Fallout76 -once in a blue archive- 作:egguimen
さらし76本編のあのシステムもガッツリ登場します。
それでは本編をお楽しみください。
「なななな、なっ、何ですってーーーーーー!!!???」
陸八魔アルは、部下から告げられた真実に絶句した。
「あははは、その反応うけるー。」
「はあ………本当に全然気づいてなかったか……。」
カヨコは呆れて溜息をついていた。
その後ろでハルカが物騒な提案をする。
「えっ?そ、それって私たちのターゲットってことですよね?わ、私が始末してきましょうかっ!?」
彼女の秘めたる脅威を知ってかムツキはそれを当たり障りなく流す。
「あははは、遅い、遅い。どうせもうちょっとしたら攻撃を仕掛けるんだし、その時暴れよっ、ハルカちゃん。」
それはそれとしてアルが受けたショックは大きく、現実を受け止めきれずにいた。
彼女はアウトローを夢見るにはあまりにも情が厚かった。
「う、うそでしょ……あの子たちが?アビドスだなんて……う、うう……なんという運命のいたずら……。」
「何してんの、アルちゃん。仕事するよ?」
「バイトのみんなが、命令が下るのを待ってる。」
「本当に……?私、今から……あの子たちを……。」
その動揺と葛藤を知ってか知らずか、ムツキは彼女を焚き付ける。
「あはは、心優しいアルちゃんに、この状況はちょっとキツいねー。」
「でもぉ……―」
情け無用。 \ドンッ!/
お金さえもらえればなんでもやります。 \ドドンッ!/
「――がうちのモットーでしょ?今更何を悩んでるの?」
「そ、そうだけど……。」
彼女も頭では理解している……しかしそれに踏み切れるのかどうか、彼女の力量が試されていた。
(これ、完全に参ってるね……。)
カヨコは呆れつつも、そんなアルを気に掛けた。
そしてようやく……
「こ、このままじゃダメよ、アル!一企業の長として、このままじゃ!」
アルの決心はついた。
「行くわよ!バイトを集めて!」
彼女は部下を連れてバイト達のもとへと向かった。
向かった先では、彼女が雇ったアルバイト達が我らが雇用主の到着を待っていた。
「なんだよ〜、遅かったじゃん。」
「少し野暮用よ。準備はできてるわね?」
「もちろん。何でもいいけど、残業はナシでね。時給も値切られてるし。」
「細かいことは今は置いといて!さあ、行きましょう!アビドスを襲撃するわよ!」
「出動〜!」
「はあ……。」
「アル様!わっ、私、頑張りますから!」
「ひとり残らず、ぶっ潰しちゃいますっ!」
そんな便利屋達の企みに先生とアビドスの生徒達が気が付くのももうすぐだった。
「校舎より南15km地点、付近で大規模な兵力を確認!」
突然のアヤネの報告はバイトを切り上げたばかりのセリカには寝耳に水だった。
「は!?」
「まさか、ヘルメット団が?」
シロコは訝しんだ。
「ち、違います!ヘルメット団ではありません!」
「……傭兵です!恰好を見るにおそらく日雇いの傭兵!」
「なぜ日雇いかどうかまでわかるんだ?」
「見る限りあまり装備にお金をかけていないようだったので。」
アヤネの観察と推理力には目を見張った。先生ながら中々勉強になる。
「へえー、傭兵かあ。結構高いはずなんだけど。」
彼女の言うことはその通りで、傭兵とはある意味下請けの軍事力…それに掛る費用は相応の対価を要するものだ。
「これ以上接近されるのは危険です!先生!」
アヤネの呼びかけに俺は淡白に答える。
「わかってる。」
「さて…どんな敵がおいでになるんだろうな?」
彼は心の何処かで、荒野を生きた者の性とすら言えるどす黒い期待を胸に抱き、現場へ急いだ。
そして到着し目に留まった首謀者の面々には、確かな面識があった。
便利屋との再会は、最悪の形で実現した。
「あれ……ラーメン屋さんの……?」
正体を知って息を呑むノノミの言葉を聞き、アルの顔に影ができる。
「ぐ、ぐぐっ……。」
一方で便利屋達に情をかけたセリカからすれば恩を仇で返されたも同然、便利屋達を前に怒りを露わすのは自明の理だった。
「誰かと思えばあんたたちだったのね!!ラーメンも無料で特盛にしてあげたのに、この恩知らず!!」
