Fallout76 -once in a blue archive-   作:egguimen

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夜分遅くに失礼!
久々に再開したためかやけに筆が乗りまして…。
今回はアビドス編のエピローグに登場した「あの子」のお話です。

そして本編に入る前に、この前書きをお借りしてお伝えしたいことがあります。

意味深で不穏なスタートを切ったアビドス復興編ですが、この章は書こうか悩んでいました。
アンケートにしたのもそのためだったんです。いつかは書くつもりだったんですが。
一時期失踪した理由の一つみたもそのためでして…読者は他の学園での先生と生徒の関わりといった様子も読みたいだろうし、このままアビドスに焦点を当てて続けるのはどうかと思ったんです。

それでアンケートを改めて見たとき、思ったより復興編を見たいという人が多かったんですよね。なら、このまま走り抜けないとだめだなと思って章を書き始めました。

まだまだ至らない点は多い作者ですが、今後ともお願いします。



ヘルメット団襲撃から始まったアビドス編…
アビドスの復興も、あの子たちから始まるんです。


それではお待たせしました。
ぜひ本編をお楽しみください、どうぞ!





For our only dearest friend

 

 

ペスコフ・イーグルマン・ダーランド、それが私の名前だ。

エンクレイヴ・アパラチア支部の将軍であり、今は学園都市キヴォトスにて友人とともにシャーレの顧問を担っている。現在はD.U.内のとある場所に向かっている。

 

ところで、吾が一家は筋金入りの軍人の家系だった。それが原因だったのかは知らないが、私の両親はVaultを出立するなりすぐさま「中国の赤ブタ共に報復してやる!」と息巻いて殴り込みを仕掛けに行った。

それからというもの連絡はまるきりつかない。まあ、さほど心配もしていないがな。

二人は恐ろしく強いのだ。きっとベヒモスだって敵わないだろう。

とはいえ今二人がどうしているのかはわからない…死んでるかもしれないし、あるいは生きているかもしれない。

私は生きているほうに賭けている。

 

なぜなら今私がこうして生徒の傍に立ち、知識を授け、体を鍛え、人生を説き…

時に道を外れた生徒を力ずくで引っ張りだすことができるのはあの愛国心と闘争心に手足を生やしたような二人のおかげだからだ。

今思えば、寝る前にプロパガンダを読み聞かせる少々様子がおかしい親だった。そうは言っても血は争えないもので、私も気づけばエンクレイヴと呼ばれる組織の将軍になっていた。

蛙の子は蛙…だが一方で愛情をもって育てくれたのは確かで、今でも感謝の念は尽きない。

返しきれないほどの恩があるが、今更親孝行など叶いはしないだろう。

だからこそ、私に注がれた二人の想いを汲み、それを今目の前にいる生徒たちに新たに注ごう。

 

 

この地に根を下ろした新芽たちが、いつか咲き誇る時まで…。

 

 

さて、そんな若き新芽たちが青々と生い茂るこのキヴォトスでは度々その無垢な葉がたやすく萎れてしまう悲しき現実があるのはご存知のことだと思う。

校則違反、社会秩序への反発、生活の困窮、様々な要因で生徒は「不良」になるのだ。

ウェイストランドの人々に倣うなら、子供がレイダーなるようなものだ。

実際にその行いもレイダーとほとんど変わらず対応する我々の命に係わることも稀にある。

略奪と暴力、それに伴った破壊行為…到底見過ごすことなどできぬ問題の数々。

私が今顧問として所属しているシャーレではそういった「不良」たちに対して、強力な手段を講じて制圧、無力化するなどして物理的に対応することが殆ど。

後の処罰や指導と行ったことは大抵、ヴァルキューレや矯正局で行われる。

 

制圧方法は勿論過度に残虐な手段はご法度で、人道的(アパラチア基準)な対応に限られる。

 

我々もできることなら彼女たちの心身に向き合った健全な指導をしたい。

しかし残念ながらそれは現実的に不可能に近い。

 

学園都市という地域では大人が極端にいない。

いたとしても救いようもないろくでなしか、動物の姿をした珍妙奇天烈な生命体か、あるいは自我を持ったロボットが殆ど少なくとも我々のようなホモ・サピエンスは見たことがない。

 

