「はぁ~なんでこうなるのかな・・・」
織斑の愚痴を聞き"それはこっちのセリフだ"と心の中で呟く。授業が終わって放課後になり俺と織斑は校舎と学生寮を結ぶ通路の草むしりを行っていた。織斑と篠ノ之、オルコット、凰、デュノア、ボーデヴィッヒは教室で騒いでいた罰なのだが何故か俺まで奉仕活動をやる事になった。織斑先生曰く"騒ぎを止めなかった"のが理由だとか。俺が注意しても絶対に聞かないだろアイツら・・・理不尽に思うがここで逆らっても仕方がない。好きな曲でも頭の中で流しながら黙々とやって終わらせるのが一番だ。布仏さんと今日カフェに行くのも延期になったな。まぁ持ち帰りのシフォンケーキを追加する事で許してもらえたからいいか・・・アレ?俺悪くなくね?・・・まぁいいか。ちなみに女子達は別の場所の掃除をやっているらしい。
「なぁ秋月」
「ん?」
織斑が話し掛けて来た。喋っている暇があるなら手を動かして欲しいのだが・・・
「なんだ?」
「シャルロットの事なんだけどさ・・・」
「デュノアがどうした?」
「その・・・性別の事でさ・・・隠していたのも別に悪気があった訳じゃなくてさ・・・あいつも色々あって・・・」
なんか歯切れが悪いな。要は"性別を偽っていた事を怒るな"とでも言いたいのか?別に気にしてはいないが自分から明かしたのには驚いたよ。男のフリをして学園に来たのは恐らく織斑や俺に近づいて白式とバスターのデータか機体その物を奪取する為だろう。アイツの実家であるデュノア社は第三世代機の開発に行き詰っている。その打開策なんだろうが・・・少し怪しい。デュノア自身は今の社長の子だが本妻とのではなく愛人との間の子らしいが本妻との間に子供が居ないので事実上の後継者という見方もある。今デュノア社は社長と役員の間で揉めているらしく特に次期社長の事で荒れているとか・・・そう考えるとデュノアの身はかなり危険だろうから外国に逃がしたのでは?と思う。まぁ聞いた情報を元にした憶測だがら真相は分からん・・・それにしてもどうして金や地位のある奴は婚姻関係のある人以外と子供を作るのだろうか?・・・まぁ俺には理解できないだろうな。なんでそんなことを知っているかって?
「ああ、別に気にしてはない」
「え?」
「理由は知らないがそうせざるを得ない事だったんだろ?」
「う、うん」
「でも今は隠す必要がないんだろ?ならこの話は終わりにしよう。あんまり言うとデュノアのためにもならんぞ?」
「そ、そうだな」
織斑がなんか戸惑っているな。質問詰めされるとでも思ったのか?俺は自分の事で手一杯だから構っている余裕はない。問題が解決したならそれでいいだろう。それにしてもデータでも実機でもバスターが奪われる事がなくてよかった。よく分からんがこの機体は"奪われる"というのがしっくりくる気がする。何故だろう?・・・考えても仕方がないか。気に入っているから管理は徹底しよう。
「織斑君、秋月君。もう終わりでいいですよ」
日が暮れて来た頃に山田先生が来て終了宣言だ。やっと終わる。
「もう教室で騒いじゃダメですよ?」
「「はい」」
俺は関係ないんだけどな・・・まぁいいか。終わったならそれでよし。部屋に帰るか。
「秋月」
「ん?」
織斑が話し掛けて来た。今度はなんだ?
「俺には夢がある」
「は?」
いきなりなんだ?夢?
「千冬姉や箒・・・大切な人を守る事、困っている人を助けられる事だ」
「うん・・・」
「そのためには強くならなきゃだ。誰にも負けないくらい」
「ああ・・・」
「今回のトーナメント戦はうやむやになったけど次はお前相手でも負けないぜ!」
「・・・」
そう言って織斑は拳を突き出して来た。グータッチのつもりか?・・・一応やるか。織斑の拳に自分の拳を当てる。
「よし、終わったから食堂行こうぜ。腹減ったし」
「俺はいい・・・」
「え?なんでだよ?」
「疲れたから帰る」
俺は学生寮へ歩き出す。疲れているのもあるが・・・"夢"という言葉を聞いて胸が少し痛む。以前オルコットに"何を望み求めているか"と言われた時と同じ痛みだ・・・アイツには夢や目標がある。それはいいことだ。俺にも夢として語れるものではないが"強くなりたい"というのは同じだが俺の場合は"