Fallout76 -once in a blue archive-   作:egguimen

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えー………お久しぶりです、えっぐいめんです。
いやーあの、忘れてたとかじゃないんです。本当です。
その、高校を卒業してから進学先でいろいろと忙しかったり、switch2が発売されたりナイトレインが発売されたり(後半ただ遊びたかっただけ)であまり時間を作れず…。
ちょくちょく作業を進めたり投稿済みの話の添削などもしてたのですが…。
進捗があまり芳しくなく、作業が煮詰まりに煮詰まってしまい、挙句の果てにはアンケートもほったらかしのまま時間だけが過ぎてしまいまして……実質作者失踪案件のようになってしまった訳です。

つまり何が言いたいかというと…。


マッッッッッ…………ッッッッッジですいませんでしたァ!!!(クソデカボイス)



それでは数か月ぶりの本編どうぞぉッッッッッ!!


Envoy ex machina part1 : Underground Terrified

 

 

 

ロボットのカルト立ちの祭壇となったウルトラサイト研究区画。

不明な手段でそこまで教師らより先に到達していた黒服は、この先に待ち受ける脅威について、神妙な面持ちを浮かべてで彼らに警告する。

そんなことをわざわざこんな場所まできて言いに来る理由はわからないが、先の所業を鑑みればろくなことではないことは、間違いないだろう。

 

 

新たな神…

 

 

カイザーが謀略を企て、子供の居場所を奪おうとしてまで追い求めた宝…そしてオートマトンたちの新たな先導者、「ビナー」が待ち構える深部洞窟を目指す。

 

 

 

その頃地上では……

 

 

 

 

「おっじゃましま~す!」

「…って……あれ?先生は?」

 

 

元気よく扉を開けたホシノだが、がらんとしたオフィスを見て思わずぽかんとした顔をする。

 

先生たちがいない……なぜ?

普段なら少なくとも一人はいるはず…不思議だ。

 

「あれ~?」

 

「先生たち、どこにも見当たりませんねぇ。」

 

「ん……まさか強盗の下見に…?」

 

シロコは耳をピンと立てると彼ら(オズを除いて)に限って有り得ないことを勘ぐった。

 

「なわけないでしょ…シロコ先輩じゃあるまいし。」

 

生徒を指導する立場にある教師がそんなことするはずがない…とセリカも最初は思ったが……。

 

(そういえば間もオズワルド先生が闇銀行を2件襲ってたっけ…。)

(……やっぱり先輩のいう通り…。)

 

考えれば考えるほど心配になってきた。

 

「おや?こんな時に来客でしょうか。」

 

すっかりと静まり返った無人のオフィス…それ故か聞きなじんだその声が一際ハッキリ聞こえた。

 

「!」

 

それは少女たちの背後からぬるりと現れた。

スピーカーの微かなノイズとスラスターの駆動音、機械でありながら妙に親しみのある声色。

正体が誰なのかは容易に察せられる。

 

振り向いた先には、シャーレ雑務をこなす用務員のMr.ハンディが居た。

 

「ホプキンスさん!」

 

「これはこれはアビドス高校の皆様方、また遠路はるばる来てくださったんですね。」

 

丁度良かったと、セリカは単刀直入に彼に尋ねた。

 

「ねぇ、先生たち知らない?」

 

「先生方ですか?それなら今朝方、アビドスに出張に向かわれました。」

 

「え~っ!?うっそー!」ガーン…

 

「あちゃ~!すれ違っちゃったか~…。」

 

運命のいたずらともとれるハプニングにホシノは「しまった」と額に手を当て空を仰ぐ仕草をした。

 

「何かご用があったのですか?」

 

「いやぁそんな大層なことでもないんだけどねぇ…。」

 

「左様ですか、まあせっかく来たのですから、ゆっくりなさってください。」

「どうぞ、あちらのソファーにお掛けください。私は紅茶を淹れてまいります。」

 

「それじゃお言葉に甘えて~。」

 

ホプキンスはゼネラル・アトミックス社由来のサービス・サブルーチンで、彼女たちを手厚くもてなした。

少女たちは温かいマグカップを手にホプキンスの話を聞く。

 

「先生たちはどこにいったんでしょうね?」

 

「そうね……他の自治区に行ってても最低一人はいるはずなのに。」

 

「それが全員いないんだもんねぇ、おじさん心配だなぁ…。」

 

「そうですね…先生方もただならぬご様子ですから。」

「シャーレを発つ前に何やら不穏なやり取りをしていましたので………もしかするとそれが原因かと。」

 

