Fallout76 -once in a blue archive- 作:egguimen
期待してくれていた読者の方には本当に申し訳ないです。
今回は7話のコメントで彼がインベントリから物取り出してるのどう思ってるんだろう?というのを頂きまして。
「そういやあんまり触れれてねえ!!」ってなったのでこの日常回を書くことに決めました。
本編と関係があるかと言ったら展開次第ではないかもしれません。
それでも良ければ読んでいってください。
それと序盤シリアス注意です。
それではどうぞ。
とある休日の昼。俺は何か面白いロケーションがないかと広大なアビドスの砂漠を探索していた。
ここを歩いていると、廃れた線路に埋もれたビルと日本様式の家屋…ヒトが建てた物は幾つかあれど、人の気配や痕跡は一切なく、その建物自体も大半が砂に埋まっていた。
その光景が視界に映る度にどうしてもウェイストランドの殺風景が頭の中で浮かぶ。
"Hmmmm……"
しかし、それを何度重ねる度に胸が待ち針にでも刺されたような痛みを訴えかけてくる。
鼓動はまるで扉を激しく叩きここから出してくれと言わんばかりで、脈打つたびに脚に屍の手が絡みついている感覚に襲われる……。
それでも彼は、その歩みを止めることはなく、ただ歩き続けた。
焼けるような日差しにも慣れてきた頃、
「これは………。」
俺は目の前にひび割れた砂岩で構成された巨大なクレーターのような場所を見つけた。
枯れた植物の痕跡、窪みのヒビ………おそらくここにはかつてオアシスがあったのだろう。
それによく見ると幾つかの人工物の痕跡も確認できる。広大な砂漠にある湖……当時は貴重な水源として重宝されていたのかもしれない。
差し詰め、"アビドス湖"と言ったとこだろうか。
「はぁ…………。」
俺は溜息を深く吐くと、その湖の側で腰を下ろした。
「サマーズビル…。」
その名は、かつてチャールストン議事堂の北にある干上がった湖の名前だ。
戦前はそこでパーティーを開く若者が多く居たらしい。
俺の両親…ダニエルとメアリーはお互いそこで知り合ったそうだ。
「………。」スッ
彼は制服の内ポケットから一枚の焦げた灰色の写真を取り出す。
ジャンプスーツを着た男女と、少年が満面の笑みを浮かべながらサムズアップをしていた。
「父さん!母さん!」
「しっかりしてくれよ!」
青年はスーパーミュータントの屍で溢れかえるサマーズビルの離れから悲痛に叫ぶ、顔から出る液体すべて吐き出しながら、血すらも混じりただひたすらに叫ぶ。
父と母は、馴れ初めの場所へ我が子を連れて行こうとした。
……しかし、彼らの愛が芽生えた地には、緑の巨人が闊歩し、死肉と血の匂いが漂う地獄と化していた。
無論、それはこの街に限った話ではない。
アパラチア、そしてアメリカそのものがそんな地獄に変わり果てていた。
父と母は、恐怖で動けぬ青年をミュータントから決死の覚悟で守り抜いた。
真の意味で、その命を削りながら。
「ああ………くそ………。」
「もっと………一緒に居てやりたかった………のに………。」
「どうか………ゆるして………ちょうだい………。」
「ター………キン………………。」
「すまな………い。」
「な、なに………言ってるんだよ、まだこれから……」
「アパラチアを家族で復興させようって、言ってたじゃないか……。」
スティムパックもない、包帯もない。
知っていた………長く愛してきた二人の命はもう長くないと。
それでも尚、願わずにはいられなかった。
「もうしわけ………ない。」
「アメリカを…故郷を………頼む………わ。」
「なんでそんな事言うんだよ、まだこれからじゃないか………!」
しかし…青年の願いは虚しくも届くことはなかった。決して。
「うっ……く…………うぅ……。」
「父さん、母さん……嫌だよ、置いてかないでよ………。」
「あ………いしてる…………わ………。」
「あい………してい………るぞ………む……す………子よ………………。」
遂にこと切れた二人は…我が子にその言葉だけを遺し、去った。
しかし、その現実を受け止めるには、青年はあまりにも未熟だった。
「うそ、うそうそうそうそうそうそ!?」
「そんな!?ねえ目を開けてよ!」
「お願いだから死なないで!」
「………………お願いだよ………。」
「くっ………うぅ……。」
青年が請い乍ら握る二人の手に、もう温度はなかった。
