Fallout76 -once in a blue archive- 作:egguimen
失踪ギリギリですがまだ続けます。
という事でブラックマーケット編です。
便利屋撃退から数日後、彼はお気に入りの音楽が録音されたホロテープを聞きながら学校へ向かっていた。
「あ、先生。おはようございます。」
アヤネのはにかんだ挨拶が不意に耳に入ったことに一瞬驚いてしまう。
「ッ!!」
「お、おはよう。今日はいつもより早いな?」
「そうですね、えっと……。」
「その、今日は利息を返済する日でして……色々と準備があるんです。」
「早めに登校して返済の準備もしないとですし、今後の計画も見直さないとなので……。」
「そうか、ご苦労様。」
「あ、そういえばこの間の襲撃者の方々の情報が見つかりました。」
「ああ、あの便利屋達のことか。」
「はい、後ほど学校で詳細をご確認いただけますか?」
「ゲヘナ学園の生徒だったのですが――」
アヤネが例の便利屋達について言及したのも束の間。
「あっ、先生じゃん!おっはよー!」ガバッ
「っ!?」
背後から忍び寄っていたムツキが突如として襲い掛かってきた。
意識外からの突然の飛びつき、彼は死を覚悟した。
「な、ななっ!?」
(二度も不意を突かれるとは……便利屋恐るべし!)
「じゃじゃーん!どもどもー!こんなところで会うなんて、偶然だね!」
本当に偶然なのかはともかく……………。
ムツキは背中に抱き着いてきた。
ギュウ……
「あはは!」
急な激しいスキンシップは彼も流石に動揺した。
「重いかもしれないけどちょっとだけ我慢だよー、先生。」
「重い…我慢…?…………ㇷ゚ッ」
「ダーハッハッハッハッハッハッハァ!!」
「!?」
MGと爆薬持った高校生なんて、コアを抜かれたPA兵を運んだ時と比べたら……。
「これくらい軽い軽い!いくぞ?」
「へ?」
「そーれっ!」バッ
「ちょ、わわわっ!?」
彼は張り付いていたムツキをそのまま自身の左肩に担ぎ上げた。
「なにしれっと担いじゃってるんですか!?」
「こっちの方が歩きやすい。」
「ほらアヤネも、ほれ。」ヒョイッ
「きゃっ!?」
ついでにとばかりにアヤネも右肩に担がれた。
両手に花ならぬ両肩に花である。
「わぁ!家の塀が低くなったみたい!」
「あははは!」
ムツキは子供の様にはしゃいでいてたが、一方アヤネは楽しむどころではなく……。
「な、何してるんですか!」
「どうだ?いい眺めだろ?」
子供はこうすると対外喜ぶものだ。
…………それなりの年頃でならだが…。
「確かに悪くない景色……じゃなくて!」
「は、早く降ろしてください!」
「えー、私はもう少しこのままでもいいんだけどなぁ。」
「いいからあなたも降りてくださいッ!!」
「アッハイ…。」
(俺はもう少しこのままでも良かったんだがな……。)
ターキンは素直に二人を降ろした。
「ふぅ……。」
「はー楽しかった。」
「そういえば……誰かと思いきや、アビドスのメガネっ娘ちゃんじゃーん?」
「おっはよー、昨日ラーメン屋で会ったよね?」
なんという今更。
「その後の襲撃でもお会いしました!どういうことですか?いきなり馴れ馴れしく振舞って……。」
「それに、メガネっ娘じゃなくえ、アヤネです!」
「ん?だって私たち、別にメガネっ娘ちゃん達のことが嫌いなわけじゃないし。」
「ただ、部活で請け負ってる仕事だからさ。仕事以外の時は仲良くしたっていいじゃん?」
「いっ、今さら公私を区別しようということですか!?」
「別にいいじゃん。それに「シャーレ」の先生は、あんたたちだけのモノじゃないでしょ?だよね、先生?」
「そうだな……。だができれば、アビドスへの襲撃をやめてくれないか……?」
「あはは、それはムリかなー。こっちも仕事だからね。アルちゃんがモチベ高くてさ、てきとーにやると怒られちゃうから。」
