Fallout76 -once in a blue archive- 作:egguimen
新章「Gleaming depths」遂に開幕!
要塞に突如現れた奇妙な鉱石、その正体は誰も予想できなかった恐るべきものだった!
それでは本編へどうぞ!
From homeland like hell
教師達は驚愕した。
「なっ……!?」
「そんなばかな……!!」
「いやいやありえねーだろ……ありえちゃいけねーだろ……!!?」
「なんで……なんでここにあるんだよっ!?」
「一体ここで……何が起きてるんだ…!!」
砂漠に生える悪夢に満ちた結晶が見せる景色は、これが現実だと受け止めるを難かしくしていた。
それは、レジデントが最も恐れるべき存在だったからだ。
事件は遡ること早朝……
ターキンはデスクに肘をつき、ため息を吐きながらある事に頭を悩ませていた。
「うーん、やっぱりおかしいな……。」
「何がだ?」
ペスコフはため息を吐く彼にその理由を尋ねた。
「それが…カイザー要塞の事で少し気がかりな事があるんだ。」
「ほう…以前に我々が徹底的に壊滅させたあの基地の事か、それがどうかしたのか?」
「ああ、あの跡地に監視施設を念のために設営しておいたんだが……」
「昨日の晩からから報告が一切なくてな……一日朝昼晩に様子を報告しておくようにプログラムした筈なんだが……。」
ターキンはあの廃墟にカイザーコーポレーションの関係者が立ち入れないよう、ロボットの見張りと連絡用の通信設備を置いていた。しかし昨日の夜を境に一切の音沙汰がなく、それが気がかりとなっていた。
「砂塵で、故障でもしたのだろうか…しかし事前に対策しておいたはず……うーん。」
「なるほど……確かに妙だな……。」
「何があったにせよ、この目で直接確かめる必要がありそうだ。」
「今からエドワード達と連絡して、現場に向かってみよう。」
「そうだな……何もないといいんだが…。」
そう祈るばかりだった彼の心配は……最悪の形で目の前に現れることとなった。
そして今に至る。
「なんで………なんで………っ!!」
「なんでここに!!ウルトラサイトがあるんだっ!!?」
=ウルトラサイト=
謎に満ちたこの鉱石は、戦後間もないアパラチアを襲った数々の事件と深い関わりを持っている。
それどころか諸悪の根源はこの奇妙さに満ちた鉱石にあると言っていい。
その起源は戦前まで遡る。
アパラチアの3大鉱業企業の一つであるAMS社は、とんでもない方法で採掘を行っていた。
それは……企業の頭文字でもある
この会社は、戦前の倫理観が欠落した企業の中でも別ベクトルにぶっちりぎりにぶっ飛んでいた。
何と彼らは…核爆発で採掘を行っていた。
鉱脈がある地点に適切な威力の原子力爆弾を設置、そして爆破。
まさに社名でもあるアトミック・マイニングに恥じないとんでもない採掘方法である。
そんな現実でやったら軍隊が動くレベルの所業を働いた結果、ウルトラサイトは誕生した。
AMS社はこれを新しいエネルギー源として注目し利用方法を模索していた。
それが戦後にとんでもない大病を蔓延させることになるとも知らずに。
ウルトラサイトは鉱石でありながら生物の様に増殖する性質を持ち、戦後もその数を増やしていた。
更には放射線を放つ放射性物質であり、核エネルギーを取り出すことができる。
この不気味な放射性の結晶体は、生物の自我を乗っ取り、小さなウルトラサイト結晶を生成し、最終的に石像に変わり果ててしまう恐ろしいスコーチ病を媒介する。
スコーチという名前は、その感染者の皮膚が火で焼かれたように爛れることから来ている。
だが幸いなことに、この忌まわしい病魔はある名医が遺したワクチンのおかげで予防することが可能になり、新規感染者は現在減少傾向にある。
ワクチンの元である血液サンプルはグールのものだった。
どうやらグールにはスコーチ病の病原体に対しても抵抗力を持っていたらしい。
今思えばそれを知ってフェラル化のリスクと引き換えに、自らグールになる事を選んだ者も少なからずあの山脈のどこかにいたのかもしれない。
しかしこのスコーチ病の正確な感染原は未だ不明である。
スコーチ化した生物はある種の
それは人型のスコーチが僅かな知性を遺しながら自己を「我々」と呼んでいることからもわかる。
何よりデスクローであれスーパーミュータントであれ、スコーチ化した生物は本来天敵であっても敵対することがなくなる事からもそれが裏付けられている。
それと余談ではあるが、スコーチは時折体が硬直した状態でその場を動かない場合がある。
