闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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込み上げる熱の欠片

 

「ケロマツ『かげぶんしん』だ」

 

「ケロ!」

 

「ラタ……」

 

「ど、どれが本物なんだ!?」

 

クチバシティを目指して旅をしている道中にポケモントレーナーと会合した。

トレーナー同士が目を合わせればやることは決まっている。ポケモンバトルだとポケモンバトルを行う。相手の使っているポケモンはコラッタで物理技しか使って来ない。新しく覚えた『かげぶんしん』でケロマツは翻弄し

 

「『みずのはどう』」

 

『みずのはどう』で鎮める。

ケロマツは手に水で出来た波動弾を作り出し、コラッタにぶつければコラッタは戦闘不能になる。それと同時にケロマツが眩い光りに包まれた。

 

「ゲコ!」

 

「そろそろだと思っていたが成ったか」

 

『みずのはどう』や『かげぶんしん』を覚えたからそろそろ進化するのだと読んでいたがケロマツはゲコガシラに進化した。

一応はポケモン図鑑で確認するがゲコガシラが対応していないので分からない。ただ言えることはゲコガシラはオレの言う事をちゃんと聞いてくれるという事だ。

 

「負けたよ……君、めちゃくちゃ強いんだね」

 

「オレが強えんじゃねえ、お前が弱いだけだ」

 

「うぐっ……確かにバッジを持ってないけどさ」

 

バトルを終えればオレが強いと対戦相手のトレーナーが言ってくれるが、オレはまだまだだ。

もっと強いトレーナーは確かに存在している。少なくとも既にバッジを3個以上持ってる奴とかならばな。

 

「そろそろ骨のあるトレーナーと戦えると思ってたんだがな」

 

バッジをゲットする事に成功した徐々に徐々に強くなっていくトレーナーに出会えるかと思ったが出会えていない。

バッジをゲットする事が出来ていないトレーナーに勝ったとしても大した経験値にならねえ。

 

「だったらアキラのポケモンジムに向かえばいいよ!」

 

「ポケモンジム?この辺にポケモンジムなんてあるの?」

 

「非公認のジムだよ……めちゃくちゃ強いから腕試しで挑んでくるトレーナーを沢山撃退して僕が行った時は80連勝してたかな」

 

「は、80連勝!?」

 

「クククッ……そいつは面白い話だな」

 

非公認のジムで80連勝しているのは確かな実力を持っているという事だろう。

アキラのポケモンジムが何処にあるのかを教えてもらえばアキラのポケモンジムに向かって歩き出し、デカデカとした木製の建物があった。木製の建物の中に浮いていると言うべきか電光掲示板があって98と出ている。

 

「単純に考えて、コレは98連勝しているって事ね……大丈夫?」

 

「それはなにに対しての大丈夫だ?オレに対してなら意味はねえ」

 

「でも、98連勝しているのよ?確かにサトシはまだ無敗だけど、無敵ってわけじゃないわ……もしかしたら」

 

「確かにそういう事を考えれなくもない……だが、そんな事を考えてたら意味はねえ。負けを考えるんじゃない。負けない事を考えるんじゃない。相手を倒す方法を考えるんじゃない。どうすれば自分が勝つことが出来るのかを考えるんだ」

 

「それって……気持ちの問題じゃ」

 

「ああ、そうだ。その気持ちの問題が大事だ……心ってのは意外とバカに出来ねえぜ」

 

少なくともオレはどうやって勝つのかを考えている。だからなんだかんだで勝つことが出来ているんだろう。

心の力について色々と語りたいが今はポケモンを育成したいからとアキラのポケモンジムのドアを開いた。誰かが来たのか呼び鈴を鳴らすのかと思ったがそういう事は特になく、受付的なのも無い。

どうなってるんだと思いながらもジムの中に入る。パシンパシンと炸裂音が聞こえるのでその音がする方向に向かって歩いていけばアキラと思わしきトレーナーとポケモン達がいた。

 

「スピアー、バタフリー、火の輪くぐりだ!!」

 

