それから数分後...
「二乃、本当に良かったんですか?その髪...ずっと伸ばし続けてきたんですよね?」
「いいのよ。さっきも言った通り、私なりに過去を断ち切った証...そして、あんたの恋の成就に力を貸すという心構えにもなるわ。」
五月の前には、昔からずっと伸ばし続けてきた髪をバッサリと切った二乃の姿があった。
「ただ、気をつけなさい。多分だけど三玖もあいつの事が好きだから。」
「えっ?ちょっと待ってください!?三玖が風太郎君を!?......と思いましたが冷静になって考えてみれば、あり得る話ですね...」
以前の五つ子裁判では他の姉妹が風太郎に厳しい目を向ける中で一人だけ彼を弁護したり、中間試験の勉強会にて風太郎に好きな女のタイプを聞いてきたりと思い当たる部分はたくさんあったのだ。鈍感なところがある五月でも流石にこればかりは分かる。
「二乃は三玖が風太郎君に好意を寄せているのを承知の上で私の力になってくれるのですか?」
「えぇ、そうよ。あんたはわざわざ、私に自分から打ち明けてくれた上であそこまで頼んできたじゃない。だったら、それに応えてやるのも姉としての役目だと思うんだけど...違ったかしら?」
「二乃、ありがとうございます。」
もしも、この時点で二乃が風太郎に恋愛感情を抱いていたならば、こんな台詞は言わなかっただろう。むしろ、『他の誰にも譲るつもりはない。』と言っていたに違いない。
「だからといって、三玖を積極的に傷つけるような真似だけはやめなさい。私はできるだけこの勝負を円満な形で決着させる事を望んでいるから...いいわね?」
「もちろんですよ...」
姉妹思いの二乃だからこそ、発言できる言葉だ。
しかし、残念なことに今の五月にはその約束は守れそうにない。
(四葉だけじゃなくて三玖もどうにかしておかないと...四葉とは違って風太郎君と過去の接点はないとはいえ、安心はできないよね...)
相手が四葉だろうが、三玖だろうが...風太郎と自分の関係を邪魔すると言うのであれば、容赦なく潰す。それが今の五月の考えだったからだ。
「五月、そろそろ行くわよ。」
「どこへですか?」
「は?何を言ってるのよ?四葉を助けに行くに決まってるじゃない!」
「あっ、そうでしたね...」
自らの計画に夢中になりすぎてこれから四葉を助けるために風太郎達と合流する予定をすっかり、忘れかけていた五月なのであった...
・・・・・
「マジあり得ないから。」
「はい...ごめんなさい...」
四葉の件は何とか、無事に解決した。最初に四葉に変装した三玖が髪の長さの違いで部長に別人と見破られた時は焦ったが、そこは咄嗟に二乃がごまかしてくれたことで事なきを得たのだ。
「それにしても、急に髪を切ってくるだなんてね。詳しくは分からないけど...何か気持ちの変化があったんだね...二乃。」
「失恋でもしたの?」
「違うわよ!私も変わっていかないとって...ちょっとしたきっかけがあったのよ。あっ!言っとくけどあんたじゃないから!」
「おぅ...」
十中八九、それは風太郎のおかげなのだが...素直になれない点が二乃らしいところだ。
「わかったわね。......あんたに相応しい女子は案外、身近にいるんじゃないかしら?」
「はぁ?」
二乃は最後の部分だけ、風太郎にしか聞こえないように伝えておいた。風太郎はまさか、二乃が五月から相談を受けているなどとは知らないため、困惑するしかなかったが...
(さようなら、キンタロー君...そして、さようなら...過去の私...)
二乃は心の中で風太郎と過去の自分に別れを告げていた...
(そして、キン...いや、風太郎。あんたはこれから、絶対に五月と結ばれなさい...)
それと同時に二乃は、心の中で風太郎にエールを送っておいた。
全ては五月の幸せのために...そして、風太郎の幸せのためにだ。
「二乃...」
「四葉、あんたも変わりなさい。辛いけどいい事もきっとあるわ。」
「私が...変わる......そうだね、
この後、二乃に促されて四葉は自分自身で陸上部の部員達に一人で自分の本音を話しに行った...
...その際に、四葉が不穏な笑みを浮かべていたのに気づいていたのは一花だけだった。
少し短いですが、これにて序章の五月と二乃の喧嘩編は終了です。
次回からは本格的に五月vs四葉vs三玖が始まっていきます...
デートを尾行していたのは?
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元祖闇堕ち...中野一花
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最大の協力者!中野二乃
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現在、空気...中野三玖
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最大のライバル!?中野四葉
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将来の義妹!?上杉らいは
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不良キャラ、前田
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風太郎のライバル!?武田祐輔