闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「やっぱりガチ勢は来てるよね」
ポケモンコンテスト応援ガチ勢は当然の如くテレビ中継が無いグランドフェスティバルの一次審査から来ている。
マサトはガチ勢ならば当然のことだよと妙に納得しているなと思いながらも観客席に座る。ミツコさん、マサト、オレの3人だ。
「マサト、お前はポケモンコンテストについては学んでるのか?」
「ちょっとだけ……僕は出るつもりは無いからね」
「潔いな……っと、トップバッターが出てくるな」
マサトにポケモンコンテストの知識があるかどうかの確認をした後にグランドフェスティバルの一次審査のトップバッターが出てきた。
この手の魅せる競技の大会でトップバッターで1位を取るのは難しい……Mー1の決勝戦で一番最初に出番が来たけど1位をキープするのが難しいからバトル要素があって良かったとは思っている。
「いけ、カメックス!」
「ガァメ!!」
トップバッターに出てきた奴が出したのはカメックスだった。
流石にグランドフェスティバルに来ている奴等はレベルが違う、魅せる以外にもちゃんとした戦闘能力があるポケモンを持っている。
カメックスで具体的になにをするのか?……カメックスで思い出したがシゲルは今頃はどうしてるのか、ポケモンバトルも出来るポケモン博士を目指してえっつってたけどもアランが難しいって言ってたな……アランは平然と成し遂げてたが。
「カメックス『みずのはどう』を撃ち上げろ!」
カメックスに出した指示は『みずのはどう』を出すこと。
背中の巨大な砲台から『みずのはどう』が撃たれるが1個だけ、どういう風に使うのか?
「『ハイドロカノン』」
撃ち上げた『みずのはどう』に『ハイドロカノン』をぶつけた…………おぉ〜
「あの人、ホントにグランドフェスティバルにまで来た実力者なの?」
「クククッ……若いな……」
「アレはスゴいわね」
グランドフェスティバルに来た実力者な筈なのに撃ち上げた『みずのはどう』を『ハイドロカノン』破壊しただけだった。
もっとスゴいのをイメージしているみたいだが割と高度な魅せ方をしている……『みずのはどう』と『ハイドロカノン』がぶつかった。その結果、巨大な水飛沫を上げるのだがコレが通常とは異なる。ダムから放出される水の様な水飛沫を上げている。
カッコよさ、美しさ、可愛さではなく逞しさを魅せている……マサトにはまだ分からねえみてえだがアレは逞しさを現すパフォーマンスでありかなり受けていてコレが受けるの?とマサトはよくわかってなかった。
「ロゼリア『アロマセラピー』だ!」
色々と審査が起こる……200人ぐらいが出場しているから審査は厳しい方だとオレは思う。
シュウの出番がやって来てロゼリアに『アロマセラピー』を使わせれば芳醇な香りが充満した。
広範囲にここまで『アロマセラピー』を使わせることが出来るのはかなりのレベルが居る、なんだかんだでレベルは高い。しょうもねえところで星を落としてるけど。
「『くさぶえ』」
『アロマセラピー』の芳醇な匂いの中で静かな『くさぶえ』が鳴り響く。
アロマな香りの中でリラックスしている中で『くさぶえ』の綺麗な音色が心地良い……美しさもあるが、賢さもある。
技と技を掛け合わせることによって知的な印象を醸し出している……でもこういう清楚系の方が割とスケベだったりするんだよな。
「次はアサメタウンのセレナ選手です!」
「いくわよ、ラティオス!!オンステージ!」
「…………ええ!?セ、セレナ、ラティオスを持ってたの!?」
「ああ、持ってんぞ」
先に出番が来たのはセレナだった。
トップバッターでもなければ最後でもない程良い感じのポジションだと思っているとセレナはラティオスを出した。
セレナの方まではデータを集めていないのかラティオスを見て驚くマサト。持ってるとしか言いようが無いと言えばセレナは……ラティオスをメガシンカさせた。
「う、うそ……ラティオス、メガシンカするんだ……」
「クククッ……全力で勝ちに行ってんだぜ?だったらよ、アレぐらいはしなきゃならねえだろう」
ラティオスのメガシンカを始めてみるマサトは若干だが頬を引き攣らせる。
あんなの反則とかと思っているだろう。実際のところは結構な反則だと思っているとセレナは秘密兵器だとポケモンの笛を取り出す。
縦笛じゃなくて横笛のポケモンの笛、むげんのふえじゃない……セレナは笛を吹けばラティオスは高速で移動する。セレナの笛の音色に合わせて動く……故にタイミングが物凄く難しい技術、セレナがポケモンに合わせるのでなくポケモンがセレナに合わせないといけない。せーのとセレナは言わない、メガシンカには絆が必要だから。その絆のおかげでセレナは呼吸を合わせることが出来ている……テールナーとかウーラオスとかじゃ無理な技術だったんだよな。
