闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「なんか五月蝿えな」
フエンタウンに向かおうとしているとドンドンと太鼓が鳴り響く音が聞こえた。
素敵な音色を奏でるとか太鼓に趣味があるわけでもないので言えることはシンプルに喧しい。
「この辺になにか施設は……無い筈、よね?」
「う〜ん……迷ったら行ってみるのが一番かも!」
「まぁ、それもそうか」
この喧しい太鼓の音がなんなのか、無視するのもいいが気にならないと言えば嘘になる。
いったいなにが行われてるのか……施設も村も無いので祭りとかそういうのは無い。ハルカが取り敢えずは行ってみようと言うので行ってみればバトルフィールドと応援団が居た。バトルフィールドではトレーナー同士がポケモンバトルをしており、片方はトロピウス、片方はドンファンで戦っている
「ドンファン『こおりのつぶて』」
「トロピウス『はっぱカッター』で相殺よ!」
「フレー!フレー!トロピウス!フレ!フレ!トロピウス!勝利だガッツだトロピウス!!」
「喧しい騒音はアレか」
ポケモンバトルをしている時に応援団達がトロピウスを応援している。
タイプ相性の上ではトロピウスが圧倒的に有利だがドンファンには『こおりのつぶて』がある。
先出し出来る『こおりのつぶて』を真正面からトロピウスは受ければ大ダメージ……になっている筈なのだがトロピウスは根性1つで持ち堪えた後に『はっぱカッター』で攻撃する……………………
「なんだこりゃ?」
取り敢えず出た感想はそれだった。割とマジでなんだこりゃ?だ。
村も街も道路もなにもない場所でポケモンバトルが出来るバトルフィールドを見かけることは定期的にあるが、応援団セットは初めてだ。応援団がトロピウスを応援しまくった結果……トロピウスは見事ドンファンに勝利した………………だからこそ割とマジでなんだこりゃ?
「あ、ポケモンバトルの方ですか?すみませんがバトルを終えたばかりですのでフィールドの整備に1,2時間ほど」
「いや、違う……ここはなんなんだ?」
「見たところポケモンバトルをする場所だけど……貴女達は?」
ずっと試合を見ていたら1人の応援団員の女性がオレ達に気付いた。
ポケモンバトルを申し込みに来たのかと勘違いしたのかさっきのバトルでフィールドが若干だが荒れてるのでフィールド整備に1,2時間程かかると謝ってくるのでここはなんなのか?ハルカと一緒に聞いてみれば応援団員の女性は胸を張る。デカい胸だ。
「押忍!私達は応援道の応援団員であります!」
「…………………………」
「サトシ、気持ちは分かるけどそういうのはよくないわよ」
女性が何者なのかを教えてくれる。
見た目通りの応援団員だが応援道という胡散臭い団体に所属していると言う。
割とマジで胡散臭いので冷たい目で見ていればセレナはそういうのがよくない事だと指摘する。セレナはセレナで気持ちは理解することが出来ると言っているが………………
「えっと……応援道って?」
「応援の力でポケモンをパワーアップさせるものです!先程のポケモンバトルを見ていたのならばおわかりになったかと思います」
「応援でポケモンをパワーアップさせるって、スゴいかも!!」
「……………ハルカ…………それ、ただの精神論だろ?」
応援の力でポケモンをパワーアップさせる!と自信満々に語る女性団員。
別に応援の力は否定しねえ……応援されりゃモチベーションの1つや2つ上がるってもんだ。
「応援の力でパワーアップさせると聞こえは良いがベストな状態のコンディションを引き出すだけでありそれ以上の能力はどうあがいても引き出せねえぞ?」
「確かに……『つるぎのまい』とかのパワーアップするタイプの技を使ってるわけじゃないから応援でリラックスしてベストコンディションで……」
「ふっ、それはただの応援よ!応援道は応援によりベストコンディション以上の力を発揮することが出来るわ!!」
ハルカが応援道はスゴいと勘違いするので精神論なところがあると教えれば女性団員は一味違うと言ってくれる。
応援によってベストコンディション以上の力を発揮することが出来るって……………………
「お前等、そんなんでポケモンバトルを勝たせて嬉しいのか?」
「………………え?」
「いや、だから勝つことに拘るのは構わねえけどそれ第三者の手が加わってるだろ?」
応援道は通常の応援と異なりホントにポケモンをパワーアップさせる力がある!と言うがオレは冷静になって疑問を唱える。
「オレ達トレーナーは経験や知識を使ってポケモンを育成する。ポケモン自身も強くなりたいからとやる気を出して真面目に取り組んでくれる。ただしぶっつけ本番な世界は緊張とか色々とある。そんな世界で応援をしてくれるのは人によってはありがたい、ぶっつけ本番な世界の為にアガっちまって本来の実力を発揮出来ねえはどんな業界でもよくある話だ。それを応援で解消してくれるならまだ理解は出来るが、それ以上を求めたらトレーナー失格じゃねえのか?」
応援道にホントに応援でパワーアップさせる力があるというのならば、その力に頼っていいのかの疑問を抱く。
その力のおかげで無事に勝利することが出来たとしてそいつは果たしてホントの意味で実力で勝ち取った勝利と言えるのか?
