Fallout76 -once in a blue archive-   作:egguimen

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続きです。
今回は会話メインです。
そしてターキン先生はあることを決断をするようです。


Get close the truth

 

 

翌朝、アヤネとセリカとターキンは市内の病院に足を運んでいた。

 

 

「こんにちは、大将。お見舞いに来ました。」

 

「大将、大丈夫?」

 

「やあ、セリカちゃん。それにアヤネちゃんも。こんな早い時間からありがとう。」

 

「足の具合は如何ですか?」

 

「ああ、先生まで。大丈夫大丈夫、お陰様で大事にはならなかったよ。」

 

「でも……大将のお店が……。」

 

「ああ、バイトできなくなっちゃってごめんな、セリカちゃん。」

 

「そういう問題じゃないわよ……。」

 

「そもそも、もうすぐお店も畳む予定だったからな。予定がちょっと早くなっただけだ。」

 

「……!?!??!!!!」

 

ターキンは雷が直撃したような衝撃に襲われ絶句した。

 

「え?お店を……?」

 

「ああ、ちょっと前から退去通知を受け取っていてね。」

 

「退去通知……?まさか……。」

 

「た、退去通知って、何の話ですか?アビドス自治区の建物の所有者は、アビドス高校で………。」

 

「……そうか、君達は知らなかったんだな。」

 

「………何年か前、アビドスの生徒会が借金を返せなくて、建物と土地の所有権が移ったんだ。」

 

「えっ!?」

 

「う、嘘!?アビドスの自治区なのに!?じゃあ今は一体だれが!?」

 

「……カイザーか?」

 

「ああ、確かそんな名前だったと思う。……悪いな、あまりはっきりと覚えてねえんだ。」

 

「そんな……でも、そういうことなら………。」

 

「セリカちゃん、先生。お二人は先に学校へ戻っていたください。私は確認したいことがあるので、ちょっと別のところに寄ってから行きます。」

 

「ん、何のこと?よくわからないけど……私も一緒に行く!」

 

「では、先生は教室に戻っていてください!私たちも直ぐに戻りますので!」

 

「ああ、私も伝えておかなければいけない事がある。また会おう。」

 

「大将、まだ引退とか考えないでよ!分かった!?」

 

「お、おお……あっ、そうだセリカちゃん最後に、お店のところにお金が入った妙なカバンがあったんだけど、何か知ってるかい?」

 

ああ、便利屋達が置いていったのか……今度礼をしないとな。

今はあの子達の意を汲もう。

 

「お店の再建のために使ってやってください。」

 

「お、おお?」

 

「セリカちゃん、行こう!」

 

「うん!どこに行くのか分かってないけど……先生、また後でね。」

 

二人が病室を出た後、俺もそれに続こうとしたが。

 

「なあ先生。」

 

「…何でしょうか?」

 

「俺の店吹っ飛ぶ前によ、あんたの友達が来てたんだ…なんて言ったっけな………。」

「そう、オズワルドとか名乗ってたよ。」

 

「……そうですか。」

 

「…良かったな、先生。」

 

「ええ。本当に……。」

 

そうか……オズワルドも、ここに来てたか。

そこに居合わせなかったのが少し残念だが、まあ………また会えるさ。

便利屋達があそこで大将を助けようとしたのも、アイツが依頼を出したからだろうな。

まあ、あの子達はそんなことしなくても助けただろうが…。

 

「一緒に大将のラーメン……食いたかったな…。」

 

去り際に何気なく、そんな言葉が無意識に漏れ出てしまった。

 

「………ッ!」

「……はははっ…。」

「ターキンさんといいオズワルドさんといい、二人とも本当に美味そうに俺のラーメン食ってくれてたもんな…。」

「早く怪我、治さねぇとな。」

 

「……ええ。お願いします。」

 

「…行く前によ、俺からも一つ頼んでもいいか?」

 

「勿論。大将の頼みというなら。」

 

「そうか……。」

「………あの子達の事、どうか助けてやってくれ。」

 

応えは既に決まっている。

 

「当然。それが仕事ですから。」

 

俺はあの子達の先生……そして、アパラチアのレスポンダーだ。

助けを求められたら、応えるのが俺の責務だ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

その後程なくして俺はアビドスの校舎に戻った。

 

「あれ、先生?」

 

校門でノノミと会った。

 