「あははは、その件はありがと。でもそれはそれ、これはこれ。こっちも仕事でさ。」
「残念だけど、公私はハッキリ区別しないと。受けた仕事はきっちりこなす。」
「……なるほど。その仕事っていうのが、アビドスの襲撃だったんだ。」
「もう!学生なら、他にも健全なアルバイトがあるでしょう?それなのに便利屋だなんて!」
「ちょっ、アルバイトじゃないわ!れっきとしたビジネスなの!肩書きだってあるんだから!」
「私は社長!」
「ムツキが室長で、」
「カヨコが課長……。」
「はあ……社長。ここでそういう風に言っちゃうと、余計薄っぺらさが際立つ......。」
カヨコはアルの一挙手一投足に呆れるばかりであった。
その呆れが一周回るのも最早時間の問題である。
「引き受けた仕事だというなら、クライアントがいる訳か。」
「ん、誰の差し金?」
シロコが銃口を向けれながら問い詰めるも、その表情は確かな余裕を持っていた。
それがいつまで持つかは、彼がよく知っていたが。
「勿論、企業秘密よ。」
「そう……なら力ずくで聞く。」
「そうだな、言葉でダメなら……体に直接聞く方法もあるわけだしな。」
(生徒だからあまり手荒にしたくないが。)
アルは鈍く光る彼のガスマスクのバイザーの奥か感じる視線から、何か邪悪なものを感じ取り身震いする。
「ひっ!」
「と、兎に角!総員戦闘開始!」
彼女の攻撃命令を受けた傭兵達が銃口をこちらに向ける。
「それじゃ、いっちょやるか。」
「はい先生ちょっとストップー。」ガシッ!
さあ、いざ尋常に!と意気揚々と戦場へ駆け出そうとするターキンだったが、自身の服の襟を掴まれすぐさま止められた。
「な、なにをするんだホシノ?」
「いやー、あのまま先生を行かせたらまた一人で殲滅しちゃうつもりだったでしょ?」
「そうだが……?」
「まあそれはそれでありがたいんだけどさ、ずっとこのままって言うのも私たちの出番がないし?」
「何より先生に頼ってばかりじゃ、いざって時に動けなくなるかもしれないじゃん?だからー……。」
要は見せ場をちゃんと設けたいということである。
「そうか、わかった。」
彼女の言うことにも一理ある。
俺もいつまでもここにいる訳ではないからな……自衛に必要な能力を保つという意味でも、ここはホシノ達と戦おう。
「全員迎撃の用意をしろ。」
「りょうかーい」
「わかった!」
『はい!』
「はーい☆」
「わかりました!」
俺の声に彼女達は一斉に武器を構え、それぞれの元気な返事を聞かせてくれた。
「君達は傭兵達の掃討を頼む。私は後方で便利屋の相手をする。」
「ちょっと、あいつらの下まで行くならあの傭兵達を突破しないとダメじゃない?」
「問題なし、私にはコレがある。」
俺は防火衣の内からステルスボーイを取り出した。
「なにそれ。」
「ステルスボーイ、これで暫く透明になれる。」
「光学迷彩………と言うことでしょうか?」
「その通りだ。アヤネには後ではなまるをあげよう。」
「からかってませんか?」
「まさか!では行ってくる。」
ステルスボーイを起動する直前だった
「待って。」
シロコが俺を呼び止めた。
「一人で大丈夫?」
彼が答えるのに時間はそうかからなかった。
「もう、独りじゃないさ。」
「……そっちが片付いたら合流しよう。」カチッ
彼女にそう伝えると、彼はステルスボーイを起動して単身便利屋達の所へ乗り込んだ。
「さて、皆。久々にひと暴れしよっかー。」
砂漠の眩い太陽に照らされ輝く Eye of Horus
憤怒で燃え盛る シンシアリティ
暫くぶりの戦いに胸が躍る リトルマシンガンⅤ
研ぎ続けた牙を穿つことを望む WHITE FANG 465
彼女達の銃口が一斉に傭兵達に差し向けられる。
「攻撃開始――――!」
セリカの怒声とも取れる声と共に弾幕の砂嵐が巻き起こった。
「うあああああ!?!?」
その断末魔を遠くから聞いていたターキンは、背後の砂埃と硝煙が混じる煙を背に便利屋達と対峙する。
「あれ、あの先生いつの間にここに!?」
「ななな何でもう目の前まで来てるのよ!」
「あわわわ、は、はやく消さないと……!!」
「………。」