「それは……」
「クククッ……こんな初歩的な疑問に対してこうですと答えられないなんてあんたどうにかしてるよ」
物凄い素朴な疑問をぶつけた結果、女性団員はホントにやっていいことなのか?と疑問を抱く。
応援でベストコンディションにしてくれるならいいけどもそれ以上のパワーアップは最早ドーピングに近い。
別にそれが非常事態ならばまだ文句は言わない、バレないイカサマありの試合ならなんにも言わない。ただ公式戦だからイカサマ禁止は当然だし色々とルールが整備されている。
「でも…………応援道の力を借りたいって人達は沢山居るわ!それだけ皆、応援道の力を求めてるのよ!」
「クククッ……甘っちょろい考えだな……そいつ等は負けるのが嫌だからだろう。勝てないからだろう……だが、そこまでして勝ちたいとは思えないね」
さっきのトロピウス使いが応援道の力を借りていた、応援道の力を求めているトレーナーは沢山居ると言う。
応援道の力を借りてパワーアップして勝ったとしてなんの価値がある?勝利したという喜びを味わえるとかならば笑い話にもならねえ。なにせ応援道と言う力を借りてやっと勝つことが出来たっていう醜態を晒しちまってるんだから。
「よく考えろ……あんたはホントの勝利が欲しいのか?見たいのか?頑張れって応援してえのか」
「……私は」
「そこまでにしてもらおうか!」
応援道について色々と悩んでいる女性団員
自分がやっている事に関して実は間違いなんじゃねえのかと疑問を抱き出していると……応援団の団長が現れた。
「セキドー団長!」
「応援道について疑問を投げかける事に関しては俺は許さない!」
「疑問もなにも他人の力を試合中に借りて強くなって嬉しいのか?って話だぞ」
「君はポケモンバトルに於いて一番大事な事を忘れている!勝利するという喜びを!」
「クククッ……随分と的はずれな事を言うな。ポケモンバトルを楽しむ喜びならばまだ納得出来るが勝利する喜びだと?勝者が居る以上は敗者は絶対に存在している!それを0にしようなんて事はポケモンバトルそのものをするなって言ってるも同然だぜ?」
「ッグ……」
ポケモンバトルを楽しむ喜びならば理解出来るが、団長さんは勝利する喜びを理解させたい云々を言ってくる。
勝っても負けてもお祭り騒ぎなポケモンバトルならばまだ分かるが勝利を求めて勝利に喜ぶポケモンバトルは話が違う。
「あのぉ、すみません!ここに来たらポケモンバトルで必ず勝つことが出来るって聞いたんですけど!」
「あ、はい!ここの応援道の応援団員達の応援があれば必ず勝つことが出来ます!」
「是非!是非とも私とハブネークを!」
「貴女はキャンディムサリーナさん?」
「っげ、ジャリガール1号2号……」
おい、素が出ているぞ。
言い争いをしていればキャンディムサリーナの格好をしたムサシがハブネークと一緒に現れた。
こいつらもなんだかんだで負けが続いたりしているなと思っているとそうだ!と団員が閃いた。
「貴方が応援道について異議を唱える事は分かったわ……だったら私達の応援道を真正面から受けてくれないかしら?」
「まぁ……そいつが一番だろうな」
「ちょ、ちょっとそのジャリボーイが相手なわけ!?そいつ尋常じゃない程に強いんだけど」
「大丈夫だ!我ら応援道の力があればどんな難敵にだって挑める!!」
結局はこういう感じの展開になる……お約束と言えばお約束だろうが。
キャンディムサリーナ扮するムサシとポケモンバトルをすることになり使用ポケモン1体のシングルバトルでの戦いになった。
「いくのよ!ハブネーク!」
「ハァブ!」
「んじゃ……頼んだぞ、ラティアス」
「キューン!!」
「……え!?……え、っちょ……そいつめっちゃ珍しくて強いポケモンじゃない!?」
「なんだなにか文句や問題でもあんのか?」
「あんた、どうやってゲットしたのよ!?」
「色々とあったとしか言えねえよ」
ラティアスを出せば嘘だろうと固まるムサシ。
準伝説のポケモンをメガシンカとか特に優遇を貰っていないポケモンに当てればヤバいとトレーナーとしての直感が言っている。
「ええい!ハブネーク『ポイズンテール』よ!」
「ラティアス、ハブネークが届かない位置まで飛べ」
「サトシ……鬼かも……」
「間違いじゃないけどもなにか間違ってるわよね……」
『ポイズンテール』で攻撃してくるハブネークをラティアスは高くに飛んで回避する。
空を飛ぶ術はハブネークは持っていない。平然とエグい手を使ってくるのでハルカとセレナがドン引きしているが気にしない。
「『めいそう』だ」
