闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「霧……嘘!?」
「どうした?」
「手帳、動かない……」
セレナのタブレット端末を頼りに向かうはクチバジム。
道中に立ち寄っている野生のポケモンの闘技場なんかでサンドパンを鍛え上げてはクチバジムに対して備えている。
濃霧が巻き起こっている中でセレナはタブレット端末を操作しているのだが手帳が動かないと言っている。どういう事だと思い画面を見れば電波が1つも立ってない機内モードになっていた。
「ただの電波障害……なわけないか」
「これ最新モデルで、飛行機以外では使えるわよ……この濃霧が原因で……こういう時に人と一緒に飛べるポケモンが居てくれたらいいのに」
「オレが空中を蹴ってジャンプするっていう方法があるが」
「それじゃあ数秒しか見れないでしょ?」
まぁ、それもそうか。上から事細かく見つめたいのならば、空を飛べるポケモンが必要になる。
今まで何度かポッポやピジョンと出会っているが思ったのとなんだか違うのと序盤鳥よりも良いポケモンが居るのだと知っているからゲットしてねえんだよな。
「色々と考えても埒が明かねえし、ちょっと跳んで来る」
「待って……なにか音が聞こえない?」
「……機械音だな」
オレが跳んで位置を確認しようとする前にセレナが耳を澄ませる。
静かにして集中すればモーター音が聞こえる。僅かなモーター音だが機械の音がする……この音量的に車とかは無いか。
このままここにいても埒が明かないし、今は音を頼りにしてみるかと思い音がする方向に向かえばランニングマシンに走っている学生が居た。
「コイツは」
「ポッポ」
「なのは見れば分かるだろう」
「ピジョンに進化してピジョットになります」
「そんなのは常識だ」
「昔は『かぜおこし』が『ノーマル』タイプの技と言われてましたが『ひこう』タイプの技だと」
「……なに、アレ?」
「知識と体力を鍛えてるな」
ランニングマシンに走りながらポケモンのシルエットを見せられて答えを言っている。
東京フレンドパークにこんなのがあったような気がするのだがセレナはよくわかっていない。オレの目から見て言えるのは体力と知識を鍛えている。あ、コケた。
「ちょっと、見捨てられたわよ!?」
「おい、大丈夫か?」
「あ、はい、大丈夫です」
問題を答えている奴がランニングマシンから倒れた後にプラカードで問題を出している奴等が去っていった。
倒れたのに無視するのかと思いセレナは直ぐに駆け寄る。オレも一緒に駆け寄るのだが、何事も無かったかの様に起き上がった。
「大丈夫なの?」
「大丈夫です、何時もの事なので……ところで編入生ですか?」
「編入生って……え?」
「此処、何処か分からねえんだ。タウンマップが急に狂ってな」
「ああ、授業中ですからね。スマホなんかの一部の電子機器が使えない妨害電波を出してるんですよ」
「編入生に授業中って……ここ学校なの?」
「はい、ここはポケモンゼミです」
男子学生が頷けばキンコンカンコンとお馴染みのチャイムが聞こえる。
10年ぐらいはまともに聞いてねえBGMだなと思っていると濃霧が晴れて学校が見えた。
「あ、手帳が動くようになったわ」
「授業が終わったので電子機器が使えるようになりましたよ」
「……そこまでするか?」
「そこまでしないと……トイレでスマホを弄って時間潰す人とか居ますし」
それは現実世界でも割とよく見るな。トイレでスマホを弄って糞してる時とかよくある。
電子機器の妨害電波とかかなりの金が掛かっているなと思ったが、ここはポケモンゼミだ……オレには無関係なところだ。
「ポケモンゼミって……なんなの?」
「え、知らないんですか!?」
「コイツはカロス出身なんだ」
「あ〜……そうなんですね」
「なんだろう、今田舎者を見るような目で見られた気がするわ……ゼミって事は学校よね?」
「はい……ここではポケモンバトルについて学べて卒業すればなんとポケモンリーグに出場することが出来るようになります」
「え!?そんな抜け道があるの!?」
「地方によっては普通に8個以上のバッジを集める以外でポケモンリーグに出れるぞ……知らないのか?」
「知らなかったわ……サトシは通わないの?」
「お前、ここ授業料高いぞ」
親ガチャにハズレてしまったとは言わないけれども、授業料が物凄く高い。
