「お邪魔します。」
「私にプライバシーってものは無いのかしら...」
二乃がそう思うのも無理はない。何せ、五つ子という自分達の性質上、今のようにちょっと変装するだけで簡単に他の姉妹が泊まっている部屋に入れてしまうのだから...
「はぁ...昨日は上杉で、今日はあんたね...少しは一人にさせなさいよ。」
「残念ですが、そういう訳にもいかないんですよ。二乃...あなたにお話しなければならない事があります。」
「なっ⁉️...何よ?まさか、まだ何か私に文句でもあったわけ?」
ほんの数日前に自らと喧嘩したとは思えないくらい、五月が理性を保っていた事に二乃は少しだけ驚いていた。そんな二乃の様子に目もくれずに五月は話を進めていく。
「風...いいえ、上杉君から話は聞きました。あなたが何だかんだいって私の事を大切にしてくれているという事を...」
「なっ...あいつ!」
まさか、風太郎が自分の弱みを五月にバラすとは思っていなかった二乃は怒りに震えた。
「上杉君を責めないでください!彼のおかげで私は二乃の本音が分かったのですから...」
「ううっ...」
「まず、言わせてもらいますね。どんな理由があったとしてもあの時、あなたに暴力を振るってしまったのは間違いでした。本当にごめんなさい...」
「......」
五月からの謝罪を受けた二乃だったが、何故だか黙ったままの状態で震えているだけだ。
「あの時に私があなたの気持ちをしっかりと読めていれば、こんな事になりませんでした...」
「......」
「私の軽はずみなビンタのせいであなたのみならず、、上杉君や一花、三玖、四葉にまで迷惑をかけてしまった事が本当に申し訳ないです!」
実際に自分達の喧嘩が原因で風太郎や他の姉妹達に迷惑をかけたのは事実だ。
「二乃...ですので私の謝罪を受け入れていただけませんか?」
「......わよ。」
「あっ...やっぱり、ダメですか...でしたら、どのように...」
「悪かったわよ!!!!!」
「にっ...二乃!?」
それまで黙ったままの状態だった二乃が急に大声を出してしまったため、五月はびっくりして危うく転びそうになった。
「その...これじゃ!私だけが妹を無理やり謝らせてる悪い姉みたいになるじゃない!はっきりと言わせてもらうけど、あれは私だって悪かったわよ!ビンタしちゃったり、ドメスティックバイオレンス肉まんおばけ呼ばわりして...要するにお互い様よ!まぁ、あのビンタは痛かったけど...」
「本当に力加減を間違えてしまってすみません...」
「あぁ!もう!あんたはこれ以上、謝らなくていいわよ!ほっ...ほらっ!前にあんたが見たがっていた映画の前売り券をあげるから!今度、一緒に観に行こうじゃないの!だから...これでチャラよ!いい?」
「はい!」
こうして、ようやく二乃と五月はお互いに仲直りする事ができた。
これにて一件落着...かと思われたが、五月の次の発言に二乃は驚かされる事になる。
「私達を仲直りに導いてくれた彼に...風太郎君には本当に感謝しなければなりませんね。」
「えぇ、ほんとよね...って!はぁっ!?今、あいつの事を風太郎君って...」
「はい、そう言わせてもらいましたよ。私は風太郎君の事が...好きなんです。」
「ええっ!?」
五月のまさかのカミングアウトに二乃は驚きを隠せていない様子だった。
「五月!あんた、本気なの!?上杉の事が好きだなんて!」
「はい、何か問題でも?」
「趣味悪っ...」
そんな二乃の口から吐かれたのはある意味、当然の辛口の呟きだった...かに思われたが、
「...前までの私だったら、絶対にそう言っていたと思うわ。だけど、よ~く考えたら...まぁ、悪くはないんじゃない?あんたと上杉は素直になれないところみたいに似ている部分も多いし...」
意外にも、二乃は風太郎と五月が結ばれる事に肯定的な考えだった。
「そう言ってもらえると嬉しいです!」
「てか、何で私にこんな事を話そうと思ったわけ?他の姉妹でも良かったんじゃないの?」
「それはですね...私から見て二乃が一番信用できますし、恋愛というものには色々と詳しいと考えたからです。」
「ふ~ん...」
確かに中野姉妹の中で誰よりも他の姉妹を大切にしているのは二乃であり、一番女子力が高いのも二乃である以上、五月が二乃に打ち明けるのも必然だった。
「どうか、私と風太郎君が結ばれるようにご協力していただけないでしょうか?」
「五月...」
そう言って、自らに頭を下げて頼んできた五月を見た二乃は少しだけ悩んだ素振りを見せた後...
「はぁ...分かったわよ。喧嘩のお詫びの意味もあるし...妹の恋叶えてあげたいってのもあるし...私にできる事があるなら、これからは協力してあげるわよ。」
二乃は五月の熱意に負け、彼女に協力する事に決めた。
「二乃...ありがとうございます!!」
「ただし!100%乗り気ってわけじゃないし、万が一にも上杉があんたを傷つけるような事をしたら、あいつの事は諦めなさい!いい?」
「はい!」
もしも、この場に五月の心の中を読めた者がいたとしたら、皆が口を揃えてこう言うだろう...
「お前ほど悪い奴はいない。」
...と。
風太郎や二乃にはあのような綺麗事を言っていたが、実際のところ...五月は風太郎から二乃が中間試験での勉強会のお泊まり会にて自分に変装して風太郎を陥れようとしたという話を聞かされて以降、二乃を許すなどという選択肢は頭から消え去っていた。
(二乃が風太郎君への恋を理解する前に説明しておかないと、無駄にライバルが増える...)
以前なら姉妹の中で最も風太郎を嫌っていたはずの二乃だが、最近では理由は分からないが彼との距離を縮めているような気がしたのだ。
もちろん、現時点では二乃は風太郎に恋愛感情までは抱いていないだろう。しかし、正直に言うと時間の問題だと五月は考えている。
なので...事前に自身が風太郎が好きだと言う事を説明しておけば、仮に後になって二乃が風太郎への好意を自覚したとしても、姉妹の絆を最優先にする二乃なら妹の幸せを願って身を引いてくれるのでは?と五月は考えていた。
...要するに姉妹思いの二乃の気持ちを利用した戦略だったのだ。
(よし、二乃を味方につけられたのは大きい...風太郎君との今後について色々とアドバイスをもらえるし、仮に四葉が私のやった事に気づいて行動を起こしたとしても、二乃に上手く頼んで妨害させたら...)
一応、自らの悪巧みに二乃を利用するという事には多少の罪悪感はある。
それでもだ...
(二乃?あなただって私に変装して風太郎君を騙したんだからお互い様だよ?まぁ...私と風太郎君が無事に結ばれたら、今までの悪行は許してあげるから頑張ってね~!...
一度、走り出してしまった愛の暴走機関車は止まる気配を見せなかった...
原作と違って五月が二乃が観たがっていた映画のチケットを渡していないのも、五月が二乃を内心では許していないという気持ちの表れになってます...
デートを尾行していたのは?
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元祖闇堕ち...中野一花
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最大の協力者!中野二乃
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現在、空気...中野三玖
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最大のライバル!?中野四葉
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将来の義妹!?上杉らいは
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不良キャラ、前田
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風太郎のライバル!?武田祐輔