Fallout76 -once in a blue archive-   作:egguimen

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なんとか、9月が終わる前に書け……た。


Problems

アビドス対策委員会はトリニティ総合学園の生徒、阿慈谷ヒフミの協力のもと、ブラックマーケットの闇銀行を襲撃、カイザーローンの集金記録を奪取した。

その記録を調査する中で、カイザーローンがヘルメット団へ資金提供を行っていたことが発覚。

一同は困惑する。なぜカイザーがグルになって学校を狙うのか。

学校が破産すれば借金の回収はできない。

 

なのに何故……

 

 

借金の謎を解くためのこの一件は結局、謎が謎を呼ぶ結果になった。

 

 

 

「みなさん、色々とありがとうございました。」

 

「変な事に巻き込んでごめんなさい、ヒフミさん。」

 

「あ、あはは……。」

 

「今度遊びに行くから、その時はよろしくー。」

 

「はいっ、もちろんです。」

 

「まだ詳しいこと明らかになっていませんが……これはカイザーコーポレーションが、犯罪者や反社会勢力と何かしら関連があるという事実上の証拠になり得ます。」

「戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します!」

「それと、アビドスの現在の状況についても……。」

 

「……。」

「まー、ティーパーティーはもう知ってると思うけどねー。」

 

「は、はいっ!?」

 

「あれほどの規模を持つ学園の首脳部なら、それぐらいはもうとっくに把握してると思うんだよー。みんな、遊んでばっかりじゃないだろうしさ。」

 

「そ、そんな……知っているのに、みなさんのことを……。」

 

現実は非情だった。

 

「うん、ヒフミちゃんは純真で良い子だねー。でも世の中、そんなに甘くないからさ。」

 

「……。」

 

「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところで、これといった打開策が出るわけじゃないし」

「かえって私たちがパニくることになりそうな気がするんだよねー。」

 

「そ、そうですか……?」

 

「ほら、今のアビドスって廃校寸前じゃん?トリニティとかゲヘナみたいなマンモス校からのアクションをコントロール出来る力がないんだよー。言ってる意味、わかるよね?」

 

「……サポートするという名目で悪さをされても、それを阻止できないってことですよね。」

 

「……そうですね、その可能性もなくはありません。あうう…政治って難しいです。」

 

「一応防衛設備はあるが…なにせ急ごしらえ、仮に仮にどこかの大規模な勢力と戦争状態に突入することなっても、戦線を膠着状態に持っていくのがやっと…ってところか。」

 

「でも……ホシノ先輩、悲観的に考えすぎではないでしょうか?本当に助けてくれるかもしれませんし……。」

 

「うへ〜私は他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー。」

 

「「万が一」ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよ。」

 

「「「……。」」」

 

「では……。」

「えっと……。」

「本当に……一日で色んな出来事がありましたね。」

 

「そうだね、すごく楽しかった。」

 

「……楽しかったのはシロコ先輩と先生だけじゃないの?」

 

「「ギクッ……!?」」

 

「いやギクッて……。」

 

「あ、あはは……私も楽しかったです。」

 

「いやぁー、ファウストちゃん、お世話になったね。」

 

「そ、その呼び方はやめてください!」

 

「よっ、覆面水着団のリーダーさん!」

 

「みなさん……ヒフミさんが困ってるじゃないですか。」

 

「と、とにかく……これからも大変だと思いますが、頑張ってくださいね。応援してます。」

 

「それでは……みなさん、またお会いしましょう。」

 

暫しの談笑の後、ヒフミは励ましの言葉を皆に贈って校舎を去ろうとした時だった。

 

「先生!」

 

「?」

 

「今日は本当にありがとうございました!今日の事、他の先生にも相談してみます!」

「それでは!」

 

「おい、今なんて『さよなら~!』

「おい!……………行ってしまった…。」

 

 

駆けだしたヒフミを呼び止めることは叶わず、ターキンは困惑の顔を浮かべながらその背を見送る他なかった。…。

 

「ご苦労だった。今日はゆっくり休んで、明日改めて集まろう。」

「私は仕事があるからもう少し残る。それじゃ。」

 

「解散〜。」

 

他の先生……?おかしい、キヴォトスに来たのは私一人だけの筈、しかも先生"達"…複数人が外から来ている。でもそんな報告は来てない……。

いったい何が起きてるというんだ……?

