Fallout76 -once in a blue archive- 作:egguimen
初めてのアンケートです。
セリカ救出の翌日。
アビドス高校では、恒例定例会議が、教室で行われていた。
しかし今回そこには、ターキンも参加していた。
「コホン…。」
軽く咳ばらいをし、アヤネは会議の前に行う挨拶を始めた。
「……それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。」
「本日は先生にも起こし頂いたので、いつもより真面目な議論が出来ると思うのですが。」
「は〜い☆」
「もちろん。」
「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない……。」
「そうなのか?」
「そ、そんなわけないでしょ!」
「うへ、よろしくねー、先生。」
「それでは早速議題に入ります。本日は、私たちにとって非常に重要な問題…「学校の負債をどう返済するか」について、具体的な方法を議論します。」
「ご意見のある方は、挙手をお願いします!」
「はい!はい!」
アヤネが挙手を促すなり、セリカがいの一番に手を挙げた。
「はい、1年の黒見さん。お願いします。」
どんな意見が聞けるかと思ったが……
「……あのさ、まず苗字で呼ぶの、やめない?ぎこちないんだけど。」
俺は「まずそこかよ」とずっこけた。
「せ、セリカちゃん……でも、せっかく会議だし……。」
「いいじゃーん、おカタ〜い感じで。それに今日は珍しく先生もいるんだし。」
ホシノの発言にシロコが一言付け加えた。
「珍しくというより、初めて。」
「ですよね!なんだか委員会っぽくていいと思いま〜す☆」
「はぁ…ま、先輩たちがそういうなら……。」
「……とにかく!対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況は破産の寸前としか言いようがないわ!」
「らしいな。」
まあ、さすがに9億の借金ともなると俺も危機感を感じざるを得なかった。
「このままじゃ廃校だよ!みんな、わかってるよね?」
「うん、まあねー。」
ホシノはのほほんとした様子で答える。
「毎月の返済額は、利息だけで788万円!」
「ちょ、ちょっとまてよ788万だと!?」ガタッ
俺は驚きの声を上げた。
9億の借金と言いこの利息と言い、とてもじゃないがたった5人、ましてや学生が払える額じゃないだろうと思った。カイザーローンとは一体どんな企業なんだ、全くどうかしている。
「私たちも頑張って稼いではいるけど、正直利息の返済も追いつかない。」
「これまで通り、指名手配犯を捕まえたり、苦情を解決したり、ボランティアするだけじゃ限界があるわ。」
「このままじゃ、らちがあかないってこと!何かこう、でっかく一発狙わないと!」
「またギャンブラーみたいなことを口走りよってからに…。」
セリカの意外な一面をここで知りたくはなかった。
「でっかく……って、例えば?」
アヤネの問いに対しセリカは懐から一枚の紙切れを取り出した。
「これこれ!街で配ってたチラシ!」ピラッ
アヤネはセリカから受け取ったチラシを見て何かに気づく。
「これは……!?」
「どれどれ……。」
「─ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金!─……ねぇ…?」
「そうっ!これでガッポガッポ稼ごうよ!」
周りはセリカの言葉に呆れて物が言えなくなった。
「「「………。」」」
「この間、街を声をかけられて、説明会に連れていってもらったの。運気をあげるゲルマニウムってのを売ってるんだって。」
シロコは黙ってセリカの言葉に耳を傾ける。
完全に訝しんでいたが……。
「「「………。」」」
「これね、身につけるだけで運気が上がるんだって!で、これを周りの3人に売れば……。」
「……みんな、どうしたの?」
セリカが聞くなりホシノは即答した。
「却下ー。」
「えーっ!?何で?どうして!」
セリカは却下の理由を理解できていないようだった。全く……。
「はぁ、セリカ……バカじゃないか?」
俺はため息と一緒に思わずそんな言葉すら口をついてでた。
「ば、バカって何よ!?失礼じゃない!」
「いいから聞け……あのな、ゲルマニウムにそんな効果はない。」
「はぇ!?で、でも説明会じゃそう話しててその…。」
「わかったわかった、まずは基礎的な所から説明してやる。」
セリカに刷り込まれた虚偽を上書きするべく、ホワイトボードを裏返した俺は自分の持つINTを総動員してゲルマニウムについて解説を始めた。