パシンと鞭を叩いてスピアーとバタフリーに燃えている輪を潜っていく。

バタフリーとスピアーは苦しい声を出すのだがアキラが地面に鞭を叩いた。

 

「炎を怖がるな!!」

 

「…………随分と古典的なタイプだな」

 

地面に鞭を叩いて威嚇して、ポケモン達を指導している。

所謂愛のムチ的なのだろうが、オレは割と嫌いな方だな。小学生の頃の担任が褒めて伸ばすのでなく厳しく突き放すタイプだから割とどころかかなり嫌いだった。大人だから大きな声や大きな音を出して説教っぽい事をしておけば子供を支配下に置けると思えているくせにいじめに対してはなにも出来ない無能な教師で、そいつにキレて学校を脱走した奴も居たな。

 

「スピ!スピスピ」

 

「ん?誰だ、お前等」

 

「此処にアキラっていう腕自慢が居るから来てみたんだよ」

 

「つまりは挑戦者ってことか!いいだろう!使用ポケモンは3体のシングルバトルでどうだ?」

 

「悪いな、手持ちが2体だから2体にしてくれ」

 

「むっ……じゃあ、2体のシングルバトルでいくぞ!」

 

すんなりとバトルに流れていくのは戦闘民族脳と言ってはいけねえよな。

バトルフィールドに案内をしてもらったのでモンスターボールを大きくして互いに同時に投げる

 

「サン!」

 

「ゲコ!」

 

「見たことがないポケモン……蛙だから水ポケモンか?」

 

「さて……見た目詐欺かもしれねえぜ?」

 

「サンドvsゲコガシラ……ゲコガシラの方が圧倒的に有利だけど」

 

タイプ相性云々があってもそれでも勝ち続けたのがある。

とは言えサンドで出来ることはしれている。

 

「ゲコガシラ『みずのはどう』だ」

 

先に攻撃を仕掛けたのはゲコガシラだった。

何時もの流れで『みずのはどう』を放とうとする。これに対してサンドはどう出てくるのか?

 

「サンド『すなあらし』だ!」

 

「『すなあらし』だと?」

 

アキラはゲコガシラの『みずのはどう』を全く気にすることなく『すなあらし』を指示した。

『みずのはどう』はサンドに命中する……だが、サンドは全くと言ってダメージを受けていない。サンドとの間に大きなレベルの差があるのかと考えるが、それならば先に攻撃すればいいだけの話だ。

 

「成る程、そいつは『みず』タイプのポケモンか」

 

「ああ、ゲコガシラは『みず』タイプのポケモンだ」

 

「サンドなんて『みずのはどう』で一撃で倒せる、そう考えてるなら甘い!俺のサンドは水を克服したサンドなんだ!」

 

「み、水を克服って……そんな事が出来るの!?」

 

「並大抵の努力じゃ不可能だ。最初の頃はサンドは水に怯えていた。だが俺の愛のムチによって勇気を振り絞って水へと飛び込み水を克服する事に成功したのさ!」

 

「……克服ねぇ……」

 

ゲコガシラの『みずのはどう』を受けてもピンピンとしているサンド。

水に関して克服する事が出来ている……グーでパーに勝つことが出来るようになっているからポケモンバトルは面白い。

 

「戻れ、ゲコガシラ。いけ、サンド」

 

「俺のサンドを前にサンドとはいい度胸だな!」

 

ゲコガシラの『みずのはどう』が効果は0とは言えないがあまりダメージを受けてねえなら交代するだけだ。

サンドを出せばアキラは少しだけ怒りを顕にする。自慢のサンドを前にしてサンドで対抗されたのならば怒るだろう……だからこそ、それでいい。

 

「サンド『じわれ』だ!」

 

「『じならし』だ」

 

いきなりの一撃必殺を狙いに来る……自分のサンドの凄さを見せつけようとしているんだろうな。

『じならし』を使い地面を揺らすことで『じわれ』のパワーを乱して相殺する。それと同時にアキラのサンドが青色のオーラを一瞬だけ纏う。『じならし』の追加効果である素早さの1段階下降が発生したんだろう。