 

直ぐにでもシャーレに戻って確かめたいが……

 

「……。」

 

彼女達が談笑しながら下校する様を見て、彼女達が置かれてる現状を思い返す。

 

 

「気になるが今は……今はこのことに集中しないとな……。」

 

 

 

 

その日の夜、アビドス高校の屋上にて。

ターキンは報告書の入った積み荷をカーゴボットに預けサンクトゥムタワーへと送った。

 

「ふう、今日も残業だったな…。」

「……。」

 

スッ

 

「アロナ、カイザーグループに関する情報は……。」

 

アロナには今回の集金記録から得た取引の情報をもとに取引先のネットワークに侵入、情報の収集を任せていた。

 

『はい、概ね先生の予想どおりでした。』

『ヒフミさんはグレーゾーンとおしゃっていましたが、これは完全に黒ですね……。』

 

アロナの情報によれば、カイザーはブラックマーケットで幅を利かせており……

マーケットガードの装備はカイザーから提供されていることも分かった。

その際にヴァルキューレ警察等に足がつかないように銃器に刻印されているシリアルナンバーを削り、ゴーストガンとして供与していることも判明。

 

おまけに俺が最近"抹消"したセリカを貶めた詐欺グループとは利益の一部を貰うことを条件に捜査の目を逃れられるように匿う等ズブズブの関係。

 

これだけでも十分と思えるが情報を深く掘れば掘るほど芋ずる式に余罪がどんどん明らかになっていく。

 

ターキンは煮えくり返った勢いで腸が炉心融解を起こしそになるのを落ち着かせるため煙草を一本取り出す。

 

『先生、タバコ吸うんですね?意外です。』

 

「即席の気晴らしには丁度いい。」

「とは言っても子供の前では吸えないし。だからキヴォトスじゃ一服する機会がなかった……。」

「学園都市の難点だな……。」

 

ス―……ッハァ………。

 

そんな些細な悩みを吐露しながら煙草を吹かす。

 

「情報収集ご苦労だった。もうちょっと休んでいたかったろうに。」

 

『いえいえもう十分休めました。スーパーアロナちゃん、完全復活です!』

 

「はは、そりゃ頼もしい。でももう遅い時間だ…そろそろお休み、アロナ。」

 

『はい、先生もゆっくり休んでください。』

 

「…そうだな。」

 

そしてシッテムの箱の電源を切る。

 

………………………俺もそうしたかった。

 

「…綺麗だなぁ。」

 

この世界の夜空はいつも幻想的で、都市の灯りがついていようが星々は爛々と煌めいている。

こんな綺麗な夜空、戦前じゃ見られなかっただろう。

 

(両親を死体を探しに行った夜も、こんな夜空だったなぁ……。)

 

そうして吐かれた煙から浮かぶ荒廃した情景……。

 

両親を失って3日、ようやく真実を見た。

そこにあったメモやホロテープを辿る内にそのスーパーミュータントは、サマーズビルを一時的な居住地としていた。

だがそこにスコーチの大群ががどこからともなくやってきて……ミュータント達は長期に渡って抵抗を続けた。

 

そして戦う内にスーパーミュータントもスコーチ病に晒された。

スコーチが去った後、ミュータント達は自我を焼き尽くされ狂わされた。

 

 

その戦争が遺した負の遺産の数々が俺から両親を奪い………俺だけが生き延びた。

 

 

「不条理だ……。」

 

 

再びサマーズビルに訪れた時…そこにはハエがたかり腐敗したミュータントの肉塊と、緑に輝く結晶のみが残っていた。

 

そして父と母の骸の傍らにも、その結晶が転がっていた。

喪失と混乱から見落としていた真実は……既に目の前にあった。

 

その後、俺は愛する二人を『俺の家』…「76」がある丘の麓で取った気でつくった棺桶に寝かせ、『二人の家』の裏の墓地に埋めた……もう俺が埋まるスペースはなかった。

 

そして、チャールストンへ行き…俺はこのファイヤーブリーザーの制服を着て、焦土を灰で埋めた。

 

灰は灰に、土と共に、命は廻り、終わりが来る。

どんな結果であれ…。

 

……今思えば、俺は76の使命を果たせなかったばかりか、スコーチを絶滅させることも、俺を家族と呼んでくれた友すら守るこもできずに…死んでしまったんだな………。

 

