闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

102 / 234
ムロ島 ビーチの一時

 

ムロ島に辿り着いた。

ハルカが10年前の運航表を持ってたから危うく乗り過ごすところだったが、なんだかんだで普通にムロ島行きの船に乗れた。

 

「「最初はグー!」」

 

ムロタウンのポケモンセンターに立ち寄って健康診断を終えた。

なのでやることと言えば決まっているのだとハルカとジャンケンをする。

 

「「ジャンケンポン!!」」

 

「今回はハルカからね」

 

「どうにもこういうところで運がねえな」

 

ジャンケンをした結果、ハルカに負けてしまった。

ここぞという勝負の時は一切の無駄が無かったりするのだが、こういうホントに些細な勝負にはオレは弱い。

アベレージが高い安定した強さ……限定ジャンケンみたいにカード化した方がいいだろうか?

 

「んじゃ、ジム戦を申し込みに行くぅ!?」

 

「あ、悪い!!」

 

ハルカが先にジム戦をすると決まったのでムロジムに向かう。

ジム戦を申し込みに来たと言おうとジムの入口前に立っていると突如としてドアが開いた。

ドアを開いた人が悪いと謝ってくるので直ぐに尻餅をついたオレは立ち上がった。

 

「ムロジムに挑戦しに来たんだが」

 

「ジムの挑戦かい?だったら明日にしてくれないか……今日はビッグウェーブが来るってニュースでやってたんだ」

 

「え、サーフィンをしに行くんですか?」

 

「ああ!っと、海が俺を待っている!!」

 

ジムリーダーのトウキはサーフボードを片手に遊泳できる海に向かって走り去っていった。

セレナ達があまりの出来事にポカンとしていてなにが起きているのか理解するのに数十秒ぐらいかかった。

 

「こ、こんな事ってあるの?」

 

「まぁ、ジムリーダーだって休む時は休むわよ……そっか〜残念ね……折角ムロジムに来たのに」

 

「そうね〜折角ムロジムに挑もうって思ってたのに、ちょっと残念かも……ここは気持ちをリフレッシュ!」

 

「おい、狙ってただろ?」

 

ムロジムに挑めなくて残念だとセレナとハルカは落ち込む片腹、服をバッと脱ぎ捨てる。

突然のことで驚くことはしない。セレナとハルカは服の下に下着じゃなくて水着を着込んでいた。

ムロジムを終えれば完全に遊ぶ気満々だった……まぁ、その為にカナズミデパートで色々と買い物をしたんだから文句はねえけども、ちょっと浮かれすぎじゃねえか?

 

「気にしない気にしない」

 

「さぁ、海に向かうわよ!!」

 

「オレは海パンじゃないから海の家で着替えさせてくれ」

 

完全に狙ってるが細かいことは気にするなとハルカとセレナは海に向かおうとする。

オレはジム戦をするつもりだったので海パンを着ていないから海の家で着替えさせてくれと頼み海の家で着替えさせてもらう。

派手な水着はあんまり好みじゃないからと前回のシンプルな水着に着替える……男の水着の着替えは楽でいい。

 

「う〜ん……地味ね」

 

「お前等、派手なのを求めるな…………」

 

「サトシはなんかこう言うの好みってないの?」

 

「黒一色のビキニだ」

 

「…………ストレートに迷いなく答えるの、ちょっとキモいかも……」

 

おい、お前等が聞き出した事だろうが。

ハルカがどういう水着が好みなのかを聞いてくるので黒一色のビキニと答える。即答なのでドン引きされるが2人共黒一色と呟く。

アランは星条旗柄のビキニか競泳水着が好みだと言ってたな……アレで彼女持ちだから凄まじい。

 

「キューン!」

 

そんなこんなでラティアスもボールから出した。

女性の姿に化けた……衣装も変化させる事が出来ると言うのでラティアスの分の水着は買っていない。

ラティアスも海に向かって走り出しパシャパシャと水を巻き上げてハルカ達と水の掛け合いっこをする……楽しそうでなによりだ

 

「クォン」

 

「心配か?……あんまシスコンも度が過ぎると嫌われるぞ」

 

