ーside勝輝ー
買い物を済ませモルゲンレーテ社の社宅に荷物を置き格納庫へ来た。展開状態のバスターがハンガーに固定されている。今度の臨海学校でテストする追加装備が搭載されていて大分ゴツイ感じになったなぁ。早く動かしてみたいな。
「あれ?坊主、今日は休みじゃねぇのか?」
「マードックさん、こんにちは」
声を掛けて来たのは"コジロー・マードック"さん。モルゲンレーテ社の技師でバスターの整備班長を務めている。機械に詳しくISのような複雑な物でも難なく扱える超ベテランの技師だ。元々違う企業でIS関連の技師だったらしいが訳あってモルゲンレーテ社に移ってきたらしい。詳しくは知らないが俺の父さんとは親しい間柄だったようだ。今何処に居るかは分からないらしいが。
「どうしたんだ?」
「エリカさんから連絡があって、改装がある程度出来たって・・・」
「ああ、成る程な。まだ調整が必要だけどよ。いい感じだぜ」
「そうですか」
「火力に空中での機動力がかなり向上するはずだ。だがバッテリーの消費がな・・・まぁ坊主なら大丈夫だろ」
「早く飛ばしたいですね」
「まぁ、焦るな。先ずはシモンズ主任に話を聞いて来いよ。なんか教えてくれるだろうよ」
「そうします」
そうだな。焦ってもダメだ。日程とか確認しないとな・・・おっと、土産を渡してからじゃないと。
「あの、これ。整備班の皆さんにどうぞ」
「こいつは?」
「今日買って来たんです。この間無茶して機体にかなり負荷を掛けたお詫びに・・・」
「おいおい、子供が大人に気を遣うもんじゃねぇぞ・・・まぁありがとよ」
マードックさんは土産の菓子を受け取ってくれた。学年別トーナメント戦で試合中やボーデヴィッヒが暴走した時に無理な軌道をしたり散弾砲を連射しすぎて負荷を掛け整備班に迷惑を掛けたからなぁ・・・自分じゃ出来ない事をやってもらう以上何らかの形で返さないといけない。
マードックさんはいい人だ。俺がモルゲンレーテ社に来たばかりでロクにISを動かせない頃に大体の人が"アイツじゃムリだ"と言っている中で俺の事を信じてくれた人だ。そのお陰で逃げ出さずに今の自分があると思うとこの人が居てくれてよかったと心から思える。
「後で他の奴にも配っておくからよ主任のところに行ってこいよ」
「はい。では後で」
「おう」
俺は格納庫を後にし事務室に入る。
「エリカさん、こんにちは」
「待ってたわ秋月君」
エリカさんが迎えてくれた。手には分厚い辞書のような物を持っている。
「それは?」
「追加装備に関するマニュアルよ。渡そうと思ってね。はい」
渡されたマニュアルは結構重い。覚える事が多いようだな。
「今シュミレーターを製作中だからもう少し待ってね」
「はい」
「ここでマニュアルを読んで構わないわ」
「そうします」
俺は適当な椅子を見つけそこに座りマニュアルを開いた。追加装備の名前は"ジェグス"か・・・どんな感じになるか楽しみだな。
ーside箒ー
・・・正直に言うとズルをしている自覚はある。いくら姉妹とは言え直接専用機を頼むなど・・・ズル以外の何者でもない。だが、今の私にはコレしかない。一夏の隣に立つには。携帯を取り出し姉の番号へかける。出るかな?
ガチャッ
≪もしもし?≫
「ね、姉さん・・・あの」
≪やあやあやあ!久しぶりだね!嬉しいよ箒ちゃん!≫
耳が痛くなる程の大声・・・姉のテンションには付き合いきれないが今は我慢だ。
「姉さん・・・あのね・・・」
≪うんうん言わなくても分かってるよ!≫
「え?」
≪欲しいんだね!箒ちゃんの専用機!≫
「えっと・・・うん」
≪勿論あるよ!安心して!≫
「うん・・・」
≪今度臨海学校だよね?その時に持って行くから楽しみにしてね!≫
「え!?・・・あの、姉さん・・・?」
≪じゃあね~≫
ガチャリッ ツーツー
切れてしまった・・・なんで分かるんだろう?やはり姉さんは少し怖いな・・・でも専用機をくれるなら文句は言えない。これで他の奴に追いつける。そして一夏と一緒に・・・臨海学校が待ち遠しいな。
やる気がある時に書く。今はそれでいい・・・