「まずそもそもゲルマニウムというのは金属と非金属の中間の亜金属と呼ばれる物質で……」ペラペラ
「主な性質としては、低温の状態だと電気を通さない絶縁体になり、高温になると電気を通す伝導体に……」ペラペラ
「余談だが、この特定の条件下で伝導体や絶縁体に変化する性質を持つ元素は半導体元素と呼ばれることがあり、代表として例に挙げられるのはシリコンやセレンなどいった……」ペラペラ
コトリ顔負けの長話を繰り広げるこのWikipediaのコピペのような説明だが、長々と文章に起こすとただでさえ多い文字数に拍車がかかってしまい蛇足も蛇足になってしまうので割愛する。
こうして正しい知識を懇切丁寧に説いたあと、ようやく現実を突きつけた。
「つまりはだ、このゲルマニウムというのは半導体の性質を持っていても人の運気をあげる性質なんてものは一切ない。これが真実だ。」
(それに、さっきピップボーイで解析したら運が上がるどころがCHAが3も低下する効果がついてた。なんて酷い代物だ…カビた食料を100キャップで買う方がマシかもしれない。)
彼女の一獲千金の夢はその場でバッサリと斬り捨てられた。
「そ、そうなの?」
「っていうか、なんでそんなに詳しいわけ……?」
「過去の仕事柄…武器と科学に関してはなにかと造詣が深くてな。」
「そ、そうなのね…はぁ…。」
セリカは彼のINTに気圧されてしまう。
「そもそもさ、運気なんて目に見えないものをどうやって上げるって言うの?」
「……それは……その……わかんないけど……。」
ホシノが後輩を諭しているこの状況で流石にデイトリッパーを飲めば上がるぞ…なんてこと言うのは野暮だろうな。黙っておこう。
「それじゃあこれって……。」
「残念ながら、真っ赤な<嘘>だな。」
「それに……マルチ商法だから………。」
アヤネが言い淀んでいる所をシロコとターキンが素っ気なく言い放つ。
「儲かるわけない。」
「その上しっかり犯罪だ。このままいってたら今頃現行犯だったろうな。」
二人の発言にすっかりトドメを刺され心を折られたセリカはその場でへたりこみ、目じりに涙を浮かべ始めた。
「ううっ……。」シュン…
「どうしよう……私、2個も買っちゃった……。」
「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」
「おいおい…俺の時はあんなに疑ってた割に肝心な時はこれか?」
この余計な一言がさらに追い打ちをかけてしまった。
「ッ………!!」ガーン…
「…ううぅ~!!」
「あ、泣いちゃった。」
「あー!セリカちゃん泣かせちゃった!」
「先生いけないんだ~!」
「ああ!?…す、すまない。悪気があったわけでは…。」
それはそれとして、落ち込むセリカにホシノは優しい口調で窘めた。
「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気を付けないと、悪い大人に騙されて、人生取り返しつかないことになっちゃうかもよー?」
俺のPERは彼女の言葉に嫌な説得力を感じた。
特に「悪い大人」という発言、妙に引っかかる…俺がその部類に入れられている節があるということもあるが、その台詞は彼女の何かしらの経験から来ているように思えた。
「そ、そんなあ………そんな風には見えなかったのに…せっかくお昼抜いて貯めたお金で買ったのに……。」
ぽろぽろと涙をこぼすセリカにノノミが菩薩のような笑みを浮かべて助け舟をだした。なんとなくこの組織における彼女の役割のようなものが見えてきた気がする。なかなか気を使うことが多い立場なのだろう。
「大丈夫ですよセリカちゃん。お昼、一緒に食べましょう?私がご馳走しますから。」
「ぐすっ…ノノミせんぱぁい……。」
自分でも散々なことを言っておいてではあるが、子供相手のこの仕打ちには正直俺も腹に据えかねる所があった。
俺はインベントリから"ソレ"を取り出すとぬらりと立ち上がり教室のドアノブに手をかけながら言う。
「少し……用を足してくる。」
ニブニブニブニブニブ………
すると彼が何処で何をしでかそうとしているのか見破ったシロコが待ったをかけた。
「ん、別にいいけど。用を足すのにブローニングM2を持っていく意味はなに?」
ギクッ
「……今は我慢するか。」ゴトッ
一度引き抜いた鞘を納めるようにその手に握っていた
「いや我慢するほどなら行ってきて。」
「あっ、今のはものの喩えであってだな…」