「はぁ……。」

 

なんて無様な最期なんだろう…。

 

「…なっさけねぇなぁ……俺。」

 

煙草の煙で満たされた肺に急に虚しさがこみ上げてくる。

 

そのどうしようもない虚しさが俺に立ち上がる意志をくれる。

彼女達の帰るべき故郷は…………アビドスは…必ず再建してみせる。

 

 

「…………戻ろう。」

 

煙草の火を消して、携帯灰皿にしまう。

俺は足元が覚束ないまま、自分のC.A.M.P.へ向かった。

 

帰路に就く中で、俺はあの時のホシノの言葉が頭から離れずにいた。

 

「うへ〜私は他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになっちゃってねー。」

 

あの言葉を思い返す度、故郷の人々の顔が浮かんだ…。

虚ろで、窶れていて、生気がなく…独り破滅へと歩いていく…奪われた人間の顔。

 

速くどうにかしないと…彼女の身が危ない、彼女はきっと―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュンチュン…

 

 

 

 

翌日の朝方、教室を見てみればそこにはノノミの膝枕で横になっているホシノがいた。

 

「おはよう。」

 

「んあ…?ああ、おはよー、先生。」

 

「先生、おはようございます。今日も早いですね。」

 

「ホシノはくつろいでるみたいだな。」

 

「うへ~ノノミちゃんの膝枕は柔らかくてサイコーなんだよー。」

「私だけの特等席だもんねー。」

 

「そうか。」

 

「先生もいかがですか?はい、どうぞ~☆」

 

「え?」

 

「ダメだよー。ここは私の場所なんだから、先生はあっちの座り心地悪そうな椅子にでも座ってねー。」

 

「もう、私の膝は先輩専用じゃないですよう…。」

 

「ははは…お気遣いどうも。でも他に用があるから失礼するよ。」

「それと今日はゆっくり休むといい。それじゃ。」

 

「「……?」」

 

 

ガチャ……ピピッ―――

 

 

 

慣れ親しんだイントロが薄暗い倉庫に響く。

 

 

『Almost heaven, West Virginia,』

 

『Blue Ridge Mountains, Shenandoah River.』

 

『Life is old there, older than the trees,』

 

『Younger than the mountains, growin' like a breeze』

 

 

『Country Roads, take me home』

 

『to the place I belong,』

 

『West Virginia, mountain momma.』

 

『Take me home, country roads.』

 

 

『All my memories gathered 'round her.』

 

『Miner's lady, stranger to blue water.』

 

『Dark and dusty, painted on the sky.』

 

『Misty taste of moonshine,』

 

『Teardrops in my eye.』

 

 

『Country Roads, take me home』

 

『to the place I belong,』

 

『West Virginia, mountain momma.』

 

『Take me home, country roads.』

 

 

『I hear her voice, in the mornin' hour she calls me.』

 

『The radio reminds me of my home far away.』

 

『And drivin' down the road I get a feelin'that I should have been home.』

 

『Yesterday, yesterday!』

 

『Country Roads, take me home』

 

『to the place I belong,』

 

『West Virginia, mountain momma.』

 

『Take me home, country roads.』

 

 

『Country Roads, take me home』

 

『to the place I belong,』

 

『West Virginia, mountain momma.』

 

 

『Take me home, country roads.』

 

『Take me home, country roads.』

 

『Take me home, country roads...』

 

「皮肉なもんだ…。」

 

何気なくそう呟くと、懐から一枚の写真を取り出す。

 

写真にはマスクを着けた男が五人、肩を組んで76の前に並んでいた。

表情は見えないが、その様子はどこか楽しそうだ。

 

彼が見つめている白黒の思い出は、遺影のようだった。

 

「死んだのは俺なのにな……。」

 

「ふぅ……さて、感傷に浸るもほどほどにして…こいつを完成させよう。」

「こうしてる間にも、助けを求める人はいる………応えないと。」

 

彼は指をゴキッと鳴らすと作業台と向き合った。

 

それを見つめる影にも気が付かず。

 

 

 

 

―───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

20分後・・・

 

 

 

 

 

 

 

「おお、先生お帰りー。」

 

「おかえりなさい。」

 

「ああ、ホシノもうのんびりタイムはいいのか?」

 