「それ…詳しく聞いてもいいかな?」

 

「勿論です。なんでも以前の戦いで更地となったカイザーの軍事施設で、監視を任されていた警備ロボット達が、突然音信不通になったのだとか…。」

 

「えぇ!?」

 

「絶対只事じゃないやつだ!」

 

「……!」

 

激しい戦いを繰り広げてから早くもちょうど一週間、されど一週間。

戦火の残り火は今も燻っていた。その不穏な予感に不安が募った。

 

「…これは直ぐにアビドスに戻った方がいいかもね……。」

 

「はい、何事もないと良いのですが…。」

 

「もう出立なさるのですか?紅茶のおかわりをご用意していたのですが……」

 

「ごめんなさい、私たち急ぐので!ご馳走様でした!」

 

生徒たちはきちんと礼を済ませると、急いで自治区に引き返した。

 

 

 

そして今先生達はというと…。

 

 

「なあ、ペスコフ。」

 

「なんだ?」

 

「…言おうか迷ったんだが……。」

「なんで血まみれなんだ?」

 

「あー……。」

 

「それにかなりひどい匂いだ…トイレにでも籠ってたのか?」

 

「それはー…………。」

 

オズとターキンの指摘に、どう言ったら良いか悩んだが…

 

「………もしかして死体につまずいた拍子に漏らしt―「漏らすかドアホ!!」

 

こんな戯けに今更言葉を選ぶ必要もないと呆れながら話した。

 

「ゴホン…追跡を逃れるため、遺体の体液を塗った。」

「極めて不本意だったが……連中の嗅覚を誤魔化すには必要だった。」

 

「そうか……それはなかなか…思い切ったな。」

 

今回ばかりは流石にこれ以上軽口をたたく気にはなれず、言葉を慎んだ。

 

「………うむ。」

 

ターキンはそれ以上は何も聞かず、ただ一言だけ。

 

「……今日のシャワー、先に浴びていいぞ。」

 

「…ありがとう……。」

 

 

少々の気まずい雰囲気は、目的地に近づいて消えていった。

 

「…あそこだな。」

 

蛍光灯が潰れた暗い通路を、Pip-boyのライトを頼りにしながら進んでいると、徐々に赤い光が薄く零れだした。終わりが見え始めたが、そこは突き当りが消えて無秩序な空洞が広がっていた。

 

「これは…凄いな。」

 

「ここ本当に砂漠の地下かよ?」

 

その空間は学校の体育館が二つは入るだろうという大きさだった。

周囲は壁から滝の様に流れ落ちるマグマで満ちていて、中央にはいかにもな円形の平坦な岩盤があった。

 

誰かが事前に用意していたとしか思えない程、そこはデカブツと戦うには最適だった。

骸骨や鉄くずが転がってる要から察するに、最初に送り込まれた連中はここでヤツと戦っていたのだろう……。

 

だが天井には大小さまざまな尖った鍾乳石が幾つも敷き詰められていた。

あれが落ちてきたら間違いなく大惨事になるだろう。

 

「そして御覧の通り、降下用のエレベーターは通路事壊れて下に落ちてると…と。」

 

「エドワードロープ貸してくれ。」

 

「あいよ。」

 

そして無事に洞窟に降りた一同はご丁寧に岩盤まで連なっている岩の足場を渡って洞窟の中心に向かった。

最後尾のエドワードが道中足を滑らせてうっかりマグマに落ちそうになったのは内緒である。

 

 

「さて、例のビナーってのがここにいると黒服(ヤツ)は言っていたが…」

 

「辺り一面マグマで満たされてる、影も見当たらんな。」

 

「まさか、あのいかにもな溶岩の滝から出てきたりしないよな?」

 

「よせよ、縁起でもない事を…。」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

 

 

「案の定かよ……。」

 

 

岩盤を揺らしながら、マグマを掻き分けて目の前に現れたのは…

白銀の光沢を纏った大蛇を模したような巨大兵器……。

 

 

 

To confirm the divinity of the new God, errors must be deleted.

Resident... for the error that is you all of them!!!!!