「やあ、ノノミ。」

 

「思ったより早かったですね☆」

 

「ノノミこそ。まだ日7時になったばかりだぞ。」

 

「はい、ちょっとセバスチャンさんやロボットの皆さんと掃除を。私もなんだか、じっとしていられなくて……。」

 

「大将は、大丈夫でしたか……?」

 

「まあ体の方は心配ない。怪我の治療も済んでいた。」

 

場合によってはスティムパックを差し入れようとも考えてたが、あの様子なら問題なさそうだ。

 

「………そうでしたか、それは良かったです☆」

 

「この目でご無事を確認したい気持ちもありましたが、大勢で押しかけるわけにもいきませんからね……。」

「落ち着いたら、シロコちゃんとホシノ先輩と一緒に伺うとしましょう。」

 

「それがいい。」

 

「でも「体の方には」ということは……」

「それ以外のところで、問題があった……ということでしょうか?」

 

「察しがいいな……。」

 

「あはは……何となくそう思っただけです。」

「セリカちゃんとアヤネちゃんと一緒だったはずなのに、戻ってきたのが先生だけでしたので……何か理由があるのかな、と。」

「………気になりますが、今はその時ではありませんね。また後ほど、みんなで集まった時にでも教えていただけると嬉しいです。」

 

「もとからそのつもりだ。これはとても大事な話だからな……。」

 

「「………。」」

 

「まだそんなに経ってないのに……思えば、先生がいらっしゃった頃から、急激に色々なことが変わった気がします。」

「もちろん、たくさんの良いことが、嬉しいことがありました。初めて顧問の先生ができて、ヘルメット団も追い払うことができて……」

「補給も確保できて、色々な問題を乗り越えることができました。」

「なのに………。」

「次々に色んなことが、私達の前に立ちはだかって……。」

「ヘルメット団、便利屋、風紀委員会………それに、カイザーコーポレーション……。」

「次は、何が来るのでしょうか……。」

 

「「………。」」

 

「すみません、暗いお話しをしてしまいました。それでも私たちはアビドスのために進むしかありませんし……先生も、一緒にいてくださいますよね?」

 

ノノミの言葉はどこか自分にそう言い聞かせているようで、不安が拭いきれていなかった。

 

「…例え何があっても君達を守る。」

 

この子たちは今までこの学園の為に犠牲を払いながら戦ってきた。青春、時間、財産……それらの対価を払いながら今日まで進んできたんだ。ではその努力は?

 

いつ報われる?そもそも報われるのか?

 

報われぬというのなら………俺が報いらせるしかないだろう。

でなければ……俺が故郷でしてきた努力も…全部水の泡だ。

 

その俺の答えに、ノノミははにかんだ。

 

「ありがとうございます!先生にそう仰っていただけると…とても心強いです。」

 

「ノノミ、先生。」

 

「あ、シロコちゃんも早かったですね?」

 

「うん……ホシノ先輩は?」

 

「ホシノ先輩は多分、また学校のどこかでお昼寝の最中かと……。」

 

「……そっか。」

 

「………。」

「………先生、大将の容態は?」

 

「大将は、体の方は無事だったそうです☆」

 

「そのうち元気になるさ。」

 

「……ただ、それとは別に色々とあるそうでして。」

「皆が集まったら、あらためてその辺りのお話を聞いてみましょう。」

 

「……うん、わかった。」

 

シロコ、何かに苛立ってる…?いや、どちらかと言えば焦燥の様にも………。

 

「じゃあ、先に入ってるね。」

 

「……?シロコちゃん、なんだかちょっと……」

 

「気づいたか。」

 

「先生もですか?」

 

「よくわからないが、何かに焦っているような………。」

 

「はい…気のせいだと良いのですが……。」

 

何かひと悶着ある気がする。

ややこしいことにならないといいが………。

 

「……中に入ろう。なにやら様子がおかしい。」

 

「は、はい!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ドンッ!バタンッ!

 

 

入ってそうそう何かを叩きつける音がする。

 

(やっぱりか…!)