慌てふためく便利屋達、その中で一人だけ……彼を冷静に見つめる者がいた。
「……どうやって来たの。」
カヨコは先ずはここまで来るまでの手段を聞くことにした。
「これで姿を消した。」
「効果は短いがな………。」
そう言って使用済みのステルスボーイを見せる。
「そう、なら用心しないとね……。」
「心配するな…こいつは一個につき一回の使いきりだ。」
「最も子供相手にこれを使う必要もあるまい。」
ここからは、得体の知れない彼への質問が続く……
彼はキヴォトスでは、あまりにも異質な存在だ。故に知らなくてはならない。
彼女はそう考えた。
「外から来たって聞いてるけど、キヴォトス人相手に随分余裕そうだね。」
「君達以上の強敵を相手にしたことがあるだけだ。」
「………何度もな。」
確かにキヴォトスの住人が持つ身体能力は凄まじい。
だがそれを上回る化け物共なんてウェイストランドにはうじゃうじゃといた。
うんざりする程に。
「どうやら、ただキヴォトスの外から来たって訳じゃなさそうだね。」
単刀直入に聞く。
「……何が目的?」
「助ける為だ……。」
「先ずはこのアビドスを、そして…この
「何の為に?」
「人は、過ちを繰り返す。」
「だがそれで、未来が失われるのは……もう御免なんだ。」
「それ以上の理由がいるか?」
「いや、もう十分……。」
このやり取りを見ていたアルは息を荒げ興奮していた。
(な、なななな………)
(なんっっっっってハードボイルドなの………!!)
このやり取りが彼女の好みにドンピシャだったらしい。
「まあ、私のつまらない話はいい。」
「率直に頼む、アビドスから手を引いてくれ。」
「それはできないかな…。」
「依頼を受けた以上、仕事はきっちりやらなきゃいけないから…。」
「そうそう!それに、今回報酬が手に入らなかったらホントに一文無しになっちゃうからさ。」
「ごめんね?」
その謝罪に、悪びれる様子は一切見られなかった。
それはそれとして無一文とは流石に同情してしまう。
「互い譲れないという訳か………。」
「そういうこと。」
「……だから、大人しくしてて。」カチャッ
カヨコはパーカーから手を素早く引き抜き、狙う。
「痛いだろうけど……。」
その手には自動拳銃、H&K P30……デモンズロアが握られていた。
パンッ!
消音器を取り付けているにも関わらず、その銃声は重く響いた。
「うぐっ!」
その銃弾は急所こそ外していたが、ターキンの体に命中した。
暴走したロボットやその辺のチンピラの雑な射撃ではない精確な一撃。
避けることはまず不可能だった。
しかし、彼は決して倒れない。
「………噓でしょ。」
彼女が使用した弾薬は.40S&W、弾頭重量が大きい所謂フルロード弾。その火力は軽装のキヴォトス人に対しても有効であり、そとから来た彼が喰らえばただではすまない……筈だった。
キヴォトスに来て以降、これは彼にとって初の被弾だった。しかし存外平気そうな様子にカヨコは困惑する。
それもその筈、彼が着ているファイヤーブリーザー用の防火衣はアパラチアの敵を撃滅するために彼が独自に改造を施したした特別な装備で、高密度ケプラー繊維と炭化ケイ素で形成された布地が内部に編み込まれており、ゴム材と混合することで柔軟性に優れた厚さ2mm程のポリカーボネート製防弾プレートをレンガ上に分割、防火層と防弾層の間に仕込んだ特別な装備。さらに下には長年愛用している防護裏地を縫い込んだVault76のジャンプスーツを着ていたため、防御バッチリで弾頭が体内に入るのを防いでいた。
要はジ〇ン・ウ〇ックの防弾スーツのようなものである。
「この弾……10mmショートという奴か…結構痛いな。」
彼は奇妙にもその鈍痛に懐かしさを覚えた。
「痛いって言ってるけどあまりそんな風に見えないね。」
「……我慢には慣れてる。」
彼は受け止めた弾頭をつまみ取ると、少し眺めた後に指で弾いて捨てた。
「さて、次はこっちの番だな。」
彼もまた素早く腰の右側のホルスターからN99 10mmピストルを引き抜く。
そして構える直前、V.A.T.S.を起動した。
- ジィーーーッ… -
狙いは、右手。
早急な武装解除を狙う。
タァン!
