闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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ムロジム 余計な感情

 

「これよりムロジム、ジム戦を行います!使用ポケモンは2体のシングルバトル!交代はチャレンジャーのみ可能です!」

 

「いけ、ワンリキー!」

 

「リキ!」

 

「頼んだわよ、ヨマワル!」

 

「ヨマァ!」

 

「なるほど、そう来たか」

 

肌がヒリヒリする……セレナとハルカは日焼け止めを塗っていたがオレは塗り忘れていたので地味に痛い。

痛みに堪えながらもハルカのジム戦を見守る。トウキの1体目はワンリキー、対するハルカはヨマワルで挑んだ。

セオリー通りで戦ってきたかと笑みを浮かべるトウキ……ゴーストの対策の1つや2つ、出来ている……が……あ〜まずいな。

 

「ヨマワル、『おにび』よ!」

 

「ヨマッ」

 

「ワンリキー、真正面から受けろ!」

 

「あ〜……やらかしたな」

 

開幕『おにび』……選択肢としては決して間違いじゃない。

ヨマワルは強い攻撃力なんかが売りじゃなく耐久性が売りだから『おにび』は悪くない手……だが、今回ばかりは相手が悪い。

ヨマワルが『おにび』を放ちワンリキーが『おにび』を受ければ……ワンリキーに燃え上がる様なオーラを纏った。

 

「なっ、なんで!?」

 

「フフフ、見誤ったね。確かに『かくとう』タイプのポケモンの多くは物理攻撃に特化していて攻撃力が下がる『やけど』状態にして弱体化を狙おうという作戦は良い……だが、俺のワンリキーの特性は『こんじょう』、状態異常の時には攻撃力がパワーアップし更には『やけど』状態のデメリットを無くすんだ!!」

 

「そ、そうだったの!?」

 

「まだまだ知識不足が目立つ……いや、教えたのはオレか」

 

開幕に『おにび』を放つことで相手のペースを奪う。

前回のカナズミジムは『いわ』タイプのジムで『いわ』タイプのポケモンも殆どが物理攻撃に特化している。だから『おにび』は使える手だ。普通に攻めるパワーがヨマワルには足りないのを知ってたから教えたのだが今回に限っては裏目に出た。

 

「戻って、ヨマワル……ラルトス、お願い!」

 

「ルル!」

 

「ヨマワルにラルトス……基本はしっかりと出来ているが応用はまだまだの様だ!気付いているかい?君がヨマワルからラルトスに交代したことでこの技が使えるようになったのを!『メガトンパンチ』だ!」

 

いきなりのことで想定外だとハルカはヨマワルを即座にボールに戻した。

『おにび』から色々と戦術を構築する感じだったが逆にワンリキーをパワーアップさせてしまう……コイツは厄介な事だ。

コレはまずいとラルトスに入れ替えるがそれは失敗だよとワンリキーは右手の拳に力を入れてラルトスを殴りに行く

 

「ラルトス『テレポート』よ!」

 

「ルル!」

 

「リキ!?」

 

「そのまま『ねんりき』で弾き飛ばして!!」

 

が、ラルトスはワンリキーの前から姿を晦ました。

『テレポート』で瞬間移動をして背後に現れて『ねんりき』でワンリキーを弾き飛ばす……が……パワーが足りていない。

まだまだハルカのポケモン達は発展途上、言い方を変えればまだ成長していない。こうかはばつぐんの『エスパー』タイプの技をくらっても立ち上がる……………

 

「…………成る程ね……このままいけば」

 

「ヤバいな、このままだとハルカ負けるぞ」

 

「え、まだ試合が始まったばかりよ?」

 

『テレポート』からの『ねんりき』を見たトウキは作戦を考える。

ワンリキーは『かえんほうしゃ』を覚えるからそれで攻める、と言うことはしないだろう。

物理攻撃で攻める……が、なにかしらの一手を加える。確実にラルトスを倒す方法を模索しており……このままいけばハルカが負けると感じた。試合が始まったばかりでまだまだコレからだと言うところだが……

 

「そろそろ流れが出てくる……トウキが何か対応策を考えてる。『テレポート』からの『ねんりき』は強力なコンボだ……破る方法として『テレポート』よりも早く動く。『でんこうせっか』なんかを使うのが定石……」

