Fallout76 -once in a blue archive- 作:egguimen
The first responder
…………薄暗い地下の部屋でテープが回り、見慣れた映像が再生されはじめる。
戦前のとある晴天の日、男が一人壇上に立ちVault76の前で演説をしていた。
「人は、過ちを繰り返す。」
全ては、いつもこのフレーズから始まる。
「1776年…この偉大な国は、武力こそが生命、自由、幸福の追求を守る唯一の手段であることを受け入れた……。」
「アメリカ建国の父たちが、今のアメリカを見たらどう思うだろうか?」
「我々はアンティータムからアミアン、そして沖縄からアンカレッジまで…様々な地で戦ってきた。」
「そして今…新たな脅威が迫ってきている。」
「そう、民主主義が危機に瀕しているのだ。」
聴衆が男の言葉に耳を傾け、微かにどよめく。
男が浮かべる表情は…決して明るいものではなかった。
しかし男は揺ぎ無い決意を持って市民に語り掛ける。
「だからこそ、2076年7月4日の今日、この偉大な国の建国から300年の日に、我々はVaultu76の完成をこの場で祝福している。」
「地下に広がるシェルターを開発したのはVault-tec社だが、築き上げたのはここにいるあなた方、素晴らしきアメリカ国民だ。」
「だから例え爆弾を落とされ、全てが破壊されても、我々には希望がある。」
救いとなる希望の輝きは、決して大きいものではない。
これから起こりうる悲劇と比べれば、あまりにも。
現実とは、得てして無常なものだった。
今と変わらず。
「しかし全員は救えない。」
雰囲気が一変し、重たい空気が流れる。
それはまさに、男の双肩にかかる責任の重圧だった。
「…このVaultに入るのは、最も優れた一部の人間に限られる。」
「やがて戦争は終わり、死の灰もじきに収まる。その時こそ、再建の時だ。」
「壁や建造物だけではない、我々の精神や思想、そしてアメリカそのものを立て直すのだ。」
「今日ここにいる誰もが、世界に平和が訪れることを願っている。」
「しかし、待ち受けるものが平和でなく戦争ならば…共に立ち向かわなければならない。」
「このValut76から…我々の未来が、始まる。」
我々が知っての通り、この演説から翌年…2077年の10月23日の昼…。
人類が紀元前から今日に至るまで繰り返してきた戦争は、一つの結末を迎えた。
核戦争…それによってアメリカ合衆国の歴史は暗い灰の中に沈んだ。
いつからだろう、人間の進歩は停滞し同じ歴史を繰り返すようになった。
大いなる因果のうねりなのか、些細な綻びから生じた事故なのか。
人類は未だ、罪を犯し続けている。
そして時として…自由には責任が伴うものだ。
その対価は時として、多くの血を強いるものでもある。
南北戦争という自由を懸けた闘争の後、解放された祖国の大地の上で…かつて北軍の将軍を務めた第18代目アメリカ合衆国大統領ユリシーズ・グラント氏はある演説でこう述べたという。
「私は、平和の手段以外に、戦争を主張したことはなく、平和を求め、しかし戦争に備えている…。」
「なぜならば
幾年月も流れて2102年、Vault76はその固く閉された扉は開かれた。居住者たちが長く待ち望んだ『再生の日』がついに訪れたのだ。
電子部品と金属、コンクリートの壁に覆われた25年、向かう先がなかったその一歩はついに外へと踏み出された。
眩い光に照らされ待ち受けていたのは、平和でも、ましてや思想や理念を巡った戦争でもなかった。
それは…果てしない荒廃だった。
居住者達は復興の可能性に疑念を抱きながら、それでもなお、放射能とミュータントと暴走したロボットとスコーチ病の脅威に晒され、しぶとく、
全ては…この国を再建するために。
復興を開始してから暫くの時間が経ち、長年アパラチアを蝕んできたスコーチ病との戦いに1つの転機を迎えることになった。