「いっ!」
結果は命中。狙い通りにカヨコは銃を手から剝がされた。
「…しまった!」
すぐに彼女の目の前まで一瞬で詰め寄るとその左肩を掴み、射撃モードをフルオートに変更。
腹部に11発の弾丸を叩きこんだ。
「――――ッ……!?!?」
カヨコは痛みに耐えかねてその場に倒れこんだ。
(あの人の使った銃弾、私のと同じかと思ったけど威力が段違い……。)
彼の使用した弾薬は10mmFMJ弾。ウェイストランドでは一般的に流通しており、製造も容易で、彼女が使用した銃弾よりも高火力の弾薬だ。
しかしこれは襲い来るウェイストランドの危険なアボミネーションに抗戦する上での必要最低限の火力に過ぎない。
「カヨコちゃん大丈夫?」
「し…暫く立てないと思う………。」
「そっかー、ハルカちゃん、ちょっと安全な場所に運んできてくれる?」
「は、はい!」
ハルカはムツキの言葉を聞くと忙しない様子でカヨコの肩を担いで市街地の奥へ下がる。
「さて、これで心置きなく戦えるね!」
「行くよー!」
ズドドドドドドドドド!!
そういうと満面の笑みでMG5 トリックオアトリックの引き金を引いた。
それを彼はその怪物の咆哮のような銃声と共に放たれた弾幕を、咄嗟に横に飛び込み近くのコンクリートバリアを盾にすることで回避した。
「あはは!流石に隠れちゃうよねー。」
「でも隠れても無駄だよ?それ!」
彼女は持っていたショルダーバッグを遠心力を加えてこちらへ投げた。
弧を描いて飛ぶそれの中身は何なのかV.A.T.S.で調べると、彼は戦慄した。
- ジィーーーッ… -
「クラスターだと!?」
なんと中には炸裂と共に小型榴弾を拡散、広範囲を爆撃する高性能クラスター爆弾が入っていた。攻撃範囲は単純計算でも100メートルは超えるだろう。
一体どこでこんな物を!?
「HOLY SH*T!」[訳:マジかよ!]
タァン!
ドゴオオオォォォンッ!!
V.A.T.S.を継続したまま咄嗟にそのカバンを撃ち抜き、後方へ走り出す。
かろうじて破片の効果範囲から脱するも、迫る爆風からは惜しくも逃げきれず足元を抄われ空高く打ち上げられた。
「ふぉおわ!?」
そして非情にもその身体は地面へと叩きつけられた。
ドゴッ!
「う、うごぁ……!」
頭が朦朧とする、視界が赤い……流石アウトローなだけあって容赦がない……。
意識が途切れる寸前、震える腕でスティムパックを首に打ちこんで回復を図る。
「………今久しぶりに"死"を見た。」
「だがここからだ。」
「あははそうこなくちゃ!」
ムツキは後方からの機銃掃射と爆撃が主な戦術、弾幕を張られるため距離を詰めるのは不可能………。
なら……。今日まで使わなかったアレを試そう。
こちらも距離を取ろう。
彼はファントム装置を起動し、煙幕を張り透明になってる間に目立つ位置にあるビルの工事現場に入った。
「ふーん……そゆこと。」
彼の誘いにのるかの様に、ムツキもまた工事現場の中へと入っていった。
そしてその一方で、対策委員会達は100はいるかという数の傭兵達を簡単にさばいていた。
「それそれー。」
「まだまだいきますよー☆」
ホシノとノノミはツーマンセルの人間要塞を構築し、弾幕を物を言わせてバッタバッタと次々になぎ倒し…
「おりゃー!」
「ん、逃がさない。」
セリカは恩を仇で返されたその怒りに身を任せながらも正確な射撃で敵をガンガン撃ちまくり、シロコは物陰から正確な一撃を入れ続け、獲物を狩る獣と化していた。
とは言え相手も雇われの身、一矢報いようと反撃を試みるが。
『させません!』
ドガガガガガガガッ!!