ラティアスが遊んでいる姿を見てラティオスがオレの隣で心配そうにする。

外の世界で危ない連中に狙われる可能性がとにかく大きいので出来れば慎重になって欲しいってのがラティオスの思いだろう。

だが、その思いは通じないだろう。ラティアスにとって今見ている物は外の世界で怖いことも多いけれどもドキドキとワクワクが沢山だ。

 

「サトシ!そんなところで突っ立ってないで!」

 

「一緒に海で遊びましょう!」

 

「!!」

 

セレナとハルカとラティアスが手を振ってきてくれる。

端から見ればなんだこのハーレム野郎はと思われるだろう……実際問題両手に花どころの話じゃないからな 

海で遊ぼうよと言ってくれるのでコレ以上は難しいことを考えずに遊泳できる海だから楽しむかと向かった……だが、オレはふと思う。海とはなにをして遊ぶものなのかと。とりあえず海に入るが灼熱の地だけあってか程良い温度だ。

 

「…………折角、海に来たんだしもっと海らしい事をしねえか?」

 

パシャパシャと水を掛け合うだけじゃ市民プールでも出来ることだ。

全裸で海を泳ぐという勇者になってみたいとは思うがオレの中でも流石にまずいと思っているので躊躇う。

海らしい事をしようと言えばそれもそうねとハルカ達も海らしい事を考える。

 

「ビーチバレーとかどうかしら?」

 

「ハルカ……サトシを相手にそういう競技で挑んだらダメよ」

 

「え?」

 

海と言えばビーチバレーだ……が、セレナはダメだという。

主な原因はオレでありどういうことかとバレーボールを借りてきたのでオレは思いっきりサーブを撃ち込めば……ボールは破裂しなかったが軽いクレーターが出来た。

 

「伊達に筋骨隆々じゃないのよ……サトシを相手にスポーツなんて最早ヌポーツよ!」

 

「もうちょいあるだろ…………ラティオス、お前も人間に化けることが出来るよな?だったらオレの代わりに4人でビーチバレーしといてくれ」

 

ハルカが引き攣った笑みを浮かべている。

運がいいのか悪いのか悪の組織にそんなに出会っていないのでオレの超人的な運動能力を見せる機会が無い。

オレを相手にスポーツで挑めば負けるとそこそこ酷いことをセレナは言ってくるのでラティオスに人間に化けることが出来るかどうかの確認をした後にラティオスは人間の姿に化けて4人で仲良くビーチバレーを始める。

 

「そういえば、ビッグウェーブが来るつってたな」

 

1人溢れたオレは燻ることはしない。

ムロジムに挑みに来た際にジムリーダーのトウキはビッグウェーブがやってくるのだとはしゃいでいた。

ここは遊泳できる海でもありサーフィンをすることが出来る海でもあるのだとサーフボードをレンタルしに行くと……サイトウがいた。

 

「貴方は、タンバジムのチャレンジャー!」

 

「おい、どういう覚え方だよ…………なにしてるんだ?」

 

「以前と同じくガラル空手の遠征です……ただ……」

 

「ただ?」

 

「コレでいいのかと思いまして……」

 

なんか悩んでいるサイトウ。悩むことなんか何処にあるんだと思いながらもサーフボードをレンタルしておく。

サーフィンなんて生まれてこの方一度もやってことがない……だが、面白そうだ……サイトウもサーフボードをレンタルしたが悩んでいる。

 

「今回の修行内容がサーフィンなんです…………」

 

「お前、サーフィンをバカにしてるのか?」

 

「いえ、そんな事は……ただ、私は何時だって真剣です!それなのに今回の遠征を遊びだと勘違いして楽しんでる者達が多い!私は修行の1つとしてサーフィンをする……それなのに皆は硬すぎると………今回は遊びでなく修行なんですよ。楽しんでいくのは違うと思います」

 

「クククッ……下手くそ」

 

「え?」

 

「そんな風に気を張り詰め過ぎたってなんの得にもならねえよ……今回は遊びのサーフィン、だからこそ真剣になれるんだ」

 

「遊びで楽しく真剣だなんて馬鹿らしいです!」

 

修行内容がサーフィンだと言う事に不満は抱いていない。

サーフィンだと言う事を知ってか呑気に遊んでいる連中がサイトウは気に食わない。

真剣なのに楽しむところが何処にあるのかと理解していないのでオレは思わず笑ってしまった。

 