ある時ペスコフ・ダーランドという人物が、
ホワイトスプリング、その地下に眠る秘密のバンカーを発見した。
彼は、人工知能のMODUSとエンクレイヴのロボットたちに手を貸し、政府が遺したサイロの核ミサイルの発射コードの解読に成功した。
彼は後に、【エンクレイヴの将軍】と呼ばれるようになった。
この恐ろしい疫病との決着を望む居住者たちの行動は早かった。
彼らはスコーチ病をアパラチアにばらまいた元凶、スコーチ・ビースト、その頭領であるスコーチ・ビースト・クイーンを根城となったクランベリー湿原の巣穴から引きずり出そうと試みた。
居住者たちはかつてB.O.Sの先遣隊が行おうとしていたタッチダウン作戦に倣って、連邦政府の核ミサイルサイロを強襲した。戦前から今に至るまで稼働を続けていたセキュリティロボットの軍勢に手を焼きながらも、彼らは発射管制室まで乗り込み、戦術核を地割れ地点プライムに撃ち込むことに成功した。
サイロ強襲に参加した居住者たちはこう思ったそうだ。
「こんなものが幾つも降れば世界が滅ぶのは当然だ。」と
爆風で巻き上げられた煙と致死量の放射線が荒れ狂うキノコ雲の中で、B.O.Sのナイト・グーンズとレスポンダー所属のターキン・ゴッドフレイ隊長が率いるパワーアーマー部隊並びにファイヤーブリーザー部隊がクイーンに集中砲火を行っていた。
その間合衆国シークレット・サービスを自称していたオズワルドと76のエンジニアたちは、スコーチの増援を迎撃すべく、彼がワークショップから調達したロボット軍団を展開した。
一方でスプルーズ・ノブを拠点に活動していた賞金稼ぎ兼治安組織のリーダー、エドワード・エイシス保安官率いるレンジャー隊は敵の統制を攪乱させるべく大規模なゲリラ戦を実施。
その苛烈と混沌を極めた戦いの末...
スコーチ・ビースト・クイーンはアパラチアの塵となった。
そして彼らの戦いは後に『
そして21XX年のとある日、そんな居住者達がさらなる事件に巻き込まれることとなった。
場所はチャールストン・消防局 ファイヤーブリーザー本部
「さてと、今日はレスポンダー達に物資を届けて、それから
「…これでよし。」
ターキンはピップボーイのメモを確認しながら、荷物を整理していた。
そしていざ出発と息巻いて消防局を出ようとしていた時だった。
「隊長、お疲れ様です。少しよろしいでしょうか。」
部下かから声をかけられた。
「ああ、どうした?」
彼が外へと向たその足先は、踵を返すこととなり、今度は彼の部下の方へと向けられた。
「また任務に向かわれるのですか?ここ半年間ずっと地域を駆けずり回っておられるようですが。」
心配そうな様子で部下は尋ねる。
「そうだな、バーニング・スプリングスでまたオグアが暴れてると通報を受けた。」
「今週だけでもう10回も単独で出撃してるじゃないですか…よく体がもちますね。」
「まあ伊達に隊長やってるわけじゃないからな。」
「はぁ…いつもヒヤヒヤしながら帰還を待つ我々の身にもなってくださいよ…。」
「あなたは我々にとって伝説的な人で、士気の要です。」
「それを失う影響は決して小さいものじゃありません。」
「そうなってもいいように、今は組織で後継の育成に励んでるだろう?」
「隊長の後を引き継げる人間なんて、おなじVault居住者でもなきゃあり得ませんよ。」
「あ、あはは…。(汗」
今にもやれやれと言いそうな口ぶりの部下に俺は返す言葉がなく、苦笑する他なかった。
「……。」
そして少しの間があった後。俺はタバコを取り出して火をつけ、訝しむように眉を顰めながら言った。
「でもなぁ…最近未確認生物たちの動きが活発化してるんだ。」
俺の言葉に、部下の表情が曇る。
「報告書を見りゃ分かるが、ここ数ヶ月に亘って行われた任務のほとんどがグラフトンモンスター、シープスカッチ、ブルーデビルとかの化け物退治だ。」
