今回も五月ちゃん不在ですみません!
風太郎からの指摘に二乃はしばらくは黙っていたが、やがて口を開いた。
「...そうよ!何をされたって五月は私の大切な妹に変わりないわ。三玖も四葉も...ましてや一花だって私が守らないといけない!私達五人の絆はそれくらい大事なはずなのよ!」
風太郎は自らが予想した通り、二乃が完全に五月の事を嫌ったわけではないことに一先ず安心していた。
「だったら、素直に五月に謝れば...って、そうか...ビンタされた事をまだ根に持ってるんだな。」
「...昔はあんな事をする子じゃなかったのよ。」
「お前が罪悪感を抱くくらいだ。五月だって、それに関しては悪いと思ってるんじゃないか?」
お風呂の件にて五月の方にも、暴力を振るった罪悪感はあると知っている風太郎はここぞとばかりに二乃を説得してみる。
「そう...なのかもしれないわね。」
「だろ?お前らがお互いにつまらない意地を張っていたって何の得もない。それに...人が変わっていくというのは避けられないことなんだ。過去の五月を忘れて、今の五月を受け入れていかないとな。だから、二乃...五月と仲直りして帰ろう。」
風太郎の説得を二乃は黙って聞いていた。
「今のところ、俺から言えるのはそれだけだな。じゃあ、後は一人でゆっくり考えておけよ?」
このまま長居するのも、二乃に悪いと感じた風太郎が部屋を出ようとした時だった。
「まっ...待って!」
何か話し残した事でもあったのか、二乃が風太郎を引き留めようとした...のだが、
バサッ...!
「あっ...」
その弾みで近くに置いてあった紙袋が倒れ、中身が飛び出してしまった。
「ん?これは...」
風太郎が興味本位で中身を確認してみたところ、それは数日前に二乃に破られたはずだった自らの謹製の独自問題集だった。
その問題集は全てテープで直されており、おまけに問題を解いている状態だった。
「二乃、お前やってくれていたのか...」
「その...わざわざ、私達のために個別で問題を分けてくれたんでしょ?しかも手書きで...」
どうやら、二乃はホテルに泊まっている間に風太郎から貰った問題集を修繕した上で、しかも問題を解いてくれていたようだ。
「あの時だって本当は私も...いっ...!一応、悪かったと思ってたわよ...ごめん。」
「あぁ...いいぞ。どうせなら、この調子で五月にも謝ったらどうだ?」
「それは嫌...」
やっぱり、そう簡単に謝罪とはいかないかと風太郎が思っていた時だった。
「...と、言いたいところだったけれど、あんたの話を聞いて少し思うところがあったわ。帰らないで最後まで聞いてもらえないかしら?」
「構わないぞ。」
二乃は風太郎の了承を得ると語り始めた。
「私達が同じ外見で同じ性格だった頃...まるで、全員の思考が共有されてる気でいて居心地が良かったわ。でも、5年前から変わった...」
(ん?5年前...偶然か?それとも、俺と五月が出会った事と何かしらの関連があるのだろうか...)
風太郎が考えている間にも、二乃の話は続く。
「みんなが少しずつ離れていったの...一花、三玖、四葉、五月、みんながそれぞれの事情で変わっていく中で私だけがあの頃を忘れられないまま、髪の長さすらも変えられない。」
「二乃...」
一花は女優をするために髪を短く切り、三玖は戦国武将に興味を持ち、ヘッドホンを身につけるようになった。四葉もスポーツに打ち込むようになり、五月に至っては母親のように振る舞うようになった。
それなのに...自分だけが過去を引きずって、いつまでも変われないのだという自らの悲痛な思いを二乃は吐き出した。
「あんたの言う通りかもしれないわ。一人だけ取り残されないように無理にでも...私は巣立っていかなくちゃいけないようね。」
「二乃...分かってくれたのか!」
これで、ようやく二乃と五月を仲直りさせる事ができると風太郎は安堵していたが、二乃の続いての発言で背筋が凍らされる。
「一つだけ心残りがあるとすれば林間学校でキンタロー君としっかりお別れできなかった事かしら。」
「きっ...!キンタローとか!?」
「そうよ。できれば彼ともう一度会ってみたいのだけど...」
あの時は自らの変装がバレるかもしれないと焦っていたのと自分の体調不良が原因とはいえ、キンタローとして二乃とちゃんとしたお別れができなかったのは紛れもない事実だ。
(やべぇ...こうなったら、もう一度キンタローに変装してくるか?キンタローが俺だって事が二乃にバレたら...)
いったい、どうすれば良いものかと風太郎が思案していた時だった。
「だけど、その必要はないようね...だって目の前にいるもの。」
「そうか!それなら良かったな...って!どういう意味だよ!?」
「しらばっくれるのもいい加減にしなさい。あんたがキンタロー君だって事はバレてるのよ。」
「はぁっ!?」
風太郎から見れば、自分では二乃に正体がバレるような振る舞いをした覚えなど一切ない。驚愕するのも当たり前だろう。
「あんた、私に自分と女の子の過去の出会いの話をした時に『昔は親の影響で髪を金に染めていた』って言ってたわよね?」
「確かにしたが...それがどうしたんだ?」
「私があんたの手帳の写真を見たのを忘れた?その時に映っていた男の子だって金髪だったわよね?それに...これは、もう少し早く気づくべきだったわ。あんたの性格的に男の親戚の写真をわざわざ、手帳に入れてまで大切にするものなのかしら?」
「ぐっ...!」
そこまで指摘されるとぐうの音も出ない。そもそも、忘れた事に気づいて中野家のマンションに取りにいく位に大切にしている手帳に挟んであったのが、男の親戚の写真というのは確かに違和感がある。ただの手帳ならば、風太郎の性格的に次の家庭教師の日に回収しても良かったはずだ。
「その...済まないな。お前を騙す形になってしまって。」
もはや、言い逃れは難しいと判断した風太郎は正直に打ち明ける事にした。そして、次の瞬間には二乃の口から放たれるであろう怒りや罵倒の発言を受け入れようとしていた。
「...もう気にしてないわよ。あんたは崖に落ちそうになった私を助けてくれたのは事実だし、ましてや家庭教師として私達を助けてくれたのだって事実じゃない。責めるに責められないわ。むしろ、あんたには感謝しないといけないわね。」
意外にも二乃の口からは風太郎が予想していたような言葉は出てこなかった。
「ただ、自分で気持ちの整理はつけたいの...だから、今日は帰ってもらえないかしら?」
「そうだな...二乃、本当に済まない。」
二乃と五月の似た者同士の仲直りは思ったよりも早まりそうだった...
デートを尾行していたのは?
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元祖闇堕ち...中野一花
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最大の協力者!中野二乃
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現在、空気...中野三玖
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将来の義妹!?上杉らいは
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不良キャラ、前田
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風太郎のライバル!?武田祐輔