~IS~好きな機体で駆け抜けろ   作:豆紳士

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第三十七話

 

 

 

「状況を説明する」

 

 

 

織斑先生に付き従い俺達は旅館の宴会場へ来た。そこはSF作品に出て来るような作戦部屋みたいになっており中央にはホログラム型のモニターがあり周辺には様々な機器が置かれ複数ある端末にはオペレーターが付いて何かのやり取りをしていた。ここは旅館だが最新のIS装備の試験を行う場所なだけあって設備が充実しているな・・・床が畳なのがちょっとシュールだけどな。おっと説明が始まる。

 

 

 

「二時間前、ハワイ沖で試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)が制御下を離れて暴走。監視空域を離脱したとの連絡があった」

 

 

 

ハワイ沖の試験中のISだと!?・・・モルゲンレーテ社で聞いていた奴か?

 

 

 

「衛星による追跡の結果、福音はここから二km先の空域を通過する事が分かった。時間にして約五十分後だ。学園上層部の通達により我々がこの事態に対処する事になった。教員は訓練機を使用し空域、海域の封鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

 

 

・・・余程の出来事に言葉が出なかった。要は俺達が軍事用ISに対処しなければならないという事か。本来なら自衛隊や在日米軍の仕事ではないのか?"暴走した軍事用IS(兵器)"という危険極まりない代物を軍ではなく学生にやらせるのか?"学園上層部"から通達が来たという事は日米政府や軍関係者と話が付いているだろうからこの状況は覆らないか・・・どうしてこうなるのだろうか?

 

 

 

「それでは作戦会議を始める。意見のある者は挙手するように」

 

「はい、目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

「分かった。しかし機密故に絶対に口外はするな。情報が漏洩した場合、諸君らは査問委員会による裁判と最低二年間の監視が付けられる」

 

「了解しました」

 

 

 

オルコットの要請により福音のスペックデータが中央のモニターに表示された。なんて機体だよ・・・超音速での飛行が可能で広域殲滅用の射撃武装を搭載しているのか・・・ハッキリ言ってバケモノだ。全員でかかっても返り討ちに遭いそうだなぁ・・・まぁ全員でかかるのは無理だけどな。

 

 

 

「福音は現在も超音速で飛行している。アプローチ出来るのは一度だけだ。つまり一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかない。つまり―――」

 

 

 

全員の視線が織斑に向く。

 

 

 

「お、俺!?」

 

「あんたの零落白夜でやるのよ」

 

「他に方法はないが無理強いはしない」

 

「・・・やります。俺がやってみせます!」

 

 

 

織斑は覚悟を決めたようだな。確かにエネルギーを消滅させる零落白夜なら一撃で撃破可能だ。だが問題がある。それは―――

 

 

 

「どうやって一夏を福音と接敵させるかだね。攻撃前にエネルギーを消耗する訳にはいかないから誰かが運ばないとだね」

 

「なら目標に追いつける機体ではないとな」

 

 

 

デュノアとボーデヴィッヒの言う通りだ。となると―――

 

 

 

「それなら私のブルー・ティアーズが最適ですわ!高機動パッケージ"ストライクガンナー"が送られてきていますし私自身、超音速下での訓練も積んでありますから必ず成功して見せますわ!」

 

 

 

オルコットが意気揚々と主張する。彼女が持ち込んだ装備の全容は知らないが織斑を抱え福音に追いつけるようだな。なら俺の出番はないな。その方がいい。

 

 

 

「そのパッケージは量子変換してあるのか?」

 

「そ、それはまだですが・・・」

 

 

 

・・・おいおい。準備してないのかよ。ISの装備を量子変換するには時間が掛かるのに今からで間に合うのか・・・まぁ換装する事を含めての装備テストなんだろうなぁ。織斑先生が俺の方に視線を向けて来た。嫌な予感がする。

 

 

 

「秋月、お前の方も高機動用の装備だったよな?」

 

「はい」

 

「見せてみろ」

 

「・・・社外秘ですから口外しないでくださいよ」

 

「ああ」

 

 

 

やっぱりこうなったか・・・やれやれ。持ってきた端末を操作し中央のモニターに今回のテストで使用する"ジェグス"を装備したバスターが映る。

 

 

 

「なんだこの装備は・・・」

 

「ゴテゴテねぇ・・・」

 

「こんな重装備で飛行出来るの・・・?」

 

 

 

データを見てボーデヴィッヒ、凰、デュノアが感想を呟く。確かに見た目は重そうだ。俺も最初見た時は飛べるか疑ったが実際に飛ばしてみると意外といけた。しかしこっちにも問題はある。

 

 

 

「秋月、量子変換はしてあるのか?」

 

「はい、変換済みです」

 

「訓練時間は?」

 

「基礎訓練はシュミレーターで二十時間程で超音速は数時間程度です。実機では共同試験場にて三回程飛行していますが全力での飛行、本装備装着時の射撃はまだ行っておりません」

 

「ふむ・・・そうか」

 

 

 

元々は今日に合わせて日程を組んでいたため本格的なテストは実施されていない。一応シュミレーターや今までの飛行試験での問題は解決したが全力での飛行したり射撃したらどんな不具合が出るのかは・・・いくら机上で計算しても実際にやって見なければ分からない。これじゃ織斑先生も判断に困るよな・・・でも安易に"俺に任せろ"なんて言えんよ。聞かれた事を答えて判断は任せるしかないな。

 

 

 

「時間が無い。白式の移動はバスターに任せ―――」

 

「ちょっと待ったー!!」

 

 

 

何処からか声が聞こえた。この声はまさか・・・

 

 

 

ガラッ!!

