この日、風太郎は四葉と二乃に呼び出されて買い物に半ば強引に付き合わされていた。
「うっ!ふっふーっ...重っ...落ち着けっ!力学的にっ...一番効率的なのは...っ!だめだーー!」
「上杉さん!私が持ちますよ!」
「ちょっと、荷物持ちの二人?早くしなさい。」
相変わらず風太郎は力がなく、お米一袋でもこの有様だ。逆に四葉はイメージ通りの力持ちであり、今でも風太郎の代わりにお米の袋を軽々と持ってあげているくらいだ。
「はぁ...なんだよ、こんな時間に呼び出されたと思ったら...」
「今日は特売日なの。それくらいは一人で持ってよね?」
「だったら、お前が持てよ...」
そんなやり取りをしている内に買い物はあっという間に終了し、その間にトイレに行った四葉を二乃と風太郎が待っていた時だった。
「あらっ?あれって五月とパパじゃない。」
「なに?」
偶然にも二人はショッピングセンター内のカフェにて五月とマルオが何かしらの会話をしているのを目撃してしまった...
「ここからだと何を言ってるのかが分かんないわね...よし、入るわよ。」
「おいおい...盗み聞きはよくないと思うんだが?他人に聞かれたくない話かもしれないだろ?」
五月とマルオの会話が気になってカフェに入ろうとする二乃を風太郎は真っ当な理由で制止した。
しかし、
「そういうあんただって、少しは気になってるんじゃないのかしら?」
「まぁ...確かにそうだが...」
「なら、早く行くわよ!安心しなさい。カフェ代くらいは私が奢るから。」
結局、二乃の主張に根負けしてカフェに入る事になったのだった...
・・・・・
『なので、私は今までは心に閉まっていたこの想いを吐き出す事にしました!えぇ、そうです!お父さんの言うように私は風太郎君の事が...好きなんです!!!』
「「............」」
ほんの些細な出来心のつもりがとんでもない事を聞いてしまったと二乃は思っていた。
(まさか、上杉と五月が5年くらい前に京都で会ってたなんて...)
そこで、五月が風太郎とお互いに仲良くなるきっかけとなった過去の話...ならびに最初は過去の約束を罪悪感から風太郎にあえて反抗的な態度をとっていたが、今では改めて風太郎と打ち解けあった事、最後に風太郎に対する完全な好意を盗み聞きしてしまったのだ。
しかも、
「上杉...あんたのその落ち着いた様子と五月の話からして、あんたも全部知ってたって事よね?」
「ほんとに偶然だったがな...」
自身と同じく、話を盗み聞きしていた風太郎は全くといっていいほどに動揺していなかった点から、二乃は彼が既に五月が話している内容を知っているという事に勘づいていた。
「それで?あんたはどうするつもりなの?五月の気持ちを受け入れてあげるの?」
「俺は...」
もしも妹が聞いたら泣き出してしまいそうな答えが出てきようものなら、絶対に風太郎を許さないという気持ちで二乃は問いかけた。
「そうだな...友人としてなら、俺はできる範囲であいつの力になってやろうと思ってはいる...が、恋人となると話が変わってくるな。」
「どういう事よ?」
「友人ならまだしも、恋人という事は五月を一番大切な存在と認めるって事だ。だが、俺は果たして五月を守ってやれるのか?本当に俺なんかで良いのか?みたいな不安が常に付きまとう事になる...お前から見ると意気地なしに見えるかもしれないが、俺はそこが怖いんだよ...」
「そう...」
少なくとも風太郎の返事が五月を悪く言うものではなかったために二乃は風太郎を強く責める事はできなかった。
でも、だからといって二乃は大切な末っ子の妹に失恋なんてしてほしくなかった。
「前から思っていたけど...努力家だったり、鈍感だったりと...あんた達はある意味、似た者同士よ。時に支え合い、時に笑い合う...無難にそんな幸せな日常が過ごせそうだと思うの。何より、五月は強い子よ?あんたに助けられてばかりではないと思うわよ。」
「まぁ、それも分かってはいるんだがな...悪い、すぐには答えを出せそうにはないな...」
「確かに...すぐに答えを出せるようなものじゃないわよね...私も無理に急かすつもりはないわ。」
この場ですぐに答えを出してもらわなくとも、卒業までに五月と結ばれてくれれば問題ないと判断した二乃は引き下がった。
「そう...もし、五月との事で何か相談があったら私に言いなさい。あんたと五月の距離が縮まるように色々と協力するつもりよ。」
「二乃...分かった。五月との事で何かあったら、お前に相談させてもらう。」
「そうしなさい。」
二人を結ばせたい二乃にとって風太郎と五月、両方の相談に乗れるのは都合が良い。
一方の風太郎からみても、自分と五月の関係に対する理解者ができるのはありがたいだろう。
「何か二乃がキューピットに見えてきたぜ。」
「わっ...私がキューピットって...まぁ、確かに言われてみればそうよね?あんたと五月を結ばせようとしてるんだし...」
そんなわけで、この瞬間に風太郎と二乃との間に協力関係が結ばれたのだが風太郎と五月は知らなかった...
(ん?ちょっと待って...上杉と五月は本当に京都で会ってる...のよね?どうしてかしら?何か引っ掛かるんだけど...)
五月の過去の話に二乃が僅かながらの違和感を抱いていた事と...
(えっ?二乃が風太郎君と楽しそうに喋ってる?まさか、二乃まで...)
いつのまにか、トイレから戻ってカフェの様子を興味本位で眺めていた四葉がとんでもない勘違いをしていた事を...
原作をよく読めばなぜ、二乃が五月の過去の話に違和感を持ったのか分かるはずです...
デートを尾行していたのは?
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元祖闇堕ち...中野一花
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最大の協力者!中野二乃
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現在、空気...中野三玖
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最大のライバル!?中野四葉
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将来の義妹!?上杉らいは
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不良キャラ、前田
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風太郎のライバル!?武田祐輔