マサラタウンは過疎化している田舎町で学校に行くには2時間以上の過酷な道を通るか通信教育のどっちかだ。
通信教育って言ってるけども最新のタブレット端末を用いての授業じゃねえぞ……昔ながらの進研ゼミ小学講座的な感じの勉強だ。シゲルは2時間以上掛けて隣町に頑張って行ってたな……徒歩2時間の通学は地獄だ。バスも電車も無しだぞ。オレなんて中学の頃には自転車通学禁止だけども学校出て直ぐの所にあるマンションの駐輪場にコッソリと自転車停めてた……オレ以外にも停めてる奴が多かったり学校出て直ぐの所にある公園に置いてたりする奴も居る。小学生の時でも思ってたが自転車通学ぐらい認めろよ。
「学校かぁ…………サトシが誘ってくれてホントに良かった……」
「どうした?」
「いや……ママがポケモンレーサーにさせたいから専門学校に通わされかけてたなって」
「……言っとくがその手の学校は授業料馬鹿高いぞ」
調理師専門学校を通っていた身だから言えるが専門学校は授業料高いし奨学金貰えないところもある。
仮に貰えたとしても奨学金と言う名の借金持ちからの社会人という中々に詰んでいる人生を送らなきゃならねえ。
取りあえずはポケモンゼミが出している妨害電波でセレナのタブレット端末が異常を起こしているのが分かり授業を終えている間にさっさとこの近隣から出た方がいいのだと言ってくるので出ていった。後から原作知識を掘り起こせばポケモンゼミで一悶着あったみたいだが、別に無視しても世界が滅びる案件でもなんでもないから気にしねえ。
『サトシ、お前さん何時になったらポケモンをゲットするんじゃ?既にシゲル達は手持ち6体を揃えておるぞ!』
「オーキド博士、そんなに慌てないでくださいよ……ただ欲しいって思えるポケモンやゲットしたいポケモンが居ないだけです」
『むぅ……』
オーキド博士に定期的な連絡を取っている。
ゲコガシラが図鑑で見れるようになったかどうかの確認を込めてだが、オーキド博士にポケモンを1体もゲットしてない事を言われる。
狙っているポケモンが何匹か居る……本音を言えば最初のポケモンとしてイーブイを貰いたかった。旅パにイーブイが居てくれれば大体の代わりを務める事が出来るから。
「最初に言ったでしょう。オレはゲットの方は期待しないでくださいって」
『確かにそう聞いたがここまでとは……お前さん、セキエイ大会のルールを知らぬわけではないだろう。最低でも6匹が必要で激しい激闘の為にドクターストップが掛かって翌日の試合に出れないと言う一例が過去に何度もあるんじゃぞ!』
「知ってますよ、それぐらい……オーキド博士、オレにああだこうだ言ってもオレはそんな稀少なポケモンをゲットしませんって」
『いやいや……サトシは……オホン……とにかく手持ちを集めるのじゃぞ!』
「はい」
このジジイ、少しだけ未来のオレの存在を知っているからか危うく喋りかけやがったな。
どうも未来のオレはオーキド博士が喜ぶような珍しいポケモンをゲットしているみたいだな。
「オーキド博士のことはともかく……いい加減にポケモンをゲットしないとまずいんじゃないかしら?最近、バトルで3対3とか言ってくるトレーナー増えてて……サトシ、3体目無いのに受けてゲコガシラだけで勝ってるよね」
「まぁ、流石にそろそろとは思ってるぞ」
「でも、この近隣に今まで見なかった新しいポケモンでも居るの?」
「さて……」
オレはホウオウが落としたにじいろのはねを取り出した。
にじいろのはね、売ればかなりの値段が付くが持っていないとなんか厄介な事になりそうだから一応は持っている。
カントーを巡る冒険を終えて何事も無ければ家に置くか売るかのどっちかにするがその前に気になっている事がある……オレは謎の時空に居る。ポケモンの初期設定とかと最新の設定の矛盾等を上手く統合した世界に居るのは分かっている。だが、ポケモン世界にも平行世界の概念がある。なんだったらタイムパラドックスとかもある。時間関係は手を出せばロクな事にならねえ。
「にじいろのはね、光ってるって雨が」
「…………」
にじいろのはねを手にしているとにじいろのはねが煌めく。
何事かと思っていると急な豪雨に見舞われるので傘を取り出し、何処かに雨宿りすることが出来る場所が無いのかと探していると……ポツンと岩の上にヒトカゲが居た。