 

「いたた……。痛いじゃ~ん、どしたのシロコちゃん。」

 

「……いつまでしらを切るつもり?」

 

どうやら何やら問い詰めてるらしい。

ノノミは突然の出来事に目を丸くした。

 

 

「!!?」

 

「はぁ…。」

 

「今の音は……!?」

 

「向こうだ、行こう。」

 

教室の近くまでくると二人の会話ははっきりと聞こえてくる。

 

「うへ~、何のこと言ってるのか、おじさんにはよく分からないな~……?」

 

「……。」

「………嘘つかないで。」

 

「嘘じゃないって~……ん?」

 

「シロコ、その辺にしておけ。」

 

「先生……。」

 

「ホシノ先輩!シロコちゃん!?どうしたんですか!?」

 

「……事情を聴いても?」

 

「ん、その……。」

 

「……ホシノ先輩に、用事があるの。」

 

「物騒な用事だな。」

 

「「………。」」

 

「……悪いけど、二人きりにして。」

 

「断る。」

 

「右に同じです☆」

 

「………。」

 

「対策委員会に、「二人だけの秘密♡」みたいなものは許されません。」

「何といっても、運命共同体ですから。」

 

「でも……。」

 

「ですので、きちんと状況の説明もしてくれない悪い子には……。」

 

「お仕置き、しちゃいますよ?」

 

「う、うーん」

 

少くなくとも彼女のお仕置きはキヴォトスの人間である彼女でもきついらしい。

………想像したくないな。

 

「……えっとねえ、」

 

「……実は、おじさんがこっそりお昼寝してたのがバレっちゃったんだよね~。<嘘>」

「私の怠け癖なんて、今に始まったことじゃないとは思うけど、おじさんもここ最近ちょ~っと寝すぎだったかも。まあ、それで少しばかり叱られちゃったのさ~。」

 

(なんとも苦しい言い訳だな……。)

 

無論、彼女が言ったことはその場を凌ぐための嘘だろう。

彼女の常習的な『昼寝』でシロコがあそこまで過剰に反応するとは思えない。

もしそうなら、この間の風紀委員会の段階でもう手が出てるはずだ。

 

シロコはホシノの何を見たんだ……?

 

「あ、う、うん……。」

 

(シロコめ、口裏を合わせだしたな。)

 

「にしたって、そんなに怒らなくてもいいのに~。シロコちゃんは真面目だなあ。」

「ま、人にはそういう時もあるよね~。そろそろ集まる時間だし、行こっかー。」

 

ホシノはそそくさと教室を出る。

 

「ん……。」

 

シロコもついって行った。

 

「……ノノミ、大丈夫か?」

 

「はい、私は大丈夫です。……何か、言いたくない事があるみたいですね。」

「……ふぅ。」

 

「仕方ない、誰しも言えない事の一つや二つあるもんだ。」

 

かくいう俺も故郷の事は話さないようにしている身だ、あまり人のことは言えない。

 

「そうですよね……。」

 

「私たちも行きましょうか。そろそろみんな帰ってきてるかもしれません。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

その後いつもの教室に戻ったが、そこでは非常に気まずい空気が流れていた。

 

「「「「………。」」」」

 

ドタドタドタドタ!

 

「!」

 

沈黙も束の間、アヤネとセリカが戻ってきた。

とても慌ただしい様子だが。

 

「先輩たち、大変!!これ見て!」

 

「アビドス自治区の関係書類を持ってきました!これを…。」

 

アヤネの資料を広げようとする手が止まる。

 

「……?」

 

「……あれ?」

 

何か様子がおかしいことに気づいたらしい。

 

 

「「「………。」」」

 

「………な、何、この雰囲気?」

 

「何かあったんですか……?」

 

「とりあえず今は問題ない。お帰り、二人とも。」

 

「……うん、ただいま?い、いやそれよりも!」

 

「そうだな、何があったんだ?」

 

「そう、とんでもないことが分かったの!」

 

「はい、衝撃の事実です……!皆さん、まずはこれを見てください!」

 

そう言いながら資料を机一杯に広げる。

ホシノはその資料の中であるモノが真っ先に目に入った。

 

「ん~、これって地図?」

 

「直近までの取引が記録されている、アビドス自治区の土地の台帳……「地籍図」と呼ばれてるものです。」

 

「ふむ。」

 

地籍図か……議事堂の資料室にもあったな。

アパラチアの一部の土地がVault-tecに買収されていた記録が……。

 

大将の話、そして目の前の地籍図により今までアビドスの自治区と思われていた土地は「他の者」の所有地となっていたことが明らかとなった。

 

シロコやノノミをはじめ、3年のホシノですらその事実に驚きを隠せなかった。

 