「先生、お出かけなら後で一緒に行きましょう☆」
そのノノミの手には、ミニガンがガシッと握られていて、青筋がたっていた。
彼女もまた、彼と同様にセリカを騙した連中に内心ブチ切れていた。
しかしシロコとホシノはそんなヒリついた空気をいっさい読まなかった。
「ノノミちゃん、先生とつれションはおじさんさすがにどうかと思うよ?」
「あっいやそういうことでもなくて…」
二人のボケによって保護者組から一瞬漏れ出た殺気は風に吹かれるが如くあっけなくどこかへと消えた。
そして話を戻しつつ、この議論もそろそろ進めなければいけないのでまずは改めて落ち込むセリカを慰めることになった。
俺はへたりこむ彼女の前に屈むと、肩に手を置き温和に語りかけた。
「セリカ、君のお金のことなら後で必ず何とかする。」
「ほ、本当……?」
「もちろん、約束だ。」
そしてダメ押しにセリカの頭を優しく撫でた。
動機は好奇心の方が大きいが、ネコだしこれが案外効くのではと思ったのもある。
ネコと言っても、その要素は耳としっぽだけでそれ以外は人間そのものだが。
「ちょ……ちょっと先生…恥ずかしいからやめっ……!」
「なんだ、嫌か?」
「それは……あんまり……悪くない…けど。」
セリカは羞恥心に顔を赤くしつつも、意外と満更でもなかった。
このところ彼女からはこれまでのようなトゲのある反応がない。
おそらくは彼女の信頼を得られた……ということなのかも。
「……コホン!」
徐々に会議の雰囲気がなくなっていくのを察知したアヤネは再び咳払いして本題に戻る。
「事情が事情ですが……茶番はほどほどにしましょう。」
「…えっと…それでは、黒見さんからの意見は以上で……他にご意見のある方は……。」
「はいはーい!」
次に手を挙げたのはホシノだった。
普段のほほんとしている分意外だと感じたが、時折さりげなく顔を覗かせるあの真剣さも考えると。それほど特異な事でもないのだろう。
それほどこの学校が大事という訳だろう…感心な事だ。
「えっと……はい、3年の小鳥遊委員長。ちょっと嫌な予感がしますが……。」
「とりあえず聞いてみよう、話はそれからだ。」
「うむうむ、えっへん!」
彼女は刻々と頷き胸を張ってそれらしい仕草をすると、意気揚々と力説し始めた。
「我が校の一番の問題は、全校生徒がここにいる数人だけってことなんだよねー。」
「ふむ、学校として生徒数が君たちたったの5人だけというのは非常に少ないな。」
「そう!生徒の数=学校の力。トリニティやゲヘナみたいに、生徒数を桁違いに増やせれば、毎月のお金だけでもかなりの金額になるはずー。」
「え……そ、そうなんですか?」
「そういうことー!だからまずは生徒の数を増やさないとねー、まずはそこからかなー。」
「そうすれば議員も輩出できるし、連邦生徒会での発言権も与えられるしね。」
「仕組みはよくわからんが、まあ筋は通ってる…のか。」
その理屈は理にかなってこそいたが、肝心なことが述べられていない。
俺はホシノに対して単刀直入に問い質す。
「で、その生徒数を確保する手段は?」
「簡単だよー、他校のスクールバスを拉致ればオッケー!」
感心したといったな、前言撤回しよう。
コイツやべーわ。
あまりにも突飛な発言に俺は今まで発したことがない声を漏らした。
「ふぁ?」
「登校中のスクールバスをジャックして、うちの学校への転入学書類にハンコを押さないとバスから降りられないようにするのー。」
「うへ〜、これで生徒数がグンと増えること間違いなーし。」
その荒唐無稽で奇天烈なやり方は理論的にはともかく、倫理的にはかなり間違えてるものだった。
「それ、興味深いね。」
シロコは何故かホシノの案に乗り気だった。
さては同じ穴の狢と言うやつだろうか?俺の不安は加速した。
「ターゲットはトリニティ?それともゲヘナ?ミレニアム?」
「狙いをどこに定めるかによって、戦略を変える必要があるかも。」
「お?……えーっと、うーん……そうだなあ、トリニティ?いや、ゲヘナにしよーっと!」
「おい待て待て待て……さすがに冗談だろ?だろ!?」
さすがに他校の生徒を拉致というのは先生として止めざるを得なかった。
「そんなマネをすれば敵を余計に増やす事になる。そうなればこの学校は今度こそ一巻の終わりだろうに。」
「ん、でもバレなければ問題ない。」
「これがバレないと思うか?考えてもみろ。ある日突然何十人もの生徒がバスごと学園から姿を消すんだぞ?」
「一度捜査されれば間違いなくその場でゲームオーバーだ。」
「あっ……。」
どうやら盲点だったらしい。
