楽しかった冬休みも終わり、学年末試験の時期が迫っていた。
中野姉妹達はそれぞれのやり方で学年末試験に向けての勉強を進めていた。とはいえ、元が勉強が苦手な中野姉妹...勉強漬けのせいもあって集中力が長続きしなかったのだ。
連日の勉強漬けのせいで中野姉妹達の集中力が限界に近づいているのを察した風太郎は詰め込み過ぎは逆効果判判断...飴と鞭を使い分ける目的で飴の方を与える事にした。
というわけで、風太郎と中野姉妹はとある遊園地で久しぶりに遊びまわっていた。
「次はあれに乗りましょうよ!」
「五月ちゃん...ちょっと待って...」
特に五月は久しぶりの遊園地にて末っ子心を思い出したのか、他の姉妹以上に大はしゃぎしている様子だった。
そんな感じでそれぞれが遊園地を満喫していた時だった...
「あの~!上杉さん。」
「ん?四葉か。どうしたんだ?」
「ちょっとトイレに行きたいのですが...付き添っていただけませんか?」
四葉がトイレに行きたいと風太郎に付き添いを頼んできたのだ。
「トイレに付き添えって...おいおい、さっきは1人で行ってたじゃねぇか。」
「そうなんですけど...今いる場所はトイレからさっきよりも距離が離れてるじゃないですか?だから、迷子になったら怖いな~って!」
四葉ならあり得なくもない話だ。ここで迷子になられでもすれば、この広い遊園地の中のあちこちを捜さなければならず、せっかくの休日の時間をロスしてしまう恐れがあった。風太郎自身は別に構わないが、他の姉妹達は休日時間がロスされたせいで明日以降のテスト勉強に影響を及ぼす恐れがある。
よって、誰かが四葉に付き添ってあげた方がいいだろう...
「待ってよ四葉!だったら、私が付き添...」
「上杉さんじゃないとダメなの。」
風太郎の代わりに名乗り出ようとした一花だったが、四葉に却下されてしまった。
「なぁ、四葉。俺じゃないとダメな理由でもあるのか?」
「えっ!?えっとぉ...あっ!そうです!付き添いには男の人の方が頼れるからです!ナンパとかされちゃったら困りますし!」
まぁ...女子二人の場合だと戻る途中でナンパに遭うリスクも考えられるので四葉の主張は間違ってはいないだろう。
しかし、四葉が風太郎を付き添いの相手に選んだ本当の理由には完全に私情が存在している事を一花と五月は見抜いていた。
「やれやれ、仕方ないな...分かった。俺が付き添ってやるよ。」
「ありがとうございます!上杉さん!」
そんなわけで結果的に風太郎が四葉のトイレに付き添う事になった。
姉妹の中で唯一、五月は風太郎が四葉の付き添いをするのに不満を持っていたが他の姉妹達が近くにいる事もあってか、それを感情に示す事はなかった...
・・・・・
「おい!四葉?どこに連れて行くんだよ!?トイレはこっちじゃないぞ?」
「上杉さん、騙すような形になってごめんなさい...ですが、こうするしかなかったんです!」
風太郎は困惑していた。トイレに行くはずだった四葉が突如としてルートを外れ、自身の手を引いて観覧車の前まで連れてこられたのだから...
「とりあえず、二人で観覧車に乗りましょう?話はそれからです。」
「おぅ...」
こうして、風太郎は四葉と観覧車で相乗りする事になった。
「それで?こんなところにまで俺を連れてきて...いったい、何の話だ?試験の事で悩みがあるなら...」
「その...確かに悩みはありますよ。でも違います...悩みとは試験の事ではありません。」
ん?試験の事でないとするなら...他の姉妹達と何かあったのか?あっ!それとも、陸上部の部長が懲りずに四葉を...
「上杉さんが思っているような事ではないのでご安心ください。少し長くなるかもしれませんが聞いてくださいね...」
まるで、風太郎の頭の中を見透かしたかのように四葉はニッコリと笑顔を浮かべていた。そして、語り始める...