そしてその土地の所有者と言うのが……

 

「カイザーコンストラクション……そう書かれています。」

 

「………!!」

 

「そんな……!?」

 

「………っ!?」

 

「は~………。」

 

コンストラクション……ってことはカイザーの建設事業関連を受け持ってるわけか……。

土地も立派な資産だ、債務者の中には金が用意できないなら土地を売るという選択をする者も少なくはない。

それを受け持つのがこの企業なのだろう。

 

「"カイザー"コンストラクション……またカイザー社の系列企業が絡んでるな。」

 

「それじゃあアビドスの自治区は、カイザーコーポレーションが所有してるってことですか……!?」

 

「……紫関ラーメンも?」

 

「そうだ。」

 

「……大将はそのことを知っていて、かなり前から退去命令も出ていたとかで。」

 

「そんなことがあったものだから元々店を畳むことを決めていたそうだ……「いつかは起きるはずだった」とな。」

 

「……。」

 

「……!?」

 

「どういうこと……!?」

 

「……既に砂漠化している旧アビドス高校本館、その周辺数万坪の荒れ地。」

「その上、市内の建物や土地も……。」

「所有権が渡っていないのは、今使っているこの校舎と、一部の周辺地域のみ……か。」

 

「で、ですが、どうしてこんなことに?学校の土地を取引だなんて、普通できるはずが……。」

 

「いったい誰が、こんなことを……。」

 

「……アビドスの生徒会、でしょ。」

 

「だろうな。」

 

「……!」

 

「学校の資産の決議健は、生徒会にある。それが可能なのは普通に考えて、その学校の生徒会だけ。」

 

「……はい、その通りです。取引の主体は、アビドスの前生徒会でした。」

 

「そんな……アビドスの生徒会は、もう2年前に無くなったはずでは……。」

 

「……はい。ですので、生徒会がなくなってからは、取引は行われていません。」

 

「そっか、2年前……。」

 

「何やってんのよ生徒会のやつらは!」

「学校の土地を売る?それもカイザーコーポレーションなんかに!?」

「学校の主体は生徒でしょ!?どうしてそんなこと……っ!!」

 

「セリカ、君の怒りは理解できるがとっくに無くなった生徒会にぶつけても仕方がない。」

「少し気持ちを落ち着かせろ、ほら深呼吸だ。ほら吸って?」

 

「すぅー………」

 

「吐いて。」

 

「はぁー……。」

 

「よし、今の気分は?」

 

「………少し落ち着いた。」

 

「グッド。」

 

やっぱり深呼吸は効果的だ。リンもやれば良かったのに……

 

と、のんきなことを思っていたが今この学校で発覚している事態は極めて重大だ。

ノノミもそれを理解しているために無用な自省をしてしまっている。

 

「……こんな大事なことに、ずっと私たちは気づかないまま……。」

 

それぞれの学校の自治区は、学校のもの。

それはあまりにも当たり前のこと過ぎていて、それ故に借金にばかりに気を取られ、気づけなかった。

と、アヤネたちは反省していた。

 

アヤネも自身にありもしない負い目を感じてしまう程だった。

しかしそれをホシノが彼女が気にすることじゃないと諭す。

 

「……これは対策委員会ができるよりも前のことなの。」

 

「ホシノ先輩…何か知ってるの?」

 

「あ、そうです!ホシノ先輩も、アビドスの生徒会でしたよね?」

 

「そうか、ホシノは今3年生だもんな。」

 

だから生徒会について知ってても辻褄があう訳だ。

 

「それに……最期の生徒会の、副会長だったと聞きました。」

 

とはいっても、ホシノ曰く2年前に彼女が入った時にはほとんどの生徒会がやめていったという。

その時は在校生も二桁、教職員もなし。授業なんてものはもう正常に行われていなかったと……。

 

「生徒会室も、そうと言われたらただの倉庫にしか見えないところだったし、引き継ぎ書類なんて立派なものは一枚もなかった。」

「丁度砂漠化を避けようとして、学校の建物を何度も移してた時期だったってこともあってね。」

「そもそも最後の生徒会って言っても、新任の生徒会長と私の二人だけだったし。」

 

「………!!」

 

その新任の生徒会長が………ホシノの……!!

