闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「よしっ!間に合ったわね!」
「そんな声を出す程のことじゃねえだろう……まだ2日残ってる」
ハジツゲタウンに辿り着いた。
ハルカが滑り込みのセーフ!と喜んでいるのだがまだ2日残っているので割と余裕がある。
「やれやれ、この大会についてなにも知らないようだね」
「お前は………キザ男……」
「キザ男じゃない、シュウだ……このハジツゲタウンで今回行われるポケモンコンテストは何時もより過酷なのさ」
「何時もより過酷ってどういうこと?」
「二次審査に通過できるのがたったの4名だけなのさ」
登録完了してやる気に満ちているハルカ。
キザ男が現れて今回のハジツゲ大会は通常のポケモンコンテストより過酷、二次審査が4名だけだと聞けばセレナは成る程と納得した。
「クククッ……理解出来ねえな」
「野蛮な君にはポケモンコンテストの華麗さは理解できないよ」
「そうじゃない……壁を作ることがだ……一度やると真剣になった、ならば壁は無い筈だ」
「サトシ……それは才能を持ってるから言えることじゃないかしら?」
「それとコレとは別だ……頂へ登りたいと思ったのならば壁が険しいとかそういうのを気にしない、そりゃ確かに前途多難な道のりだろう。だが、それを理由に諦めるのは言い訳に過ぎない……たったの4名だけしか出れない?ならばその4名に食い込むようにすればいい」
「……君は自分がなにを言っているのか理解しているかな?それが出来ないのが現実だ」
「現実を変えれるのは妄想出来る人間だけだ……とまぁ、偉そうに色々と言ったがオレはコーディネーターじゃないからセレナとハルカには勝ってこいとしか言えねえわ」
なんかこう、先輩としてアドバイス的なのを送ることが出来ないのかと思ったがオレはそういうのが向いてねえわ。
シュウはオレの言っていることはただの暴論で聞くのが嫌だとさっさとポケモンコンテストの受付会場から後にし……そんなこんなでポケモンコンテスト・ハジツゲ大会が開かれた。前回はロバートという強敵が居た。セレナは純粋に殴り勝ってしまいコーディネーターとして勝っていない事を割と気にしていたが……今回は目ぼしい敵が居ねえ。
「さぁ、続きましてトウカシティのハルカ選手です!」
「いくわよ!キノガッサ、ステージオン!!」
ポケモンコンテストのパフォーマンスは見応えがあるなと純粋に楽しんでいるとハルカの出番がやって来た。
ハルカは前々から鍛え上げてきたキノガッサを出した……ポケモンコンテストはただただ美しく可愛く見せれば良いだけじゃない、ハルカはそれを学んだのでキノガッサを今回選んだ。
「キノガッサ『がんせきふうじ』よ!」
最初にキノガッサがやったのは『がんせきふうじ』
上空から複数の岩を落下させたのだがコレだけを見ればただ単に普通の『がんせきふうじ』だ。ここからキノガッサの魅了が出てくる。
「キノガッサ『キノコのほうし』よ!」
「キノォ!」
「おっとキノガッサ、見事な『キノコのほうし』……しかしコレではただの『がんせきふうじ』と『キノコのほうし』のコンボだ!」
「いいえ、ここからがキノガッサのステージよ!キノガッサ『タネばくだん』」
『がんせきふうじ』からの『キノコのほうし』を見て普通に『がんせきふうじ』と『キノコのほうし』だと司会者のビビアンは言う。
ここまで見るのならばそうだがここからが本番、キノガッサが『タネばくだん』を放てばカラフルな爆煙が舞い上がり……キノガッサは走りながら爆風を回避している。例えるならばそう、アクション映画の爆発シーン、アクション映画の爆発シーンで颯爽と駆け抜ける主役級の俳優……キノガッサは『がんせきふうじ』で出した岩を飛び越えたりして『タネばくだん』の爆風に吹き飛ばされるように見えて一回転の前転をした
「『タネマシンガン』よ!」
ハルカは的を投げた。一回転で前転したキノガッサは体勢を戻すと同時に『タネマシンガン』を撃った。
一発だけの『タネマシンガン』で威力は絶大でキノガッサの流れが物凄いスムーズで拍手喝采が巻き起こる。
「素晴らしいですね、キノガッサが一瞬にしてアクション映画の主役に」
「いや〜好きですね〜」
「キノガッサを逞しくそしてカッコよく見せる見事なパフォーマンスだったわ」
コンテスター、ポケモンだいすきクラブ会長、ハジツゲタウンのジョーイさんがハルカのパフォーマンスを褒める。