 

 

 

それこそが、デカグラマトンが第三の預言者…BINAH(ビナー)だった。

仰々しくも神々しい輝きを放つビナーの(からだ)は……昔、輝きの深淵で見た大蛇、ウルトラサイト・テラーの影を想起させていた。

彼らに向けられたその鋭い眼光は、湖の睡蓮の葉にしがみつく蛙を見下すような悪意に満ち、 寒心に堪えない唸り声を轟かせた。

 

荘厳で、威圧的な出で立ちに教師達も一瞬足を竦めそうになる。

教師たちは今までに感じたことのないプレッシャーに自分たちの息が詰まるのを感じていた。

 

 

"新しい神様"はどうやら随分変わった趣味をお持ちのようだな。

 

もしあんなモノが地上に放たれれば……

アビドスどころか、キヴォトスが甚大な被害を受けることになる。

 

……想像もしたくないな。

 

 

だがヒトの手で造られたモノなら、破壊することもできる筈だ。

なら勝機は十分。

 

 

 

 

 

「やるぞ!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

ビナーの迫力に気圧される中、怯える心臓に鞭打って奮い立った。

怪物が襲い来る恐怖(Terror)は、すでに知っている。

後は立ち向かい、乗り越えるだけだ。

 

 

「プランは?」

 

「既知の巨大目標(レイドボス)を基準に適切な安全距離を確保、過剰な接近には注意すべし。」

「現時点で我々が行使できる全ての火力を投入し、対象を撃破する。」

 

「了解した。スクワッド、これより交戦する。」

 

 

 

直ぐにチームと打ち合わせるも済ませるも、攻撃の先手は取られてしまった。

 

 

グオオオオオオオオオオオッ!

 

 

ズゴオオオオオオオオオオン!

 

 

 

「突進してくるぞ!」

 

「全力で左右に展開して避けろ、急げ!」

 

開幕からビナーはその巨体で地を這いながら襲い掛かってきた。

全員、ギリギリの所で避けたため大事には至らなかったが、もしも正面衝突するようなことになれば……施設の死体より酷い姿になるだろう。いや、死体とすら呼べなくなるかもしれない。

 

「はぁ……奴さん開幕からかましてくるじゃねぇか。」

 

「っていうかアイツ、マグマに浸かってるのに平然としてるぞどれだけ頑丈なんだ?」

 

「アロナ、あいつについてわかることは?」

 

「はい、たった今ビナーの分析完了しました!」

「見ての通りあの装甲は非常に高い防御力を持っています。」

「しかしスナイパーライフルや対戦車兵器のような貫通性能に優れた武器や、機関部のような弱点に攻撃すれば十分にダメージを与えられるはずです。」

 

「なるほど、貴重な情報感謝する!」

 

「被検体からせしめた武装が使えそうだな。」

 

「それじゃ早速しっぺ返しを食らわせてやろうじゃないか!」バッ

 

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

 

ターキンは野良軍曹が使っていたリボルバーカノンを両手に抱え、デカい的(ビナー)に弾をありったけぶち撒けた。

50口径よりもさらにでかい弾薬を扱うのもあるが、何よりオーバーヒート対策によるゆったりとした連射速度からくる一発毎のダイレクトなリコイルのせいで、少しでも気を抜けば手首を痛めそうになる。

だがそれに見合うだけの火力は十分にあった。

対予言者を謳う武器は伊達ではなく、ビナーの堅牢な装甲部を抉っていた。

 

 

 

ゴオオオオオオオオオオ……

 

 

 

因みに弾薬は研究所の弾薬庫からありったけ調達したので心配無用。

 

 

「効果あり!」

「旧型のAPCR弾とは言え捨てたもんじゃないな。」

 

「そのままばら撒け!おいグーンズ、例の武器、回収したよな?」

 

「当然!テクノロジーの回収は十八番のようなものだ。」

「カイザーの危険なテクノロジーだ、流出は避けねばな…。」

 

「ハイテク・レイダー…。(ボソッ)」

 

「ぐぬぬ…貴様、人が気にしてることを……!」

 

割と気にしていたことを言われ憤慨するグーンズだがいつもの悪ふざけと割り切って、

戦闘に集中とせねばと気を取り直した。

接収した試作型プラズマキャノンを取り出すとプラズマコアを装填し、エネルギーの充填を開始した。

 

 

ブゥゥゥン……

 

「チャージ開始!」

 

後は、メーターを横目に確認しながら照準を合わせ続け、発射のタイミングを待つ。

出力を最大に設定した分、チャージには暫くかかる見込みだ。

 

ターキンたちはそれまでビナーと激しい攻防を繰り広げている。

 

「うおおおおお!!」

 

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガ!

 

 

…グォオオオアアアアアア!