 

「……その生徒会長は無鉄砲で、会長なのに行内でも随一のバカで……私の方だって、嫌な性格の新入生でさ。」

「いや~……何もかもめちゃくちゃだったよ。」

 

「校内随一のバカが生徒会長……?何それ、どんな生徒会よ……?」

 

その一言でセリカは物凄い飛び火を受けた。

 

「成績と役回りは別だよ、セリカ。」

 

「そもそも、セリカちゃんも成績はそんなに……。」

 

「わ、分かってるってば!!どうして急に私の成績の話になるわけ!?ツッコんだだけじゃん!?」

 

今度、INT1でもわかる授業とかやってみようかな。

 

そして語られた、ホシノと『先輩』の過去。

 

「うへ~、いやいや、正にセリカちゃんの言う通りだよ。生徒会なんて肩書だけで、おバカさん二人が集まっただけだったからね。」

「何の間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって……いや~、あの時はあちこち行ったり来たりだったねぇ。」

 

「ほんっとバカみたいに、なんにも知らないままさ……。」

 

その一言を呟いた時のホシノ目が、俺に湖での出来事を想起させる。

徐々にだが、俺は彼女の抱えている過去への真相に近づいているようだ……。

もう少し、もうあと少しなんだ。

 

「……。」

「ホシノ先輩……。」

「……ホシノ先輩が責任を感じることじゃない。」

「昔の事情は知らないけど、実際に生徒会が解散になった後……アビドスに対策委員会ができたのは、間違いなくホシノ先輩のおかげ。」

 

「う、うん……?」

 

「……ホシノ先輩は怠け者だし、色々とはぐらかしてばっかりだけど……」

「でも大事な瞬間には絶対に誰よりも前に立ってる。」

 

「そうです。セリカちゃんが行方不明になった時、真っ先に先生に助けを求めたのもホシノ先輩でしたし…。」

 

「私、それ初耳なんだけど!?なんで教えてくれなかったの!?」

 

「……うへ~、そうだっけ?よく覚えてな――」

 

そして気恥ずかしさからか、お茶を濁そうとするホシノに待ったをかけるようにターキンは言う。

 

「そうだな、いつも君が先陣を切っていた。」

 

「ん、ホシノ先輩は色々とダメなところもあるけど、尊敬はしてる。」

 

「それって誉め言葉なの?悪口なの……?」

 

「褒めてるさ。」

 

あんなひと悶着もありセリカはツッコむが、それでもシロコはシロコなりにホシノを褒めている。

 

「ど、どうしたのシロコちゃん!?急にそんな青春っぽい台詞を……!」

「おじさんこういう雰囲気、ちょっと苦手なんだけど!?」

 

「……や、なんとなく、言っておこうかなと思って。」

 

「え、えぇ……?」

 

「いいじゃないか、偶にはそんな瞬間があっても……。」

 

「ま、まあそれはそうかもだけど……。」

 

「……。」

 

少し空気も和んだことでノノミが話題を切り出す。

それは「どうして前生徒会が自分達の土地をカイザー社に売り渡したのか」ということ。

 

「ん、実は裏で手を組んでたとか。」

 

「いえ……それは違うと思うます。」

 

「そうだね~。私もしっかり関わってないからただの推測だけど……ちゃんと学校のためを思って、色々と頑張ってた人たちだったんじゃないかなーって思ってる。」

 

「だろうな、でなければ。とっくにアビドスの名はキヴォトスの地図から消えてる筈だ。」

 

「先生はどう思う?」

 

「大方、借金で首が回らなくなったところをカイザーの口車にまんまと乗せられたんだろう。」

 

「やっぱそうなるよね~……。」

 

「借金の為に、土地を……。」

 

「まあ土地っていうのは状態や広さにもよるが大体は相当の価値がつく。」

「しかしここはな…。」

「こんな事を言ってしまうのは失礼かもしれないがこんな砂だらけ廃墟だらけの土地を買っても……」

 

「そうですよね、借金を返すためとはいえアビドスの土地を売っても高値がつくとは思えません、だから借金を減らすには至らず……。」

 

「それで、繰り返し土地を売ってしまう負の循環に……ということでしょうか。」

 

「何それおかしくない?それじゃ最初からどうしようも「そういう手口もあるってことだ。」え?」

 

「しかし何とも質の悪い罠に嵌められたものだな……。」

 

「あ~……そういうことかぁ。」

 