「うん、先生も戻ったわけだしそろそろ私ゃこの辺でドロン!」

 

「あら先輩、いったいどちらへ?」

 

「うへ、今日はせっかくのオフな訳だし。どこかで適当にサボろうと思ってさ。」

「ってことで何かあったら連絡ちょーだい、ノノミちゃん。」

 

ホシノは急ぎ足でどこかに行ってしまった。

 

「ホシノ先輩、またどこかでお昼寝しに行くみたいですね。」

 

「ま、会議はアヤネが進めてくれてるし、問題ないだろ。」

「それにしてもホシノは昼間寝てる事が多いが………何かあるのだろうか。」

 

「さあ、普段からあんな感じですし………。」

 

「ふむ………。」

 

「でも変わったこともあるんですよ?」

 

「というと?」

 

「今はそれこそいつも寝ぼけているような感じですが……。初めて出会った頃の先輩は、常に何かに追われているようでした。」

 

「何かに…。」

 

「何かにというよりは…ありとあらゆることに、と言いましょうか。」

 

「聞いた話ですが…以前とある先輩がいたそうで……。」

 

「!!!」

 

彼はその瞬間、長く考えていた疑問が核心に迫った。

ホシノが抱えるもの…あの時オアシスの跡で見た虚ろな目の奥にあったその正体。

 

それは間違いなく、その先輩だ。

 

「アビドス最後の生徒会長だったらしいんですがとても頼りない人で、その人がここを去ってからは全てをホシノ先輩が引き受けることになった、と……。」

 

瞬間、彼のパーセプションは悟った。

 

 

"先輩はただ学校を去ったのではない。"

 

 

何があったのかは定かではないが、彼女の「大人への不信」に繋がっている気がする。

 

「当時先輩は一年生だったとか……詳しくは私も知らないのです。」

「でも今は、先生もいますし、他の学園の生徒達と交流できますし……。」

「以前だったら他の学園と関わること自体嫌がっていたはずが……。かなり丸くなりましたね。」

「うん、きっと先生のおかげですね☆」

 

「どうだかな……私はあくまで君達の手助けをしてただけだ。それは……彼女と君達が頑張ってきた結果だと思うな。自分達で考え、努力してきたから、今があるんだ。」

「………本当によく頑張ってる。」

 

 

 

 

 

学校を出たホシノは、浮かない表情で某所のオフィスビルへと向かっていた。

 

 

「これはこれは……。」

 

最上階へ来るなり男の声が広間に響く。

 

「お待ちしておりましたよ暁のホル……いや、ホシノさんでしたね。これは失礼。」

 

彼女の名を呼ぶスーツを着こなす其れは形こそ人間がが、肌は新月の陰でうっすら輝く黒曜石のようでく、その顔には白い亀裂が入っている。凡そ、その姿は人間と呼べるものではない。

 

「いやいや、キヴォトスにはまだ馴染めていなくて。」

「こちらへどうぞ、ホシノさん。」

 

そう言って男はホシノを奥へと案内する。

 

 

 

「……黒服の人、今度は何の様なのさ。」

 

怪しい男……もとい黒服は彼女の問いかけに薄ら笑いを浮かべる。

 

「……ふふ、状況が変わりましてね。今回は再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案をしようと思いまして。」

 

「提案?ふざけるな!!!それはもう……!!」

 

ホシノは怒気を孕みながら言葉を返した。

 

「まあまあ、落ち着いてください。」

 

「……!?」

 

黒服はその様に気圧されることもなく余裕のある振る舞いをみせる。

 

「……お気に入りの映画の台詞がありましてね。今回はそれを引用してみましょう。」

 

そういうと彼は書類をホシノに見せる。

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あなたに、決して拒めないであろう提案をひとつ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「興味深い提案だと思いますので、どうかご清聴ください。」

「クク、クククッ……クククク…………。」

 

その日からだろう、アビドスの美しい空に暗雲が渦を巻き始めたのは。

あの綺麗な青空はもう……見えない。

 

 

 

 

 

 

―───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

「いっただきまーす!」

 

 

ズルルルッ…!