原因は不明だが、中には末期症状である石化の前兆ではないかとの見解が一部ではなされている。
このスコーチに対して、ターキンは長年凄まじい憎悪を向けてきた。
視野に入れば戦闘を避けるどころかすぐさま脳天に銃弾を叩きこむほどだ。
知っての通り、ファイヤーブリーザーはスコーチによって昔一度壊滅している。
彼らが遺した意志を、ターキンが引き継いで復活させたのだ。
そして彼がファイヤーブリーザーの意志を継ぐきっかけは他でもない両親の死。
それにはスコーチの存在が深く関わっていた…最早それは因縁とすら言える。
両親はスーパーミュータントの手によって殺された。
これは実のところ半分正解であり、半分は間違いだった。
ダニエルとメアリーが殺されてしまったのは、ミュータントの奇襲を受けてしまったからだ。
ターキン達がサマーズビルを訪れたとき、そこには僅かな破壊の跡と壊れた建物しかなく、異様と思える程にとても静かだった。その静けさが…ゴッドフレイ一家を油断させた。
もし、クリーチャーが近くにいたのなら、必ず何かしら物音や鳴き声、うめき声が聞こえる。しかし奴らは違った、そのミュータントは突如建物から挙って現われ家族を強襲したのだ。
それが原因となって……ターキンの両親は亡くなった。
だがしかしこの出来事、実は不可解な要素が存在する。
もしそこにスーパーミュータントが居たのなら、やつらのやり取りが聞こえたはずなのだ。
「今日は何の肉を食う?人間か?」
「それより狩りに行きたい。」
そんな風に話し声がするはずなのだが、何故かそれらの声は一切しなかった。
最初から彼らがそこに来ることを知っていて、奇襲を仕掛ける為に息を潜めていたのでは?
そう考えることもできるだろう。しかしそれは誤りだ……。
スーパーミュータントは火器を扱うだけの知能はあるが、そんな戦略を練れるほどの知性はない。
この物語の真実はこうだ。
ミュータントは彼らが来るまで動かなかったのでなく、動けなかったのだ。
なぜならターキンと両親を襲ったミュータント達は……
既にスコーチと化していたのだ。
ターキンがそれを知ったのは、両親を失って3日後の事だった。
「奴らは一匹残らず…灰に還してやる……!!」
彼がファイヤーブリーザーに入ったのは単なる正義心などではなかった…。
その消防服には確かな善意もあったが…何より愛する人を奪われた者の復讐の念が宿っていた。
スコーチはアパラチアを襲った最悪の災厄であり、ターキンの宿命の宿敵だった。
そんな因縁を生みだした元凶が今、彼らの目の前にあると言う事実。
これがまた更に謎を呼び、教師達を混乱させた。
ウルトラサイトはAMS社によって誕生した鉱物だ。
それならば、アビドスの地下で核爆発かそれと同等の現象が発生しない限り存在する筈がないのだ。
だが、カイザーPMCが核兵器を保有していたという情報は存在しない。
恐らくは……生徒が閉じ込まれていた地下、その更に奥深くに真実がある筈だ。
奴等が「宝」を求めて掘り出したこの……
一刻も早くその「宝」を見つけ出さないと…キヴォトスでアパラチアと同じ惨劇が起きてしまう。
あの地獄を味わうのは、俺達だけで十分だ。
ジィジジッジジジッ……
ウルトラサイト結晶に近づくとpip-boyのガイガーカウンターが鳴り、RAD値を測定している計器の針が小刻みに揺れはじめた。
「毎秒約1RADか…。」
結晶からは微量の放射線が検出された。
微量とはいえ人体には猛毒であることは代わりない。
シャーレの顧問達は放射能がもたらす生徒への影響を憂慮した。
「鉛で囲っておいた方がいいな、危険すぎる。」
「早速取り掛かろう。」
レジデントはともかくキヴォトス人が致死量の放射線に晒されたら何が起きるか分からない。
教師達はものの数分で半径1㎞圏内を鉛製の防壁で隔離した。
「これでよし……。」
その後教師達はC.A.M.P.を設営し準備を整えいざ地下へと向かった。
生徒達が捉えられていた区画を抜けると、目の前にエレベーターがあった。
このエレベーターは恐らく宝さがしを行っていた場所に通じているのだろう。
試しにエドワードがボタンを押してみるが……。
「ま、ダメに決まってるか…。」
「あんだけぶっ壊したんだ。当然と言えば当然だな。」
「いや…そうとも言えん…見ろ。」
ペスコフは入口上部のモニターが微かに点滅しているのを見つけた。
「電力事態はどこかでまだ機能しているようだ。」
「だが発電設備は地上には先ずないだろう…それにこのエリアに電力系統を扱うエリアはなかった。」