「アビドスに貸したのも、カイザーコーポレーション。」

 

「ということは……」

 

「最初から払えないぐらいの融資をして、利子だけを払い続けられるように土地を売るように仕向ける。」

 

「地籍図どこの帳簿の記録を照らし合わせると最初は砂漠化した土地や廃墟から売ってる。」

「本人たちからすれば元々使い道がない場所だから断る理由もない。」

「しかし使い道がないのは向こうも同じ、結果安値で売られ借金は減らず終い。」

「借金は増えていくのに対し土地は減る一方。最終的にはアビドスそのものがカイザーのものになる……。」

「流石は多くの事業を受け持つ企業だな、もともと長期を想定していたとすれば随分とよくできたシナリオだ。」

「相手が学校っていうのは悪趣味と言わざるを得ないが……。」

 

そんな事を

 

「何それ!?ただただカイザーコーポレーションのやつらに弄ばれてるだけじゃん!」

「生徒会のやつら、どんだけ無能なわけ!?こんな詐欺みたいなやり方で騙されt「落ち着け。」ッ!!」

 

「先生……?」

 

「セリカ、それは違う。」

「怒りを抱くのは構わないが、向ける相手を間違えるな。」

「悪いのは騙されることより、騙すことだ。」

 

ウェイストランドじゃ騙される方が悪いとよく言われたものだがアレは無理を通して道理を引っ込めてしまった結果だ。ここでも同じにしてしまう訳にはいかない。ここは、違うんだ……。

 

「……わ、私もそんなこと分かってるわよ!た、たまにゲルマニウムのブレスレットとか買ってたりするし…。」

「下手したらここの誰よりも分かってる!悪いのは騙した方だってことは!」

「でも………。」

 

ぐうっと堪えるように心情を吐露する。

 

「悔しい、どうして……。」

「ただでさえ苦しんでいるアビドスに、どうしてこんなひどいことを……。」

 

「………。」

 

セリカは実に感情を読み取り安い子だ、その分彼女が感じている負の感情も痛いほど分かってしまう。

しかし連中からしてみればそんなことは知った事ではない、ただ都合のいいカモがいたから狩ったまで。

胸糞が悪い話だがそれが現実だ。

 

「切羽詰まると、人は何でもやっちゃうものなんだよ……。」

 

「それで私みたいになるんだ。(ボソッ)」

 

「え。」

 

「よくある話って事だ、気にするな。」

 

とにかく、今日。このアビドスって起こっていることのすべてが繋がり始めた。

ヘルメット団の襲撃の理由、カイザーの暗躍、徐々に消えていく彼女達の居場所………

カイザーの狙いは最初からかこの自治区だった。

そして最後に残る疑問は……

 

「何故カイザーコーポレーションはアビドスの土地を欲しがってるんでしょうか……。」

 

「それに関して、皆の耳に入れておいて欲しいことがある。」

「実は風紀委員会が撤退していくときにヒナから聞いたことが……。」

 

俺はカイザーがあの場所で何かを企んでいることを話した。

 

「そんな情報をどうしてゲヘナの風紀委員長が……。」

 

「それに、どうしてその話を先生に……?」

 

「私も詳しくは知らないが友人が世話になった礼……っということらしい。」

 

「それじゃあやることはもう決まりね!」

「アビドスの砂漠はうちの自治区なんだから!何を企んでるのか知らないけど、そんなの実際に行ってみればいい!」

「何が何だか分からないけど、この目で直接確かめた方が早いって!」

 

「…。」

 

「……ん、そうだね。」

 

「……いや~、セリカちゃん良いこと言うねえ。こんなにたくましく育ってママは嬉しいよ、泣いちゃいそう。ティッシュちょうだい。」

 

「……。」

 

「な、何よこの雰囲気!?私がまともなこと言ったらおかしい訳!?」

 

「………。」

 

彼女達が真実に向かって歩みを進める度、俺はあること頭を悩ませていた。

俺の過去について………。

彼女はアビドスの砂に埋もれた過去を掘り起こして、今起きているすべてに決着をつけようとしている。

だが俺はどうだ?俺はカイザーに向けられた疑問の答えを友に探してきたが、一方で俺に向けられた疑問は探ることを憚りさえした。果たしてそれでいいのだろうか……それが本当に、彼女達の為なんだろうか………。