 

 

場所はアビドスのとある名店、紫関ラーメン。

 

そこでは便利屋達がそれぞれの器に盛られたラーメンを味わっていた。

 

「一人につき一杯…こんなに贅沢してもいいんですか?」

 

「アビドスさんとこのお友達だろ?替え玉が欲しけりゃ言いな。」

 

ハルカにそう話しかける柴大将は優しく微笑んでいた。

 

なんと微笑ましい光景だろうか。

 

 

「……………!?」

 

しかしそれをよく思っていない人物が1名この中にいた。

 

「………じゃない。」

 

「「「?」」」

 

ダンッ!

 

「友だちなんかじゃないわよーーーー!!!」

 

ブフゥッ!?

 

「わわっ!」

 

机を叩き立ち上がなら叫ぶ彼女に皆が驚く。

カヨコに至ってはさっきまで啜っていたラーメンを吹き出していた。

 

 

「何が引っかかってたかわかったわ!」

「問題はこの店よ!この店よ!」

 

あろうことか彼女はクレームまがいのとんでも発言をしてしまう。

 

「どゆこと!?」

 

「ごほ、げほっ……意味が分からないんだけど?」

 

「私達は仕事をしにアビドスに来てるの!ハードボイルドに!アウトローっぽく!」

「なのに何なのよこの店は!お腹いっぱい食べられるし!!」

「あったかくて親切で!話しかけてくれるし、わきあいあいでほんわかした雰囲気!」

「ここにいると皆仲良しになっちゃう気がするのよ!」

 

「それ何か問題ある?」

 

「ダメでしょ!?グダグダでメチャクチャ!!」

「私が一人前の悪党になるには、こんな店はいらないのよっ!」

「私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなの!!こんなほっこり感じゃない!」

 

「それはどうかな?」

 

「「「「!?」」」」

 

声の主は、向かいのカウンター席にいた。

 

「やあ、どうも。」

「盗み聞きするつもりはなかったんだが何やら賑やかなものだったから」

「口を挟まずにいられなかった。すまない。」

 

そう話すのは黒いスーツを着た赤毛の奇妙な男。

カウンターには後頭部に「D-29」と印刷された煤けた鋼鉄製の"ガスマスク"が置かれている。

 

ほのぼの空間に定評のある紫関ラーメン、その中で彼だけだ、そのほのぼのとはかけ離れた殺伐とした雰囲気を纏っていた。

 

「俺から言わせれば、君みたいな人間ほどこの店の"ほっこり感"が、必要だと思う。」

 

「必要ですって?」

 

「悪党共が生きる世界ってのにはな、心がないんだ。」

「自分の欲を満たすために奪い、消し去り、使い捨てる。」

「そんな事を続けてたら…言わずもがな正気じゃなくなる。」

「感情のコントロールはできなくなって、粗暴になっていつしか自暴自棄になって最期は………破滅だ。」

 

「だから悪党にも悪党なりの心の拠り所がある。そこは暖かくて………ほんわかしてる。」

「アウトローが長生きする秘訣さ。」

 

「そ、そう……随分もの知りなのね…?」

 

「まぁな。」

 

「何者なの?」

 

アルは恐る恐る訊ねる。

 

「ああ、そういえば自己紹介がまだだった。」

「私はオズワルド。…オズワルド・ザルボーグ13世。」

 

 

 

「今はシャーレの先生、そして元レイダーだ。」

「レイダーってのは君達が言うところの………」

 

 

 

 

 

 

「…アウトローさ。」

 

 

 

 

 

「「「「「!?!?!?!?」」」」

 

便利屋一同はその名を聞いて絶句した。

オズワルド…その名は先生がもう会えないと言った友人の名だった。

その先生の友人が目の前に、信じ難い真実がそこにあった。

 

「な、ななななななななっなっっ……!!!」

 

 

 

 

 

「何ですっってえええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!」

 

 

 

 

 

アルは店全体が振動する程の声量で叫んだ。

 

 

彼女の人生一番の「何ですって」だった。

ここまでくるとパチスロの確定演出といい勝負だろう。

そのせいもあってオズワルドはその様子にぎょっとする。

 

「ず、随分とたまげるんだな……。」「耳がキンキンする…」

 

オズワルドは若干引いていた。

 

「そりゃたまげるでしょ…。」

 

「オズワルドってたしかターキン先生の友達って……」

 

「何……?」

 

カヨコの言葉にオズワルドが食いつく。

 

「ターキン、今そう言ったか。」

 

「う、うん。」

 