そしてなぜか、都市にごまんとある学園には教職がなく、教員が存在しない。授業は各学園が使用しているディスクや学習用のソフトウェアといったデジタル学習が全てであり教師、先生が教壇に立って板書を書くということも一切ない。

 

 

学園都市を名乗っておきながらこの体たらくに、如何なものかと苦言を呈する正気がある者は我らだけではないと信じたい。

 

 

ハッキリ言ってキヴォトスの実態は酷いものだ。

学園都市とは名ばかりの腐りきったネバーランド、責任者のいないディストピアだ。

誰がどんなご立派なスローガンを掲げてこんな場所を作ったのか知らないが…この目で見た限り、ここは子育てを放棄した大人たちが手に余った子どもをどこかに押し付けるため、自分たち都合のためだけに作った掃き溜めのように思える。

 

そんな場所に放り込まれた生徒は否が応にかかわらず自立して生活と学業を両立させ、時に武器を持って自ら身を守る必要があり、そんな子供たちの面倒を見る大人は一人たりとしていない。

 

唯一の治安組織すら学校とはどういうことだ!?

学校はまだいい学園都市だからな、だが大人の警察はどうした!

生徒が収集できない問題が起きたらどうするつもりか、非常にけしからん!

まあ、その尻ぬぐいとなったのが我々シャーレなのだろう。

…全く解せぬな。

 

更には呆れたことに社会的な力が無い学生しかいないことに目をつけた裏社会の犯罪者たちや、カイザーコーポレーションのような悪徳企業が根を張ったことで目も当てられない犯罪の温床となっている、ブラックマーケットはその最たる例であり、完全な無法地帯だ。

 

そしてそんな悪しき者たちの毒牙にかかるのは他でもない子供たち。

 

私が人の親なら例え子に恨まれてもこんな場所に置く気は絶対にない。

 

この都市の外にあるであろう世界がどうなっているのかは私が知ったことではない、だとしてもこんな欠陥だらけの「囲い」がある以上、正直まともな世界ではないと思っている。

 

こんなまともじゃない世界で、まともに生きることがどれだけ厳しいことか…。

 

だから…ヘルメット団のような子たちが現れてしまうのだ…。

誰にも頼れず、それでも足搔いた果ての堕落…。

 

なんと悲しいことか……。

 

ただでさえ悲惨なこの様に、更に私が胸を痛めたことがある。

あの日カイザーPMCがけしかけた自我のない強化オートマタ、またの名もオートマトン。

軍産複合体を体現するような恐ろしく合理的で非人道的な兵器の数々…。

アビドス侵略に失敗したヘルメット団はあろうことか、これらの動力にされた。

 

その事件から暫くたった今もトラウマとして記憶に焼き付いてしまった子たちも少なくはない。

それでも殆どは、根性…強い精神力で事件から立ち直り、自分たちの居場所へと戻っていった。

 

ちなみに、ヘルメット団とは今後オズワルドとターキンが主導で取引を行おうとしている。

 

神に誓ってもいいが、その取引は断じて彼女たちをあれ以上苦しめるものではない。

むしろその反対と言っていいだろう。

 

それはまあ後に語られることだ。

 

それよりも、そのヘルメット団の中に未だ心を病んでいる子がいる。

 

その名前を持たない子供(名無し)の心は深く傷つけられた。

私はまだ、その子が気がかりで仕方がない。

気の強い不良たちのなかでその子だけが気弱だった。

 

あの日からずっと…あの惨劇に囚われ苦しめられている。

 

仲間から責められ、拒絶され、孤独に彷徨いつづける悪夢。

動力を抽出する装置の中で見せられたそれが今も目を閉じるたびに鮮明に蘇ってしまう。

 

彼女がどれだけ辛く苦しい思いをしているのか、考えるだけでもため息がでる。

だが結局はそれも推し測ることでしかなく、真に痛みを知ることはない。

きっと当人にとっては、そんな推測よりも果てしなく辛いものだろう。

心の病とは得てしてそういうものなのだ。

 

私はただその子を哀れみ、傍で慰め続けることしかできなかった。

そして、心ばかりではあるが、名前を送った。

名前を呼ばれぬ子供など、この世にはいないから。

Vaultにいた私がそうだったように…だからこの子もそうあるべきだ。

そんなせめてもの思いからだった。

その時だっただろうかか、彼女が初めて微笑んだのは。

涙と鼻水でくしゃしゃになった、だが何よりも愛しく尊い笑顔…。

 