「だとすれば……。」
グーンズが思案する横で、ターキンはある一点を見つめていた。
「もっと地下、だろうな。」
「……非常階段があった、そこから降りよう。」
先生達はクリアリングを行いながら慎重に階段を降りた。
幸い、敵とは遭遇しなかったが…カイザーPMCはここからかなり深い場所にフロアを建造していたようで降りるのに少々時間を使った。
<<カイザーPMC研究調査バンカー>>
階段を降りた先にあったエントランスの入り口にはそう書かれていた。
壁に書かれた「B-1」という文字からそこはその地下一階だという事が分かった。
そして時折消えかかる蛍光灯を見つけて電力が地下にある事も判明した。
その後、進んだ先にあったエントランスの中でターキンは気になるものを発見した。
「……?」
正面には何故か受付用のカウンターがあった。
軍事施設にそんなもの要るのだろうかとも思ったが、企業とはそういうものなのだろうか。
そんな些末な疑問を抱えつつ裏に回ると電源が生きたデスクトップPCを見つけた。
PC起動すると従業員のタイムカードや勤務記録のデータにアクセスできた。
どうやらここの受付は従業員の勤務記録などを管理していたらしい。
どうやらここで勤務していた人員は地上で戦闘が起きた時もここにいたらしい。
まあ、それほど意外な情報でもないか、残念ながらあの欲望の塊のような理事ならあんな事態でも業務を中断させるとは思えないからな。
寧ろ気になるのはその従業員の数だった。その数は実に2000名以上を超えている。
大半はPMCの兵士だったが、中には科学者もいたようだ。略歴も記載されていて、かつてミレニアムで教鞭をとっていた教授もこれに参加していたことが分かった。
余程興味を惹かれる「宝」だったのだろう。
しかし分からない事がある。
なぜこんなにも大量の人員を抱えておきながら、あの時地上に誰一人として姿を顕さなかったのか…。
そして廃墟となった今も、その姿が微塵もないのか…。
ロボット達が監視をしていた間、人の姿は一つもなかったとずっと報告されていた。
カメラの映像も確認したが、報告通りだった。
この一週間、なぜ従業員は姿を見せなかった?
ここで一体何をしていたんだ…。
データを調べながらそう疑問に思っていると、突然施設の警報装置が作動した。
警報に合わせて蛍光灯が赤色に発光。
『警告:侵入者をセンサーが検知』
『職員は直ちに排除に向かってください』
「しまった!セキュリティ装置も生きてたのか!」
「すぐに迎え撃つぞ!敵の正体は不明だ、注意しろ!」
教師達は直ぐに迎撃準備を整えた。
「……れ…。」
警報のサイレンが鳴り響く中、彼らは確かに聞いた。
2階へ向かう為のセキュリティルームに通じる廊下から擦れた呻き声が…
「………。」
そして数秒後ターキン達は見た。
アパラチアを襲った悪夢の象徴を…結晶に覆われ焼けた皮膚を晒すカイザーの兵士だった獣人…
「我々では…ない!!」
スコーチを。
「………殺す。」
「うおおおおおおおおおああああああああああ!!!!!」
「ターキン!」
我を失ったターキンは白目を向き爆発的に発露した怒りに身を任せ消火斧で敵の頭を一刀両断していた。
「あああああああああ!」
「がああああ!」
「うぅえあああああっ!!」
ガンッ!ガァンッ!ガキンッ!!
獣の様に激しく、荒々しく暴叫しながらすでに息絶えたスコーチに何度も斧を振り下ろした。
そして鈍い金属音を立ててぐちゃぐちゃにしながら、いつしか地面を叩いていた。
その狂気の沙汰はオートマトンを八つ裂きにした時とは全くの別次元だった。
当時の彼は怒りに染まってこそいたが、「生徒を救い出す」という確かな覚悟を持っていた。
しかし今彼を突発的に突き動かしていたのは、ファイヤーブリーザーが遺して逝った怨念と、彼自身が持つ黒く淀んだ血染めの復讐心だった。
明らかに気が触れているその姿に教師達はすぐさま彼を止めに入った。
「あああああああああああああ!!!!」
「ターキンしっかりしろ!」
「落ち着け!もうくたばってる!」
「正気に戻れ、こんなことしてる場合じゃないだろ!!」
必死に彼を羽交い絞めにして宥めようとするが、その間も鳴り響く警報に今まで暗闇の中で硬直していたスコーチ達が動き始め、彼らの集まり始めた。
「あそこだぁ……!」
「我々じゃない!お前…!」
「テキだ!テキだぁ!」
ペスコフは敵達の間の悪さに辟易した。
「くそっ!取り込み中だと言うのに空気の読めん奴等だ。」
「スッこんでろよ焦げ野郎!!」
ダァン!