「私は姉妹の一番のおバカなのは知っていますよね?」
「あぁ、もちろんだ。そりゃ...」
「実はですね...昔の私は姉妹の中で一番勉強ができていたんです。」
「いや、嘘だろ!?」
「信じられないかもしれませんが...本当なんです。」
四葉のカミングアウトに風太郎は当然ながら驚かせられた。今までの四葉の成績を見て彼女が姉妹の中で一番頭が良かった時期があったなど...とてもではないが、信じがたい話だ。
「そのせいで当時の私は自分に酔っていたんです。自分は他の姉妹とは違うんだと...ところがですよ、月日が流れるにつれて他の姉妹達に学力で抜かれて徐々に差をつけられるようになりました...それでも私は自分は特別なんだと意地を張って他の姉妹に教えを請う事ができず、スポーツに逃げてしまったんです。」
自らの余計なプライドが原因で勉強から逃げた過去を話す四葉の表情は先程とは打って変わって悲痛なものだった。
「四葉、お前はまさか...」
「はい...その結果、私一人だけが追試で不合格になっちゃいました。あれほど見下していたというのに他の姉妹達は五人でいる事が重要ということで一緒に転校してくれました...今の学校に。」
四葉は自身が原因で転校となってしまった件を今でも悔いているようだった。普段のニッコリとした笑顔の裏でこんな辛い気持ちを抱えていたという事実に風太郎は言葉が出なかった。
「ですので私は姉妹達への感謝と申し訳なさから...これからは自分の気持ちを無視してでも他の姉妹達に尽くそうと考えていたんです。そう...あの日までは。」
そう話す四葉の頭の中にはあの時の一花との会話が流れていた。
『一花、あのね...私は...私は本当は...!今でも上杉さん...いや、風太郎君の事が好きだったの!』
『そうだったんだね...四葉!私も応援するから!』
あの時の一花の一言がきっかけで完全に吹っ切れた四葉は恋愛においては他の姉妹に遠慮するのをやめた。
(そうだよ...!姉妹の中で風太郎君と運命の出会いをしたのは他の誰でもない...この私だもん!私こそが風太郎君にふさわしいんだ!五月なんかに譲るつもりはない!私は...風太郎君の愛がほしい!)
四葉の中でかつて存在していた傲慢の感情が再び開花してしまったのはその時だろうか?
「詳しい事は秘密ですが...私はもう一度だけわがままになってでも欲しいものができちゃったんですよ。」
「お前がわがままになってでも欲しいものか?まぁ...お前の場合は無理に気負うくらいなら、ちょっとだけわがままになってもいいかもしれないな...本当の感情をあらわにするのも良い事だからな。」
風太郎はまさか自分の事とは微塵も思っていない。そもそも四葉が自身に恋愛感情を向けている事にも気づいていないのだ。
「さて、上杉さん?私はそれを手に入れる事で初めて報われる気がします。どうかご協力していただけませんか?」
「なに?俺がか?まぁ...今回の試験で良い結果を出せたなら、協力してやらん事もないな...」
風太郎は試験のご褒美感覚で了承してしまったが、これが何を意味するのかは言うまでもないだろう...
「ふふっ!決定ですね。上杉さん、ありがとうございます!今回の試験で絶対にご期待に応えてみせますね!」
「あぁ、頑張れよ。」
「これで五月に差をつける事ができます!」
(ん?どうして五月の名前が出てくるんだ?)
二人を乗せた観覧車はまだ止まらない...同様に四葉の風太郎への想いも止まれないところまで進んでいた。
後日、風太郎並びに他の姉妹達は学年末試験の結果に驚かせられる事になるが、それはまた別の話である...
どうやら、この世界の四葉は試験の結果だけでは物足りなくなったようです...
デートを尾行していたのは?
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元祖闇堕ち...中野一花
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最大の協力者!中野二乃
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現在、空気...中野三玖
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最大のライバル!?中野四葉
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将来の義妹!?上杉らいは
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不良キャラ、前田
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風太郎のライバル!?武田祐輔