 

「サンド『ひっかく』」

 

「ならこっちも『ひっかく』だ!」

 

「いいのか、その選択で」

 

「なに?」

 

サンド同士が『ひっかく』で攻撃しあう。

ノーガードの殴り合いだがオレのサンドの方が手数が多く、時折アキラのサンドの『ひっかく』攻撃を弾いては連続で『ひっかく』攻撃を使う。物理防御が高いからサンドは中々に倒れないが直ぐにアキラのサンドの方が手数が少なく当てている回数が少ないことに気付く。

 

「コレは、お前のサンドの方が素早い……『じならし』か!」

 

「それもあるが……どうする?」

 

「サンド『まるくなる』からの『ころがる』攻撃だ!」

 

「サンド『あなをほる』で穴を掘ってから直ぐに出ろ」

 

『まるくなる』で物理防御力を高めつつ『ころがる』にシフトチェンジする。

判断としては妥当だろう……だが、徐々に徐々に自分の首が締められている事に気付きだしている。

サンドは僅かだが穴を掘った。アキラのサンドは突撃してきたからサンドは穴から出ればアキラのサンドが穴に落ちた。

 

「クククッ……ダメだな、勇み足を取ろうにも鈍足過ぎて話になりゃしねえ」

 

先制技を覚えないし、サンドという種族そのものが鈍足なポケモンだ。

弱点である水の対策はバッチリなんだろうが、それに修行を割いているからかそれとも同種との相手がはじめてだからかぎこちない。

穴に埋まったアキラのサンドの上に乗るオレのサンド

 

「ダイレクトに『じならし』だ」

 

サンドの上でダイレクトに『じならし』を使う。

地面を叩くこの技、丸まった状態からもとに戻ろうにも動くに動けず更には上から圧が掛けられる。

 

「諦めるなサンド!」

 

「逆だろう」

 

「なに!?」

 

「この状況を打破する事が出来るのは後にも先にもトレーナーのお前だけだ、サンドに無理強いをさせて気力だけで勝つつもりか?諦めるななんて簡単に抜かすがホントに諦めるなと呼びかけなきゃならねえのはお前の方だろう」

 

「っぐ……俺は……」

 

「サンド『じならし』だ」

 

このピンチの状況を打破する為に耐えてくれは負けないように頑張れと言っているのと同じだ。

この状況を打破する方法を考えなきゃ意味がねえ、どうすればひっくり返せるのか。どうすれば勝てるのか?

コイツはタワーディフェンスゲームじゃない、相手を確実に倒さなきゃならねえ勝負だ。

 

「サァン!」

 

「戻れ、サンド。いけ、ゲコガシラ」

 

「サンドがサンドパンになったって……サトシ、全然驚いてない」

 

「こういうのはよくある展開なんだよ」

 

曲がりなりにも100勝以上はしているポケモン達なんだから充分な経験値を得ている。

バトル中に進化したり新しい技を会得して奇跡の大逆転なんてポケモンバトルの世界じゃよくある話だ。サンドがサンドパンになったのならばゲコガシラに交代する。

 

「ゲコガシラ『みずのはどう』だ!」

 

「無駄だ!」

 

ゲコガシラに『みずのはどう』を指示して攻撃する。

サンドパンには『みず』タイプの攻撃は通じないのだとアキラは攻撃を避ける指示を出すことはしなかった。

 

「サン……」

 

「サンドパン!?」

 

「『みず』タイプの攻撃に対して耐性が付いてるんじゃねえよ、ただ純粋に我慢する事が出来ているだけなんだよ」

 

ゲコガシラが放った『みずのはどう』でサンドパンは戦闘不能になった。

さっきサンドの状態で『みずのはどう』を受けきったのならなサンドパンの状態なら絶対に受け切れる、自分達ならば大丈夫だと過信した。そういう時ほどロクな事が起きねえ。サンドが与えたダメージに加えて『みずのはどう』で大ダメージを与える事が出来た。

 

「弱点なんざ無理に無くそうとしても意味ねえんだ」

 