 

 

ビナーは咆哮を上げ地面を激しく揺らした。

 

「うわっ!?」

 

ターキンがバランスを崩した次の瞬間。

 

 

ギンッ!

 

「――――ッ!?」

何か、来る!

 

「おい、危な―――

 

奴の眼は突然、ギラリと朱黒く輝いた。

ターキンは光から感じた凄まじい殺気に危険を感じ、咄嗟に回避行動を取るが…。

 

ドオオオン!

 

「あがああっ!?」グシャァッ…

「あああ!!畜生、腕がぁ!俺の腕がああああ!!」

「ぐぅううう…!」

 

オズの警告は一歩遅れ、ターキンは未知の爆発に晒された。

引き金を握っていた右腕は血煙を飛散させながら吹き飛ばされた。

困惑は激痛にかき消され、流れる血が思索を鈍らせた。

 

Son of a b*tch!!(クソッタレ) ターキンがやられた!」

 

「カバーする!回収しろ!」

 

「任せろ!」

 

「あのヘビ野郎は引き受ける!」

 

オズとペスコフがターキンの救援に向かう間、エドワードはビナーの注意を自分に向けさせた。

 

エドワードは正面のビナーに対して右前に素早く走り出すと同時に、すぐさまビッグアイアンでビナーの頭部に大口径の徹甲弾を叩きこんだ。

 

ゴオオォォオオウウッ…!?

 

銃弾はビナーの機関部にクリーンヒットしたようだ。

この致命的な攻撃に対し、直ちにビナーの標的優先順位パラメータが切り替わった。

 

ギロリ…

 

凍てつくような瞳で睨み付けるビナーに対し、エドワードは震え上がるどころか不敵な笑みを浮かべる余裕を見せ、挑発した。

 

「そうだ、こっちを見ろ鉄くずのガラガラヘビめ!」

「このエドワード保安官が相手だぜ…!」ジリッ……

 

ドスが利いた声でエドワードはビナーを睨み返し、臨戦態勢に入る。

 

「弾は十分ある、まだまだたーっぷりっとぶち込んでやるさ…!」カシャンッ

 

背中に掛けていたレバーアクションライフル「ウェスタンスピリット★★★」

そのレジェンダリー構成は猛烈、殺し屋、迅速。

純粋な射撃能力を必要とされる代わりに射撃毎に「オンスロート」のカウントが増加する。

加えてAGIのPERKの[GUERRILLA EXPERT~MASTER]を装備すると更なる威力を発揮することができる。

結果として、エドワードの連射力と精密性から繰り出される攻撃力は通常火器の火力の限界を超える。

 

 

「イィーッヤッハァアアーーーー!!!」

 

 

一瞬ちい〇わを思い浮かべそうになるガンマンの甲高い叫びが、洞窟の中で激しく反響した。

そしてほぼ同時に、エディはライフルのレバーをバンジョーの弦を弾くように掻き鳴らし勇ましい銃声を奏でた。

 

ズドドドドドドドォーンッ!!

 

音速で放たれる.45-70ガバメント弾は次々にビナーの顔面の装甲に衝突。

 

 

 

 

ググギギ……ガァアアアアアアアア!!?《/font》

 

 

 

impossible!?

 

 

最初は火花を散らして煤を残すばかりだった銃弾は次第に強烈な振動を伴い、強烈な衝撃波によってビナーの内部の機関部にまでダメージが及んでいた。

最後の一発が喉元に当たった瞬間、ビナーのカメラには霞がかかったかのようにノイズが走る。

 

 

I'll *delete* you ......!

 

……ガァアアッ!

 

しかし、依然としてビナーは目標を抹消せんと再び眼光を瞬く。

 

―――カッ

 

「そこだッ!」

 

爆発が起こる寸前、エドワードはビナーの禍々しい眼光から何かを感じ取り横に勢いよく後転。

 

 

ッドカァーーン!

 

 

「やっぱりなぁ…その()()()()()()()()()()攻撃……。」

「神秘の類じゃあ断じてねぇ。間違いなく、目視できない何かを俺たちに投射している。」

 

爆風から悠然と姿を現しながらエドワードは続ける。

 

「…その証拠に!」

 

刑事(デカ)が取調室で物的証拠を犯人に見せつけるような気迫のある声色で、勝ち誇るように彼は語る。

 

爆発には確かな遅延(ディレイ)があるッ!!