絶望に叩きつけられた青年はその事実に気が付いてしまった……。
「あ、ああっ………………。」
愛する人を失う…その永遠にも思える長い苦しみは、青年の心臓の中を血液と共に絶え間なく巡り続けた。
死屍累々のサマーズビルの路地裏で、アパラチアに連なる山々に響き渡らんばかりの喪失と悲しみに塗れた慟哭が溢れ出る。
しかし無情にもアパラチアの黒い雨にかき消され、その声は何者の耳にも届くことはなかった。
両親にも、神にすらも………。
彼の側にいたのは
「………はあ。」
父と母は、俺を愛してくれた…最期まで、その命を懸けて。
「あなた達がしてくれたことを、俺はあの子達にできるだろうか……。」
愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない。
不作法をしない、自分の利益を求めない、いらだたない、恨みをいだかない。
不義を喜ばないで真理を喜ぶ。そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える。愛はいつまでも絶えることがない。
一抹の不安を吐露していた所、よく知った声が俺にかけられた。
「あれ、先生こんなところで何してるの?」
「……ああ、ホシノか…。」
「あれを見てたら少し…懐かしくなってしまって………。」
「懐かしく?」
「ここ、湖があっただろう。」
「…なんで知ってるの?」
「この窪んだ地形を見ればわかるさ。」
「それに………。」
「ここを見ると故郷を思い出す。」
「故郷?」
「サマーズビル…故郷にあるその町の側には、同じ名前のダム湖があった。」
「だがもうそのダムは壊され、湖は干上がりぺんぺん草すら生えなくなった。」
それもこれもとあるレイダーグループがあそこで核爆発を起こしたせいだが……。
「なんだか……似てるんだね。アビドスに。」
「ああ、本当にな。」
「……となり、座ってもいい?」
「…構わない。」
彼が了承すると「失礼するねー。」と彼女は俺の側に腰かけた。
「ねぇ、その写真に写ってるのってさ…もしかして、」
「…家族だ。」
「そうなんだ、じゃあこの子は先生かな?」
ホシノは写真の二人の間にいる子供を指でさした。
「そうだ。」
「そっかそっかー、いやー子供の頃の先生ってかわいいねー。」
「かわいい」その言葉で俺は胸の内がどうしようもないむずがゆさを覚えた。
「……そうか。」
「あれ、先生もしかして照れてる?」
「……少しだけな。」
「へー………。」
そんな風にたわいもない会話を弾ませた後、二人は静かに湖だった場所を眺めていた。
「「………。」」
すると、突然彼女は語りだす。
「あのね…この湖に水があった頃ってさ、町から人が集まってお祭りを開いてたらしいんだよねー。」
「お祭り…。」
「そう、"砂祭り"って言っていろんな屋台が出てすごく賑やかで楽しいお祭りだったみたいだよ。」
「そうなのか。」
「ま、昔に聞いただけで私もよく知らないんだけどねー。」
「ふむ……。」
俺はその砂祭りとやらに興味が湧いた。
やることが増えた。
「……きっと、楽しかったんだろうな。」
呟く彼女にふと目を向けると。
「ッ………!」
俺は息を吞んだ。
彼女の瞳が、
この時からだろう、俺があの子に危機感を抱くようになったのは。
その後ホシノはどこかに野暮用があると言ってどこかへ去り、それを見送った俺は心のどこかで気まずさを抱えながら、学校へと向かった。
そして校舎内の倉庫で武器の手入れをしていた時、セリカがやってきた。
「あれっ、先生学校の倉庫で何してるの?」
「コイツの整備だ。」
「何それ。」
「AER-9 レーザーライフル。」
「超高出力のレーザー光を放つエネルギー武器だ。」
言わずもがなであるが、キヴォトスにレーザー銃なんて代物はないので、彼女は大層驚いた。
「レ、レーザー!?」
「なんだ、キヴォトスにはエネルギー兵器はないのか?」
「そんなSFじみた代物あるわけないでしょ…。」
「あるとしてもミレニアムくらいね、あそこの技術はキヴォトスより何年先も進んでるなんて話もあるから。」
「ほう、それは面白いことを聞いた。」
今度機会があれば行ってみよう、ユウカにもしばらく顔を合わせてないし。
「それで、今は何してるの?」
「ストックの溶接。」
「ふーん…そういえば、先生って何かと手先が器用よね…。」
クラフトと修理はVaultで嫌というほど叩き込まれた。