 

「ワンリキー『メガトンパンチ』だ!」

 

「ラルトス『テレポート』」

 

「今だ!『アンコール』」

 

「『アンコール』……ま、まずいわ!?」

 

「ラルトス『ねんりき』よ!!」

 

再び『メガトンパンチ』で殴りかかりに行くワンリキー。

ラルトスに『テレポート』で回避させると『メガトンパンチ』を囮にした『アンコール』が炸裂する。

『アンコール』がどれだけ驚異的な技なのかジョウトリーグを見て知っているのでセレナは直ぐに危険を察する。

『アンコール』の効果をハルカは知らない。『ねんりき』で攻めようとするのだが……『アンコール』の効果で『テレポート』しか使えなくなった。

 

「ラルトス、違うわ!『ねんりき』よ!!」

 

「無駄だよ!『アンコール』は最後に使った技しか少しの間、使えなくする技さ!今のラルトスは『テレポート』しか使えない!」

 

「そ、そんな……」

 

「クククッ……まだ死んじゃいねえだろ?『アンコール』で『テレポート』しか使えなくしたが最初の布石がここで生きるぜ?」

 

「そこ!アドバイスは禁止だぞ!」

 

「おっと、そいつはすまん」

 

頼みの『ねんりき』が使えないと分かればパニクるハルカ。

ワンリキーに大したダメージを与えることが出来ていないしヨマワルでの持久戦云々はまだ出来ない。

出すポケモンを間違えたか、なんだかんだでレベルが高いアチャモ辺りを出すべきだったんじゃないのかと考えるがまだ負けが決まったわけじゃない。『アンコール』で『テレポート』しか少しの間使えなくしたが『テレポート』は使えるんだ。

 

「リキッ……」

 

「え……ワンリキーが苦しんでる?」

 

「クククッ……最初の布石が生きている……」

 

『メガトンパンチ』で殴り飛ばそうとするがラルトスは『テレポート』で回避する。

ワンリキーはまた回避されたと悔しそうにしているのだが膝をついて燃え盛る炎の様なオーラに苦しんだ。

トウキは『こんじょう』のおかげで『やけど』は無効化どころかパワーアップみたいに言っているが少しだけ違う。『やけど』状態のもう1つの効果である物理攻撃力を半減させる効果が無効化されており……『やけど』状態のダメージそのものは消えていない。

ヨマワルが試合開始と同時に放った『おにび』がここに来て生きている……後はどうするか?

 

「ワンリキー『どくづき』だ!」

 

「…………覚えてねえな『バレットパンチ』を」

 

さっきから『メガトンパンチ』で攻撃してくる。

『かわらわり』なんかの『かくとう』タイプの技はあるがラルトスは『エスパー』『フェアリー』タイプのポケモンだ。『かくとう』タイプで無理に攻めるよりも『メガトンパンチ』で攻める方が効果はある……だが、一向に『バレットパンチ』を打ってこない。

『テレポート』よりも先に動ける技でラルトスに対して有効打になる『バレットパンチ』を使ってこない。『フェアリー』タイプのポケモンに対して有効打になる『どくづき』で攻めるのだがラルトスは『テレポート』で回避する。

 

「ハルカ、ミスるんじゃねえぞ」

 

「『テレポート』で回避し続ける……でも連続で『テレポート』を使えば疲れるし、なによりも動きを」

 

「そこが腕の見せ所だ」

 

ワンリキーの攻撃はなんでもいいから一度でも受ければ戦闘不能になる。

『ビルドアップ』辺りを使わなくても『こんじょう』が後押しをしてくれている。

ヨマワルに交代するという手もあるが後に控えているポケモンの事も考えればラルトスで粘りたい。

ワンリキーは『どくづき』で攻撃してくるのでラルトスは『テレポート』で回避する……が、トウキは慌てていない。まだ2体目にポケモンが居るのともう1つ、ハルカのラルトスの『テレポート』を見切ろうとしている。

『テレポート』は便利な技だが自由自在に移動できない……

 

「ワンリキー『どくづき』だ!」

 

「ラルトス、『テレポート』よ!」

 

「一回転して『どくづき』だ!!」

 

「リキ!!」

 

「ルル!?」

 