アヤネは先生に用意してもらった機銃が搭載されたカーゴボットで戦略支援を行っていた。
機銃にはmk7マシンガン・タレットに使用されている5.56mm炸裂弾。言わずもがなストッピングパワーは無類だ。
『これ結構便利ですね……補給の投下も並行して行えますし…。』
とう感心しているうちに、傭兵達はあっという間に彼女達に伸されてしまった。
「ん、制圧完了。」
「やりましたね☆」
「うん、そんじゃ皆先生と合r 【ドッカアアアアアアアアン!!】……へ?」
ホシノが先導しようとしたその瞬間、前方の工事中の建物からけたたましい爆音が響いた。
その瞬間彼女にとてつもない悪寒が走った。
「こりゃ急いだほうがいいかもね……。」
「皆、ちょっと先に行ってくる…後は頼んだよ。」
彼女は後輩たちの返事を聞く間もなく走り出した。
場面は戻って工事現場。
ムツキは先生の挑発に乗るように…ゆっくりと建物へ入る。
「くふふ…かくれんぼなら私、負けないよぉ?」
軽快な足取りで歩みを進めたのも僅か、彼女はあるものを見てほくそ笑む。
「!」
「あははは!」
「もう先生ってば、こんなわかりやすいトラップ引っかかるわけないじゃん。」
彼女が見つけたのは無造作に撒かれたフラグ地雷。
爆発が好きな彼女の爆発物への知見は深く、この一瞬でこれが近づくだけで起動するセンサー式の地雷であることも見抜いた。
「さ、迂回してさっさと進んじゃおっか。」
軽快な足取りで90度ターンしたその瞬間を、ヤツは狙っていた。
パシュッ
「え」
ドッカアアアアアアアアン!!
何かが地雷を撃ち抜き、爆破させた。
ムツキは掛るまいとした彼のトラップにまんまと掛ったのだ。
彼は彼女が通り抜けた入口の直ぐ後ろで狙っていたのだ………その機会を。
「けほっけほっ……何が起きたの?」
彼女は現状の理解に追いつけずにいた。
誰が爆破したということは当然、彼女が一番疑問だったのはその威力だった。
いくら数を撒いたところでところで威力はその数以上のものが出ることはない。
しかし、あの地雷の爆発はその一つ一つが本来の倍の威力。
何故そんな爆発が起きたのか、真相は謎のままだった……
彼が姿を現すまでは。
「流石に手緩かったな…やはり5枚刺しにするべきだったか…?」
「……あれ、先生が仕掛けたの?どうやって?」
「なに、別に特別なことはしてないさ。」
「ただコレを使っただけだ…。」スッ
彼が懐から取り出したのはヴォルトボーイの顔とヴォルトテックのマークが印刷された一枚のカードだった。
「なにそれ……カード?」
「ただのカードじゃない、PERKカードだ。」
PERKカード、それはヴォルトテックが有する数々の超技術の中でも極めて奇妙な産物であり、レジデントが化け物揃いである一因を担っている。
それはピップボーイが読み込むことで効果を発揮し、使用者に実に多様な能力や技術を与える。
しかし、その効果を得るには使用者の
過酷な世界を生き延びる為、強者をより強者にするカード……
それがPERKカードなのだ。
レジデント達はこのカードで様々なデッキを組み、独自の生存戦略を確立させていった。
これを"ビルド"という。
また、このPERKカード、一部ではウェイストランドを生き延びた伝説級のレジデントにのみに使用を許された
【レジェンダリーPERK】と呼ばれるカードがありその効果は……