エドワードが目の前の一体をビッグアイアンで打ち抜いた。
「今すぐ消え失せろ!」
ダダダダダダダダダダッ!
続けてペスコフもM16で残りを射殺。
それでも敵はしぶとく、次はエントランスから次々とやってきた。
「この階だけでどれだけいるんだよ…。」
「ぐぅおおおおおおおおおああああ!!」
「うおっなんてパワー……!」
ターキンは無理やり体を跳ね起こすと、グーンズの袈裟固を振りほどいて敵に突っ込んでいった。
「しまった…!行くな、ターキン!!」
ゴトッ
「……ッ!!」
グーンズは戦慄した、ヘルメットとマスクが外れ、露わになった彼の顔に。
傷だらけの顔に似つかわしくない穏やかな表情をしていた友は今。
その顔に相応しい般若をその面に宿らせていた。
「我々、違う…死ねぇ!」
兵士の姿をしたスコーチがM4を迫りくるターキンに差し向けた。
そして引き金を引こうとした直前…
「うらぁああああっ!!」
ブォンッ………!
バッギャアアアアアアッッ!!
投げつけた斧が空気を歪ませながらスコーチの頭に刺さり、脳をまきぶち撒けながら倒れた。
「我々が…!?お前ぇ!」
自分を傷つけられた事にスコーチの無秩序な怒りを向けたが…
「ぐがああああああ!!」
それでも奴の憤怒を上回ることなく、一撃で頭部を刎ね飛ばされた。
振り抜いた斧を下に向けると、目の前の一体に振り上げた。
グサッッ!!
「何ぃぃ!?」
「おおおおおおおおっ!!!!」
バゴンッ!!
斧を刺したままスコーチを持ち上げると、そのまま地面に叩きつけた。
スコーチの胴は裂け、頭部に強烈な衝撃が加わり、頭部が破裂した。
「お前、殺す!」バッ
そうして右脇からスコーチが飛び掛かってきたが…
「ぐルあああっ!!!」
バゴォン!!
左の拳で殴り飛ばした。
「かはっがあっ……!」
胸部への強烈な打撃で呼吸困難になったスコーチは苦しそうに悶えた。
しかしすぐに苦しみは直ぐに終わった。
「うううあぁああああっ!!!!!!」
ゴシャアアアアアアアアア~~~ーーー!!!!!!
ターキンは殴り飛ばしたスコーチに逆に飛び掛かり頭を踏み砕いた。
しかしスコーチはまだ十体も周りにいた。
暴走を続ける彼は仲間の制止を振り切って、斧すら捨てて殴り掛かった。
仲間達はその姿に圧倒され、呆然と立ち尽くした。
現場は凄惨だったとしか言いようがなかった。そこには生きた地獄があった。
彼の手で嬲り殺されたスコーチ達の血と骨と臓物は、エントランスの至る所に飛散した。
床は血に染まっていない箇所を見つける方が困難で、彼がスコーチに向ける殺意の大きさが容易に伝わってきた。
1体は自分から零れ落ちた腸で首を締めあげられ、2体は銃剣を喉から突き上げられ、3体は喉笛を噛みち千切られた。
ターキンの体も敵の返り血を浴び深紅に染め上げられた。
その姿はまるで地獄からやってきた悪魔だった。眼前の友は復讐に燃え、怒りに飲まれ我を失い、暴走し、止まることを知らず、ひたすら怨敵に拳を振り下ろし、叩きつけ、引き裂いた。
自分達が今日に至るまで気づかなかった。友人の恐ろしいまでの怨嗟。
「辛いなんてものじゃなかった………俺の全てだったのに………!!」
あの日から、彼はもう既に人であることをやめていたのだ。
殺さなければ……一匹でも多く……この手で屠らねば……
奴等は……奪っていった…俺の大事な人を……
殺さないと……殺さないと……また奪われてしまう……いやだ
いやだ……もう失いたくはない……私の大事な……大事な……子供…達…………
「はぁ……………はぁ……。」
「…………っ!」ビクッ
警報が止み、ターキンが我に戻った時には…スコーチは既に全滅していた。
その数、実に34体。
それら全てを自分の手で葬っていたことにはまだ気が付いていない。
「……!?」
息を荒げながら辺りを見渡してみると、目に映るのは全て自らが築き上げたグロテスクだった。
「一体…何が……。」
彼がそう声を漏らすと、グーンズは言った。
「何がって………覚えてないのか?」
「お前が何をしたのか……。」
状況に困惑しているのはお互い様だった。
「お前かなりやばかったぜ…白目向いてもう無茶苦茶だった。」
「あんなお前、はじめて見た……。」
エディとオズですらあんな姿を見た事はなかった。
「…体は何ともないか?」
ペスコフもあの出来事に困惑していたが、それでも冷静さを欠くことなく彼の様子を確かめた。
「少し……手が痛い。」
「ああ、そうだろうな。」