「アイツがいるのか、ここに?」

 

「今は多分アビドスに居ると思うけど……。」

 

「そうか……そうかぁ……!!!」

「あの時からずっと……いたんだ……」

「ここに………ッ!!!」

 

 

返事に感嘆が籠る。

 

「ならなぜ連絡の一つもよこさない!?こちとらどんな思いで…!!」

「でも俺も今日まであいつがここにいるの知らなかったし……」

「はぁ…変だな?」

 

「……っていうかあなたもシャーレの先生なの?」

 

「ああ、なぜかそういうことになってた。」

 

「なぜかって、普通いきなりなるものじゃないでしょそういうのって!」

 

「俺もそう思う。」

 

と、突然の登場で全員困惑していたが……

 

「こ、この人が……本物のアウトロー………!!」

 

アルの目はとてつもなく輝いていた。

それはもう先のダイハーズの時の比にならないくらいキラッキラだった。

なんなら少し物理的に光ってた。

 

「元だけどな、もうそこからは足を洗ったんだ。」

 

「あら、そうなの……どうして?」

 

「俺は大事なものを見失ってた。本当に愚かだったよ。」

「それを見つけたから、こうしてここにいる。」

 

「まあそんな湿っぽい話を聞きたかった訳じゃないだろ。どうだ、俺がアウトローしてた頃の武勇伝なんてのは?派手なことからばかばかしいことまで色々あるぞ?」

 

「すっごく興味あるわ………!!」

 

「それじゃあ何から話してやろうか……。」

 

彼が話のネタを選んでいると……

 

 

ヒューーーーー………

 

 

 

外から何かが空を切る音がした。

 

「………ッ!!」

「爆撃だ!全員伏せろ!身を隠すんだ!」

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!

 

 

 

 

紫関ラーメンは無惨にも爆破された。

 

 

 

対策委員会がこの事態に気が付くのは直ぐのことだった。

 

 

 

「半径10km圏内で爆発を感知!近いです!」

 

「10㎞……市街地か!」

 

「…まさか襲撃?」

 

「この波形………間違いない、迫撃砲だ…!!」

 

「C4の連鎖反応も確認。一体何が起きて………?」

 

「攻撃された場所は…マップを拡大してくれ。」

 

「はい…。」

 

「………ここって…!!」

 

「紫関ラーメン……!?なんであそこが!」

 

「現状これはアビドスへのテロ行為と見られる。」

「CODE:R.E.D.!!」

 

 

ビーッビーッビーッ!!

 

ターキンは直ちにCODE:R.E.D.を発令し大量の警備ロボットを緊急出動させた。

 

「全員装備を整えろ。アヤネ、ホシノに連絡を。」

 

「わかりました!」

 

「大将……」

 

セリカは柴大将の身を案じていた。

 

「心配するな、必ず助ける。」

 

「…うん!」

 

一行が現場に向かっている中、爆心地ではというと………。

 

 

「ゴホ、ゲホォ!ちょ、ちょっとなんなの!?」

 

「うわぁ、店が跡形もなく消えちゃった…。」

 

「ぐぅ…皆、無事か?」

 

「オズワルド先生は平気なの?」

 

「オズでいい、俺は…うう!少しあばらが折れたか……まあいいか、治るし。」

 

「良くないよね。」

 

「怪我してる人間の発言とは思えないんだけど!?」

 

「どどどどうしましょう、死にましょうか?いや死にましょう死ぬしかありません!」

 

「死ぬな、マジで。」

「とりあえず何が起きてるのか確かめないと…。」

 

「うぅ………。」

 

「大将!?柴大将!!畜生、なんてこった!」

 

オズワルドは柴大将が吹き飛ばされた店の瓦礫の下敷きになっていたのを見つけた。

 

「瓦礫をどかさないと…しかし………ぐぅ!!重いッ………!!」グググ…

 

「………うぁ…。」

 

「……クソ……ターキンならこんなもん直ぐにどかしちまうのに…!」

「グッ!……ガアアア!!」

 

なんとかどかそうと力を振り絞るも瓦礫はびくともしなかった。

重機かパワーアーマーでも持ってこない限り持ち上げるのは不可能だろう。

 

「……やむなしか…。」

「おい便利屋!依頼だ!大将を頼む!」

「報酬は必ず払う!後は任せたからな!絶対に死なせるなよ、いいな!」

 