むしろ、真実に向かう為にも、話しておくべきなのかもしれない。

例え話した結果どうなっても……すべきだろう………。

 

「それじゃあ、アビドス砂漠に向かうための準備を――」

 

「いや、少し待って欲しい。」

 

「「「……?」」」

 

「もう一つ、君達には話しておかなければいけない事がある。」

 

「ど、どうしたの先生?改まっちゃってさ。」

 

「これは、お互いにとって重要な事だ……。」

「……私のこの顔についてだ。」スッ

 

「「「!!!!!」」」

 

自分のマスクに触れながらそう言った途端、皆眼の色が変わった。

 

「顔って、それてつまり………。」

 

「その傷跡ができた理由…つまり過去と言うことですね。」

 

「そうだ。」

 

「私たちもあえて聞かないようにはしてたけど……またどうして?」

 

「生徒達がことの真実に迫りつつあるのに、自身は隠し続けていては示しがつかないと思ったからだ。」

「どうかよく聞いて欲しい。」

 

「……。」

 

そうして語られる、彼の人生。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

マスクを机に置き、俺は縫い付けた口をなぞりながら解いた。

 

「まず最初に、私はこの世界の人間じゃない。」

 

「は!?」

 

「しょっぱなだね?」

 

「まあ、キヴォトスはおろかキヴォトスの外でも見ないような装備もありますし。何となくそんな気もしてはいましたが………。」

 

「そうだな……でも驚くのはここからだ。」

 

「私は、その世界で……既に死んでいる。」

「恐らく、私の友も………。」

 

「えっ!?」

 

「………は?」

 

「えーっと、それはどういう……。」

 

「すみません、少し理解が追い付かないと言いますか……。」

 

「そうだな、ゆっくりと……説明しよう。」

「先ずは私の出身から………。」

 

「私の出身地は、アメリカ合衆国のウェストバージニア州。アパラチア山脈の中にあることから、アパラチアとも呼ばれていた。」

 

「わーっ!アメリカ人だったんですか!?」

 

「だから聞いてる音楽全部英語だったんだ……。」

 

「そのわりには日本語が流暢だけど?」

 

「それに関しては私も分かりかねてる。」

 

「それにしても随分遠くから来たんですね。」

 

「まあな、でも君達の知るアメリカとはかなり違うと思う。」

 

「そうですね、別の世界……ですもんね。」

 

「どんな感じなんだろ?」

 

「そうだな……。と言っても私もアメリカの景色は私も良く知らない……。」

 

「自分の出身なのに景色を知らない?」

 

「そんなことあり得る?地下で暮らしでもしてない限り景色なんて……」

 

「正しくだ。私は地下で生まれたんだ。」

 

「!?」

 

地下核シェルター「Vault76」

 

アパラチアのとある山に建てられたその核シェルターで、ターキン達は生まれた。

彼らは、故郷の美しい景色を知らない。

何故なら彼らの故郷アメリカは………核戦争で滅びたからだ。

 

2077年の10月23日の昼、眩い閃光と爆発、そして放射能がアメリカの大地を焼き尽くした。

最終戦争だ。

そこから生き延びた76のレジデント達の役目はただ一つ。

戦争から25年後に迎える再生の日を迎え、アメリカを再建する事だ。

 

25年、決して長い年月ではなかったが…戦争が残した傷跡を埋めるにはあまりにも浅い、浅すぎた。

 

大気中の放射能は問題ないが、水は汚染され、生き物が変異したミュータントが辺りを跋扈し、生存者たちの姿は見る影もない。

 

私はVaultを出てから暫く経った後、フラットウッズと言う町に向かった。

そこで再生の日を迎えるまでこの地で懸命にスコーチ達と戦い、市民を助けていた民兵組織、「レスポンダー」達の存在を知った。

彼らの理念は76の目的に通ずるものもあったが、私は何よりも彼らのその献身に胸を打たれた。

その意思を受け継ぐべく、俺もまたレスポンダーになった。

幸いにも手続きは自動化されていて、機械も稼働していたため正式なレスポンダーになれた。

最初の内は彼らがやり残したことを代わりにやっていた。

ロボットの整備、補給物資を要請できるように通信施設を修復したり、サバイバルガイドを作ったりもした。

 

だがそんなことをしているうちに、ある問題に直面した。

スコーチだ。

 