今までで見た感じで中々に評価が良い……コレだったら4人の内の1人に入ることが出来る……そう思っていたが不幸は訪れる。
「続きまして、アサメタウンのセレナ選手です」
「…………………コイツはまずいな………………」
ハルカのパフォーマンスがかなりの高評価で次に出てきたのはセレナだった。
それを見てまずいと感じる……セレナがパフォーマンスの練習をしていたのは見守っている……セレナのパフォーマンスは高度な物になっているが、コイツは時が、タイミングが悪い。
「いけ、ウーラオス!」
「ウラッ!!」
セレナが出したのはウーラオス、珍しいポケモンだけあって注目度は高い。
見たことがないポケモンだからどういう風に出てくるのかと思えば先ずはセレナが動いた
「ウーラオス『ストーンエッジ』よ!」
先ずは地面から岩を生やすウーラオス。
次にどういう風に出てくるのかを知っている……だからこそ、色々とまずい。
「『いわくだき』」
「ウゥラォ!!」
「お〜っと、見事なまでの『いわくだき』だ!『ストーンエッジ』を破壊した!見た目通りの……おや、セレナ選手?『いわくだき』で出来た岩の破片を掴んだ?」
「ウーラオス『すいりゅうれんだ』いくわよ!!」
セレナがそう言えば『いわくだき』で破壊した岩の破片を投げる。
ウーラオスはそれに合わせて『すいりゅうれんだ』を一発、二発とセレナが投げた岩の破片を破壊した。
ウーラオスの力強さが生きている、れんげきのかた特有の連打が見れる、パフォーマンスとしては充分なまでに高度な技術だろう。
だが……コレは普通にまずい……セレナはパフォーマンスをするのに一生懸命になっている。だから周りに目を向けている暇は無い。
「ウーラオス、連続での『すいりゅうれんだ』いっちゃって!」
「ウラァ!ウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ、ウラァア!!」
「おおっと!コレはウーラオスの像!岩のウーラオスと本物のウーラオスが鏡合わせの様に並んだぞ!!」
「…………」
スタープラチナを彷彿とさせる連打を『ストーンエッジ』の巨大な岩に叩き込んだ。
出来上がったのはれんげきのかたの構えをとっているウーラオスの像、ウーラオスは阿形吽形像の様に並びウーラオスと言う存在をアピールする。拍手喝采が巻き起こる……その後にも色々なパフォーマンスが行われ……ハルカは突破し、セレナは二次審査に受からなかった。
「………………」
「えっと……」
「ハルカ、勝てよ」
「う、うん……でも……」
ハルカは無事に突破し、セレナは落ちた。
パフォーマンスにミスらしいミスは無かったしウケは良かった……ウーラオスのカッコよさを出した筈なのに一次審査を突破しなかった。セレナはその事に関してショックを受けておりハルカがなにかしらのフォローを入れようかと考えるのだがハルカが人に気を遣ってる場合じゃねえ。ハルカは1つ目のコンテストリボンが掛かっており……見事にポケモンコンテスト・ハジツゲ大会に優勝した。
「…………」
「どうした?初リボンゲットかもぉ!って喜ばねえのか?」
「……喜びたいけど、セレナが気になって…………パフォーマンス、とっても良かったのにどうして二次審査に通過する事が出来なかったの?」
「…………それを知ってどうする?」
「え?」
「お前は勝った側でセレナは負けた側、負けの経験や理由を知って学ぶ事が出来るが……今回はな」
ハルカの優勝で無事にポケモンコンテストが終わった。
初リボンで喜びたいがセレナが一次審査のパフォーマンスで落ちてしまった事を気にしている。
それを知ってどうするか?ハルカは今回は勝った側の住人で勝った経験があるが……今回は色々とややこしい。
「サトシ、負けた原因を分かってるの?」
「あくまでも推察だ……答えを聞きたいのならば、この後にジョーイさんに聞けばいい」
自分の持てる力を込めてのパフォーマンスをした。それなのに一次審査に落ちた。
パフォーマンスとして完成度は高いしウーラオスの逞しさやカッコよさを活かしている筈なのにどうしてとセレナが疑問を抱いている。
オレはなんとなくで読めているが、オレの口で語るよりもジョーイさんの口から聞けばいい。コンテストバトルをしたりしたのでポケモンセンターにはコーディネーター達がいる。ポケモンコンテストを終えたのでジョーイさんが帰ってきて仕事をしている。
「あら、優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