「そっちか」
「カ、ゲ?」
「いや、気にするな……いけ、ヒールボール」
声がガラガラなヒトカゲにヒールボールを投げるとヒトカゲはあっさりとゲットする事が出来た。
思っていた以上にあっさりとゲットする事が出来たのだが喜ぶに喜べない……このヒトカゲ、サトシのリザードンのヒトカゲとは類似な個体、ポケモンキミに決めたのヒトカゲだ。
「なんだお前、そんな雑魚をゲットしたのか?」
あっさりとゲットする事に成功したと思えば夜の姿のルガルガンを連れたトレーナーが現れる。
「貴方、このヒトカゲについて知ってるの?」
「知ってるもなにも、そいつの元トレーナーだ……そいつは弱いから捨てた。ついてくるなって言ってるのにしつこいからそこで待てって言ってたんだがな」
「なっ!?……人に懐いているポケモンは待てって言われたら一生待つかもしれない、こんな豪雨じゃヒトカゲが死んじゃうわよ!」
「知るか。弱いから悪いんだ」
「まったく、その通りだ」
「サトシ!?」
「弱いから捨てる、捨てられる……強いポケモンを求めるのは、いや、いいものを求めるのは極々普通な事だ」
男の意見に賛同すればありえないと驚いた顔をするセレナ。
別に驚くことはない、使えないならば切り捨てる。それは人間社会では極々普通な事だ。セレナだって買い物をする時にどっちの商品が使えるのか、いい商品なのかを比較する。深く意識しているかどうかは別として人は比較する生き物なんだ。その業からは離れられない。
「お前はやっぱりアレか、最強を目指しているのか?」
「当然だろう……そのヒトカゲは使えないから、雨が止んだら逃がしておいた方がいいぞ」
「そうか……だったらお前のルガルガンも無能だからさっさと捨てとけ」
「なんだと!?」
「だからお前のルガルガンも使えない無能なんだ……ルガルガンなんて雑魚よりもシンオウ地方のクラウンシティって所にスイクン、エンテイ、ライコウがいる。しかも色違いだ。珍しさと強さを両立してるんだからとっととそんな雑魚を逃がせよ」
「グルルルル」
「おいおい、なに睨んでるんだよ?お前もこのヒトカゲと同じ同類なんだから当然だろう」
「ふざけるな!!コイツはそのヒトカゲとは違う!!」
「なにが違うって言うんだ、優秀なポケモンが欲しいんだろう?だったらアローラ地方にでも異世界にでも行って珍しくて強いポケモンをゲットしねえと……気付けよ、そんなルガルガンじゃ勝てない」
「そんなわけがないだろう!コイツは」
「お前が選び育てたと言うのならヒトカゲとなにが違う?」
「そいつは勝つことが出来なかったから」
「それが出来るようになる為にトレーナーが居るんだろう?おっと、ルガルガン、コイツはお前以上に使えないみたいだ」
「っ……っ……っ、それは!!」
今にでも殴りかかってきそうな雰囲気の男はオレが持っているにじいろのはねについて気付く。
今更気付いても遅いんだとポケットににじいろのはねを入れてオレはセレナと一緒に雨宿りが出来る洞窟に向かった。
「スゴくスッキリしたわ!そうよね、勝たせる為にトレーナーが居るから」
「セレナ、フォッコを出してくれないか?」
「いいけど……流石にこんな時にバトルなんて出来ないわよ」
「いや、違う」
「カゲ……」
「ヒトカゲ!?……ヒールボールでゲットしたんじゃないの!?」
「ヒールボールの限界を越えてたみたいだ」
ヒールボールからヒトカゲを出せば酷く衰弱していた。
とりあえずはときのみの粉末を飲ませてフォッコに火を出してもらい温めてもらうのだがヒトカゲの容態は中々に安定しない。
これは何処かでジョーイさんに見てもらった方がいいのかと思っていると足音が複数聞こえ……エンテイと野生のポケモン達が洞窟内部に入ってきた。
「コレはちょうどいいタイミングで来てくれたな」
「グォ……」
「お前がエンテイなら『せいなるほのお』が使える筈だ……頼む」
エンテイに『せいなるほのお』を使ってくれと頼めばエンテイは焚べていた焚き火に火を吐いた。
赤色の炎がオレンジ色の炎に切り替われば一瞬にして焚き木を燃やし尽くしてせいなるはいが生まれた。エンテイはそれを使えと言ってくるので灰を飲ませてタオルで包んだ。
「ヒトカゲ、大丈夫?」
「……」
「今は休ませるべきだ。なに、エンテイが『せいなるほのお』でせいなるはいを作ってくれた。このせいなるはいはげんきのかたまりの上位互換で万病に効く万能薬みたいなものだ」