こんな負けが目に見えたギャンブルに生徒の未来を賭けられる訳がない。
それになにより……
「そもそもそんな卑劣な手段でその場を凌いでなんになる。」
俺の言葉に、アヤネも同意する。
「先生の言う通りです、仮にうまくいったとしても褒められたことではありませんし、それが知られれば各学園の風紀委員が黙ってませんよ……。」
「うへ〜やっぱそうだよねー?」
彼女もハナから本気でそんな真似をしようとしてた訳じゃなかったらしい。
単なる悪ふざけ、ならまだかわいらしいが…相手を考えるとな……。
捉え方によってはこの一連のやり取りを通じて俺を試しているとも取れる。
実際今も俺に向けられた彼女の視線から奇妙な何かを感じる。
疑念、敵意、警戒、考えられる内容は様々だ。何しろ、彼女は大人を敵視しているような言動が時折あるのだ。わかりやすいのはセリカを窘めたときだろう。
そもそも出会ったその瞬間から、小鳥遊ホシノ……彼女からは常に警戒されている。
その双眼が密かに俺に訴えかけてくる。
彼女が俺に向けるその目の色を俺はよく知っている。
目は口程に物を言うとはよく言ったものだが、彼女の透き通るような青と琥珀のような黄のオッドアイが浮かべるものは
アパラチアに人々が戻った当時、外からやって来た入植者達はスプルーズ・ノブに居住地を建造した。
俺は遂に居住者以外の人々に会えるんだとワクワクしながら消防斧片手に向かった。
しかし待っていたのは、自身に疑いの目を向ける入植者達の威嚇にも似た鋭い眼差しだった。
本人はうまく隠しているつもりなのかもしれない。だが彼女の目は、その時の入植者達と同じ物だった。
不信を抱く目、それは"傷つけられた者"の多くが持っていたものだ。
小さな彼女に、一体どんな傷があるのか……それはまだ知りえない。しかし願わくば、その傷を癒す事は出来ずともその痛みを和らげてあげられないだろうか……。
まあ、いくら不信を抱かれようともやるべきことは変わらないが。
この子達を
例えその為に、戦争をすることになろうとも。
「全く……洒落になってないぞ、久方ぶりに肝を冷やした。」
「ホシノ先輩……今日くらいはもっと真面目に会議に臨んでいただかないと困ります……。」
「アヤネが言ってた嫌な予感というのはこういうことだったのか……。」
「ええ、そういうことです……お恥ずかしながら。」
「「はぁ……。」」
そうやって二人してため息をついていると今度はシロコが手を上げる。
「いい考えがある。」
「……はい、2年の砂狼シロコさん……。」
バスジャックに乗り気だったんだ、今更どんな意見が飛び出してきても驚かないだろう。
お次はなんだ?銀行強盗か?
「銀行を襲うの。」
「はっ!?」
「……もう驚かんぞ。」
「確実かつ簡単な方法。ターゲットも選定済み。市街地にある第一中央銀行。」
「金庫の位置、警備員の動線、現金輸送車の走行ルートは事前に把握しておいたから。」
しかも綿密に計画を練っていた。俺はシロコの奥底に眠る潜在的脅威を感じざるを得なかった。
この子はなんなんだ?前世はPAYでDAYなギャングだったのか?
「さっきから一生懸命見てたのは、それですか!?」
「5分で1億は稼げる。はい、覆面も準備しておいた。」
そう言うとシロコは2と書かれた青い目出し帽を被り、やる気に満ちた表情を浮かべた。
「いつの間にこんなものまで用意を……。」
「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」
「わあ、見てください!レスラーみたいです!」
いつの間にかノノミも3と書かれた緑の目出し帽を被ってはしゃいでいた。
「……。」
俺はもう唖然として言葉がでなかった。
「いやー、いいねぇ。人生一発でキメなと。ねえ、セリカちゃん?」
ホシノの皮肉を前にセリカはというと当然……。
「そんなわけあるか!!却下!却下ー!!」
完璧なツッコミに俺は救われた。
「そっ、そうですっ!犯罪はいけませんっ!」
「ありがとうセリカ、君のツッコミがなかったら私たちはもうダメだったかもしれない……。」
俺は彼女に心から感謝した。
「は?」
「えっと、その……どういたしまして?」
「むーっ……。」
一方のシロコは却下されたことに不満そうにムスッと頬をふくらませた。
「そんなふくれっ面をしてもダメなものはダメです、シロコ先輩っ!」
初っ端から犯罪のオンパレードな会議にアヤネはため息をつく。
彼女の日々の苦労を思うと俺はいたたまれなかった。