「そうはさせないわ!ハブネーク『くろいきり』よ」
「…………読まれてたか」
「あんたのバトルは嫌という程に知り尽くしてるのよ!『めいそう』で積もうだなんてさせないわ!!」
「だったら『ミストボール』だ!」
スイクンと同じように『めいそう』で積もうとしたが読まれていた。
伊達にポケモンリーグ開催期間中はアルバイトに勤しんでねえなとオレのバトルを研究してきている。
『くろいきり』を正しい意味で使いこなすのは割と予想外だったがラティアスは積まなくても充分なパワーを持っている。ハブネークはパワー自慢なポケモンだがパワーしか自慢することが無いポケモンだ。ラティアスはハブネークに対して『ミストボール』をぶつけるとハブネークは吹き飛ばされた。
「フレー!フレー!ハブネーク!」
「ハブネーク、負けるんじゃないわよ!!まだいけるでしょう!!」
「バッファ!!」
「ラティアス『なみのり』だ」
「キュォーン!!」
「ニャア!?……ハブネークとラティアスの間に物凄い力の差があるにゃ!」
「アレじゃ幾らなんでもハブネーク勝てない」
観客席で試合を観戦しているコジロウとニャースも試合が一方的だと顔を青くする。
ラティアスは『なみのり』でハブネークを飲み込む……最初に『ミストボール』を当てたし『なみのり』も直撃した……
「ハブァ……ハブァ!?」
それなのにハブネークは倒れない。
ムサシのハブネークのレベルはどちらかと言えば低い方でこっちは鍛え上げたラティアスの高火力で高威力な技を当てている。
ハブネークは……戦闘不能になりかけた、が……息を吹き返した……ムサシのハブネークはオレのゲッコウガとは異なる普通のハブネークで今の段階ではZワザを取得していない。ハブネークがガッツを見せたで片付ける事は出来ない……そうなれば考えれるのは応援道の力……力は凄まじいがただのドーピングとも言える。
「ラティアス、一気に終わらせるぞ……『りゅうせいぐん』だ」
「キュォオオオ、キューーン!!」
応援道に何かしらの仕掛けがあるのは分かったのだと『りゅうせいぐん』を使う。
無数のドラゴンのエネルギーが込められた『りゅうせいぐん』が降り注ぎハブネークに命中した
「ハヴァ……」
「ちょ……ちょっと!どういうことよ!!ここの応援道で応援されれば絶対に勝つことが出来るって聞いたのに一方的にボコボコにされたじゃない!!」
『りゅうせいぐん』が命中したハブネークは息を吹き返すという謎の現象が起きなかった、いや、起こさなかった。
なにかしらの仕掛けがあるのは分かっていたからそれを起こさないように圧倒的なまでの力で叩きのめした。
ムサシは敗北したことを直ぐに理解するが聞いていた話と違う、応援されれば確実に勝つことが出来ると思っていたのに勝つことが出来なかったと団長のセキドーに対して文句を言う
「ま、まさかここまで大きな実力差があるだなんて」
「だからあいつ尋常じゃない程に強いって言ったじゃない!!それでもどうにかなるから期待したのに、どうなってんのよ!!」
「ま、待て待ってくれこれはなにかの間違っ、ああ!!」
「ん、なんか落ちたぞ…………ピンマイク?」
「応援団員ならマイク使わずに自分の声でポケモンを応援するニャ!」
「い、いや…………」
「……ラティアス、太鼓に向かって『はどうだん』だ」
「キューン!」
ムサシ達が勝てなかったことに団長を問い詰めていると襟からピンマイクが落ちた。
コジロウがピンマイクを拾いニャースが応援団ならば自分の声で応援するものだとまともなことを言っているが全て謎が解けた、と言うか原作知識を無理矢理引っ張り出して太鼓の中にマクノシタやロゼリアが隠れているとラティアスの『はどうだん』で破壊した。
「なっ……団長、コレはどういう事ですか!?」
「もしかして……ポケモンの力を使ってパワーアップしてたの?」
「その通りだ……胡散臭い話なのは分かっていた事だが、蓋を開ければ予想通りだ……コレでもまだ応援道を信じるか?」
女性団員がどういうことなのかと問い詰めればセレナが応援道の正体に気付く。
応援道はポケモンが補助技を使ってパワーアップさせたり回復させたりしているだけ……精神論とかよりも最悪な外部から力を借りている。
「ったくよぉ……史上最強を名乗ってる反則のペリッパー時もそうだがよ、お前等なんでそういう事をするんだよ?」
純粋にポケモンバトルをしている奴等がチャンピオンに立っている。
そういう奴らを相手に色々と試行錯誤を繰り返すのがポケモンバトルの醍醐味だって言うのになんでこうも反則行為を行うんだ?