「なっ……なんで……」

 

「まだまだだな……」

 

『テレポート』で背後に回り込んで回避するにだけ専念していた。

『テレポート』の動きが単調になっている。ハルカの視線の動きやラルトスの連続の『テレポート』でパターンを見つけ、『テレポート』で回避させる。回避した先を予測してワンリキーは『どくづき』を叩き込めばラルトスは吹き飛ばされ……戦闘不能になった。

 

「ラルトス、戦闘不能!ワンリキーの勝ち!」

 

「戻って……ヨマワル、お願い!!」

 

「ヨマァ!」

 

「ヨマワル……『メガトンパンチ』や『かくとう』タイプの技は通じないけどあのワンリキーには『どくづき』があるから……『いたみわけ』もワンリキーの方が多く体力を減らしてるから逆に不利になるし……」

 

「…………いや……薄氷だがまだ勝利の道筋は歩いている」

 

ハルカが圧倒的なまでに不利だ……セレナはどうすればいいのかと頭を悩ませる。

見る人が見れば負けに近い形だがまだハルカには勝ち筋は残っている

 

「ヨマワル……『かなしばり』よ!」

 

「まだまだ!『れいとうパンチ』だ!」

 

「っ……」

 

「『ゴースト』対策はしっかりとしてあるさ!」

 

『どくづき』を封じればと『かなしばり』に賭ける。

『どくづき』を封じることに成功したのだがまだ他にもあると『れいとうパンチ』で殴りにかかるがヨマワルは回避する。

どうすればいいのとハルカは考える……ここから純粋な殴り合いをするのは愚策、ヨマワルで純粋に殴り合うのはやっちゃいけない事だと何度か忠告している。ラルトスとヨマワルに『シャドーボール』を覚えさせてもラルトスの方が威力が出ていたのでその話はホントなんだとハルカは信じている。

 

「リキ……」

 

「ワンリキーにダメージを……でも、ワンリキーと向かい合ったら力負けしちゃう……『おにび』以外に手……!『のろい』かも!!」

 

「クククッ……実にいい答えを出したな」

 

『おにび』の『やけど』のダメージは着実に蓄積されてる。

だが、ワンリキーが倒れるにはまだ足りないのでどうにかする方法は無いのか、ワンリキーに攻撃を当てずにダメージを当てる方法は無いのか、ヨマワルが覚えている技を思い出せば1つだけあった。『のろい』が。

『のろい』を使えば体力は半分になっちまって逆に殺される可能性が高いが一撃を受ければ負ける可能性が最初から高いんだから『のろい』を使った方が良い。行くところまで行って振り切った方が良いんだ。

 

「リキッ……」

 

「ワンリキー、戦闘不能!ヨマワルの勝ち!」

 

「な……なんとか勝てたかも……」

 

「おっと、忘れてもらったら困るぞ。使用ポケモンが2体なのを!行け、マクノシタ!!」

 

ギリギリのところで勝つことが出来たとホッとする……事を許さない。

今回の使用ポケモンは2体、まだ1体が残っているとトウキはマクノシタを出した。

 

「…………っ……………」

 

「マクノシタ『はたきおとす』だ」

 

「ヨマワル、避けて!!」

 

「ハルカ……躊躇ってる?」

 

「クククッ……余計な感情が出ちまってるな……」

 

「え?」

 

「開幕と同時に『おにび』をやってやらかした……マクノシタももしかしたら『こんじょう』の特性の可能性もある。だから『おにび』で下手に使えない。『いたみわけ』で体力を同じにしてもヨマワルは1回『のろい』を使った。『のろい』は体力の半分を使う技……もう一度『のろい』+『おにび』を使えばいい。『いたみわけ』+『おにび』+『のろい』+『いたみわけ』のコンボが勝利の決め手だ」

 

この状況下で突破する方法は1つしかない。

『いたみわけ』をして体力を回復、『おにび』で『やけど』状態にして『のろい』で『のろい』状態にしてもう一度『いたみわけ』だ。

 

「『のろい』は全快時の体力の半分を使う技よ?マクノシタはまだノーダメージで『いたみわけ』を使えば全快時の半分は回復するかもしれないけどそこから『のろい』と『おにび』で……もしかしたらトウキさんのマクノシタは『こんじょう』の特性なのかもしれないのよ?2回目の『いたみわけ』でもどれだけ回復出来るか分からないし……」