俺はため息交じりに煙を吐きながら軽口を叩き、話を続ける。
「まるでリップ・ダーリングなった気分だ…。」
「……それだけじゃない。」
「あろう事か、エドワードんとこの部隊から荒れた境域の北部でレッサー・デビルが見つかったと報告まで上がってる。」
「本来ならここから750km以上向こうのニュー・ジャージーにいるようなやつらだぞ?まるでここに引き寄せられてるようだ。」
「改めて聞くととんでもない異常事態ですね...。」
「ああ、全くその通りだ。」
部下が不安そうな表情を浮かべながらそう呟くのを横目に彼はため息混じりにさらに続けた。
「しかも"あの場所"の近くでスコーチの目撃例も増えてる。」
「スコーチ…ですか。」
部下はギョッとした後、恐る恐る俺に聞いた。
「クランベリー湿原の西部にでかいクレーターがあったろ?」
「あれですか?確か隕石が落下してできたんでしたっけ...。」
「その通り、その隕石が落下した時期がさらに奇妙なんだよ...。」
「その日は、なんとブルームーンだった。」
ブルームン、それは月に二度目の満月。
滅多に訪れないことから、良くも悪くも奇跡的な物事の例えとしてよく用いられる。
部下は少しの間うーんと唸りながら、顎を手に置き考えるような仕草をした後、こう呟いた。
「……例のゼータ星人の仕業でしょうか?」
俺はその言葉にゆっくり首を横に振りながら言った。
「あいつらだとしたらわざわざその辺の宇宙の石ころをぶつけるよりもマザーシップからバカでかいプラズマ砲を撃ち込んでくるに決まってる。」
「……まぁ、何かが裏にいるのは確かだろうが。」
実際、あの隕石の内部からは何らかの鉱物と、謎の文明の存在をほのめかすモニュメントが発見されている。
あの
今日は俺の旧友も調査に来るようだし、その時にあの隕石について話しを聞いてみるか…。
「っとまぁ、それらの手掛かりも見つける必要がある訳だから、俺もおちおち休んでられないんだ。」
「それじゃ、もう行くよ。」
「そうですか……。」
「では隊長、どうかお気を付けて。」
「…ああ。」
そして部下の敬礼で見送られながら、俺は消防局を後にした。
…我ながらいい部下を持ったものだと思う。
彼らになら、このチャールストン消防局をファイヤーブリーザーを託せる。
あいつらは気づいてないだけで、十分実力を身に着けている。
どんな脅威にも立ち向かえる強さが、今はそこにある。
俺が万が一いなくなっても…彼らならやって行けるだろう。
俺は部下への信頼を再確認しながら任務へ向かった。
まずは手始めにVault76が建造された山の麓にある製材所に向かった。
そこには、民間で組織された慈善団体のレスポンダーがいる。
実の所、私が隊長を担ってるチャールストン消防局のファイヤーブリーザーは、レスポンダーの一部だ。
レスポンダーはあくまで人助けが主な役目だが、過酷なアパラチア・ウェイストランドで戦闘は避けられない。
さらに当時はスコーチが猛威を奮っていたためレスポンダーはすぐにでも戦闘に特化した部隊が必要だった……。
それで出来たのがファイヤーブリーザーだ。まぁ…すぐにレスポンダー諸共スコーチに全滅させられていたが…。
Vault育ちの俺がこの組織を立て直すのにはかなり苦労した。
当時はたったの数名でやっていたが、焦土作戦後…戻った人々の中にレスポンダーの生き残りや、人々を救うというその志を受け継いだ有志などがいて、
その人達が集まり、新生レスポンダーとして復活した。それを知った時、俺はすぐに彼らとコンタクトをとった。
新生レスポンダーたちは俺の姿を見るなり直ぐに歓迎してくれた。
それからこうして今は物資を届けたりしてお互いを支え合っている。
「レーンはいるか?物資を持ってきた。」
「ターキン!」