戦術的な意味でやっていいことと卑怯じゃねえのか?っていうのはあるがあくまでもルールに則った戦い方だ。オレはそのルールの上では好き勝手するがホントに越えちゃいけねえラインは越えねえ主義だぜ?
「ジャリボーイに負けちゃうしもう踏んだり蹴ったりよ!!」
この展開ならばラティアスを強奪しに来る感じなのだが意外にもムサシ達はキレながれもこの場から去っていった。
ラティアス達に勝つことが出来ないのだと認めている、オレとの間に大きな実力差があるから謎のハイテクメカに頼らなきゃ奪うことが出来ねえんだと思っているんだろう。
「クククッ…………テメエ等のやってたことは精神論を押しつける事よりも最悪な事だ……それに賛同してなんの異議も唱えることをしなかったポケモン達も」
「団長…………私達はっ!!……」
「信じてたのに、じゃねえだろ?」
団長の言う応援道を信じて必死になって応援をしていたのに応援道は偽りだった。
応援道は何処にも存在していないのだが女性団員に信じていたのによくも騙してくれたな!と叫ぶだけが道じゃないことを教える。
「応援で力が湧くのは確かだがそれはあくまでも精神論の世界だ……別にそれが悪いとは言わねえ。だが、応援道とやらは応援で本来の力よりも遥かに上回る力を発揮する事が出来た……その時点でトレーナーとして疑問を抱かなかったのか?」
「っ…………私は………………」
必要以上にパワーアップしている、その事に関して疑問を抱かなかったのか?
改めてその事を言えば仮に応援道が本物だったとしてもトレーナーとポケモンが心を通わせてパワーアップするものでそれとコレとは話が完全に別だ。応援する側は勝手な期待と勝手な失望をするぐらいだ。
「……応援されて心が燃えたりしてもそれは錯覚、その錯覚で力が増したと思ってもそれはあくまでもポケモン本来の力を出してるだけ……やっぱり、自分達の力でどうにかしなきゃダメなのね」
「そういう事だ」
一瞬でも応援道は本物とか応援道は良いものとか思っていたハルカは自分がバカだったと目を覚ます。
自分達の力でどうにかしなきゃダメだと分かったが……団員達はまだ戸惑っている。
「頑張れって応援することはよくないことなの?」
「応援したいって思うなら応援すればいい、それ自体は悪じゃねえ……ただ、頑張れって言葉は時には人を最も傷つける言葉だ。そう簡単に使っちゃいけねえ」
頑張っている人に対して頑張れという言葉は言い方を変えればもっと努力しろという意味になるからな。
「んじゃ、行くか……」
「あ、あのっ……貴方の名前は?」
「サトシ、マサラタァ!?」
「サトシ、行くわよ」
「もう終わったんだからここには用事は無いかも。早くバッジをゲットしなくちゃ」
カッコよく名乗りを上げてこの場から去ろうとしたらセレナとハルカに引っ張られた。
あんな感じでカッコよく名乗りを上げたのならばフラグ的なのが建ちそうとかそういう事を2人は思って引っ張っていったがもう遅い。
「ホウエンリーグで是非とも応援させてください!」
「……………ッチ…」
セレナかハルカかどっちか分からなかったが聞こえるレベルの舌打ちをしたので怖かった