ると急に安っぽくなるのをなんとかしたいなぁ・・・。