俺が呼ぶ声に笑顔で出迎えてくれた彼の名はレーン。
製材所にいるレスポンダーたちの事実上のリーダーだ。
「毎度ほんとに助かるよ、物資はいつも通りジューンに渡しておいてくれ。」
「分かった。」
なぜここにレスポンダーがいるのかと言うと……実は数年前からVault76の近くには様々な組織がやってきていた。
住む場所を求めてウェイストランドを開拓している入植者。
そいつらから物資を奪おうとやってきたレイダーや、
物資を運んだり商売したりしているキャラバン隊。
それに戦前のアメリカ軍から組織された軍事組織、B.O.Sがいた。
レスポンダーはその組織同士でもめごとが起きないように派閥間の仲裁役を担っていた。
"もめごと"と言うと可愛らしく聞こえるが、言ってしまえば派閥間の戦争だ。
元をたどればみな戦争を生き延びたアメリカ人だというのに、それがどれだけ嘆かわしいことか。
レスポンダーは人々を助ける為にある。
人々が無駄な血を流さずに済むのなら、全力を尽くすべきだろう。
だから俺も、同志たちへの支援を惜しまない。
「ジューン、物資を持ってきた。」
「ターキンさん!ありがとう。そろってるか数えるからそこに置いておいて。」
一部からは6月とか呼ばれたりしている彼女はジューン。ここで会計の仕事をしているのだが……。
いつもやつれた顔をしている。レーンもその事が気がかりなのだが…彼にも仕事があるためなかなか気を配ってやれていなくて困っている。
だから俺は、来た時だけでも彼女の仕事を手伝っている。
彼女はいつもやんわりと断ろうとするが……。
「物資の集計、手伝いにきたぞ。」
「い、いや……いつも本当にありがたいんけど…その……。」
「いつも忙しく走り回ってるって言ってるしそれなのに私のせいで手を煩わせちゃうのは気が引けちゃってその……。」
「気にするな、ピップボーイがあれば大した仕事じゃない。」
「ほら、いいからクリップボードかして。」
「あ、あぅ……。」
ジューンからクリップボードを取り上げると、物資を丁寧に素早く数えて、書類に記入していく。
「ところで、最近は眠れてるのか?」
「え?ええ、お陰様で。あなたが寄付してくれたプロテクトロンのお陰で仕事も大分減ったし…。」
「それは良かった。たまにはちゃんと休まないと……。レーンや隊員たちも君を凄く心配していたからな。」
「……俺もだが。」
ボソッとそう呟いたとき、彼女は露骨に様子がおかしくなった。
なんというか…顔が赤い?
そんなことはともかく、俺達は物資を数えて何も紛失等がないことを確認した後、受取書にサインを貰い俺は製材所を後にした。
「さて、
CCは文字通りここから南東にあるクランベリー湿原にできたクレーターだ。
数ヶ月前、ブルームーンだった当時、俺は親友たちと世界の頂上なんて呼ばれてるタワーのてっぺんでその綺麗な満月を肴にみんなで呑んでいた。
そんな時だった……。
一筋の閃光が見えて「流れ星か…。」とか思っていたら、核でも落ちたような凄まじい轟音が南東部から聞こえたのだ。
そんな感じで現在レスポンダーと入植者を中心にそのクレーターの中心にある隕石を調べているのだが、
先程部下に話した通り。そこの近くでスコーチが目撃されるようになり、迂闊に調査が出来なくなった。
なので俺とペスコフ、グーンズにオズワルド、そしてエドワードの5人がその手伝いを買って出たのだ。
サイドクエストは貴重だからな。
手伝いと言っても要は護衛だが。
そんなこんなで時間はかかったが、無事CCにたどり着き例の4人と調査隊たちと合流した。
この4人とは同じ76出身で、皆同じくVaultで生まれ育った幼なじみだ。再生の日から、全員散り散りに活動していたが、
その度にウェイワードで飲むのが俺の密かな楽しみだ。
先に声をかけてきたのはエンクレイヴの将軍ことペスコフだ。