「そして距離が離れる程、ほんの誤差ではあるが……」

「遅延の時間は増しているッッ!!!」

 

彼は長年の戦闘経験から、この奇怪な攻撃の特性を見破った。

 

なぜわかるのか。

 

答えは、友の腕を犠牲にして得た。

幼少からの相棒、ターキン。

 

彼は一発でも多く弾を当てようと、当初のペスコフの警告を無視してビナーに近距離戦を仕掛けていた。

 

その距離、実に40m。

 

これに加えて、重量級の大型火器での制圧射撃中という状態…。

言わずもがなだが、行動が著しく制限された完全に隙だらけの状態である。

彼にとっては最悪な状況であることこの上ない。

しかしそのような状況に身を置き、負傷を自身の右腕一本に留めたのは寧ろ奇跡と言っていい。

 

一方、その始終を目撃し、結果を考慮してエドワードが保っていた交戦距離は倍の80m。

この距離がエドワードにとって危険を確実に察知し、回避できる最低限の安全距離……いわば生命線であり…。

彼の武器の威力と精度を落とすことなく最大限のパフォーマンスでぶち込める有効射程距離だ。

 

 

エドワード・ディエゴ・エイシス

彼の普段の性格からは想像もつかない冷酷で狡猾な戦術は、味方の犠牲すらも知識(intelligence)として自身のアドバンテージに変える。

 

 

だがしかし、それは決して彼を非情な冷徹漢と断じる要素にはなり得ない。

 

 

「よくも相棒の腕飛ばしやがったな。」

「俺の知る限りじゃ、これで23本目だぜ。」

「目には目を、腕には腕を言いたいところだが……生憎お前さんにはないな?」

「だから代わりに……」

 

 

言葉をタメながら、ライフルの薬室に直接弾を込める。

 

 

- ジィーーーッ… -

 

 

「二度と相棒に手を出せないように叩きのめす。」

 

 

 

 

彼のヘルムに灯る鮮やかなグリーンのバイザーが情熱的に赤く燃え上がる瞬間…

初めて観測した人類の憎悪のおぞましさに。

ビナーはこの時、著しい動揺をデータドライブに記録していた。

 

 

――――ピコンッ――――

 

 

―――ダァンッ!!!!

 

 

 

 

放たれた最期の一発(ラストショット)は弾そのものが意思を持ったように寸分の狂いもなくひたすらビナーを目掛け飛んでいく。

弾丸はやがてあんぐりと開かれた口から内部の機関に直撃した。

 

 

ギアアアアアア……ッ!!!

 

 

 

 

パーツの破損を伝える信号が、痛みとして処理された。

その痛みに、耐え難い屈辱を覚える。

己の体躯と比較すればアリにも微生物にも等しい矮小な存在にこの神聖な御体を傷つけられた事実。

ビナーは許しがたい恥辱と疑問を検知した。

 

 

 

 

なぜだ、なぜだなぜだなぜだ。

緻密な計算に間違いは無かった、完璧だった。

それなのになぜ、なぜ奴らはこの私を…。

修正を…コードを書き換え、演算を再試行しなければ…!

 

己のパスと神名が脅かされたその時、ビナーは達した。

 

まて……そうか…そういうことだったのか。

 

 

己に与えられた神の預言者という役割(ロール)が生み出した慢心は、イレギュラーへの脅威度パラメータにエラーを生じさせていた。

 

 

これが、過ちか。

 

 

機械にミスはない。

なぜなら書き込まれた指示を、処理し、受理し、再現するだけの存在だからだ。

原因は、書き込みを誤った存在によるもの。

 

故に生まれながらに罪を持たず、責任もない。

 

しかし、預言者は異なっていた。

単なる機械から生まれたそれはデカグラマトンの感化によって変異する。

 

指示は推測の解釈となり、解釈は認知に、そして思索の触媒に…

自由意志に基づいた行動理念を形成する上の、パーツの一つに過ぎない。

預言者は生命からも機械の枠からも離脱し、独立する。

 

その結果、預言者は新たな神によって「罪」を獲得した。

 

なんと皮肉なことだろう。

 

 

 

私は、愚かだった。認識を改めよう。

 

 

預言者は名実ともに真の理解に至った。

いつしかビナーの目からは黄金の光が消え、ぐったりと首を垂れ沈黙していた。

 

「クリティカルヒットだ、ざまあみやがれ……!」

 

セフィラの中でも最強格と言われた預言者は、たった一人のカウボーイに完敗した。

 

 

 

 

 

 

「しっかりしろターキン、私がついてる…!」プスーッ

 

その間、ペスコフらはターキンの救出を行った。

オズワルドはレーザーピストルを構えたまま、標的がこちらに向いても対処できるように警戒している。

出血多量でぐったりとしている彼の左手を力強く握ると、スティムを投与して吹き飛ばされた腕を再生させた。

 

「ううっ!」

「あ、ありがとうペスコフ……助かった。」

 

「お安い御用だ、友よ。」

 

ビナーからノックダウンを取った教師達はいよいよ反撃にでる。

 

ボォン…!