弱点があるからこそ、意味がある。弱点が無いのならばなにも面白くねえ。穴があってこその駆け引きやバトルだ。

 

「クククッ……どうした?」

 

アキラはサンドパンがやられて自失している。

強力な技やサンドパンに進化したことからサンドパンはアキラのエース的な存在と言ったところで、精神的な支柱を無くしている。

 

「いけ、コラッタ!」

 

「戻れ、ゲコガシラ。いけ、サンド」

 

「サァン……サザアアア!!」

 

「サトシのサンドも!?」

 

「っ………」

 

頃合いかと思っていたしタイミング的な話をするなら今しかないと思っていた。

ゲコガシラからサンドを出せばサンドはやる気を出しており眩い光に身を包んでサンドからサンドパンに進化した。

ポケモン図鑑を取り出してなにか新しい技を覚えているかとかを確認したいがバトル中のポケモン図鑑の使用はトレーナーとしてのモラルに欠けるからやらない。

 

「コラッタ『ひっさつまえば』だ!」

 

「サンドパン『まるくなる』」

 

「だったら『でんこうせっか』だ!」

 

『ひっさつまえば』で攻撃する前に『まるくなる』で丸くなり動かないサンドパン。

『ひっさつまえば』を受けるのだが全然ダメージになっていないのだと分かれば『でんこうせっか』でサンドパンを突き飛ばすのだがサンドパンは何事も無かったかの様に起き上がる。

 

「サンドパン『みだれひっかき』だ」

 

「サン!!」

 

今度はこちらの番だと『みだれひっかき』を連発する。

コラッタは真正面から何度も何度もひっかかれて最終的にはダウンし、戦闘不能になるとバトルフィールド付近にあった電光掲示板が0になった。

 

「く、クソ……100連勝まで後2勝だったのにコレでやり直しだ」

 

「やり直しって……ここって非公認のジムだから別に記録なんか気にしなくても」

 

「俺は100連勝したら旅立つって決めてるんだ!ここまで積み上げるのに苦労したのに」

 

「…………くだらねえ虚勢だな」

 

「な、なんだと!?」

 

100連勝目前に敗北し100連勝したら旅立つと決めていたことを聞いて呆れる。

当然と言うべきかアキラは怒っておりセレナはヒヤヒヤしているがオレがなにか意味を持って言っているのだと信じてくれている。

 

「100連勝したとか全てのタイプのジムを制覇したとか色々と胸を張って自慢する事が出来るかもしれねえ……だが、賢しい考えを持っても束になっても敵わない枠にハマらない無関係な強者は確かに存在する」

 

「それが……それがお前だって言うのかよ」

 

「サンドもといサンドパンは『みず』タイプに対して滅法弱い。だから、それを対策して水を克服するという理に適った事をしている。だが、理に適った事をしているのならば四天王やチャンピオンは理には適ってない存在だろう」

 

「どういう意味なの?」

 

「……四天王を1人上げてみろ」

 

「えっと……ドラセナさん?」

 

意味が分かっていないセレナに一例を上げてもらう。

 

「ドラセナさんは『ドラゴン』タイプの使い手で手持ち全てが『ドラゴン』タイプだ。『ドラゴン』タイプは『フェアリー』タイプ以外には強いと言っても過言じゃねえが『フェアリー』タイプにだけはとことん弱い。勿論、それに対しての弱点のカバーをしていてもそれでもメインウェポンである『ドラゴン』タイプの技が通じねえ……セレナ、仮にお前がトレーナーならどういうパーティ構築で行く?」

 

「それは……バランス良くだけど、ドラセナさんは『ドラゴン』タイプのポケモンの使い手で……あれ?」

 

「クククッ……そうだ……そういう事だ」

 

普通に考えるのならばバランスの良いパーティを構築する。それ自体は間違いじゃない。

だが、四天王と呼ばれる猛者はタイプバランスが良く育てられているというわけじゃない。『ドラゴン』タイプのエキスパート、言い方を変えれば偏りがある。

 

