闇堕ち五月はもう止まらない   作:たかきょう

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第2章.三つ巴恋愛頭脳戦開幕!
第9話.五つ子の家庭教師の決意


 

 

期末試験の当日...

 

 

『やぁ...上杉君。まさか、君が私に急に連絡を入れてくるとはね。』

 

 

「いきなりで申し訳ありませんが、少しお時間を頂いても構いませんか?」

 

 

『構わないよ。』

 

 

この日、風太郎は学校の屋上にて自らの雇い主である五つ子達の父親...中野マルオと電話で話していた。

 

 

『それで、私に用件とは何かな?』

 

 

「まずは報告ですかね。今回の期末試験についてなんですが...」

 

 

風太郎はマルオに中野姉妹が五人共、期末試験に向けての勉強を頑張っていた事を伝えた。

 

 

「カンニングペーパーとかいう苦し紛れの策を案じましたが、あんな物に頼らない奴らだって事は俺もよく知っています。」

 

 

実際にその策を冗談で五つ子達に提案したところ、『そんなことをして点数を取っても意味がない。』という真っ当な返事が返ってきた。

 

 

風太郎は知らないだろうが、もしも...これが黒薔薇女子にいた頃の彼女達だったのなら、五人で一緒にいる事を優先してカンニングペーパーを平気で使用していた未来もあったのかもしれない。

 

 

そう考えると、五つ子達の勉強に対する意欲が大きく向上している事が分かる。

 

 

『ん?今回は特に君に対してノルマは設けていなかったと記憶しているのだが?』

 

 

「本来は回避できるペースだったんです。それをこんな結果にしてしまったのは自分の力不足に他なりません。」

 

 

マルオからの疑問に風太郎は淡々と答える。

 

 

「ただ、勉強を教えるだけではダメだった。あいつらの気持ちを考えてやれる家庭教師の方が良い...俺にはそれができませんでした。」

 

 

『ほう?』

 

 

風太郎は己の未熟さを痛感していた。もっと、自分がしっかりしていたら二乃や五月の喧嘩も未然に防げていたのかもしれないと...

 

 

「一度、ご自身で教えてみてはどうでしょう?」

 

 

『どういう意味だい?』

 

 

「家庭教師では限度がある父親にしかできない事もあるはずです。」

 

 

『申し訳ないが、私の方もそれなりに忙しい身でね。それに他人である君に家庭の事をどうこう言われたくはないな。』

 

 

自らの娘達に対してあまりにも無関心すぎるマルオの態度に話を聞かされたものは、普通ならば怒りをあらわにする事だろう。

 

 

しかし、あくまでそれに該当するのは彼の事情を()()()()()()()人間達だ...

 

 

『ご自身とは血の繋がりのないあいつらとの向き合い方が分からないのでしょう?』

 

 

『なぜ、君がその事を...』

 

 

これまで冷静さを貫いていたマルオが珍しく取り乱していた。

 

 

「なぜ、俺がその事を知っているのか不思議でしょうね?五月が教えてくれたんですよ。あいつが二乃と喧嘩して家を飛び出してうちに居候していた時に話してくれたんです。ついでに親父にも聞きました。俺が家庭教師として選ばれた理由も...」

 

 

『五月君と勇也がか...』

 

 

五月は自らを零奈だと明かして以降、密かに風太郎に自らの義父であるマルオの事についても相談していたのだ。

 

 

最も、五月は自らと風太郎が結ばれる際に他の姉妹達以上に障壁となりそうなマルオを何とかこちら側に取り込めないかという打算込みの意図で相談したのだが、風太郎から見れば父親思いの娘からの相談にしか見えないためにどうしても無下にはできなかったのだ。

 

 

「五月はあんたを別に恨んではいませんでしたよ。むしろ、もっと父親として自分達と接して欲しいと願っていたぐらいですから。」

 

 

『そうなのかい...』

 

 

マルオは五月が自身の事をそのように思っている事に少しだけ驚いていた。てっきり、娘達は冷酷で厳しい悪役のような存在と思われているとばかり思っていたからだ。

 

 

「正直、あんたには...少しは父親らしい事をしろよ!馬鹿野郎が!!って、今すぐにでも言い放ちたいぐらいですよ...でも、俺もあんたの事を言える筋合いはないんですよね...」

 

 

