~IS~好きな機体で駆け抜けろ   作:豆紳士

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第八話

「ねぇアッキー知ってる?二組に転校生が来たんだって~」

 

「え、転校生?」

 

 

 

祝賀会の翌日。身支度と朝食を済ませ教室でISの参考書を読んでいた時思わぬ事を聞いた。俺に話し掛けてきたのは同じ一組の女子「布仏 本音」さん。いつものんびりしていて何を考えているのか分からないがクラスメイトとの仲は良く男の俺や織斑、気難しいオルコット等にも分け隔てなく接してくれる。織斑は雰囲気から「のほほんさん」と呼んでいるようだが案外間違いでもない表現だと思う。彼女は人を愛称で呼ぶようで俺は「アッキー」と呼ばれる。まぁ特に止める理由はないからそのまま呼ばせている。

 

 

 

正直に言って彼女の存在はありがたい。常に張りつめている現状で少しでも癒しになるからだ。クラス代表戦と昨日の祝賀会の発言で俺は今クラスの敵になりつつある様な気がする。勿論確証はない。しかし時折周りからの目線には明らかな敵意がある。口には出さないが俺の存在が気に食わない奴がいるようだ。昔から人には嫌われることが多く時にはイジメに発展したこともあったが生きていたいのならこれからもそれを乗り越えていかなければならない。

 

 

 

それにしても転校生かぁ・・・時期的には少し変だ。まだIS学園に入学してから10日程しか経っていない。入学が遅れたから転校という形で入った感じなんだろうか?いずれにしても二組だから関わることもないだろう。

 

 

 

「どんな子なんだろうね~?」

 

「さぁ、分からん」

 

「そう言えばもうすぐ・・・」

 

「本音ちょっといい?」

 

「あ、うん。今行く~またね~アッキー」

 

 

 

布仏さんが何か言おうとした時に他の女子生徒に呼ばれ行ってしまった。恐らくクラス対抗戦の事を言おうとしたのだろう。来週だったかな?

 

 

 

「もうすぐクラス対抗戦だね」

 

「今のところ専用機持ちは一組と四組だけだから余裕だよね~」

 

 

 

おっと早速来たか。クラスの女子達が話している。へぇー四組にも専用機持ちが居たんだ。知らなかった。

 

 

 

「その情報古いよ!」

 

 

 

教室の入り口の方から突然声が聞こえた。クラス中の視線が向けられた先にはツインテールの女子生徒が居た。

 

 

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝出来ないから」

 

「鈴?お前、鈴か!?」

 

「そうよ!中国代表候補生、凰 鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

 

クラス中が騒めく。二組にも専用機持ちの代表候補生がクラス代表になったことに驚いている。

 

 

 

「鈴、何格好つけてんだ?すげぇ似合わねえぞ」

 

「な!・・・何てことを言うのよアンタは!」

 

 

 

会話の内容から察するに織斑の知り合いのようだな。こんなことは言ってはダメだが正直係わりたくないなぁ・・・。

 

 

ゴン

 

「痛った~、何すんの!」

 

「もうSHRの時間だぞ」

 

「ち、千冬さん・・・」

 

「織斑先生と呼べ。さっさと自分のクラスに戻れ。邪魔だ」

 

「す、すいません・・・」

 

 

 

織斑先生が後ろから転校生を軽く殴って注意した。指導とはいえいきなり殴るのはどうかと思うがまぁいいか。

 

 

 

「また後で来るからね!逃げないでよ一夏!」

 

 

 

転校生は二組に戻っていった。IS学園に入学してから騒々しいことばかりだったがそれが一層増したようでウンザリする。出来るだけ関わりたくないなぁ・・・。

 

 

 

午前中の授業が終わり昼飯時。食堂で空いている席を見つけて一人で食うのが俺の決まりだ。他人が居るところに行く必要はないのだが・・・。

 

 

 

「秋月、ここいいか?」

 

「・・・ああ」

 

 

 

いつも織斑が来る。昨日の事で今朝は話し掛けて来なかったからないと思っていたのに。広い食堂で席も沢山あるのにわざわざ俺のところに来て相席してくる。しかも篠ノ之やオルコットまで一緒に来るから騒がしい。更に今日は二組の転校生まで一緒に来てんぞ。別に断る理由はないからいいが飯時くらいは静かにしていたい。

 

 

 

「箒、セシリア、秋月、もう知ってると思うけどこいつは鈴。小中学校からの幼馴染だ」

 

「今朝名乗ったけど中国の代表候補生、凰 鈴音よ」

 

「篠ノ之 箒だ。一夏とは幼馴染だ」

 

「私はセシリア・オルコット。イギリスの代表候補生ですわ」

 

「秋月 勝輝だ」

 

 

 

席に着くなり自己紹介が始まった。今ここに居る奴は全員専用機持ちだ。何かと関わってくるだろうな。

 

 

 

「ふーん」

 

 

 

凰が品定めするように俺を見る。他の二人は無視かい?