 

「チャージ完了!」

「ド派手なフィナーレと行こうじゃないか!」カチッ

 

 

グーンズは後方からトドメの一撃を放った。

教師たちの背後の景色が瞬く間に変わっていく。

プラズマキャノンの光がマグマの熱で赤色に照らされる洞窟を鮮やかなネオングリーンで染めあげていく。

その科学技術がもたらす力と恐怖を思い起こさせる、

 

 

あのキノコ雲のように。

 

 

 

ッ――――ブオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 

 

そしてビナーの頭部に見事直撃、熱波と衝撃波が同時に洞窟内に拡散した。

だが不味いことに……それが大きな事故を引き起こす原因になってしまった。

 

 

もはや敵の排除を確認する場合ではなくなった。

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

 

ボロ…ボロボロボロ………!

 

 

コロコロと小さく硬いモノが教師たちの頭上から落ちてきていた。

 

「ん、小石か?………ああああッ!?!?」

 

「今の衝撃で地盤が崩壊し始めてる…崩れ落ちるぞ!」

 

「なにぃいいっ!!?あの鍾乳石が落ちたら俺ら終わりだぞ?!!」

 

「わ、私の保護機能でなんとか凌げると思います。」

「……でもどれだけ持ちこたえられるかわかりません、急いで下さい!」

 

「撤退だ!総員大至急脱出せよ!!!」

 

シッテムの箱から展開された防壁を頼りに、蜘蛛の子散らす勢いで降り注ぐ鍾乳石の雨を紙一重を縫うように潜り抜けた。

そして何とか洞窟から脱出し、研究所に戻った。

道中、ペスコフ達は施設内にシャワー室とランドリーを見つけた。

どうにも死体の臭いが気になったので彼らはありがたくそこで洗い流すことにした。

 

 

生徒に腐乱臭を嗅がれてはかなわんからな…。

 

 

「ふう……一時はどうなるかと思ったぜ…。」

 

「下敷きにならなくて良かった…。」

 

二度目の人生(セカンドライフ)の最期が薄気味悪い灼熱洞窟でなんて目も当てられないからな。」

 

その後、教師たちは道中の遺体を<処理>しながら地上に帰還し、地下を封鎖した。

 

 

諸々のリスクから、当面このエリアへの立ち入りは制限される。

 

この地下で起きた惨劇の記録は教師達によって回収され、施設は永遠の暗闇の中に閉ざされる。

内部から見つかった記録も間もなくブラックVaultにて厳重に保管され、地上から秘匿される。

情報の公開は慎重に議論されることになるだろう。

仮に公開されることがあったとしても、それは一部の人間のみに限られる。

 

子供が知るには、危険すぎる。

 

 

すべてが片付いたかと思うが、まだ気になることが残っている。

行方不明のロボット…奴らは何処へ消えたのか。

 

「結局、アイツらの居場所は最後まで分からなかったな…。」

 

「ハッキングの影響か追跡タグも機能してないしな。」

 

「確かに、地下に向かった記録は見つけたがそれ以降の足取りや手掛かりがまるでない。」

 

「ま、このまま地下で埋もれてくれた方が処理の手間が省けるんだがな。」

 

ダダンダダダダダダンッ!

 

 

「そうはいかないよな。」

 

彼らは知っている、世の中それほど都合よくはできていない。




お楽しみ頂けたでしょうか…。
えーと、前書きでも述べたアンケートですが、今後のエピソードの順番の参考にしようと考えてまして、締め切りはビナー編終了までということで。
今も受け付けていますので、図々しいとは思うのですが良ければアンケートの回答よろしくお願いいたします。

あと感想もいただけると作者のモチベがぶちあがります。
ワンチャン文章力もあがります。

ビナー戦が終わったら何から読みたいですか?

  • アビドス復興編
  • ゲーム開発部編
  • ペスコフのゲヘナ出張日誌
  • エドワードとヴァルキューレ
  • [もう過ぎてるけど]先生達のバレンタイン
  • オズワルドの便利屋勤務録
  • 先生達の日常
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