『何を言ってるんだい?君は私の娘達の家庭教師として僕とは違ってあの子達とはそれなりに良好な関係を築けている気しかしないのだが?』

 

 

確かに()()()()、マルオの言ってる通りだろうと風太郎は思っている。

 

 

「今になって思い返してみたのですが、最初の頃の俺はあくまでお金のためにあの五人の家庭教師を引き受けたと思っている部分もあったと思っています。しかし、あいつらと接するにつれてそれぞれの性格や好み、不安、思い、将来の事などを知る事ができて俺もいつしか、あいつらを家庭教師として導かなければならないと思うようになったんですよ。」

 

 

だが、実際には違うのだ。最初の頃は姉妹の勉強嫌いや自身の性格の問題もあって四葉以外は勉強会に参加すらしてくれず、非常に苦労したのを今でも鮮明に覚えている。そんな状況から、一歩ずつ着実に中野姉妹との距離を縮め...絆を深めていって今の関係性に至るのだから...

 

 

「でも、俺は自分の力不足であなたに与えられたチャンスをものにできなかった...よって、俺はあいつらの家庭教師として相応しくはないと思っていまして、責任を取って今日限りで家庭教師を退任しますと言うつもりで今日、あなたに電話をしました。」

 

 

『ふむ、その言い方だと君の気が変わる何かがあったとでも言うのかい?』

 

 

「えぇ、あの一件がなかったのなら...俺は予定通りにこの日をもって家庭教師を退任していたでしょうね。」

 

 

風太郎が言う一件とはもちろん、ボートでの一件の五月との会話だ。あの時に五月とお互いの過去の懺悔をぶつけ合い、打ち解ける事ができたことで風太郎は改めて中野姉妹の家庭教師として彼女達の力になる決意をしたのだ。

 

 

(五月、本当にお前には本当に感謝してるぜ...お前も、一花も、二乃も、三玖も、四葉も...俺が絶対に卒業まで導いてやるからな!)

 

 

風太郎は感謝しつつ、覚悟を決めていた。

 

 

『まぁ、詳しくは聞かないでおこう...ところで、上杉君。』

 

 

「何でしょうか?」

 

 

『もし、逆に私が君をクビにすると言ったなら、どうするんだい?』

 

 

「そうなったら、今後は中野家の家庭教師としてではなく、学校の友人としてあいつらに勉強を教えてやるまでです。」

 

 

風太郎が既に決めていた事だ。最早、今になって金など惜しくはない。

 

 

その時は新しいバイトをしつつ、開いた時間にあいつらの友人として勉強を教えてあげればいいだけの話だからだ...

 

 

『そうかい...どうやら、少しだけ君を見くびっていたみたいだね。本当なら、雇い主である僕に暴言を吐いた君をクビにしたいと思っていたんだが...どうも、その気も失せてしまったようだ。...上杉君、今後も娘達の家庭教師を引き受けてもらえるかい?』

 

 

「えっ...あっ!はい、もちろんです!俺にお任せください!お義父さん!」

 

 

『君にお義父さんと呼ばれる筋合いはないよ。』

 

 

こうして、今後も風太郎の家庭教師が続投する事が決定したのだが...

 

 

『ところで、最後に聞いておきたいんだが...上杉君は五月君とはどういう関係なんだい?』

 

 

「えっ!?いや、家庭教師と教え子の関係ですが!?」

 

 

『そうかい?最近になって五月君が僕が上杉君を家庭教師として指名した事に感謝する連絡をよこすようになって、君の方もやけに五月君の名前を出してるようだけどね?しかも、さっきは言いそびれていたが五月君が家を飛び出して君の家に来たそうじゃないか?こんな不思議な偶然が重なる事もあるようだね?』

 

 

「それは!その...」

 

 

『はぁ...五月君はもちろんだが、他の娘達とも健全な関係で頼むよ。いいかい?』

 

 

「はい、ごもっともです...」

 

 

最後の最後に些細な一言を聞き逃さなかったマルオに責められる風太郎なのであった...

 

 

 





てなわけで、フー君は家庭教師続投です!

デートを尾行していたのは?

  • 元祖闇堕ち...中野一花
  • 最大の協力者!中野二乃
  • 現在、空気...中野三玖
  • 最大のライバル!?中野四葉
  • 将来の義妹!?上杉らいは
  • 不良キャラ、前田
  • 風太郎のライバル!?武田祐輔
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