血統主義者の秘密結社だと最初聞かされた時はどうしようかと思ったが。どうやら彼とお仲間のロボットに"その気"はないらしい。
友達を殺すなんて、そんなことはさすがにしたくない。
「来たか、ターキン。」
「どうもペスコフ。」
「なぁ、思ったんだが。いつもその軍服だな?」
俺は彼がいつもエンクレイヴの士官の制服を着ていることを指摘する。
「これを着てないと気が引き締まらんのでな…それに着心地も悪くない。」
「貴様がその消防服を着るのと同じことだ。」
「…なるほど。」
話している背後から随分と威勢のいい声がしたため振り返ると、
モハビでよく見たレンジャーアーマーに身を包むエドワードがいた。
「ようよう相棒!世界の頂上であってからだな!元気だったか?」
「ぼちぼちだな、朝はグラフトンモンスター、昼はシープスカッチ、夜はモスマンと化け物三昧でもううんざりしてるよ。」
「お互い大変だな、未確認生物は神出鬼没、毎回肝を冷やすぜ。」
「そういえば、お前もこの間ジャージーデビルとやりあってたんだろ?よく無事だったな。」
「いやぁその、正直散々だった。レバーアクションはジャムるし、メインのガトリングガンは壊われるし。おかげでビッグアイアン1丁で相手する羽目になった。無論、6発で仕留めてやったが…。」
「射撃の腕は相変わらず…か。」
そして銃をくるくる回す彼の隣を見ればT-51に乗りながらこちらに敬礼をするグーンズがいた。
「アド・ヴィクトリアム、ゴッドフレイ。」
「おう、グーンズ、仕事は順調か?」
「色々ありすぎて何から語ればいいのやらという感じだ。」
「最近色々ときな臭いだろう?」
「間違いないな。」
「まあ、携行可能なウルトラジェネティック・シールドの開発が進んでいるのは喜ばしいことだろうな。」
「マジかよ、その鉄壁の防御に磨きがかかるなこりゃ。」
「実用化にはまだほど遠いがな、ははは。」
そんなやり取りをしてると、またもや声がかかった。その声の主はかなり変わった出で立ちで、
回収済みの深部採掘者のガスマスクを被り、下は洒落たブラックスーツとまさに怪しいって感じの雰囲気が漂う男が立っていた。
「やあターキン、あのプロテクトロンちゃんと動いてたか?」
「バッチリだったぜオズ、ジューンも大助かりだったみたいだ。」
「それは実によかった、何せロボットに会計作業サブルーチンを組んだことなんてなかったからな……。」
「最初頼まれた時は断ろうか悩んだが…引き受けて良かった。」
「そう言って貰えるとこちらとしてもありがたい。なんせメカに詳しくて存命の奴はアパラチアじゃ少ないからな。知る限りじゃのはお前とペスコフとグーンズくらいか。」
っと、それぞれ挨拶なり近況報告を済ませて、調査隊と共にCCの調査を始めた。
調査は最初こそ順調だったが…やはりと言うべきか、こういう時に限ってスコーチ共がここぞとばかりにぞろぞろとやってきた。
それに気づいたペスコフが直ぐに無線を入れ全員に報告する。
「一時作業中止!スコーチが複数接近中、戦闘員は直ちに迎撃準備に入れ!」
「はぁ…お出ましか。」
俺がそうつぶやくと同時に皆が一斉に武器を取りだし臨戦態勢になる。
「お前たち………我々では、ない!!」
スコーチの一体がそう叫びならが群れを成してやってくる。
そんなやつらの進軍を俺たちが許すはずもなかった。
「総員…………。」
「撃てーーーーーーーーーッ!!!」
「消し炭になるがいいッ!」
ダダダダダダダダダダッ!!!
「アド・ヴィクトリアーーム!」
ズドーン!ズドーン!ズドーン!!!
「
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!
「V.A.T.S.か死ぬかだ!」- ジィーーッ…! -
タタタタタタタタタタタタンッ!!!
「ヒーーーヤッハーーィッ!!」
ズドン!ズドン!ズドン!ズドン!ズドン!