「貴女もパフォーマンスはとっても素晴らしかったわ」
「あのっ……なんで落ちたんですか?自分なりに色々と工夫してウーラオスらしさを出したパフォーマンスをしたつもりなんですが」
「…………そうね……審査員は平等じゃないといけない、けど審査員は人間だからどうしても平等を貫くことが出来ないからかしら」
ジョーイさんにポケモンを預ければ優勝おめでとうとハルカを讃える。
ハルカはキノガッサのボールを預けようとすればジョーイさんはセレナにも気付いてセレナも素晴らしかったと言う。
お世辞抜きで素晴らしいパフォーマンスだったと言っているのでなにが悪かったのかセレナはますます分からない。だから思いきって聞いてみるのだがジョーイさんも答えるべきかと悩んでいた……やっぱそういう感じか。
「どういうことですか?」
「セレナちゃんの前のパフォーマンス、ハルカちゃんだったわ……ハルカちゃんはキノガッサの技を巧みに扱ってキノガッサをアクション映画の主役の様に動かしたわ。それはとってもパフォーマンスとして魅力的で……その後に見たセレナちゃんのウーラオスを使ったカッコよさや逞しさを見たパフォーマンスがどうしてもキノガッサと被ってしまうのよ……」
「じゃあ、じゃあもし逆だったら?」
「ハルカちゃんが落とされてセレナちゃんが二次審査に通っていたわ……今回は4人しか審査が突破出来ないからだけど、何時ものポケモンコンテストならば間違いなくセレナちゃんは突破出来ていたわ」
ハルカのパフォーマンスのインパクトが強かった。そのせいで後から出てきたセレナの方がインパクトに飲み込まれた。
出番が逆だったら結果は逆になっていたとジョーイさんは言ってくれる。今回は4人しか二次審査に通過する事が出来ねえから、そうじゃなければ間違いなく二次審査に突破することが出来ていたとジョーイさんは断言する。
「クククッ…………どう、捉える?」
「え?」
「勝負は時には運が物を言う……それは紛れもなく事実だ。だから今回は運が無かった、そう認識するか?」
「…………………ううん……私の実力が無かった。だから負けた」
「セレナちゃんの実力は確かなものよ?5人目を選べるなら皆迷いなく5人目にセレナちゃんを選んでたわ!」
ジョーイさんなりにフォローを入れてくれたりする。オレはそれを聞いてセレナはどういう風に認識しているのかを聞いた。
今回は運が無かった、仕方がないこと……コレは事実かもしれねえがそれをどういう形で認識して受け入れるか?そこを聞きたい。
「ここぞという時にここぞというものを掴み取る、そういうことが出来るか出来ないか……それが出来るのが一流の本物なんだと思うわ」
「で、でも順番はホントにランダムなのよ?」
「クククッ……だからだろ?」
「ええ……私はサトシのジョウトリーグを今でも覚えてるわ」
「サトシのジョウトリーグ?」
「サトシのライバルのシゲルがサトシに宣戦布告した。サトシは決勝戦で戦うって言って……ホントにサトシは決勝戦でシゲルと戦ったわ……ポケモンリーグなんだから途中で当たる可能性は何度もあった。それなのにサトシはシゲルと決勝戦で当たる立ち位置に居たわ……それは偶然なんかじゃない、運も実力の内と言える運を引き寄せる実力を持っていた……今の私にはそれは無かった」
ここぞという時にここぞというものを掴み取る、それが運否天賦に左右されるものでも運を掴み取る実力者は確かに居る。
今回はセレナはその運を掴み取る能力が無かった……
「暴論かも……運が悪い時なんて誰だってあるのに」
「ハルカ……サトシはそういう場面に限って必ず勝ちを掴み取ってるわ……」
「セレナちゃん……サトシくんを基準にものを考えたらダメよ?サトシくん、常人じゃないから」
褒めてんのか貶してるのか分からねえな。
少なくとも今回の負けは自分の純粋な実力による負けだとセレナは悔しそうにする……が、負けは引き摺らない。
負けを引きずり続けて悪いテンション、悪い流れを作り上げることだけはあってはならねえ。
「まぁ、どっちにせよハルカがコンテストリボンをゲット出来たんだ……ハルカもセレナもコンテストリボンをゲットすることが出来なかった、それだけは一番避けなきゃならねえ道だ」
どっちにせよハルカかセレナのどっちかが負ける。一番は1人しかなれねえ。
今回はハルカが無事にコンテストリボンをゲットした。ハルカでもセレナでもない奴がコンテストリボンをゲットして旅のルートがおかしくなったら洒落にならない。