スゥッと眠っているヒトカゲを心配するセレナだが心配する必要は無い。
ゲットする前よりも尻尾の炎が大きい、図鑑に載っているヒトカゲの尻尾の炎よりは僅かに小さいが。コレはアレだ、眠って飯食って体力回復してをすれば治る感じだろう。
「さっきからスゴく見てくるのだけど……サトシ、お礼は言ったわよね」
「クククッ……コイツが気になるんだろ?」
エンテイは休みながらもオレ達に視線を向ける。
意識してるのかしてないかは分からないがセレナはプレッシャーを感じているので特性が『プレッシャー』な個体だろう。
エンテイがオレ達を見ている理由は1つぐらいしかねえとにじいろのはねを取り出した。セレナが意味を理解していないのでエンジュシティの3犬とホウオウの伝説の話をする。
「ホウオウとエンテイがそんな繋がりがあっただなんて……でもサトシになんで落としたのかしら?」
「伝説のポケモンは試練を与えると聞く……そいつを乗り越えたらゲットされても構わねえと思う時もある。ホウオウはオレに試練を与えて試すつもりだろうがオレはそんなの興味ねえ」
「無いの?」
「オレの目的は最強だ……全てのポケモンと友だちになるとかそんなんじゃねえ。ホウオウが腹になに抱えてるか知らねえがオレは試験そのものを受けねえよ」
わざわざテンセイ山やスズの塔に登ってまでホウオウに会うつもりはねえ。
倒せばゲットすることが出来るかもしれねえは魅力的だが、それは本当に数える程度しか例がねえ。
準伝説以上のポケモンでゲット成功したの、アニメでも限られている。その大半がちゃんとした実力者だ……スイクンは例外だ。
「お前達はなにが目的で歩いているのかは聞かねえよ……ただオレはオレの道を歩むからお前達が来てほしいと言っても来れねえ」
エンテイ達は各地方で見られている。
なにか目的があって放浪の旅に出ているのかもしれねえ。もしかするとホウオウに相応しいトレーナーを見定めているかもしれねえ。
だが、そんな事は知ったことじゃねえ。オレを物差しで測るなとは言わねえ……ただ、オレはオレなんだよ。
「カゲ!!」
「フォウ!」
「よかった、元気になったわね」
「ま、なによりだ」
ヒトカゲは大丈夫だと一晩過ごせば何時の間にかエンテイ達は居なくなっていた。
驚くことじゃねえなとヒトカゲの容態を確認すれば尻尾の炎が図鑑に載っているヒトカゲよりも大きくて元気いっぱいになったとオレ達にアピールする。元気があってなによりなことだ。
「ヒトカゲ……戻れ……出ろ……コレがどういう意味か分かるよな?」
ヒトカゲをヒールボールに戻してもう1回ボールから出す。
既にコイツはオレのゲットしたポケモンだ、それはつまりあの男に捨てられたという意味だ。ヒトカゲは薄々分かっていた事だったが実際に気付かされてショックを受ける。
「カゲ……」
「オレはお前が必要だからゲットした……それでも嫌だって言うなら逃がしてやる。だがな、そのままだとお前は弱いって言われたままだ。強さを求めるくせに追求しない馬鹿どもはお前の価値に気付かない。誰かの為じゃない、自分自身の為に戦って強くなってほしい……オレはまぁそんな強くなったお前を使いたい」
最近流行りとはもう言えないけども、実はそいつだけが優秀でした系を実際に実現するんだ。
それが出来るようにするつもりだしこのままだとヒトカゲの名誉にも関わる。ヒトカゲはヒールボールを見つめた後に開閉スイッチを押してボールの中に入ってくれた。
0004 ヒトカゲ♂ とかげポケモン 特性『もうか』
『ひっかく』『かえんほうしゃ』『ひのこ』『えんまく』『メタルクロー』『なきごえ』『りゅうのいかり』『げんしのちから』『でんこうせっか』
……あいつ、馬鹿なのか?
こいつ、既に『かえんほうしゃ』を覚えている優秀な個体なのに他にも色々と良い技を覚えているのに捨てやがった。
ポケモンバトルは水物とは言うが、ヒトカゲをゲット出来る時点でかなりの当たりで……メガシンカやキョダイマックスで優遇されるのに、この時点で切り離すとは大分バカだ。強いポケモンを求めたいって言うならクラウンシティ辺りでスイクン達をゲットしろって話だ……まぁ、ダイスケにしろクロスにしろヒトカゲを捨てるからゲットすることが出来ると腹に一物抱えてたオレが言える義理じゃねえか。