 

オズワルドはそう依頼を残し爆風の中へ消えていった。

 

 

「ええぇっ!?ちょちょ、急にそんなっこと頼まれても!!」

 

「でも依頼されちゃったし……。」

 

「ええい!こうなったらなるようになれよ!」

 

 

 

 

その後、直ぐにそこにセリカ達がやってきてその異様な状況に唖然とした。

 

 

 

 

 

 

 

「べ、便利屋!?こんなところで何してるのよ!」

 

「見ればわかるでしょ大将さんを助けてるの!」

 

そこにはアルが雇った傭兵達が瓦礫を持ち上げようと奮闘する姿があった。

 

「もう一回いくぞ!せーのっ!」

 

グググググ……

 

「ぐぬぬぬぬ!!」

 

 

 

「っはぁ……ダメだ、全然動かない。」

 

 

「もしかして、あの爆発あなた達の仕業?」ギロッ

 

「ち、違うわよ!普通にラーメン食べてたら突然攻撃されたの!!」

 

「それにしても、…ダメね、ピクリとも動かないわ。」

 

「瓦礫を爆弾で吹き飛ばしましょうか?」

 

「よせ、危険すぎる。」

「ここは救助のプロフェッショナルに任せてくれ。」トンッ

 

彼は瓦礫に上り丁寧かつ手早く残骸の撤去を始めた。

 

「傭兵達、どかした瓦礫を向こうの邪魔にならないとこに置いてくれ!」

 

「「「はーい!」」」

 

彼の作業にはレスポンダーで培った人命救助のスキルが遺憾なく発揮され、次々に瓦礫が撤去されていった。

結果、救助を開始して数分と経たずして大将は救出された。

 

 

「よいしょっと。」

「大将。」

 

「うぅ、あいたた、あんがとな先生、おかげて助かったよ。」

「でもまさか自分の店に押しつぶされそうになるたぁな………。」

 

「………。」

 

「立てますか?」

 

「それが、瓦礫に挟まれたときに左足をやっちまったみたいでな…一人ではどうにも。」

 

「そうですか……それじゃあ――」

 

「保安と奉仕に努めます。」ガション、ガション

 

丁度いい瞬間に通りすがりのプロテクトロンがやってきた。

 

「おっ、ナイスタイミング!」

「E-651-B1、大将が怪我をしてる。シェルターまで肩を貸してやってくれ。」

 

「了解しました。さぁ、掴まってください。」

 

「お、おう…。」

 

ガション、ガション、ガション……

 

 

こうして柴大将の救出に成功。彼はプロテクトロンの介助を受けながらシェルターへ避難した。

その直後北の方角から銃声が響く音がした。

 

ドドドドドドドドド!!

 

ゴォォォォォォ………ッ!!!!

 

「セキュリティチームが接触したか。」

 

『急ぎましょう!!』

 

「便利屋、お前たちも来い。」

 

「はぁ!?なんで私達まd…「後ろ、見てみろ。」

 

「へ?」

 

ニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブニブ……

 

 

便利屋達の背後には3機のセントリーボットと4機のアサルトロンが控えていた。

 

「「「「ヒェッ………。」」」」

 

「その…すまないが拒否権はないと思ってくれ。」

 

便利屋達も渋々ついていくこととなった。

余談だが、傭兵達は柴大将の救助の後、定時で帰った。退勤時間には厳しかった。

 

 

 

 

 

 

―───────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

ドオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

「うわぁ!?」

 

「砲撃だ!姿勢を低くしろ!」

 

『3㎞先に擲弾兵を多数確認!50mm迫撃砲です!標的は……便利屋?』

 

「はぁ!?なんで私達が狙われるのよ!」

 

「アルちゃん、理由ならいくらでもあると思うよ?」

 

『兵力の所属、確認できした!所属はゲヘナ風紀委員会!一個中隊の規模です!』

 

「ゲヘナ……?ゲヘナァ!?」

 

「うちの風紀委員会じゃん…。」

 

 

 

ウェイストランド級の波乱な展開がターキンを待ち受けていた。

 

 

 

 




FOで使用されてる楽曲って世界観の都合上、古い曲が多いからJASRACのページで見つからなかった時どうしたらいいんだろ……良い曲なのに…orz

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