ラティオスだけでもインパクトは凄まじいが、その上でメガシンカし高速で空を旋回する。自衛隊の戦闘機みたいな動きをしていたからカッコよさと美しさの2つが合わさっており物凄くウケが良い。
「アレがセレナのパフォーマンスか……お姉ちゃん、大丈夫かな?」
「クククッ……まぁ、今からなに言っても無駄だろうな」
ハーリーがパフォーマンスをしたりしているがラティオスのインパクトが割と強い。
伝説のポケモンはそれだけで強くてさらにそれを使いこなしてるとなれば格が違うだろう。
「続きまして、トウカシティのハルカ選手です!」
「いくわよ、ミロカロス!ステージオン!!」
「まぁ!……マサトから話は聞いていたけれどもホントにスゴい綺麗ね!」
セレナのインパクトが強い中でハルカの出番がやって来た。
ハルカはミロカロスを出す。普通のミロカロスですらコンテストに出せば鬼に金棒だが、色違いのミロカロスとなればさらに強い。
ミツコさんがうっとりとしているが他の観客達もうっとりとしている……が、ジョーイさん達審査員の目は厳しい。ただ綺麗なだけのポケモンならば今までのポケモンだってそう……クククッ……ミロカロスの美しさが逆に審査を厳しくする、ハードルを上げるがそれでいい、それぐらいの逆境を押しのけるぐらいの力を持ってないとグランドフェスティバル優勝なんて夢のまた夢だ。
「ミロカロス『しんぴのまもり』よ!」
先ずはミロカロスは『しんぴのまもり』を使う。
神秘的なオーラを纏っている……『リフレクター』とか『ひかりのかべ』とかだとコレは出すことが出来ない、他の2つだと下品な色合いになる。『しんぴのまもり』を使ったがまだ終わりじゃないとハルカは次の手を使う。
「『うずしお』よ!」
ミロカロスは『うずしお』で渦潮を作り上げる。
どうするのかと思えば『うずしお』で作り上げた渦の中に入ってミロカロスは泳ぐ。
コレならば『なみのり』の方がいいんじゃねえのかと観客達は思ってるみてえだが……まだ終わらない。
「『たきのぼり』よ!」
『うずしお』の渦が形を変えて滝になった。
ミロカロスは渦の中に引っ込んでから渦の形を滝に変えて……即座には姿を出さなかった。
滝が流れているなと認識させてからパシュッと滝の中から跳ねて出てきた……自然体だ……自然体だがそれでいい。色々と掛け算するのでなくシンプルにそのままをフレッシュさを生かしたパフォーマンスを行った。
「あ〜……よかったかも……」
「やったわね!ハルカ!」
「クククッ……アレで落ちてたら逆にスゲえよ」
その後も審査は続いていき審査を終えた。
1人数分だとしても200人ぐらい居たので結構な時間がかかっている。気付けば日が暮れて夜の内に審査結果がモニターに映し出されるのだが、ハルカとセレナは無事に一次審査を突破した。その事に安堵するハルカとよっしゃとガッツポーズをとるセレナ。アレで落ちてたらどうなんだと思うが落ちてねえから問題はねえ。
「コレでハルカはミロカロスを、セレナはラティオスを使えなくなった……開幕ぶっぱは大事だが、次の手も大事だ……考えてるよな?」
「勿論よ!」
「サトシをあっと驚かせるパフォーマンス、みせてあげるわ!」
ハルカもセレナもやる気満々だ……そして……………多くの連中が散っていった。
「マサト、ハルカ……ちゃんと目に焼き付けておけ……仲良しなのと勝負は別だ」
64名に絞るから何人来てようがお構い無しだ。
ここまで来たのには確かな実力があるがそれでも勝つことが出来ない非情な現実、ハルカは既に思い知っているだろうが……今回は今までとは違う。些細なミスとかそういうのが無くても落とされてしまう。最初から最後までパフォーマンスを見届けたから分かる、どれもコレも高度なパフォーマンスだったがそれでも上には上が居るのだという事が思い知らされるそんな世界だった。
コレが正真正銘1回しか出来ない真剣勝負の世界、ここまで来るのに多くの苦労をしたのだがそんな事は関係無いのだと振り落とされては涙を流している
「…………」
「皆、優勝とか一番なんて甘えた事は言うんじゃねえぞ……ここはそういう世界だ」
今まで一次審査落ちをしているコーディネーターを見てきたからハルカは耐えれた。セレナはオレに付き添ってポケモンリーグで色々と見ているからそういう世界なのを百も承知している。ポケモンレーサーの世界でもそういうのがあるのを知っている。
だが……マサトにとってはそういう世界を始めてみる。華やかに見える世界の舞台裏を見せるのは酷かもしれねえが……そうじゃねえと意味がねえ……挑戦者になる以上は諦めるという選択肢は無い。人種の差とか才能とかそういうのは関係無い。ただその道を真っ直ぐと歩むかどうかが重要だ。
「さぁ、ポケモンコンテスト・グランドフェスティバル!一次審査を無事に通過したコーディネーター達が舞台裏で控えております!」
そんなこんなでポケモンコンテスト・グランドフェスティバルの二次審査が入る。
テレビのカメラが回っている……それだけでもかなりのプレッシャーがかかるってもんだが魅せる世界だからか気にする奴は居ない。