このくらい朝飯前というものだ。
「それほどでも。」
「あっ、そこのネジ取ってくれるか?」
「これ?」スッ
「そうそれだ、どうも。」
「ん。」
そんな平和な受け答えあった後、セリカはこれまで聞くに聞けなかったことを今こそ聞いてみた。
「……そういえば、この間ヘルメット団達を倒した時に使ってたパワーアーマーっていうの、アレが何なのかも気になるんだけど……まずあんな大きな物どこから出してたの?」
「何って…インベントリ…だが?」
「インベン…トリ?」
「うーん、難しいな。」
「…要はインベントリという倉庫のようなものがあって、Pip-boyを介することでアイテムを収容、取り出しを行っているわけだが…実際はもっと複雑な仕組で…すまないが開発者がこれまたとんでもない技術者だったみたいでな、説明がつかない仕組みが多いんだ…。」
とくに頭を抱えたのは物質をデータ化するなんて超技術。
まったくどうかしてる。
まあ便利なら何でもいいのだが…。
「そう…ま、まぁとにかく凄いのはわかったわ…。」
「それにしてもとんでもないテクノロジーね。」
「まあ、つまりはそういうことだ。」
そんなやり取りをしてる間に俺はレーザーライフルの整備を終わらせた。
「さて、ちゃんと動くかどうか試そう。」
俺は動作確認を兼ねて校庭で試し撃ちをする事にし、教室から持ってきた机の上に厚さ30mmの鉄板を置いた。ちなみにシロコやノノミ、そしてアヤネもセリカと一緒に見物に来ていた。
大して面白い物でもないと思うんだが…。そんなに珍しいのだろうか?
「……。」
俺は呼吸を整えサイトを覗き込み、狙いを鉄板のど真ん中に定める。
そして、
ブォンッ!!
レーザーライフルから放たれる真っ赤な閃光は鉄板を見事に貫いた。
「うん、精度も威力もバッチリだな。」
彼は鉄板に空いた直径5cm程の穴を見て、満足げに頷いた。
「「「おお………!!」」」パチパチパチ…
その後ろで見物していたセリカ達は彼の兵器の火力に感心し拍手を送った後、何やら話し始めていた。
「先生ってさ、なんだか…不思議だよね……色々。」
「うん、なんか謎が多い……。」
「ん、自分の事を何かと話さない。」
「そ、そうですね……秘密主義的と言いますか…。」
そんな彼女たちを余所に彼は机をパパっと片付けた。
「……さて、後は特にやることもないか…。」
俺がこの後どうしようかと思案していると、アヤネからこんなことを聞かれた。
「そういえば、先生は最初に来てからずっとアビドスにいますけど、シャーレのお仕事は大丈夫なんですか?」
「ああ、それなら問題はない。ロボットのホプキンスが代わりにやってくれてる。」
ホプキンスはシャーレを留守にしている間に仕事の書類が溜まらないように彼が作った事務作業サブルーチンが組み込まれたMr.ハンディだ。
「いつの間にそんなものを…。」
「レーザーの次はロボットって……益々謎が深まるわね…。」
「まあ、暫くは戻らなくても業務に問題はない。」
(最初のころ見たくメンタスを中毒一歩手前までキメ続けるのは御免だからな。)
「さてと今日やることは一通り終えたがまだ日も高いな…。」
彼が再び難しい顔をしながら頭を捻っていると………
ぐ~……。
腹が鳴った。今までは2週間飲まず食わずでも何も感じなかったんだが…珍しいことがあるものだ。
何はともあれ今から次にやることは決まった。
「ラーメン、食いに行くか…。」
「そういえばもうお昼時ですね。」
「あっ私も先生とご一緒してもいいですか?」
「ん、私も。」
そういうことなのでその後は皆で大将のラーメンを食べに行った。
その後のターキン曰く、食後にAGIとENDに+1のボーナスが暫くかかったらしい。
最近ウェイストランド人先生系(????)の小説書いてる人が現れたんです。
伝説級★★★シバいて一回で不屈シークレットサービスコンプしたような気分です。
Falloutとブルアカが好きな自分の念願の夢だったので嬉しすぎたし、涙管があるから泣いてしまった。(76のmoonshine jamboreeやってないと分からないネタ。)
しかも文章がとてつもなく上手いんですよね。これがかなり参考になるんですよ。
盗作にならない程度にその文才を拝借していこうと思います。
今回も読んでいただきありがとうございます。
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