「文字通りの殺し合いの真剣勝負という意味ならばお前の考えは正しい……ただ無我に至り道を反れる事なく歩み続ける」

 

「だったら何故ヘタクソなんかと」

 

「……お前の強さの原点はなんだ?」

 

「私の強さの原点?」

 

遊び心が無い、楽しむなんて理解出来ないと言うがサイトウの強さの原点について問いかける。

 

「なんの為に戦う?なんの為に笑う?なにを目的にしてお前を突き動かすんだ?」

 

「それは……ガラル空手を受け継ぐ為に」

 

「ホントにそう思ってるのか?」

 

「……………………………」

 

「まぁ、愛の形は人それぞれだろう……純粋に楽しむ愛しさ、強さの原点を極め儚さを知った切なさの、己の強さと弱さを知った心強さ、お前にとっての原点はなんだ?生まれた時からガラル空手が当たり前にやっていた、そういうものならば愛しさも儚さも分からない。分かるの己の強さと弱さを知った心強さ……」

 

「……貴方は……貴方はどうなんですか?」

 

「オレは真剣勝負だからこそ楽しいと思える愛しさ、オレの原点である勝負したいという切なさ、オレの中で破綻しているからこそ強く弱いという心強さ……愛しさと切なさと心強さは持っている」

 

遊び心が無いことに関して真剣に悩む。遊び心が無いことが間違いとも言えるし間違いじゃねえとも言える。

だが、真剣勝負を楽しいと思うことに関して間違いだってのは少しだけ違う。

 

「楽しいからこそ真剣勝負が出来るんだ……楽しいからこそ本気になれるんだ……強さの原点の1つ、楽しいという思いだ」

 

「…………楽しいと思える……………」

 

「クククッ……楽しめねえのは窮屈で仕方がねえ。成功者である様に見えてちょっとした悪ふざけ1つ出来ねえんだ……とにかく、今はサーフィンを楽しんでみな。特訓とかそういうのを関係無くな」

 

オレはそう言うとサーフボードを手にして海に向かって走っていく。

サーフィンのやり方なんて知らねえが足に紐を括り付けてるし先ずはとサーフボードに乗って泳ぐ。

いい感じの波が来ているなと笑いながらサーフボードの上に乗る。不自然な波の動きをしているが乗りこなせない事は無いのだと波に乗る。

 

「いやぁ、いいね……サーフィンってのは思った以上に楽しいもんだ」

 

「楽しい……コレが楽しい……………楽しいって……」

 

初のサーフィンは思いの外、心地良い。

横でサイトウが上手い具合にバランスを取りながらサーフィンをしようとしているのだが、中々にバランスが取れない。

見た目以上に強靭なボディバランスや重心移動が必須な物だがサイトウはその事に意識を集中していない。真剣勝負が楽しいって感情が分からない。それはバチバチにやれるからこそ味わえるもの……真剣勝負の味ほど美味いものはねえってのにな。

 

「分かりません……真剣勝負が楽しいと言う感情が……真剣になっているのに楽しいと思うのは矛盾している筈です」

 

「クククッ……矛盾してねえよ……真剣に挑めるのはそれにのめりこめる楽しさがあるからだ……勿論、勝つことは大事だ。だが、その成否に囚われ過ぎている」

 

「負けても楽しかったからそれでいい、そんなのただの自己満足!」

 

「じゃあ、お前今満足出来てるのかよ?」

 

「っ……」

 

「上を目指そうっていう向上心は良いことだ。だが、楽しみもなにも無いのに上を目指すことが出来るのか?己が満足した上で更にを要求する事が出来るのが人間のみが持つ欲望だ。お前はそれをギッチギチに縛っている……楽しくねえ事をやってるのはなんだ?お前の中に当たり前である為になんで?と疑問を抱かなかった事の筈だろう……」

 

「……そこまで私は楽天的になれないです。確かに楽しいと思える時はありますがそれと真剣勝負は別、真剣勝負に楽しいと言う感情は不要です」

 

「じゃあ、なんで真剣になれる」

 

「それは…………それは…………」

 