逆に浮かれる奴も少なかったりするわけで遊びじゃなくて真剣でやっているのだと言うのが思い知らされる。
「先ずはアサメタウンのセレナ選手からです!」
「げぇ……サトシ、まずいんじゃないの?一発目からなんて」
「1番は取らなくても構わねえんだ」
トップバッターはセレナだった……パフォーマンスでトップバッターは色々とまずいのは分かっているのでマサトは言ってくるが、コンテストバトルの16名の中に入ればそれでいい。16名の中に入る事さえ出来れば後はバトルの部分でカバーすることが出来る。
今は1番は取らなくてもいい……割と情けねえ事を言っているが、魅せる世界は色々と難しい。
「ウーラオス、ギャラドス、オンステージ!!」
「え……あの2体でやるの!?」
「クククッ……まぁ、トップバッターで一次審査でラティオスを使ったって言うならばそれを上回る手を使わなきゃならねえからな」
ウーラオスと色違いのギャラドス、どちらも二次審査に申し分ない。
審査員が同じで顔を覚えられているというのもあるから、あの子は一次審査でこのポケモンを使った。じゃあどんなポケモンを出してくる?と言う期待値が出てくる。ウーラオスと色違いのギャラドスならばインパクトは凄まじい……コレで3度目のパフォーマンスがあったとか言うのならばセレナは手札が切れてる可能性があったな。
「いくわよ……ギャラドス『うずしお』」
「っこ、コレは!!」
「クククッ……逞しさとカッコよさと美しさの3点攻撃が、面白いな」
セレナの色違いのギャラドスは『うずしお』を使った。
『うずしお』の渦を自分の周りに発生させてはギャラドスは吠える……この時点でセレナがなにをするのか察した。
セレナは演劇をしようとしている。ギャラドスと言う魚をウーラオスが退治する、もしくは捕獲する。民謡や伝承、おとぎ話の様な事をしようとしており暴れているギャラドスをウーラオスは見事撃墜したと言う逞しさとカッコよさとそれを演舞と演武にして魅せる美しさで一気に話題を掻っ攫っていく。こんなパフォーマンスもあるのかとセレナに驚くが……コイツはカッコよさを魅せるのと美しさを魅せるよりも逞しさを魅せるのに特化している。例えるならば……マグロ漁だな。
コイツは厄介だ……最初にイロモノを見せたことで次の奴がインパクトを無くす。変わり種が逆に美味すぎて本来の王道的なパフォーマンスがブレてしまう。料理の世界でもそういう事は多々ある。特にコース料理とか寿司とかな。
予想通りと言うべきか、2人目のウケは悪かった……が、伊達にグランドフェスティバルに出ているコーディネーターじゃないのだと徐々に徐々に勢いを取り戻しており、ハルカの出番が来る頃には煌びやかなコンテストのイメージが戻っている。
「チルタリス、サーナイト!ステージオン!!」
ハルカが出したのはチルタリスとサーナイトだった。
この2つを組み合わせるとどういう風なパフォーマンスを魅せる事が出来るのか……
「サーナイト『チャームボイス』チルタリス『うたう』よ!」
音系の技を使ってきた……となるとチルタリスでやっていたあのパフォーマンスのダブルバージョンか。
ハート型の音符を出しているサーナイトにチルタリスは綺麗な音色を乗せれば……パァンと弾ける。綺麗な音色と同時に美しい火花が出てくる。
「チルタリス……『ほろびのうた』よ!!」
「え……ええ!?」
「クククッ……失敗がマジで命取りなパフォーマンスだろ?」
歌を使って魅了するのだと思わせれば『ほろびのうた』を歌った。
とてもだが綺麗な音色とは言えないのでウケが悪いと思えば、今度は『ハイパーボイス』を互いに出す。
『ハイパーボイス』でなにが出来るとただの騒音じゃないかと思っていたが『チャームボイス』や『みわくのボイス』『うたう』等段々と歌が上手くなっていき……サーナイトはチルタリスに向かってゆっくりと倒れた。チルタリスはサーナイトを綺麗な羽毛で受け止めておりサーナイトとチルタリスは満足いく最期を迎えた感じを演出した。
「……………サトシ」
「なんだ?」
「なんか……お姉ちゃんだけに特別なアドバイスとかしたの?」
「オレは指導する程ポケモンコンテストに詳しくはねえ……ポケモンバトルは色々と出来るが、それでも教えたのは頭でっかちだったお前の知識よりは多少マシな知識だ」
「じゃあ……お姉ちゃんは自分の力でここまで」
「どうだろうな」
少なくともセレナと一緒にやっていた、意見を色々と交流させていた。
そのおかげでハルカは通常よりも何歩か先に歩くことが出来ている。元々それなりに才能を持っているのは事実だろうがそれでも限界はある……マサトはポケモンを貰って情けない姿を見せていたハルカを知っている。ポケモンに対して苦手意識を抱いているハルカを知っている。それを知っているからこそあそこまで大きく成長して進化したハルカの言葉を失った。
「クククッ……まぁ、お前のお姉ちゃんは強かったってところだ」