私は自他共に認められる程顔が険しい、だからこのガスマスクを外す時は少ない。

あの時ガスマスクを外していたらきっと…誰よりも情けない顔をしていただろう。

 

 

ああ…アメリア(Amelia)…。

 

 

最近、そんな彼女にも変化が起きつつある。

悪夢を見ることが少なくなり、魘されない日が増えたと。

人と会ってもパニックにならなくなり、先生たちとなら少し会話もできるようになった。

会話は元からあまり得意ではなかったらしいが…まあ、それはそれだ。

 

とにかく、ターキンや精神科医たちによる献身的な治療と彼女自身のがんばりによって、彼女の痛みが少しでも和らいでおり、快方に向かいはじめているのだ。これを喜べぬ先生などいないだろう、実際私は大いに喜んだ。その日の晩まで歓喜で興奮が止まずにテキーラを一瓶空にするぐらいだった。二日酔いになったのは言うまでもないだろう。ハメを外すのは得意じゃなかった。そういった事はエドワードやオズワルドの領分だ。

 

そして今日、また変化が起きようとしていた。

アメリアの様子を見にD.U.Vaultに向かう途中だった。

 

「……?」

 

歩道を行き交う人混みに紛れる、目立つものがあった。

黒光りしたヘルメット、デフォルメされたどくろマークに制服姿の少女。

ヘルメット団の一般構成員。

その中でもバイザーの小さな亀裂が目立つその子は、またの名を「モブ団員」

 

「ヘルメット団?カツアゲでもするつもりか?」

「……!」

 

指導が必要かと思ったその時、その子の手に握られているものに目が行った。

ビラだ。しかもただのビラではなく行方不明者捜索のビラ。

粗雑な出来だったため、彼女たちの手製の品なのはすぐにわかる。

だが一番驚きがあったのは探している人物だ。

 

「誰か!どなたかこの子を見かけていませんか?」

「お願いします!この子を知りませんか!」

 

群衆に向けられたビラに載せてあった写真に写っていたのはなんと、

アメリアだった。

 

道行く人に声をかけては、その子を知らないかと尋ねて回っている。

いつからそうしているのだろう。

 

疑問が浮かんだ瞬間、モブ団員に対し申し訳けない気持ちが沸いた。

しかしこの罪悪感が真実を語ることはない。

 

今、アメリアをヘルメット団には会わせるわけにはいかない。

いつまた、症状が再発するかわからないからだ。

彼女が患うPTSDは、ほんの些細なことからもフラッシュバックしパニックに陥ることがある。

そんな状態で、ヘルメット団に合わせたら、またあの悪夢に苛まれてしまうかもしれない。

それは、アメリアにとってもヘルメット団にとっても良くないことだ。

 

私は彼女に声をかけることなく、その場を立ち去ろうした。

 

「あっ!シャーレの先生!ちょうどよかった。」

 

「……!」

 

この軍服は、群衆の中では目立つようだ。

今度私服を買いに行くべきだろう。

 

私はあっさりモブ団員につかまってしまった。

 

「なぁ、ナナシを見てないか!?」

「あたしらがあんたらに助けられてから、あいつどこにもいないんだ!」

 

「……わからん。」

 

私は今子供にをついた。

もちろん、彼女がそれに気づくことはない。

これでは私もやつらと同じではないのか?

そう思いながらも、アメリアを案じる以上やむを得なかった…と言い訳をする。

 

「そっか…ごめん邪魔して……それじゃ。」

 

「あ、ああ…気を付けてな。」

 

「……ありがとう…。」

 

「…………。」

「おい、やはり少し待ってくれ。」

 

「…え?…何だよ?」

 

「少し聞きたいことがある。」

 

「聞きたいこと?何を?」

 

「いつからこんな事を?」

 

「Vaultを出た翌日から…アジトの近くも探し回ったけど、見つかんなくて。」

 

「なるほど、それともう一ついいか?」

 

「なに?」

 

「どうしてその子を探してる?」

「手に絆創膏を張ってまで。」

 

