ーside勝輝ー
「はぁ~・・・」
昼休み時の教室で今日何度目かも覚えていないため息をつく。幸せが逃げるからしない方がいいとよく聞くがここ最近の事を考えるとそうも言っていられない。新しい転校生、三人目の男子(?)の登場、アリーナでのトラブル、トーナメント戦の件・・・どれもこれも思い出しただけで頭が痛くなる。特に今度のトーナメント戦が一番の問題だ。何故なら二人一組で出場する事が急に決まったからだ。なんでも「より実践的な模擬戦を行うため」らしいが一体何を想定しているのだろうか?・・・考えても仕方がない。トーナメント戦が二人組で出場するのはまだいいが俺にはペアとなる相手がいなくて困っている。
ペアがいない原因は分かっている。今までの積み重ねと先日のアリーナでの一件だろう。どうやら俺がアリーナで暴れてオルコットと凰とボーデヴィッヒに怪我をさせたって噂が広まっているようでそれを本気で信じている奴もいるとか・・・そんなんでペアを申し込んでも断られる。いくら事実とは異なっていても危ない噂がある奴には近づかないのは当然か。俺もニュースとかで取り上げられた人の事をよくも知らずに勝手に"悪人"だと思った事もあるから人の事は言えないね。それよりもこれからの事を考えなければ・・・トーナメント戦までもう時間がない。
「アッキー・・・」
「ん?」
考えて事をしていると後ろから布仏さんが話し掛けてきた。なんだか表情が暗いな。
「あのね、その・・・ごめんね・・・」
いきなり謝られた。
「どうしたの急に?」
「アッキーにペアがいないのは私のせいだと思って・・・この間のアリーナの事で・・・その・・・」
そう言えば俺が行く前に布仏さんに"ボーデヴィッヒを止めてほしい"みたいな事を言われたな。それでも布仏さんのせいではない。いくら人から言われたのが切っ掛けでもそれをどうするかを選ぶのは自分自身なのだから人のせいにしてはいけない。たとえボーデヴィッヒには目を付けられ、織斑からは文句を言われ、校内にまた良くない噂が出ようとな・・・あの時は俺も抑えられないものがあったからね。それよりオルコットと凰は負傷しトーナメント戦には出れなくなった事で俺の方こそ謝らなくてはならないのでは?と思う。
「いや、布仏さんのせいじゃないよ」
「でも・・・」
「あの時はISが有れば誰でも止めに行くさ。織斑とデュノアだって来ていただろう?」
「うん・・・」
「俺の方もごめんよ」
「え?」
「オルコットと凰を助けられらなかったからさ・・・」
「いや、その・・・アッキーは悪くないから・・・」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「うん・・・」
「俺の事を悪く言う奴が居たって大丈夫さ。ペアだってなんとかなるから気にしないで」
「うん、分かったよ~」
そう言って布仏さんは笑ってくれた。やっぱりこの人は笑っていた方がいい。ペアだって最終的には抽選で決まるようだし今は出来る事をやろう。
ーsideシャルルー
「どうだ?シャルル」
「そうだね・・・」
僕と一夏は自室で今度のトーナメント戦の事を話し合っていた。
「結構厄介だね。彼の機体は・・・」
「そうなのか?」
トーナメント戦で警戒する相手は専用機持ちであるボーデヴィッヒさんと秋月君だけだと思う。オルコットさんと凰さんは怪我でトーナメント戦には出れないからね。ボーデヴィッヒさんの方はそれなりに情報が出てるから対策は練れるけど彼の方は母国や会社から取り寄せた情報だけじゃ機体も彼自身の事もよく分からない事が多くて困っていた。そんな時に一夏からクラス代表戦で戦った事と本当は内緒みたいだけどクラス対抗戦での襲撃事件で彼も参戦してきた事を聞いた。もしかしたらと思い確認してみたら白式のコアが記録した映像があって助かった。クラス対抗戦で彼とオルコットさんや一夏との戦闘の映像は彼の機体の特徴や武装、戦術を知る上で参考になったけど・・・たしかクラス代表選では彼とオルコットさんの試合は一夏は見えない様になっていたらしいけどISを装着して調整中に"たまたま"モニターが灯いてらしくそれで観ていたらしい。"たまたま"かぁ・・・嘘ではないとは思うけどなんか怪しい。でも、そのお陰で秋月君の情報が得られるなら文句は言えないよね。
秋月君の「バスター」は見たところ射撃特化の機体だ。両腕に装備されたビーム砲と様々な弾が撃てるランチャーにミサイル・・・少ない様に見えるけど寧ろそれの方が効率的で武装の管理がしやすそうだね。あと連結する事で強力なビーム砲と散弾銃になるようで前者は精密射撃用で後者は迎撃や広範囲制圧かな?一体どんな仕組みなんだろう・・・後で聞いてみようかな。格闘武装はないみたいだけど機動力も悪くないみたいだね。
多分だけど秋月君は素人じゃない。オルコットさんと一夏の様な真逆なタイプを連続で相手していても適切な距離を保ち自身の火力を発揮出来る様に立ち回っている。この前のアリーナでボーデヴィッヒさんと対峙した時だってA.I.Cに捕まる事なく彼女を鎮圧していた。それに射撃の腕もいいようで乱射している時でも結構当たっている様に見える。学園以外で訓練でもしているのかな?そうでもなければ適性が発覚するまでISに関わらなかった人がこんなに戦えるはずがない。
「まぁ、何とかなるだろう。この前も惜しいところまでいったしな」
「うん、頑張ろう一夏」
一夏はちょっと楽観視しているけど僕がサポートすれば大丈夫かな?・・・今は出来る事をやろう。