「ま、いつかうちの便利屋に遊びにおいでよ、先生。アルちゃんもみんなも、きっと喜ぶからさ。」
「普通、自分達をコテンパンにした相手が来て喜ぶか?」
「あはは、そうじゃなくて、ほらアルちゃんラーメン屋の時すごくはしゃいでたじゃん?」
そして思い出されるアルとのラーメン屋でのやり取り、そういえば顔を見るなり急にアウトロー呼ばわりされて少し凹んだっけか……。でもまぁ、気に入られてるならこの面も案外悪くもないか。漢の勲章なんって言ったりもするしな。そう思うと少しだけ自信が湧いた。
「あの様子だと先生のこと相当気に入ってると思うな―。」
「そうか……ま、機会があれば顔を出してみよう。」
「うん、よろしくね!」
「そんじゃ、私はそろそろこの辺で。バイバ〜イ。アヤネちゃんもまた今度ね。」
「また今度なんてありません!!今度会ったらその場で撃ちます!」
「はいはーい。」
そしてムツキは颯のごとく立ち去った。
「はあ…はあ……。」
「面白い子だったな。」
「ななな何ですかあの人は……!」
アヤネは怒りでプルプルとその身を震わせていた。
「どうした?……もしかして怒ってるのか…?」
図星を指されるもアヤネは慌ててはぐらかす。
「な、何でもないです!さ、早く行きましょう!」
「あ、ああ……。」
その後、二人は学校へ向かい返済の準備をし、それから程なくしてカイザーローンの銀行員がやってきた。
この銀行員といい市街地の労働者といい、キヴォトスのロボットというのはどうも音声や動作がロブコやゼネラルアトミクスみたいなアメリカのロボットと比べてかなり人間的だ。かなり高度なプログラミングをされているようだ。OSには何を用いてるんだろうか?状況認識はどうやって行っているのだろう?この銀行員一体取っても興味深い物が多い……。
化け物揃いのレジデントも、元はVaultで高等教育を受けていたお坊ちゃんお嬢ちゃん達なわけで…それに伴ってか知的探求心もそれなりに持ち合わせており、彼もまたこの世界のテクノロジーには興味津々だった。
そんな先生を余所に銀行員は今月分の返済の手続きを着々と進めていた。
「……お待たせしました。変動金利等を諸々適用し、利息788万3250円と元本245万2760円ですね。」
「確かに全て現金でお支払いいただきました、以上となります。」
この間の大改装の結果、学校の維持費が大幅に浮き、更に先生の十八番になりつつある"ロボット狩り"によって得た資金もあり、利息で一杯一杯だった月々の返済が遂に元本の返済も少しづつ、牛歩の歩みであるができるようになってきた。
「カイザーローンとお取引いただき、毎度ありがとうございます。来月もよろしくお願いいたします。」
銀行員は受け取った現金をトラックに載せて学校から走り去った…。
それを対策委員会の生徒達は何とも言えない複雑な気持ちで見送った。
「………。」
「はぁ、今月も何とか乗り切ったねー。」
「……完済まであとどれくらい?」
「本来309年返済ですが……この調子でいくと……。」
「309年…!?」
アメリカ建国からVault76を立てるまででもお釣りが返ってくるレベルだ……気が遠くなるな。
「言わなくていいわよ、正確な数字で言われるとさらにストレス溜まりそう……。」
「どおせ死ぬまで完済できないんだし!計算してもムダでしょ!!」
「そんなことはありませんよ、このままいけば少なくともひひ孫の代までには完済できる計算です!」
「……多分。」
「「「「………。」」」」
皆が思い詰めていると、ノノミが突然こんなことを言い出した。
「ところで、カイザーローンはなぜ現金でしか受け付けないのでしょうね?わざわざ現金輸送車まで手配して………。」
「………!」
シロコは何か閃いたようだったが…。
「シロコ先輩、あの車は襲っちゃダメだよ。」
「うん、わかってる。」
「計画もしちゃダメ!」
「うん………。」
先の会議といいこれといい、シロコにはそういうところがあるらしい……。