ミュータント多しというウェイストランドでも、この存在は飛びぬけて危険な存在だった。

 

スコーチ病と呼ばれるこの感染症は生物を狂暴なスコーチに変異させる極めて厄介な病気だった。

それが原因で、アパラチアに生存者はいなかった。

 

それを撲滅するため、私はレスポンダーの「ファイヤーブリーザー」に入隊した。

彼らはチャールストンと言う町の消防局で発足された「対スコーチ」専門の特殊部隊だった。

私のこの消防服は、そのファイヤーブリーザーの制服だ。

この服を着て、私はスコーチ達と戦ってきた。

スコーチだけじゃない、ミュータント、レイダー、グール、ロボット。

色んな敵と戦った。

全ては…故郷の為に。

 

そして…我々は広がり続けるスコーチ脅威を抑え込むために、再び故郷の大地に爆弾を落とした。

焦土作戦だ。

結果としてスコーチは絶滅はできなかったが、個体数を激減させた。

その甲斐もあり、人々が戻りそれぞれのやり方で文明の再建に取り掛かっていた。

 

それから数年後、私はあの焦土作戦を行った地域で未確認生物に腹を貫かれて死亡した。

 

「そうして気がつけば、私はこの世界で目覚めていて…先生になってた。」

「っというのが私の人生と私の身に起きた事の顛末だ。」

 

「「「………。」」」

 

皆の顔を見るとやはり驚いていたようだったが、どこか納得した表情だった。

 

「……先生の身にそんなことが…。」

 

「まるで映画みたいな話ですね……にわかには信じがたいです……。」

 

「通りで生徒相手に真正面からやりあう程肝が据わってたのね……。」

「でも、先生がそんな過酷な使命を背負わされないといけなかったなんて……。」

 

「いいんだセリカ。私にとっては寧ろ名誉だった。……今もな。」

 

「世紀末かぁ…それならそんな顔にもなっちゃうよねぇ。」

 

「故郷の事、心配じゃないですか?」

 

「気がかりではある。でも……私の無念は76の兄弟たちが晴らしてくれると信じてる。」

 

「レスポンダーが先生のお人好しの始まりだったんだねぇ…。」

 

「まあな。」

 

「それにしてもファイヤーブリーザーってカッコイイねぇ。」

「たとえ火の中水の中!!って感じがしてさ。」

 

「実際に火の中にも水の中にも飛び込んだ。あと放射能の中にも。」

 

「なんで生きてんの?」

 

「こう見えてしぶといんだ。」

 

レジデントは本当にしぶとい。しぶとさならラッドローチといい勝負だろう。(失礼)

 

「………さて。」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

俺の過去についてはもう話した、しかしまだ伝えられていない事がある。

俺の過去を知ったうえで、これは伝えないといけない。

 

「最初アビドスに来たのは、本当に偶然だった。」

「でもアビドスの事情を知ったとき。すぐにこれは私の使命だと思った。」

「居場所を守るため抗い続ける姿に、あの世界で戦い続けた自分達の姿が重なったんだ。」

 

その時、生徒達は先生が来た当初を思い出す。

 

「……私はかつて、仲間と共に故郷を救うため全身全霊を尽くして戦ってきた。」

「これは、その時にできたものだ。」

「そしてその過去を、今の君たちに重ねた…それだけだ。」

 

先生が自身について語ったことで、また新たに繋がった。

 

「………。」

 

「だから助けたかった。私と同じ無念を、君達に背負わせるわけにはいかない。」

「大人が犯した過ちで、子供たちが未来を奪われてはダメなんだ……!」

「……だから、君達には感謝してる。」

 

「……感謝?」

 

「そう、あの時もし……あの手紙がなかったら、大人を頼らなかったら……きっと私は君達の苦しみも知らぬまま、大事な生徒の未来を取りこぼしてしまうところだった。それは、悔やんでも悔やみきれない事だ。」

「あの手紙のおかげで、今日まで色んなことが繋がった。本当にありがとう。」

 

「先生……。」

 

「………。」

「さ、湿っぽい空気もこの辺にして、皆装備の準備をしておいてくれ。」

「カイザーのところに殴り込むぞ。」

 

「「「はい!」」」

 

 

 

次回「ジャンクと化したPMC」




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次回にはカイザーとレジデントの因縁が本格化していきます。
まじボコボコにしたるかんな(私怨)
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