真剣勝負で楽しいと言う感情は不要だと言うがならばなんで真剣になれるか聞いてみる。

その問いかけに関してサイトウは答えられない……いや、違う。答えに至りかけている。

愛の形は人それぞれだろう。好きだって思える感情も人それぞれだろう。楽しいって思える感情も人それぞれだろう。

 

「っ……楽しい……私は心の何処かで真剣勝負に楽しんでいた?真剣勝負なのに?」

 

「その感情は悪じゃない……熱い心に楽しいって思いは大事だぜ」

 

サイトウは真剣勝負を楽しんでいた事に気付く。面白いと思えない以上はやっててもつまらないんだ。

サイトウは自分の中でドギマギしている……仕方がねえなとサーフボードから降りた。

 

「遊び心が分からないならついてこい……向こうで連れがビーチバレーをしてる」

 

こんな事を教えるだなんて完全に余計なお世話だろうが、遊び心が分からない奴ほどつまらない生き方はねえ。

サーフィンを中断してサイトウをビーチバレーをしているセレナ達の元に連れて行く。

 

「サトシ……なにやってるの?」

 

「海に来たのに楽しんでないって奴を楽しいって思わせに来た……人数的な有利はくれてやる。オレとサイトウ、セレナとハルカとラティアスで勝負だ」

 

「海に来たのに楽しんでないの!?そんなのもったいないかも!!」

 

「いえ、楽しんでないと言うわけでなく真剣勝負に楽しいっていう感情を持ち込まないだけ……そのはず……」

 

「う〜ん……真剣勝負だから楽しいんじゃないかしら?」

 

「……じゃあ、ビーチバレーで勝負です!!」

 

さっき言ったチーム分けで真剣勝負でビーチバレーをする。

殺人サーブを平気で放つがラティアスがそれを受け止め打ち上げた。ハルカが落ちてくるボールをトスしてセレナがジャンプしてアタックを決めようとした。

 

「羆落とし」

 

サイトウは器用にアタックを羆落としで撃ち返す。

1人で向こう岸にまで返すのかと思っているがハルカが反応してボールを落とさないように生き残らせ、セレナがトスをしラティアスがスマッシュとボールを叩いてきたのでそれをふんわりと受け止め打ち上げる。

こっち側は2人だけ、必然的にトスを上げるのはサイトウになる。サイトウがトスを上げればオレは跳んだ。それに合わせてかセレナがオレの前に立ったのでオレはボールを叩きつけずにチョンっとふんわりと叩いてボールをセレナの上空に舞わせる。

 

「……コレが、楽しい…………………」

 

何度も何度もラリーを繰り返していく。

1度でも失敗すれば終わりなこの状況下での戦い、サイトウは真剣になるのだが徐々に徐々に熱中している自分に気付く。

それはきっと負けたくないという対抗心から始まり楽しい、面白いと言う感情に徐々に派生していくものだ。無意識の内に笑みを浮かべておりサイトウはハッ!となればボールは地面に落ちた。

 

「クソッ……………あ〜……………悔しいです!!」

 

真剣勝負を楽しいと言う感情に気付いて油断をしてしまった。

なにやってるんだよと思いながらもサイトウは悔しいと悔しがっているが笑みを浮かべている。

真剣勝負の末に破れたから悔いはない……と言えば嘘になるがそれでも楽しいと言う感情が分かった。

 

「サトシ……その……ありがとうございます」

 

「クククッ……オレはなにもしてねえよ……さっさとサーフィンの続きをしてこいよ。今日はビッグウェーブが来るらしいぞ」

 

「っ……はい!!」

 

サイトウは真剣勝負を楽しむという意味が少しだけ分かった。

理解してくれて何よりだと思いながらもサイトウは本来の特訓であるサーフィンに向かった……

 

「で、なにか言い訳はあるかしら?」

 

「サーフィンに行ったのに女の子をナンパするだなんて、サトシって思ったよりも酷いかも!!」

 

「人聞きの悪いことを言うんじゃねえよ……たまたま出会っただけだ」

 

オレがなんかサイトウをナンパした事になっているがそんな事をしたつもりはねえ。

サイトウに対して下心があるかどうか聞かれれば違うとハッキリと言い切る事が出来る。

ハルカとセレナが白い目で見つめてくるが気にせずに海で遊び……日焼け止めを塗るのを忘れていた為に翌日苦しんだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。