「ま、とりあえず先に解決するべきは、目の前の問題の方でしょ。」
「とにかく教室に戻ろうー。」
「そうだな……。」
「うーむ……。」
9億の借金…地域の砂漠化、度重なる校舎の襲撃………この学校が抱える問題はあまりにも深刻だ。
まぁ、アメリカを再建するのと比べたら……きっと解決できる…。
そのはずだ……なぁ………………友よ。
彼は友にそう問いかけながら生徒達と教室に戻った。
「全員揃ったようなので始めます。まずは、2つの事案についてお話ししたいと思います。」
「最初に、昨晩の襲撃の件です。」
そうしてアヤネによる便利屋達の説明が始まった。
「私たちを襲ったのは、「便利屋68」という部活です。」
「ゲヘナでは、かなり危険で素行の悪い生徒たちとして知られています。」
「便利屋とは頼まれたことは何でもこなすサービス業者で……。」
「部活のリーダーの名前は陸八魔アルさん。」
「自らを「社長」と自称しているようです。」
「彼女の下にも部員がいて……」
「浅黄ムツキ、鬼方カヨコ、伊草ハルカの名です。」
「それぞれ室長、課長、平社員の肩書きがあるとのことです。」
「いやぁー、本格的だねー。」
「社長さんだったんですね☆すごいです!」
「『自称』なのが少し気になるがな……。」
「それで、今はアビドスのどこかのエリアに入り込んでいるようです。今朝も会いましたし……。」
「ゲヘナ学園では、起業が許可されているの?」
「それはないと思いますが……勝手に起業したのではないでしょうか。」
「あら……校則違反ってことですね。悪い子たちには見えませんでしたが。」
「アウトローになるというだけあるな……。」
「なに感心しちゃってるのよ。」
「それでなんですが……彼女たち、今までかなり非行の限りを尽くしたようで、ゲヘナでも問題児扱いされているようです。」
「そんな危険な組織が私たちの学校を狙っているのです!もっと気を引き締めないと行けません!」
「次はとっ捕まえて取り調べでもするかー。」
「はい、機会があればぜひ……。」
「ところでアヤネちゃん、何かあったの?物凄い怒りのオーラが……。」
「……いえ、特に何も。」[嘘]
(レジデントもびっくりするほど真っ赤な嘘だな。)
「続きまして、セリカちゃんを襲ったヘルメット団の黒幕についてです!」
「ついにか。」
「先日の戦闘で手に入れた戦略兵器の破片を分析した結果……現在は取引されていない型番だということが判明しました。」
「flack41、とか言ったか。かなり旧式みたいだな。」
(運用されてたのは俺の爺さんがまだ若い頃らしい。)
「もう生産してないってこと?」
「それをどうやって手に入れたのかしら。」
「生産が中止された型番を手に入れる方法は……キヴォトスでは「ブラックマーケット」しかありません。」
「ブラックマーケット?」
所謂闇市という奴だった。
「ブラックマーケット……とっても危ない場所じゃないですか。」
「そうです。あそこでは中退、休学、退学……様々な理由で学校を辞めた生徒達が集団を形成しており、連邦生徒会の許可を得ていない非認可の部活も沢山活動していると聞きました。」
「便利屋68みたいに?」
「はい。それから便利屋68も、ブラックマーケットで何度か騒ぎを起こしていると聞きました。」
「では、そこが重要ポイントですね!」
「はい。ふたつの出来事の関連性を探すのも、ひとつの方法かもしれません。」
「よし、じゃあ決まりだねー。ブラックマーケットを調べてみよう。」
「意外な手がかりもあるかもしれないしね。」
ブラックマーケットに関する情報で彼は一つ個人的に気になる事があった。
中退、休学、退学……様々な理由で学校を辞めた生徒達………。
行き場のない子供達……その子達が堕ちる先を彼はよく知っている。
誰かが落ちていくその子達を受け止めなければ、あらゆる人々が不幸になるだろう。