己の限界を超えた身体能力を獲得し、食料がいらなくなる薬を自動でインベントリ内で生成できるようにしたり、体内から食用の肉が生成するようになり、極めつけには殴った敵を爆殺できるようになったり等々……。
更にはとある都市伝説によれば
っとまぁ、こんな感じのもう理論もクソもないハチャメチャなパワーを得られるものも存在する。
その仕組みはレジテント達すら知らない…。
だが話によれば、かつてヴォルトテックが人間の学習について研究していた際にできた技術の産物なのではと考えている者もいるという。
そして、彼が今回使用したのは "DEMOLITION EXPERT"
あらゆる爆発物の威力を上昇させるINTカードだ。
今回は加減してコスト2のものを使用した。
されど強力であることに変わりはない。
「こいつはこのPip-boyを持つ人間にのみ扱える。」
「ぴっぷぼーい?先生が腕に巻いてるその機械の事?」
「そうだ。」
「へー、面白いもの持ってるんだね。」
「それどこで売ってるの?ブラックマーケット?」
「生憎これは売り物じゃない。」
「俺の故郷の一部の人間にしか使えないものだ。」
「そっかー残念……まあそれならしょうがないか。」
少々気が抜けたやり取りがあった後、二人は再び臨戦態勢に入る。
「お返しはまだ済んでいない。」
「くふふ……じゃあ次はどうするのかな?」
「そうだな、クラスター弾で吹き飛ばしてくれたからな…
「ひぇ…」
ムツキは嫌な予感を感じ取り青ざめる。
彼は腰からデッキの入った箱を取り出すと、中のカードをピップボーイのホロテープ挿入口に入れた。
それを読み込んだピップボーイのPERK項目から以下の文字が現れる。
BUILD:HEAVY GUNNER
ヘビーガンナー、正しく重火器を扱うためのビルドだ。
ガシャン…!
そしてそのビルドの効果を発揮するために鈍い装弾音ともに出てきたのは……。
ブローニングM2機関銃……ファイナルワードだ。
断わっておくがこれは決してLMGではない……HMGだ。
つまり重機関銃だ。
この武器は大口径の50口径BMG弾を連射する重火器だ。
アメリカ軍で1933年から2077年まで現役で運用されており、実に144年もの間アメリカを守り続けていた。
そこから畏敬の念を込めてヘビーガンズ・オブ・ザ・パトリオットとよぶ兵士もいたとかいないとか…。
普通は車両に搭載して運用するものだが頭のネジがとんだ地元住民はこれを両手で軽々と持ち上げて撃ちまくるようになった。
まさに戦闘民族アパラチア人である。
更にコイツはユニーク・ウェポン。
ユニークとは特別な改造が施された唯一無二の名を持つ武器であり、様々な特殊効果を持っている。
彼の持つファイナルワードは、貫通性能が高い徹甲弾を使用し、改造されたレシーバーにより発射レートを従来より25%増加、そしてリロード中は武器自体が特殊なバリアを展開し再装填中の防御力を高めている。
つまり凄く強い。
「あっやば……。」
彼はその引き金を引いた。
ドガガガガガガガガガガガガガッ!!
直後に響いた重たい銃声は、まるで工事現場のドリルの駆動音のようだった。
傍から聞いたら解体作業の音だと言われても違和感がない。
彼の放った弾幕はムツキに直撃。
キヴォトス人の頑強な体を貫きこそしなかったが、弾頭の数々が彼女を押し出し、建物から叩きだした。
ドオォゥン…ッ!