それは奴らの断末魔すらかき消す銃声の嵐だった。
ウルトラサイト・ガトリングレーザーの黄緑色の閃光がスコーチを焼き尽くし、
ミサイルの爆風に乗って血と硝煙の匂いが辺りを漂う。
MG42の弾幕が奴らを歩みを強引に止め、
V.A.T.S.しながらピストルから放つ10mm弾は、精確に奴らの頭に風穴を開けていく。
後ろか殺到する群れも、西部仕込みのレバーアクションの一撃が肉片に変える。
これが、彼らにとっての日常そのものだった。
彼らは今日も何かの為何かを殺す。
ウェイストランドでは生きるために殺し、殺されないよう殺す...。
それが、彼らが生きるこのウェイストランド...荒廃して、殺伐とした世界の日常なのだ。
スコーチ共を皆殺しにしたその後、
俺が後ろに隠れていた調査隊に声をかける。
「もう出てきて大丈夫だ。奴らは全員死んだ。」
「よかった…ありがとう助かったよ。」
「やっぱりあんた達に護衛を頼んで正解だったな。一時はどうなるかと思った。」
入植者の調査隊は口々に礼を言った、悪い気はしなかった。感謝されるのは...やはり気持ちがいい。
「礼ならキャップで頼むぜ。気持ちも喜んで受け取っておくがな。」
オズがそう軽口を叩き、ほんの少し空気が和らぐのを感じたあと、また各々が作業に戻った。
彼らが隕石を調べてる間、俺はふとペスコフに訪ねた。
「なぁ、アレってなんなんだろうな。」
「あのモノリスのことか?」
「そうだ、いろいろ考えてみたが、何かこの地域で起きている奇妙な事象のカギを握ってると思うんだ。」
「うーむ、それは概ね同意するが…。」
ペスコフは低く唸りながら、思考を巡らせていた。
「私か思うに、どこかしらの文明のものだと思う。」
「ほう?」
彼の結論は、存外曖昧なものだったが...
その語彼の口から興味深い考察を聞くとことになった。
「あれを見てみろ、何かの文字に見えないか?」
「ああ、確かにな。」
「もしかしたらだ。あれは異次元から来たのではなかろうか?」
「異次元?」
「そうだ。戦前、多元宇宙論なんてのが一時期世間で流行っていたらしい。」
「あれがもしかしたら……その理論の裏付けとなるのかもしれない。」
「アンストパップルズみたいな話だな…ほんとに有り得るのか?」
「理論物理学上では…な。」
「あるいは、もしかしたらジャガイモ電池の設計図化もしれない。」
「おいおい…。」
冗談めかしていう彼だが、結局のところよくわからないというのが現場の総意だった。
調査の様子を伺っていると、入植者のエンジニアたちが何かを見つけたらしい。
彼らのやり取りに、俺とペスコフは聞き耳を立てる。
「なぁ、この輝石…そこ窪みに嵌められそうじゃないか?」
「試してみるか?どうなっても知らんぞ?」
そうして石板の窪みに輝石をはめ込もうとした入植者たちにペスコフが待ったをかけた。
「まて、何が起きるかわからん。このモノリス、間違っても"ここ"の文明のものではないことは明らかだ。罠の可能性も否定できない。」
実際、彼らの持つ輝石には我々にもわからない未知のエネルギーが含まれている。それがモノリスが秘める何かを起こすトリガーであることは間違いない。
「では、どうすれば?」
入植者たちの質問に俺は即答した。
「俺がやる。」
当然の判断だ。
我々の目的は調査を行う入植者の身を守ること、リスクを伴う試みをする場合、そのリスクを肩代わりするのも仕事のうち。
本音を言うと…ただ面白そうだったからだけど………。
「だが、ほんとにいいのか?」
「危険でなんぼの仕事だ。ほら、その石貸してみろ。」
「あ、ああ。」
そう言って輝石を受け取取った時、ペスコフが俺にいう。
「いいか、やばいと判断したらすぐに離れろ。」
「勿論。」
俺は彼の忠告を念頭に置いてモニュメントの窪みに嵌めた。