彼の中で解決すべき問題が新たに見つかった。
そうして後日、ターキンとホシノ達はブラックマーケットへ足を踏み入れた。
「ここがブラックマーケット…。」
「見る限りは普通の繁華街みたいだな?」
「わあ☆すっごい賑わってますね!」
「本当に…小さな市場を想像してたけど、街ひとつぐらいの規模だなんて。」
「連邦生徒会こ手が及ばないエリアが、ここまで巨大化してるとは思わなかった。」
「うへ〜普段私たちはアビドスにばっかりいるからねー。学区外は結構変な場所が多いんだよー。」
「ホシノ先輩、ここに来たとあるの?」
「いんやー、私も初めてだねー。でも他の学区には、へんちくりんかものがたくさんあるんだってさー。」
「ちょーデカい水族館もあるんだって。アクアリウムっていうの!」
「今度行ってみたいなー。うへ、魚……お刺身……。」
「ホシノ先輩、もしかして展示品の魚を食べようとしてない?」
「や、やだなーセリカちゃん、冗談だよ冗談。」
「アクアリウム……か。」
(あんまりいい思い出ないな…主にアトランティックシティのせいで………。)
まるで観光気分だが今回ここには調査に来ている。
しかも場所は法が機能しない陰謀渦巻く悪の摩天楼、そんな場所であまりうかうかなどしていられない……。
『皆さん、油断しないでください。そこは違法な武器や兵器が取引される場所です。何が起こるかわからないんですよ??』
「……そういえば、なぜ先生はそんな格好を?」
「あの格好目立つしな、素性が割れると面倒だろ?」
そんな彼の格好は黒を基調にしたトレンチコートにフェドーラ帽。
傍から見れば完全に酒の名称をコードネームにしてそうな不審者である。
「いや、その……。普通の服着る人なんだなと。」
「それでも裏社会にいそうだけど。」
「そんなに今までおかしな格好だったか?」
「触れないでおこうと思ってたけど…さすがに普通の教師は消防服なんて着ないでしょ……。」
「ん、でも実際は消防士というよりコマンドー……。」
「………。」
生徒からそんな風に思われてたとは露知らず、彼は少し気が落ちてしまった。
そんな事も束の間、やはりキヴォトス最初に訪れた時の様に初っ端から銃声か市街地に響き渡る。
ダダダダダダダダダダダダッ!!
「銃声だね。」
「もう慣れた。とりあえず行こうか。」
銃声の聞こえた方へ皆で向かうと、チンピラ達ととある生徒が逃亡劇を繰り広げていた。
「待てー!!」
「う、うわあああ!まずっ、まずいですー!!つ、ついてこないでくださいー!!」
「そうはいくか!」
『あれ……あの制服は……。』
アヤネはどうやら心当たりがあるらしい。
「わわわっ、そこどいてくださいー!!」
「っ!?」
「危ないっ!」バッ
全力疾走中の生徒を咄嗟に受け止める。
トン……
「わぷっ!……ご、ごめんなさい!」
「怪我はないか?」
「は、はいぃ……。」
「大丈夫?」
「なわけないよね、追われてるみたいだし。」
「そ……それが……。」
事情を聞こうとするもチンピラ共の邪魔が入る。
「何だお前らは。どけ!アタシたちはそこのトリニティの生徒にようがある。」
「あ、あうう……わ、私の方は特に用は無いのですけど……。」
「……トリニティ?」
『思い出しました、その制服……キヴォトスいちのマンモス校のひとつ、トリニティ総合学園です!』
トリニティ総合学園、簡単に言ってしまえばキヴォトスきってのお嬢様校だ。
「そういえばハスミとスズミがそこの生徒だったな……。」
「そう、そしてそのトリニティはキヴォトスで一番金を持ってる学校でもある!だから拉致って身代金をたんまりいただこうってわけさ!」
「拉致って交渉!なかなかの財テクだろ?くくくくっ。」
「どうだ、おまえらも興味があるなら計画に乗るか?身代金の分け前は……。」
その計画と言うにはあまりにも粗末な提案に………
「………。」スチャ……
パァンッ!パァンッ!