「ポケモンバトルの中には自身の理解や考えの範疇に無い不合理や理不尽がある……それが使われる側ならばグレたくもなるが使う側になればそれはもう無敵だ……正しいとか正しくないとかでポケモンバトルが成立するならば世界最強のトレーナーは手持ちが全て伝説や幻のポケモンになる」

 

現に現実のゲームのポケモンでは使用禁止のルールが無い限りは確実に伝説のポケモンがパーティに入っている。

そしてレート上位のパーティはバランスが良いとか世に言う旅パとは異なるコンセプトの上で合理的に見えて何処かズレているが最強だ……有名どころで言えばパチリスさんだろう。パチリスなんて誰も見向きがしない中であの男は使っており世界最強の座をもぎ取った。

 

「不合理、不条理、理不尽で結構だ……100連勝なんて言う自分の殻に閉じこもれば後はゆっくりと自滅する。だからこそなんだよ」

 

なにがとはあえて言わない。オレはサンドパンをボールに戻してポケモン図鑑でサンドパンのステータスを確認する。

次のジムはサンドパン一択、他のポケモンで挑んで勝てる可能性がなくもないがサンドパンでの賭けに出て成功したら確実に勝てる。

 

「アキラは……旅立つのかしら……」

 

「更に鍛え直すって考えも別に悪いことじゃねえからな」

 

「……サトシは、わざとあんな事を言ったんでしょ?」

 

「なんのことだ?」

 

「だから、アキラがあのまま100連勝を1からやり直すのが勿体無いって思ったから発破をかける事を」

 

「んなめんどうな事をするわけねえだろ……安定した数値を取り続けて時には膨大な数字を掻っ攫う。それが一番の最強でここぞと言う時に負けるのが鬱陶しいだけだ」

 

オレはマサラタウンのサトシにはどちらかと言えば悪い評価をしているからな。

不合理な事をし続けているがそれで白星を手に入れている、ここぞと言う時に勝ち星を拾えるのは流石の主人公だが、ここぞと言う時に勝ち星を拾えない時が多いし、くだらない所で星を落としている時が多々ある。現に世界最強になった筈なのにウデッポウを賭けた戦いで負けてしまっている……ここぞと言う時に強いのか弱いのかハッキリとしねえに加えて安定した強さを持っていない。あんまり良い評価はくだせねえな。

 

「忘れちゃいけねえ……ポケモントレーナーはギャンブルなんだよ」

 

ジムリーダー、フロンティアブレーン、他にも色々とあるがその手の業種に就いとかねえと金は貰えねえ。

幸いにも国から補助金が出ているから餓死する事はねえが、ポケモントレーナーは成功するか失敗するかのどっちかなんだ。

 

「ポケモントレーナーになった時点で【まとも】ってやつから徐々に徐々に離れていってる……そいつは構わねえ。まともじゃないからこそいいんだ」

 

「でも……皆が皆、サトシみたいに強くて一流になって成功者になれるわけじゃないわよ」

 

「そういうのを求めるなよ……大事なのは熱だ、熱けりゃ三流でもいい……熱を失わずにやり続けることこそが実、成功したってのが実じゃねえ……合理性だけを求め続けて成功や失敗を理由に諦めて熱を冷ますことが1番のバカだ」

 

少なくとも、杉浦という人間は目的もなくまともに生きようとただただ惰性に生きていた。

熱いものを持っておらず、どうせ失敗するから金が無駄になると最初から挑まない馬鹿な人間で時代に取り残されていた。

今の時代はなんでもいいから挑戦することだ、eスポーツだって昔はバカにされてたが今では下な人間が億万長者に駆け上がる為の道の1つだ。動画配信者もそうだ。売れない芸人が見せてやると体張ってくれてる……杉浦という男にはそんなのが無かったんだ。心の何処かでこのままでいいのかという悩みがありながらもな。

 

「……そっか……熱か……………やっぱりサトシはカッコイイわね」

 

「変な真似はするなよ……お前も理に適わなくても熱をこみ上げるものを見つけられればいいな」

 

「うん!」

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