(私は...どうすればいいのかな...)
中野姉妹の四女...中野四葉はこの頃、精神的に追い詰められていた。
それは、陸上部の合宿の件ではない...いや、確かにそれもあるのだが一番の原因はというと...
『上杉風太郎君。改めて私とお友達として...いいえ、友達以上の関係になっていただけませんか。』
『あぁ、もちろんだ。あの時、俺はお前に救われた...だから、今度は俺が五月を助ける番だ!俺が家庭教師として...いや、友人としてお前の力になってやるよ!』
陸上部の朝練の最中に偶然寄った池で風太郎と五月のこのやり取りを聞いてしまったのだ。
幸いにも、これより前のやり取り...五月が四葉から聞いた過去の話を悪用して過去の四葉に成り代わった事自体は気づかなかったのが幸運なのかもしれない。おかげで今のところの四葉の認識は【五月は風太郎の事が好き?】で済んでいるからだ。
この時は後から走ってきた陸上部の部長に急かされる形で朝練に戻った四葉だったが、内心では複雑な思いでいっぱいだった。
実際に今日、風太郎と会った時も四葉は必死でそれを風太郎に悟られまいとしていたのだ。ただでさえ...二乃と五月の喧嘩が原因で風太郎が頭を悩ませてるというのに、さらに彼に負担を与えたくはなかったのだ。
(五月って...上杉さんの事が好きなのかな?)
四葉から見れば悪くない話のはずだ。大切な妹の恋を応援したいという気持ちもあるし、何より...風太郎に自分の事を忘れて欲しいと願っていたのは他でもない四葉自身なのだから...
それなのに...どうしても、心の底から嬉しいという気持ちになれないのはどうしてだろうか?
「お~い!四葉、どうしたの?全然、歯を磨けてないようだけど...」
「あっ、一花...ごめんね。」
随分と長い間、歯磨きを理由に洗面所を占拠していたのもあって見かねた一花が様子を見に来てくれた。
「代わりに歯を磨いてあげる...と言いたいところだけど先に聞かせてもらってもいい?四葉は悩んでるよね?」
「うん、部活をやめたいなって...だけど、私が辞めちゃったらみんなに迷惑かけちゃう...」
「違うよ。確かにそれもありそうだけど...それとは別の事で悩んでるよね?って意味だよ。」
「えっ!?いや~!そんなことは...」
変なところで中野家の長女は勘が良いものだ。
まさか、一花に見抜かれていた事に動揺した四葉は慌てて取り繕うとするが、嘘をつくのが下手くそな四葉では焼け石に水でしかない。
「ほら~!お姉さんには全部お見通しだぞ~?」
「ううっ...」
「それで、何があったのかな?」
一花からの追及に言い逃れはできないと判断した四葉は池で見た一件を一花に話した。
「へぇ~!五月ちゃんとフータロー君がそこまで仲良しになってるなんて...しばらく前だったらあり得なかった事だね~!だけど、なんで四葉がその事で悩むの?」
「だって、唯一の妹の五月が本当に上杉さんに恋してるなら...それを全力で応援したいって気持ちはあるけど...そうなると将来的に上杉さんが私の義弟になるって事だよ?上手くやっていけるかちょっと不安で...だからといって私の自分勝手な思いで五月の幸せを奪うわけにはいかないし...」
さすがに五月が風太郎に恋してるかもしれないと知って、自身の心の中がモヤモヤしている事は一花には伝えなかったが...
「ふ~ん、四葉も考えが大人っぽくなってきたね~!履いてるパンツは未だにお子様だけど。」
「それは関係ないよ!上杉さんには絶対に言わないでよね!」
「分かってるって~!」
「でも...一花、話を聞いてくれてありがとう。私、決めたよ...前の学校だって私が勝手な事をしたせいで五人とも転校する事になっちゃったから...今回も似たような事にならないように私は影で二人を見守るつもりでいるよ...」
自分のせいで姉妹全員が転校になってしまった負い目から四葉は自らの謎のモヤモヤに蓋をして風太郎と五月の関係を受け入れようと考えた...
「あっ!もしかして、四葉って...フータロー君の事が好きだったりする?」
そう...一花が四葉に問いかけたこの何気ない一言がなかったのなら、後にあのような騒動は起こらなかったのかもしれない...
・・・・・
「五月、起きろ。」
「ふわぁ...ごめん、昼寝しちゃってたよ。」
「全く...昼寝をしすぎると夜に眠れなくなっちまうぞ...」
上杉家にて昼寝をしていた五月を風太郎が起こしていた時、風太郎の携帯が鳴り響いた。
「ん?一花からか...」
電話の相手を確認した風太郎が電話に出た。
「あ~...フータロー君?今、大丈夫?」
「大丈夫だが...一花、何か声が暗くないか?」
「あっ!それはだね~!最近、入った仕事がハードだったからさ~!」
「そうか...」
一花の声色にどこか、引っ掛かる部分はあったが本人が仕事関係と言っている以上は触れない方が良いのだろうと風太郎は考えることにした。
「本題に入るね?明日、私は陸上部のとこに行こうと思う。君はどうする?」
「行くに決まってる。四葉を解放してやるぞ。」
風太郎に四葉を見捨てるなどという選択肢は最初から存在していなかった。
「そう言ってくれて良かったよ!ちなみに二乃の事なんだけど三玖にお願...」
一花がそう言いかけた時だった。
「おい!?五月!?」
「急にごめんね、風太郎君。」
突如として風太郎の隣にいた五月が風太郎の手から携帯を取り上げた。
「えっ?フータロー君?何があっ...」
「一花、二乃の事なら私にお任せください。全ては私と二乃がまいた種ですので。私が何とかしますのでお気になさらず。」
「ちょっ!?五月ちゃん!?」
「では、さようなら。」
一花の返答を待たずして五月は強引に話を切り上げると電話を切ってしまった。
「なぁ?五月...いったい、どうしたんだ?」
「驚かせちゃってごめんね。風太郎君が私達のために頑張ってくれてるから、少しでもその力になれたらなって...自分で喧嘩しといて何言ってるんだ?って感じだけど。」
「そうなのか...つまり、二乃と仲直りしてくれるって事だろ?だったら、俺から見たらありがたい事ではあるな。」
ようやく、二乃と五月が和解してくれそうで風太郎はホッとしていた。
「うん、私の為だし、二乃の為でも、姉妹の為にもなる...でもね?一番は風太郎君の為だよ。もしも、前までのように上杉君の為とかだったら、一花の言うように三玖に任せていたかもしれない。...いや、任せてただろうね。」
「五月...」
「だけどね?ボートの件で自分の正体や風太郎君への想いや過去の罪悪感...全てを打ち明ける事ができてたし、風太郎君の過去の私への想いも知れて色々と吹っ切れた気分なの。だから、今の私なら...二乃とだってやり直せるはずだもの...」
「五月!よく言ってくれたな!それでこそお前は5年前に俺が惚れていたあの女の子だ!」
「風太郎君...」
こうして、二乃と仲直りする決意を固めた五月は二乃が泊まっているマンションへと向かう準備をするのだった...
ここから、本格的に原作からズレていきます。
デートを尾行していたのは?
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元祖闇堕ち...中野一花
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最大の協力者!中野二乃
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現在、空気...中野三玖
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最大のライバル!?中野四葉
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将来の義妹!?上杉らいは
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不良キャラ、前田
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風太郎のライバル!?武田祐輔