「レシートは…いらないよな。」
彼は建物からでてムツキが転落した所へ向かう。
向かった先で彼女は手足をピクリとも動かさず地面に突っ伏していた。
「どうした?もう降参か?」
「あはは、ほんとはもうちょっと遊びたかったんだけど……。」
「何故か体が痺れて力が入らないんだよね…。」
「痺れ…?ああ、そういうことか。」
見た所ムツキの負傷はあの大口径の弾丸をもろにくらった割にはそれほどひどい物ではなかった。
しかし五体が動かせないという。
その理由は明白、彼のビルドに組まれたとあるカードが原因だ。
"ONE GUN ARMY"
ヘビーガンで攻撃を行った際、一定の確率で敵をよろめかせ、重傷を与えるLCKカード。
今回、ムツキの体動かない原因はこの"重傷"にある。
ウェイストランドでは重傷と言えば読んで字の如くであり、部位がちぎれ飛んだり壊死したりなどの身体の致命的な損傷であるが……。
どうやらキヴォトス人は重傷になるとその部位が一時的に機能しなくなるだけのようだ。
結果、ムツキの四肢は普通の人間からすれば軽傷であるにも拘らず動かなくなったのだ。
「痺れとは、どんな感じだ?」
問題はなさそうだが万が一と言うこともある、念のためどんな感覚か尋ねてみることにした。
「んー何というか……ずっと正座したら足が痺れちゃった……みたいな?」
「ふむふむ……なるほど?」
確かにあれは暫く足が動かなくなる。アヤネの説教でそれは身に染みている……。
つまるところ一部の神経系が一時的な機能不全になっているわけか。
「暫くすればもとに戻るはずだ、心配はいらないだろう。」
「そこで休んでいるといい。」
「………はーい。」
不満そうであったが体が動かないのではどうにもできない。仕方なくムツキは彼の言うことを聞くことにした。
そんな中残されたアルはハルカと共にムツキの身を案じていた。
「大丈夫かしら……カヨコがあんなにあっさり倒されたし…。」
「というか……………。」
「あの先生一体なんなの!?」
「確かキヴォトスの外から来た人よね!?」
「一体どんなとこから来たのよ!?!?」
アパラチアです。
っと、ギャグテンションであたふたしていたのも彼が来たことで一瞬であたりの空気が一変した。
「やあ、陸八魔……。」
「ど、どうも………。」
「「……………。」」
一瞬にして気まずい緊張が二人を包んだ。
そこから先に開口したのはアルだった。仲間の安否がどうしても気になっていた。
「ム、ムツキはどうなったの?」
「大事には至ってないが、暫く戦闘に復帰できないだろう。」
「そんな……。」
アルは自身の耳が疑わしくてしようがなかった。
ムツキはあれでいて仕事はきちんとこなしていた。その実力はゲヘナでも相当のもの。
そんな彼女があの間にそこまで追い詰められた事実は、アル動揺させるのには十分だ。
「アル。」
「いつか君に言ったはずだ。」
「大事な人がいるなら、何が何でも守り抜けと。」
彼は続ける。
「君が部下を信頼し、その上で仕事を任せている事は承知している。」
「だが、それで彼女達を失ってしまっては元も子もないとは思わないか?」
「あの子たちが動けなくなったら、君は一体どうするつもりだ?」
その問いに彼女は余裕のある笑みで答える。
「どうするも何も…何のために私がこの銃を握ってると思ってるの?」
「こうなったら、便利屋68の社長たる私が直々に相手をするまでよ。」
その言葉には彼女の確かな信念と、この子ならやりかねないという凄みが感じられた。
「hmm…。」
なるほど、彼女のカリスマの正体はコレか……なかなか気概がある子だ。
ならばこちらもそれに恥じぬように相手をしないとな。
そんな彼とは裏腹にアルは……。
(どどどどどどうしよう勝てる気がしないんだけど!?!?!?)
すごく焦っていた。
そして、いざファイナルワードを構えた時だった。
「あ、アル様の邪魔をするヤツは許しません……!!」
いつの間にか……ハルカが背後を取っていた。
並々ならぬ殺意と銃口を彼の頭部に向けながら…。
何故気が付かなかった……これほどの
「アル様の為に、死んでください………。」
「まっ ズドンッ!
ハルカが放った00バックショットの行方は果たして―――………。
ってことでPERKカードはこんな感じの設定で行こうと思います。
キヴォトスに来たことで性能が若干変わってたりするかもしれないですが…。
それと書いてて思ったんですが…
ビルドの描写の仮面ラ〇ダー並感よ。実際にビルドって居るし…。
まあ、それはそれでかっこいい(投稿者の主観)のでヨシ!
あと一つだけキャラの小ネタを、
ターキンの名前の由来は某星戦争の帝国軍のグランド・モフから取ってます。
今回も読んでいただきありがとうございます。
もし気に入っていただければお気に入り登録、感想を是非お願いします。
それでは次回をお楽しみに。