ターキンは44マグナムの2発の銃声で答えた。
チンピラはまさかの返事に気を失った……。
「そいつは、財テクじゃなくて犯罪だ。金よりも学が足りてないんじゃないか?」
「今度シャーレに呼び出して補習だな。」
「おぉーナイスショット。」パチパチ
「悪人は懲らしめないとですね☆」
「うん、気分すっきり。」
「あ……えっ?えっ?」
不良二人を成敗した後、ブラックマーケットを走り回っていたトリニティの生徒…
阿慈谷ヒフミを保護した。
「大丈夫だったか?」
「あ、ありがとうございました。皆さんがいなかったら、学園に迷惑をかけちゃうところでした……。」
「それに、こっそり抜け出してきたので、何か問題を起こしたら……あうぅ……想像しただけも……。」
ビクッ
不安がるその姿についレスポンダーの血が騒いでしまう。
「おおよしよし、もう大丈夫だ。」ナデナデ…
「えっとー、ヒフミちゃんだっけ?それにしても、トリニティのお嬢様が何でこんな危ない場所に来たの?」
「しかも一人で。」
「あ、あはは……それはですね……実は、探し物がありまして……。」
「もう販売されてないので買うことも出来ない物なのですが、ブラックマーケットでは密かに取引されているらしくて……。」
「もしかして……戦車?」
「もしくは違法な火器?」
「化学武器とかですか?」
「まさか核爆弾か!?」
そんな訳ねーだろ。
「えっ!?い、いいえ……えっとですね、ペロロ様の限定グッズなんです。」「というか核爆弾って何ですか…?」
「ペr……なんだって?」
「ペロロ様です!」
「ほらこれです!ペロロ様とアイス屋さんがコラボした、限定のぬいぐるみ!」
「限定生産で100体しか作られていないグッズなんですよ。」
「ね?可愛いでしょう?」
「「………。」」
(アイス無理やり口に押し込まれて窒息しかけてる鳥のぬいぐるみにしか見えない……。)
「わあ☆モモフレンズですね!私も大好きです!ペロロちゃん可愛いですよねえ!私はミスター・ニコライが好きなんです。」
「分かります!ニコライさんも哲学的なところがカッコ良くて。」
「最近出たニコライさんの本『善悪の彼方』も買いましたよ!それも初版で!」
善悪……か。
少なくとも私が故郷の為とやってきたことに……善はなかった。
地割れ地点プライム……モノンガー鉱山……ブレア山2番鉱山シャフト……ホークスビル天候管理施設……
俺は……俺達はサイロを手に入れたあの日からVaul-tecの掌で踊らされ、故郷に巣食う敵を討つ為と大義を掲げて故郷の各地を核の炎で焼き尽くしてきた…。過ちを……繰り返した。
その大義の裏には、善なんてなかった。
あったのは、血と…灰と…暴力だ。
「……いやぁー何の話だか、おじさんにはさっぱりだなー。」
「っというかどうしたの先生?凄く難しい顔してるけど。」
「自身の行いを顧みていた…と言っておこう。」
「なんか…複雑そうだね。」
「ホシノ先輩はこういうファンシー系に全く興味ないでしょ?」
「ふむ、最近の若いやつにはついていけん。」
「ホシノ、君はまだ高校生だろ。」
「歳の差、ほぼないじゃん……。」
「というわけで、グッズを買いに来たのですが、先程の人たちに絡まれて…皆さんがいなかったら今頃どうなっていたことやら。」
「……ところで、アビドスの皆さんは、なぜこちらへ?」
「私たちも似たようなもんだよ。探し物があるんだー。」
「そう。今は生産されていなくて手に入れにくい物なんだけど、ここにあるって話をきいて。」
「そうなんですか、似たような感じなんですね。」
そんな会話をしていると突如アヤネから通信が。
「皆さん、大変です!四方から武装した人たちが向かってきています!」
「何っ!?」
「あいつらだ!!」
「よくもやってくれたな!痛い目にあわせてやるぜ!」
「先ほど撃退したチンピラの仲間のようです!完全に敵対してます!」
「わわわっ、どうしましょう!?」
その時だった。
「任せろ。」ブスッ
彼は生徒達に遮蔽物に身を隠させると、敵が終結するであろう十字路で立ち尽くした。
そしてフォーミュラPを首の頸動脈から投与する……。
「アロナ、やるぞ。」
『はい!お任せください!』
今こそチンピラ共を迎え撃つ時。
「やっちまえー!」
ダダダダダダダダダダッ!
リーダーらしきスケバンの指示と同時に、四方から銃弾の豪雨が降る。
しかし……
『スーパーアロナちゃんいきまーす!』
ヒュン!
チンピラ達が放った弾丸は、全て異常な軌道を描き始め、一発も彼に当たることはなかった。
「なるほど、頼れってのはこういう事か…。」
(SERENDIPITY*1に似てるな、性能はこっちの方が断然いいが。)
「な!?弾が当たんねぇ!なんでだ!?」
「う、撃て!撃ちまくれ!その内当たる筈だ!」
彼を取り囲む不良達は目の前の出来事に驚きを隠せないでいた。
「喧嘩を売る相手を間違えたな!」
- ジィーーーッ… -
V.A.T.S.を展開し、頭部を選択する。そして両腕を広げるように10mmサブマシンガンを敵に突き付ける。
「一瞬で片付けよう。」
そう呟くと彼はトリガーを引いて軽やかな足取りで体を回転させた。
ババババババババババババババッ!!!!!