 

「その作戦はちょっと待ったーなんだよー!!」

 

 

 

襖が勢い良く開き篠ノ之博士が入って来た。いつの間にか居なくなっていたがタイミング良く現れるという事は作戦を盗聴していたな。彼女は一瞬で織斑先生の真横まで移動していた。瞬間移動(テレポート)でもしたのか?

 

 

 

「ちーちゃん、ちーちゃん!もっといい作戦が私の頭の中にナウ・プリンティングゥッ!」

 

「出ていけ」

 

 

 

嫌そうな顔をしながら織斑先生は篠ノ之博士を押し退けようとしたが博士はお構いなしのようだ。作戦が纏まりかけていたのにそれを乱されたら誰だっていやだよなぁ・・・

 

 

 

「ここは断然!紅椿の出番なんだよ!」

 

「なに?」

 

「紅椿ならパッケージがなくても超高速機動が出来るんだよ!えいっ!」

 

パチン!

 

 

 

篠ノ之博士が指を鳴らすと中央のモニターに紅椿のスペックデータが映し出された。なんて機体だよ・・・さっき海岸で動作テストを見た時からとんでもない奴だと思っていたが数字で見るとその性能の高さが実感できる。この機体なら福音に追いつけるな。

 

 

 

「紅椿の展開装甲なら直ぐに調整できちゃうからー」

 

「展開装甲?なんだそれは?」

 

「ちーちゃん、よくぞ聞いてくれました!展開装甲はねぇこの天才束さんが作った"第四世代機"の装備でパッケージ換装を必要としないから紅椿は万能機なんだよー!」

 

 

 

「「「「「「「え!?」」」」」」」

 

「・・・はぁ」

 

 

 

第四世代機だと!?各国の研究機関や企業がやっと第三世代機の実用化したばかりなのに・・・なんて事だ。

 

 

 

「束さんもちょっと熱くなり過ぎたかなーって―――」

 

「ふんっ!」

 

「グエッ!?」

 

 

 

はしゃぐ篠ノ之博士を織斑先生は殴った。しかもグーで。

 

 

 

「それで束、紅椿の調整にはどれくらい掛かる?」

 

「十分も掛からないよ」

 

「そうか。では頼む」

 

「織斑先生!?」

 

 

 

山田先生が驚いた声を上げている。てか殴っておいて頼るのかよ・・・ん?ちょっと待てよ、なんか流れがおかしいぞ。

 

 

 

「織斑先生、ちょっといいですか?」

 

「なんだ秋月」

 

「白式を運ぶ役はバスターで行うのでは?」

 

「事情が変わった。本作戦は織斑、篠ノ之の両名による目標の追跡、撃破を目的とする。各員は準備に掛か―――」

 

「反対です!」

 

「なに?」

 

 

 

織斑先生が少し驚いた顔をしているが構わない。このまま流されたら絶対にロクな事にならん。

 

 

 

「反対とはどうゆう事だ?」

 

「紅椿は確かに高性能ではありますが篠ノ之では荷が重すぎます」

 

「なんだと!!」

 

 

 

篠ノ之が睨んでくるが知らん。

 

 

 

「いくら専用に調整されていても慣れていない機体で直ぐに実戦は危険です。俺が行きます。」

 

「なに!?私では無理だと言うのか!」

 

「そうだ」

 

「お前、ちょっと試合で勝っているからって調子に乗るなよ!」

 

「私も反対しますわ」

 

「あたしも」

 

「僕も」

 

「私も」

 

「なに!?」

 

 

 

オルコット、凰、デュノア、ボーデヴィッヒが反対した。やはり不安だよな。

 

 

 

「何故だ!」

 

「箒さんでは実戦経験が乏しいからですわ」

 

「だが紅椿なら―――」

 

「機体が良くても今の箒さんに一夏さんを任せられません。秋月さんを推薦します」

 

「だが―――」

 

 

 

怒っているのか篠ノ之の圧が増している。ここで引く訳にはいかないが織斑先生が間に入る。

 

 

 

「そこまでだ。時間が無い。本作戦は織斑、篠ノ之の両名で行く。秋月はバックアップに回れ」

 

「バックアップですか?」

 

「そうだ。二人に何かあったらフォローを頼むぞ」

 

「・・・決定ですか?」

 

「決定だ」

 

「再考の余地は?」

 

「ない」

 

「・・・分かりました」

 

「他の者はここで待機だ。各員準備しろ!以上!」

 

 

 

決まってしまったか。こうなっては覆らないな。仕方がない・・・無事に切り抜けられるように最善を尽くそう・・・。

 

 

 




紅椿の設定よーわからん
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