 

 

 

「なに?」

 

「なんか一夏と比べて普通って感じ」

 

 

 

なにが普通かは分からんが俺と織斑を比べているのか。確かに織斑には身内に国際大会の覇者である織斑先生が居るし国からの支援で専用機が開発された。そして才能もある。クラス代表を決める時はまだISの起動が二回目だったらしい。それであれだけ動けるなら大したモンだ。

 

 

 

一方俺には才能も無く後ろ盾もない。ISの適性が発覚してからモルゲンレーテ社で数か月の訓練を受けたから何とか動かせる程度にはなったが最初は酷かった。まともに動かすことすら出来ず案山子の様に突っ立て居ることしか出来なかった。裏で「あんな奴に機体を任せていいのか?」と言われていたのを聞いたこともあった。それでも逃げずにここまで来た。クラス代表戦でオルコットと織斑には勝ちはしたがあの戦いを自分で評価するなら「あれだけ訓練をしたのだからこれくらいの結果は出て当然」といったところで素直に喜べない。そう考えると俺と織斑には雲泥の差があるなぁ・・・

 

 

 

「アンタ本当に一夏とそこのイギリス人に勝ったの?噂で聞いたけど信じられないな」

 

「・・・勝ったのは事実だ」

 

「それは動けなくなったセシリアを撃ったからだろ」

 

 

 

俺と凰との会話に織斑が割り込んでくる。てかまだ言うのかそれ。

 

 

 

「は?なにそれ?」

 

「それがさ・・・」

 

 

 

そう言って織斑はクラス代表戦の事を話した。誇張や脚色等はなくただ事実だけを語ったため特に言うことはない。

 

 

 

「・・・ということなんだよ」

 

「へぇー・・・」

 

「流石に酷いだろ?」

 

「それ普通よ」

 

「え!?」

 

 

 

織斑が驚く。自分の意見に同意すると思っていたんだろうな。

 

 

 

「一夏、一応言っておくけどISの数には限りがあって専用機持ちはそれなりの成果がないとダメなの。だから勝てる時に勝って実績を積んで置く。チャンスがあれば生かす。それがISの世界よ」

 

「でも・・・」

 

「一夏さん。私の事を思って下さるのは嬉しいですがあの時秋月さんが撃ったのはルール違反ではなく何も非難される事はないのですよ」

 

「・・・」

 

 

 

女子二人から言われて織斑の歯切れが悪くなっていく。まさか代表候補生から擁護されるとは思わなかった。

 

 

 

「一夏。男なら終わった事をあれこれ言うな。今度は勝って自分の正しさを証明すればいいだろ」

 

 

 

黙っていた篠ノ之が言った。「正しい者が勝つ」と思っているのか?

 

 

 

「でも俺クラス代表戦で・・・」

 

「これから強くなればいいじゃないか。私が教えてやる」

 

「な!?箒さん抜け駆けは許しませんわ!!一夏さんには私こそが相応しいですわ!!」

 

「ちょっと!勝手に話を進めないでよ!」

 

 

 

なんか騒がしくなってきたからもう行こう。まだ食い終わってないんだけどな・・・。

 

 

 

「ごちそうさま・・・」

 

 

 

立ち上がり食器の返却口まで行こうとした時・・・

 

 

 

「あ、秋月さんお待ちになって下さい」

 

 

 

オルコットに呼び止められた。

 

 

 

「なに?」

 

「昨日の事で・・・秋月さんの気に障る事を言ってしまったようで・・・その・・・申し訳ありません。本当はもっと早く言うべきでしたが・・・」

 

 

 

昨日のこと?・・・ああ、確か祝賀会の後に廊下で「″何を望み求めているか″」とか言っていたことか。思い出すと少し胸の奥が痛む。

 

 

 

「謝る必要はないよ。気にしてないし」

 

「でもあの時・・・」

 

「あの時は疲れていて早く部屋に帰りたかったんだ。だから気にしないでいいよ」

 

「・・・分かりました」

 

 

 

律儀だな。根は本当にいい奴なんだろうな。

 

 

 

「ただオルコット。俺も一つだけ言っておきたい」

 

「え?」

 

「俺も知りたいよ。自分の事を、何を望んでいるのかね・・・」

 

 

 

そう言って俺は食器を返却して食堂を出る。昼飯も食ったし教室で昼寝でもしよう。今日はこれ以上騒がしくならないことを祈って・・・。

 

 

 

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