 

「余計な事を考えるなよ……どっちにせよマクノシタに殴られて負ける可能性は高いんだ……なにかあるかもってくだらない足掻きをして奇跡を信じるんじゃない、死ぬことを受け入れるんだ……そうして吹っ切ったら相手も調子を崩す……死ねば助かるのに」

 

負けてを恐れていては勝機は無い。

目の前の勝利を見逃してまで生き残ろうと必死になるくらいなら、どうせ負ける可能性が高いなら可能性が低くても目の前の勝機に全力で手を伸ばせ。

 

「ここまで来たら理詰めでのポケモンバトルで勝つことは不可能なんだ……ハルカ、思いっきりやれ!!」

 

「…………『いたみわけ』よ!!」

 

「『いたみわけ』か……だがそれは絶対に倒せない技だ!」

 

「まだまだ!『のろい』かも!!」

 

「さっきと同じ手か……ヨマワルの体力が残ったようだが一撃さえ当てれば問題は無い!『はたきおとす』だ!」

 

「『おにび』からの『いたみわけ』よ!!」

 

ハルカに思いっきりやれと言って振り切れさせる。

『おにび』を当てて『いたみわけ』をぶつけることに成功し、『やけど』+『のろい』のダメージを与えつつも互いの体力を平等にする。マクノシタは……燃え上がるオーラを纏わない。『こんじょう』個体じゃなくて『あついしぼう』個体だったか。

 

「マク!?」

 

「ヨマ!?」

 

「え!?」

 

「そろそろだと思ったが、来たか!」

 

ここに来てマクノシタとヨマワルが眩い光に身を包んだ。

コレを待っていたとトウキは笑みを浮かべているのだがハルカは初の事なのでなにが起きているのか分からないと驚いており……マクノシタはハリテヤマに、ヨマワルはサマヨールに進化した。

 

「ヨマワル、進化したのね!」

 

「それはこっちも同じだ……いくぞ、ハリテヤマ……『はたきおとす』だ!!」

 

「『かなしばり』よ!」

 

「ならば『どくづき』だ!」

 

サマヨールになったが原作と違って試合中にはポケモン図鑑を開くことは許されない。

サマヨールになったことで色々と技を覚えたり使えたりするのだがそれを知ることは出来ない。

『はたきおとす』を決める前に『かなしばり』で『はたきおとす』を使えなくする、だがそれは読めているともう片方の手で『どくづき』を決めてサマヨールを突き飛ばした。

 

「サマ……」

 

「サマヨール、戦闘不能!ハリテヤマの」

 

「ハリ……テ……」

 

「ハリテヤマも戦闘不能だ……戻れ、ハリテヤマ」

 

サマヨールは戦闘不能になったのだと判定を下そうとすればハリテヤマも倒れた。

時間差で倒れたから引き分けじゃねえ……ハリテヤマが『どくづき』で倒したが『のろい』と『やけど』のダメージがやって来た。

結果だけを見ればハリテヤマがギリギリのところで勝利した、そんなところだ。

 

「負けちゃった…………っ……」

 

また負けてしまった……ハルカは今回は涙を流さないが拳をギュッと強く握った。

 

「ハルカちゃん、見事だったよ!」

 

「トウキさん、嫌味なの!?私、負けたんですよ!」

 

「いや、引き分けだよ……ハリテヤマがギリギリのところで勝った様に見えるがほんの数秒の時間差だ。だから俺は勝ったとは言わない……引き分けだがヨマワルやラルトスを巧みに扱った。純粋に攻撃するんじゃなくて変則的な戦い方、力と力のぶつかり合い以外のポケモンバトルを見せてもらった……おそらく次に戦えば負けるのは俺の方だ。ムロジムを制した証、ナックルバッジを受け取ってくれ」

 

「ナックルバッジ…………ナックルバッジ…………うん!ナックルバッジ、ゲットかも!!」

 

お情けではなく次にやっていたら自分が負けていたとトウキはバッジを渡した。

ナックルバッジを無事にゲットすることが出来たのだと高らかに掲げ……翌日俺もムロジムに挑みキモリをジュプトルに進化させて勝利した

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