質問に裏はない、ただ気になった。

なれないビラ作りで手を痛めながら。

この子たちは、あの子に対し何を思ってそこまでしているのか。

それが確かなものなのか……私は知りたかった。

 

「どうしてって…当たり前じゃん、ナナシは大事な仲間、友達なんだからさ。」

 

年齢に関係なく同じものなのだな、友情というのは。

モブ団員の期待通りの言葉に、内心ほっとした。

そんな私をよそに彼女は話を続けた。

 

「あいつはドジだし、すぐヘマするし…世話が焼けるけど……。」

「でも誰よりも仲間のためにがんばってた。」

「あたしはそんなナナシが大好きだった、だからまた会いたい。」

 

ふと、彼女のビラを握る手に力が張りに皺ができる。

 

「それだけ…ただそれだけなんだよっ………。」

 

「……そうか…。」

 

「……。」

 

何かをこらえるように、モブ団員は黙って頷いた。

私の心を動かすにはそれで十分だった。

鈍ったせいか、子供にはめっきり弱くなっていた。

 

「なら…私も何か分かれば連絡しよう。」

 

「ほ、本当か!?ありがとう、恩に着るよ!」

 

「礼はいい、友を恋しく思う気持ちはよくわかる。」

「では失礼する、君も帰りには気を付けるように。」

 

真意を確かめた私はモブ団員が人混みに戻ったと同時にその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

Vaultの金属製の床をカツンカツンとブーツが小気味よく音を立てる。

その足音は医療セクターへと向かっている。

 

「……。」コンコンコン

 

病室の扉をノックして開ける。

 

「アメリア。」

 

「ペスコフ先生、今日も来てくれたんだ…。」

 

「望むなら毎日来てもいい。」

 

「ありがとう…でも大丈夫。お仕事忙しいだろうし…。」

 

「気にしなくていい。」

「それより気分はどうだ?どこか優れない所はあるか?」

 

「ううん、今日は大丈夫…普段よりも、凄くいい。」

 

「うむ、それは何よりだな。」

 

「だから、今日はVaultの中を少し歩いて回ったりしてみた…。」

「少し、楽しかった。ロボットたちも、優しかったし。」

 

「それはそれは。よかったじゃないか。(彼女のために夜通しで人格サブルーチンを調整した甲斐があったな。)」

 

「うん。」

「…それと…あの、今日はグーンズ先生とも話をしたの。」

 

「グーンズと、そうか。どんなことを話したんだ?」

 

「先生のお仕事のこととか…あと、ぱわーあーまー?の事とか。」

「それで、先生たちって…凄いんだなぁって…。」

「私、人よりうまくできないことが多くて……でも先生たちはなんでも出来て……」

「だからその…羨ましいなって…思った。」

 

「そうか、先生たちは凄いか…。」

 

「うん…。」

 

「でも先生たちも最初はできないことが多かった。」

 

「そうなの?」

 

「もちろん、私だって色んな失敗をしてきた。だから学ぶんだ。」

「何で失敗したのか、どうしたら成功するのか。考えて、試して、そうやって学んできた。」

「我々はそうやって大人になったんだ。」

 

「そうなんだ…先生も…………。」

 

考え込むように暫く俯いた彼女は、私の方を向いて訊ねた。

 

「ねぇ、ペスコフ先生。」

 

「どうした?アメリア。」

 

「私も…なれるかな、先生みたいな…なんでもできる凄い大人に。」

 

「……それは……うーむ…………。」

 

答えに悩む質問だった。

正直、私のような大人にはなってほしくない。

我々のような取り返しのつかない過ちは犯して欲しくないからだ。

でも、彼女の言葉はおそらくそういうことではない。

君の眼に映る私は、どれだけ眩いものなのだろう。

 

でも確かなのは彼女には未来があるということ。

どの未来を選び進むのか、それは彼女の自由だ。

そして私が口にした彼女への答えは、私自身の願いだった。

 

「そうだな……君が願うならきっと、何者にもなれるはずだ。」

「「私のように」でなくとも、君が望むなら何にでも。」

「重要なのは、意思をもって望みに向かって進むことにある。」

「だから人は頑張れるんだ。」

「だがまあ今は、君は心を治すのをがんばらねばならんな。」

 

「ふふっ…うん、がんばるね、先生。」

 