「はあ……みなさん、もうちょっとまともな提案をしていただかないと……。」
「あのー!はい!次は私が!」
今度はノノミが手を挙げた。
「はい……2年の十六夜ノノミさん。犯罪と詐欺は抜きでご意見をお願いします。」
まあ、まだ常識のあるノノミならまだまともな意見が出てくるだろう……。
そう思っていた時期が、かつての俺にもあった。
「はい!犯罪でもマルチ商法でもない、とってもクリーンかつ確実な方法があります!」
そう自信満々に言う彼女の意見とは……
「アイドルです!スクールアイドル!」
アヤネはノノミの先程とは別方向に突拍子がない提案にわかりやすく動揺した。
「ア、アイドル……!?」
「そうです!それで、アニメで見たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私たち全員がアイドルとしてデビューすれば……。」
「却下。」
ホシノはノノミの意見にそう即答した。
相当いやだったらしい。
「あら……これも駄目なんですか?」
セリカはこれまでの仕返しとでもばかりに食って掛かる。
「なんで?ホシノ先輩なら、特定のマニアに大ウケしそうなのに。」
それに対してホシノは自虐交じりに否定する。
「うへーこんな貧相な体が好きとか言っちゃう輩なんて、人間としてダメっしょー。ないわー、ないない。」
俺は少しホシノが哀れに思えてしまった。
「……牛乳飲むか?」
「えっ急になにさ?そんでその牛乳はどこから持ってきたの!?」
「いやなぁ、実は学校に来る前に珍しい物を見つけたんだ。」
「なんと、牛乳を売ってる牛乳自動販売機があった!」
「"牛乳を売ってる牛乳自動販売機"…って。」
「……それ普通じゃない?」
「そうなのか?」
「常識以前に自動販売機だよ?売ってない方がおかしいでしょー。」
「売り切れとかならともかくとして…。」
「そうなのか……。」
「地元には空き瓶しか入ってなかったから知らなかった…。」
「うへー、変な場所ももあるんだねー。世界は広いや…やれやれ。」
(こっちからすれば広いどころか異世界な訳なんだがね…。)
そんなやり取りを余所に、ノノミはアイドルの案を却下されたことに少し落ち込み気味だった。
「そんな、決めポーズも考えておいたのに……。」
「じゃーん!」
「水着少女団のクリスティーナで〜す♣︎」
水着……少女…………団?
俺は突然はじまったノノミの謎の自己紹介に思考に急ブレーキがかかった。
すると、セリカからかなりパンチの効いたツッコミが入る。
「どういうことなのよ……。」
「何が「で〜す♣︎」よ!それに「水着少女団」って!だっさい!」
これはクリティカルヒット間違いなしだった。
「えー、徹夜で考えたのに……。」
「徹夜で!?」
そんなコント紛いの事をしてる間に「水着を着て踊るのか…?コンプライアンスとか大丈夫なんだろうか?」という疑問が彼の脳裏を過った。
そしてアヤネは停滞してしてる議論に困り顔をしながら結論を急ぐ。
「あのう……議論がなかなか進まないんですけど、そろそろ結論を……。」
「それは先生に任せちゃおうー。先生、これまでの意見で、やるならどれがいい?」
なぜ俺がこの中かから選べると思ったのか後で少し問い詰める必要がありそうだ。
「えっ!?これまでの意見から選ぶんですか!?も、もう少しまともな意見をだしてからの方がいいのでは!?」
「大丈夫だよー。先生が選んだものなら、間違いないって。」
試されるとは思っていたがこんな形で試練をけしかけられるとは思いもしなかった。
クソ、子供相手にまんまと嵌められた。
「ちょ、ちょっと待ってください!なんでそう言い切れるんですか!?」
「まさかアイドルをやれなんていわないよね?」
「アイドルで☆お願いします♣︎」
シロコは無言だったが、自分の意見を選んで欲しいという熱い眼差しを俺に向けていた。
………覆面越しに。
[そのブレスレットをどこぞの間抜けにでも売り払ってやろう。]
[バスジャックだ。数合わせくらいにはなるだろ。]
[銀行を襲おう。その方が手っ取り早い。]
[アイドルをやろう。俺のポジションはどこだ?]
……マジでこの中から選べって言うのか?
マジで!?
今回も読んでいただきありがとうございます。
もし気に入っていただければお気に入り登録、感想を是非お願いします。
マジでこの後の展開どうしよう………。
どの案を選ぶ?
-
[そのブレスレットを売り払ってやろう。]
-
[バスジャックだ。]
-
[銀行を襲おう。]
-
[アイドルをやろう。]
-
[*無言で窓を突き破って逃走する*]