ペスコフはスティムパックでターキンの手当てを済ませた。
教師達は一度地上に戻るべきかとも考えたが……いつ何を起こすか分からない脅威がこの地下にある以上、ここで引き返す方が危ないと考えて探索を続行することした。
しかし先に進む前に、万が一にそなえ地上と連絡を取れるように通信中継器機を設置した。
これがあれば地下深くににいても付近に設置したこれを通じて地上に電波を送ることができる。
そして先に向かおうとした時だった。
「どうして正気を失った?」
ペスコフは単刀直入に尋ねた。
声に憤りや恐怖はなく、純粋な不可思議だった。
彼らも、スコーチとは幾度も戦ってきた。
そいつらの凶悪さも十分に知っている。彼らが友にしてきた仕打ちも………。
奴等を友と共に殲滅にすることも珍しい事ではなかった。
彼は他の敵と相対する時とは別格に激しい恨みを向けていた。
至極真っ当な怨恨を。
その時であっても、彼は冷静沈着に対処してきた。
なのになぜ……なぜ今になってあんな真似を?
ターキンのあの異常なまでの凶行はどう考えても普通ではなかった……どうして友があんな風に暴走してしまったのか、彼の為にも知っておかなければならない。
「……。」
数秒の沈黙のあと、ターキンは言った。
「恐れていた。」
彼がスコーチを見て最初に感じたのは……恐怖だ。
愛する者を失う恐怖。
スコーチの焼けただれたその目を見た瞬間、彼はそれを感じた。
焦土作戦を経て、この恐ろしい病魔との決着はついたはずだった。
だがこの世界で因縁が再び蘇った結果としてトラウマが憑りつき、奥底に閉ざされていた破壊的な怒りを呼び覚ました。
ターキンは、両親から大きすぎる程の愛を得ていた。しかし両親をその手から失った時、今度は故郷が再び灰になるまで焼き尽くそうとする程の怒りと憎悪を手にした。
そしてその魔の手が……友人にも既に伸び始めていた事への焦りも、彼の背にのしかかった。
仲間達が先程刮目したのは、ターキンがアパラチアでずっと握りしめ、背負い続けて蓄積していた全てだった。
どれだけ奴らを殲滅して発散しようとも、その怒りが静まることは決してなかった。
それでも必死に抑え、御してきた……今日までは。
「あいつらが地上に放たれたら……また奪われてしまう…。」
「そんなことになれば……俺はもう……俺は…………。」
完全に想定外だった最悪の事態が、これまで抑え律してきた器を壊した。
その結果、彼はあの地獄絵図をその拳で描いた。
「そうか……。」
そう呟くペスコフの眼前で…武者震いか戦慄か、へたりこむターキンの体は小刻みに震えていた。
「「「「………………。」」」」
彼らは決心を固めた。
必ず元凶を突き止め、その根源を絶ち、友を苛む悪夢に終止符を打たんとしていた。
「諸君、行こう。」
「「「了解。」」」
その絆は……底知れぬ恨みよりも深く。
という訳で今回はシャーレがウルトラサイトが犇めき第3セフィラ・ビナーが蠢く地下施設に侵入。
そしてターキンがキヴォトス産スコーチ相手に大暴れ!
更に明らかになる真実、そしてトラウマ。
しかし物語は最序盤、問題は未だ未解決。
スコーチという新たな脅威を前に、シャーレのレジデント達はどう立ち向かっていくのか。
次回に続く!
それではこの話を気に入っていただけたらお気に入り登録、感想お願いします。
ということで………はい、大変な事になってしまいました…。
キヴォトスにスコーチ病を持ち込んでしまいました。
普通にバイオハザードなんだよなぁ。
一体この地下で何が起きてるんですかねぇ?
ビナー戦が終わったら何から読みたいですか?
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アビドス復興編
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ゲーム開発部編
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ペスコフのゲヘナ出張日誌
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エドワードとヴァルキューレ
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オズワルドの便利屋勤務録
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