「ああ、だが無理はしないでくれ。」

「辛かったらいつでも頼るんだ。」

 

 

彼女と言葉を交わす間はシャーレの忙しない目まぐるしい業務を忘れられる。

そういう意味では、私はある意味彼女に救われているのだろう。

救うつもりが……皮肉なものだ。

 

「アメリア、一ついいか?」

 

「なに、先生?」

 

「君は……仲間に…会いたいか?」

 

私の問いかけにアメリアは体をピクリと震わせた。

 

今、私と彼女の間には気まずい沈黙が流れている。

そして、いつ何が起きてもいいように、私はナースコールのボタンに注意を向けている。

私は必ず彼女を助けるつもりでいる。

しかしここから回復するか否かは、彼女次第だ。

 

もし、彼女が望むなら。

どんな協力も惜しまない。

 

今はただ君の答えを待つ。

どれだけ時間をかけたっていい。

これくらい…滅びた世界で家族を待つより、遥かに気が楽だ。

 

時計の秒針が3週目に入る頃に、アメリアは深く息を吸った。

 

「わ、私は…。」

「皆に……会いたい……とっても…会いたいよ…。」

「でも………でも…怖い……!」

 

「……。」

 

「もし、あの嫌な夢見たいに、皆が…私を嫌ってたら………私…もうどこにも……。」

「そう考えちゃって私…どうしても……。」

 

声が震えるたびに、ためた涙がぽろぽろと零れ落ちていた。

それだけ、カイザーが見せた絶望は計り知れない。

 

彼女の冷たい皮膚に、ふと温もりが加わる。

寄り添うように、私の手を彼女の震える手に重ねた。

 

「アメリア…聞いてくれ。」

「実は…今朝会ってきたんだ。」

「ヘルメット団の一人に。」

 

「……もしかして…モブちゃん…?」

 

「ああ…やはり知らぬ仲ではないんだな。」

「君のことを必死に探していた。…アテもないだろうに、街中で君を呼びながら。」

「その子と話をした…なんて言ってたと思う?」

 

「……っ。」グッ

 

彼女はそっと俯くと、手にしていた掛布団を強く握った。

あの子か握りしめたビラのような皺がそこにあった。

かつての親しさが垣間見えるようだった。

 

「大事な仲間であり、友人だと言っていた。」

「誰よりもがんばっていたそんな君が大好きだったとも言っていた。」

「だから大丈夫だアメリア……誰も君を見捨てたりはしない。」

「あの子たちは時々、私の手を煩わす不良だが、決して人でなしではない。」

「君を想ったあの言葉が何よりの証拠だ。」

「どうだろう、少しだけ、信じてみないか?」

「勇気が湧かないなら、私がまた傍にいよう。」

 

「…………。」

 

再びの沈黙だった。

しかし今の彼女の目に涙はもうない。

ただ、深く呼吸し、決意を固めていた。

何をするにも、まずは勇気を持ってから始まる。

アメリア…君はきっとあの子たちとも、そうやって出会ったのだろう。

ならこのこはできる子だと、私は信じている。

 

「先生…私……」

「皆に…モブちゃんに会いたいっ!」

「でも、やっぱり怖くて…だから…その……先生も、一緒に来てほしい。」

「お願い…。」

 

「もちろんいいとも、是非もない。」

「そうと決まれば、準備を済ませておかないとな。」

「アメリアも今日はゆっくり休みなさい。」

 

「うん…ありがとうペスコフ先生。」

 

「……どういたしまして。」

 

ヘルメット団は彼女の病に胸を痛めるだろう、そしてアメリアはトラウマに更に病むかもしれない、そう考えて今まで両方の距離を置かせていた。だがそれももう潮時かもしれない。

 

彼女とあの子たちの間には今、大きな不安が渦巻いている。

それを拭えるのは私ではなく…彼女たち自身。

 

願わくばこれでお互いに掛かった先の見えない靄が晴れ、彼女たちの青春が取り戻されることを祈ろう。

 

 

上に広がる空は、まだ青いのだから。

 

 

 




いかがでしたか?
アメリアとヘルメット団のモブちゃんはどうなるのか。
ペスコフはあの子の笑顔を取り戻せるのか!?

気になる次回をお楽しみに!

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