「ガアァッ!?」
「ギャアアア!!」
「グエエエエッ!!」
銃声とチンピラの断末魔が歪なハーモニーを奏でていて、絵面は完全にFallOut76のトレーラー映像だった。
「ぐぅ……な、なんなんだアイツ!?」
「何でアタシらがやられんだ……!」
「やってられるか、一旦退くぞ!」
「すぐに頭数揃えねーと……。」
スケバン達はその異様な光景に恐れおののき、蜘蛛の子散らすようにその場から逃げさった。
「敵、後退していきます!」
「ですがあの様子じゃ……。:
「まさかまだ仲間を呼んでくる気なのか?」
「まぁウォーミングアップがてらひと暴れするのも――『ま、待ってください!それ以上戦っちゃダメです!』え?」
ヒフミの制止に一同は一瞬戸惑う。
「ん?どうして?」
「だ、だって……ブラックマーケットで騒ぎを起こしたら、ここを管理している治安機関に見つかってしまうかもしれません!」
「あうう……そうなったら本当に大ごとです……まずはこの場から離れないと。」
「ふむ……わかった。」
「ここのことは君のほうが詳しいんだろう、従おう。」
「ちぇっ、運のいいやつらめ!」
「とにかく、皆さんこっちです!」
そうして全員いったんその場を離れることとなった。
現場を離れヒフミについて行くと、ブラックマーケットの歓楽街へとでた。
食べ物の出店やちょっとしたレジャー施設なんてのもあり、犯罪地域には似つかわしくない煌びやかで賑やかな地域だ。
「……ここまで来れば大丈夫でしょう。」
「ふむ……ここをかなり危険な場所だって認識してるんだね。」
「えっ?と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所のひとつですから……。」
「ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模に匹敵しますし、決して無視はできないかと……。」
ここキヴォトスでは各学園が国家が同じ役割を持つ。
学籍は国籍であり、生徒は国民であり、姉妹校は同盟国ともいえる。
そんなキヴォトスでこのブラックマーケットが学園数個分の規模を有するとなると、学園都市にとってとんでもない脅威だ。
「それに様々な企業が、この場所で違法な事柄を巡って利権争いをしていると聞きました。」
どんな世界でも企業ってのは過ちを繰り返すのか…人が運営する以上、必然なのかもしれないな。
「それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから……。」
「それって銀行や警察があるってこと……!?そ、それってもちろん、認可されていない違法な団体だよね!?」
「はい……そうです。」
「無法地帯の癖していっちょ前に治安組織がいるのか……。」
(規模が大きいレイダーが縄張りの見張りするようなもんか、そんな粗末なものでもないみたいだが…。)
「スケールがケタ違いですね……。」
「もはやデトロイトだな。」
デトロイト市、アメリカでは言わずと知れた犯罪都市であり、警察ですら犯罪組織と癒着し、最終戦争以前から荒廃した都市だ。
思うと、ある種ブラックマーケットもキヴォトスにおけるデトロイトなのかもしれない。
正直銃撃戦の犯罪件数自体はキヴォトスもデトロイトもあまり変わらないかもしれないが……。
それにしても、エドワードがここに居なくて良かったかも。こんな地域の存在を知ったらアイツの胃に穴が開きかねない……。
でもやっぱり寂しいな、あの西部マニアの保安官がいないっていうのは…。
「中でも特に治安機関は、とにかく避けるのが一番です……。騒ぎを起こしたら、まずは身を潜めるべきです……。」
「ふ〜ん、ヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねー。」
「えっ?そうですか?危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか……。」
「よし、決めたー。」
「………?」
「助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうねー♪」
ホシノの突飛な提案に当然ながらヒフミは戸惑いを隠せなかった。
「え?ええっ?」
「えぇ……?(困惑)」
「やっぱり……。」
「わあ☆いいアイデアですね!」
「なるほど、誘拐だね。」
「はいっ!?」
「言い方ァ!」
「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど。」