すると……
嵌めた輝石を中心に石版の溝に沿って、淡く青い光が伸び始めた。
念の為ピップボーイを近づけたが、ガイガーカウンターの反応はない。
放射性物質ではないようだ。
「ふむ、特に問題は無いようだな。」
「ふい……ちょっとひやっとしたな。」
危険がないことを確認して一呼吸おいた次の瞬間。
「えぇ……そうでしょうね。」
「ッ!?」
突然聞こえたその声に振り返ると、都市伝説で語られる謎の存在、"インドリット・コールド"が歪んだ笑みを浮かべながら佇んでいた。
「──っ!!」
「────っ!?」
周りを見ると、ペスコフや入植者達が黒い煙のような物体に縛り付けられていた。
「さぁ、糸がほつれたパペット………。」
「飛び地が開かれたのです。役割があなたを先導せし時です。今こそ旅たち、遥か先の神秘を観測するのです。」
ヤクの幻覚で頭がイカれた詩人が言うような要領を得ない言葉に俺は理解ができず、ヤツに尋ねた。
「どういう意味だ?」
そして返ってきた答えは、やはり理解できない。
「あなたは再び選ばれたのです。探究者として、本当の始まりを見つけるのです。それこそが彼のご意思であり、私はあなたを連れ行く定めにあります。」
全くもって意味不明で状況が飲み込めないが、とりあえずここは彼にお引取り願うことにしよう。
「悪いが今度にしてもらえるか…まだ仕事が残ってるんでな。」
「その要求には…応じれませんね、我らに与えられた時間というものは、有限ですので…。」
あの笑みを崩さずに言うのだから余計に気味が悪い。
「そうか…なら仕方ない。」
もはや対話では解決できないと俺は判断し、右脚のホルスターから素早くピストルを引き抜いた。
「はぁ、いけませんねぇ……。」
パァンッ!
彼の落胆するような声がしたと同時に。
俺が引き金を引ききる前にヤツから伸びた靄がツルのよう腕に絡みついた。そして狙いが逸れて放たれた弾丸は空しく彼方の方へと消えた。
早撃ちじゃ、やはりエドワードに劣るようだ。
それともう一つ、腕を締め付ける靄から気づいたことがある。
インドリットの正体……それは
「お前は……モスマン!?」
「あまり手荒な真似はしたくなかったのですが。こうなっては致し方ありません。」
「器を壊すことは控えるべきですが、修復は可能ですので。」
「ぐぅっ!?」
やつは「諦めましょう。」と呟いて俺を縛り上げた。口も塞がれ言葉を話すことすら許してくれなくなった。俺にできたことは精々拘束から脱しようと身じろぐ事のみだった。
ほんとに何が望みなんだあの
クソッ……
「いずれ理解しますよ……そういう筋書きですから。」
グサッ。
「祖国に自由と繁栄がもたらされるのは、もう直ぐ近くです。」
「フフフフ…」
「……ッハハハハハハハハ!」
「───ッ!?!?!?」
やつの頬骨まで伸びた今にも裂けそうな不気味な笑顔と背筋が凍るような笑い声がが急に近くなったかと思ったら突然、体の内側から焼かれるような熱さと痛みに襲われた。
俺は痛みに反射的に視線を下ろした。
すると
その瞬間……理解した。
「…ゴフッ」
俺はここで死ぬんだと。
そして剣が抜かれた時、体から大事なモノが零れ落ちていくのを感じた。視界がかすみ始めて、意識が朦朧とし、薄れてきた…。
ペスコフ達の表情は、靄で口元こそ見えなかったが……絶望していた。今までにないほどに。
ヤツの高笑いが聞こえる…。
神よ、どうして……。
…嗚呼、すまない部下よ……それにペスコフ………グーンズ…オズワルド……エドワード………。
もっと一緒にいたかったのに……。俺は、先に…逝くようだ…………。
……
そして俺は…大事な仲間達をこの
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