「あ、あうう……私なんかでお役に立てるか分かりませんが……アビドスのみなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます。」
「よーし、それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むねー。」
ヒフミの素直さに若干危機感を感じたが、以降の調査にはヒフミが加わることになった。
一方その頃便利屋達の事務所では……。
プルルルルルル…プルルルルルル……
固定電話のコールが々鳴り響いていたが、アルは電話に出る様子を一向に見せなかった。
依頼を受けてなんぼの便利屋、なのにその電話にでないとなると部下達も疑問を持つ。
「アルちゃん、何してんの?電話出ないの?」
「……。」
「表情が暗い……もしかしてクライアント……?」
「うわ、そりゃそんな顔にもなるわ。失敗したって報告しないとじゃん?」
「アル様……。」
ムツキ達も流石に心配の表情を浮かばせるが……
「……くっ。」
ガチャ
アルは意を決して受話器を取った。
「はい……便利屋68です。」
アルは意を決して電話に出た。
そしてその電話の向こうにいるクライアントとは……。
「……。」
「ふむ、興味深い報告だ。」
「ここまでの練習は拝見したよ。」
「で、実戦はいつだ?」
そうカイザーPMCのクsゲフンゲフン!!………理事である。
「……うえ?あれが実戦だったんです…が……。」
「あ、いえ、何でもありません。も、もちろんすぐにでも……という感じで……あ、えっと、1週間以内には……はい。」
突然あそこまでこっぴどくやられたアビドスをわずか一週間で攻略すると言い出す上司に、部下達はもう驚くほかなかった。
「!?」
「!!」
「ふふっ。はい、そうです。……お任せ下さい。」
ガチャ……
一体何を任せろというのか……。
理事は不思議に思った。
「やつらのデータ自体は正確な物だったはず。」
「計算ミスか?いや、しかしあの力は明らかに……。」
理事が何か考え込んでいると、黒いスーツを来た何かが、話しかけてきた。
「……お困りのようですね。」
「……。」
「いや、困ってはいない。ただ、少し計算にエラーが生じただけだ。アビドスの連中が、データより遥かに強かっただけのこと。」
「……。」
「これは単に、アビドスが強くなったと解釈すべきかと。」
「それは一体……。」
「アビドスにどのような変化要因があったのか、確認してみましょう。」
「では。」
「……。」
さらに戻って電話の後、アル達は……。
電話が切れた後、彼女は頭を抱えていた。
「………はあ。」
「やつれたねえ、アルちゃん。」
「社長、一体どういうこと……?まさか、また戦うの?」
「……あのクライアントは、私も詳しくは知らないけど、超大物なのよ。……この依頼、失敗するわけにはいかないわ。」
「………。」
「だけど、アビドスの相手なんて私たちだけじゃ無理だよ。先生もいるし……。」
「……それにお金も全部使い果たしちゃったしね。どう戦うのさ?」
「わっ、私がバイトでもしてきましょうか?」
「その稼ぎで傭兵を雇うには、全員あと1年は働かないと……。」
「こんな高いオフィスなんか借りてるから、無駄にお金ばかりかかってるんじゃ……。」
「う、うるさいっ!ちゃんとした会社なら、事務所は基本でしょ!そのほうが依頼も増えるんだから!」
アルは形から入るタイプだった。
「別に、私は前みたいに公園にテントでも構わないけどー?」
「黙りなさいよ!みんなうるさい!静かに!!」
「……。」
「……融資を受けるわ。」
「は?アルちゃんはブラックリスト入りしてるでしょ。」
「違うわよ!私は指名手配されて口座が凍結されただけ!」
「そうだっけ?……あっ、そうだった。風紀委員会にやられたんだよね。」
「くっ、風紀委員会め……ここまで痛めつけられるとは思わなかった。」
「中央銀行も、行ったところで門前払いだろーね。」
「うるさいってば!他にも方法はあるんだから!」
「…………。」
「見てなさいよ。このままじゃ終わらせないんだから。」
「便利屋のミッションはこれからなのよ!」
「…………。」
「へー、一体どうするつもりなんだろ。」
便利屋たちの受難は続く……。
ヒフミには庇護欲が湧くよね……湧かない?
今回も読んでいただきありがとうございます。
もし気に入っていただければお気に入り登録、感想を是非お願いします。
やっぱり湧くよね?(しつこい)