闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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一か八かの『がむしゃら』

 

「はぁ……やっっっと、辿り着いたわ!」

 

「あれから2週間かかるとはな」

 

「だからヤマブキジムの方が良いって言ったじゃない……でも、海が見れて綺麗だわ」

 

「……」

 

「どうしたの?」

 

「いや、目当てのポケモンがな」

 

ヒトカゲをゲットしてから2週間が経過してやっと辿り着いたのはクチバシティ。

クチバシティに辿り着いた事は良かったことだが、フシギダネとゼニガメに出会っていない。別にその2体が欲しいって思ってるわけじゃねえ。欲しかったのはヒトカゲだけ……ヒトカゲが無理だった場合を想定して念には念を入れてポケモンを貰う順番を手に入れたが、今となってはどうでもいいこと。

 

「この街に目当てのポケモンが居るの?」

 

「居るかもしれないが正しいな……居なければ潔く諦める。先ずはポケモンセンターに行くか」

 

「うん」

 

目当てのポケモンがこの街に居るのかもしれない。居なかったら居なかったで潔く諦める。

オレの勘では居るとは言っている。胸騒ぎのようなものは一切しない。セレナと一緒にポケモンセンターに向かいポケモン達を預けてリフレッシュする。

 

「ジョーイさん!オレのポッポが!」

 

「ぼくのナゾノクサが!」

 

「あたしのスピアーが!」

 

「拙僧のサンドが!」

 

「急患だらけね…………なにか事件でもあったのかな?」

 

「よく見てみろ、ジョーイさんは慌ててない」

 

リフレッシュを終えてポケモン達の回復も終えてオーキド博士にクチバシティに辿り着いたの報告でもするのかと考えていると急患が運び込まれていく。1匹だけでなく数匹、別種のポケモンが運び込まれていくのを見てセレナはなにかしらの事件が起きているのかと危惧するがよく観察すればジョーイさんは特に慌てていない。ジョーイさんだから馴れた手付きで、ジョーイさんだから慌てないとかじゃなくてジョーイさんには想定内の事なんだろう。

 

「ジョーイさん、ポケモン達が一気に来ましたけどいったいなにがあったんですか?」

 

「皆、クチバジムのジムリーダーのマチスに挑んで負けたのよ……この街じゃよくあることだから気にしないで」

 

ジョーイさんにポケモン達が一気にやって来たことについてセレナは聞いてみる。

予想通りと言うべきか、クチバジムのジムリーダーに負けて運ばれていった急患だった。ジムリーダーにボコボコにされてポケモンが運び込まれていく、マサラタウンじゃ見ないがジムがある街なら結構見る光景らしい。

 

「前回はあんな感じだったけど今回は激しい激闘になりそうね……」

 

「クククッ……そいつはどうなるだろうな。クチバジムは使用ポケモン1体のシングルバトルで『でんき』タイプのエキスパートか」

 

万が一を想定してジムリーダーの情報を調べる。

クチバジムのマチスは原作通りライチュウで挑んでくる。ここまでは想定内でさっき運ばれてきたポケモンの中にサンドが居た……となると最初から想定していた通りの戦いになるだろう。

 

「……ジムよりも目当てのポケモンを探してみる」

 

居るかどうかは分からないが、もしかしたら居るかもしれない。

ヒトカゲとは異なり大分リスクが大きい事だが、居れば中々に良い展開になる。クチバシティを散策していき……後にサクラギ博士のサクラギ研究所になるいわくつきの物件に辿り着いた。

 

「ゲンゲン!」

 

「アレって、ゲンガー?」

 

後にサクラギ研究所になるいわくつきの物件に辿り着けばゲンガーがいた。

ポケモン図鑑を取り出してゲンガーをサーチするセレナだが直ぐにおかしい事に気付いた。

 

「ゲンガーはこういう街には生息してないって図鑑に出てるのに……」

 

「まぁ、見てろ……いけ、ゲコガシラ」

 

「ゲコ!」

 

「ゲン?」

 

ゲコガシラを出せば頭に?を浮かべるゲンガー。

なんも分かってねえならばそれに越したことはねえとゲコガシラとアイコンタクトを取って頷く。

 

「ゲコガシラ『あくのはどう』だ」

 

「ゲコ!」

 

「ゲンゲ!?……ゲンガ!!」

 

ゲンガーに向かって『あくのはどう』を放てば驚いたゲンガー。

こっち側がバトルを申し込んできているのだと分かればやる気を出して『シャドーボール』を撃ってくるのでゲコガシラは回避する。

やる気を出してくれたからこれで遠慮なく戦うことが出来る。

 

「ゲコガシラ『かげぶんしん』」

 

「ゲコ!」

 

「ゲン!?ゲンゲ……」

 

「悪いがそこで終わりだ。いけ、モンスターボール」

 

ゲンガーに対してゲコガシラは『かげぶんしん』で翻弄する。

どれが本物のゲコガシラなのか気になっている所に大きな隙が生まれるのだとモンスターボールを投げた。モンスターボールはゲンガーに命中してパカッと開けばゲンガーはモンスターボールの中に入りコロンコロンと揺れて……ボールから飛び出た。

 

「まだダメか……ゲコガシラ、もう少し弱らせるぞ」

 

「ゲコ……」

 

「ん?」

 

流石に『あくのはどう』一発当てただけじゃ弱りきらないのだとゲコガシラに戦闘続行を伝えるのだがゲコガシラは待てという。

なにか起きたのかと思っているとオレが投げてゲットするのに失敗したモンスターボールの開閉スイッチにゲンガーが触れて中に入ってはボールから飛び出てありえないと驚いていた。何度も何度もモンスターボールを見ている。

 

「もしかして、このゲンガーは誰かのポケモンだったの?」

 

「ゲンガ!ゲンゲンゲンゲロゲ!」

 

「残念だが、コイツはスナッチボールじゃないんだ……お前は紛れもなく野生のゲンガーだ」

 

「ゲンガーン!?」

 

自分は誰かのポケモンだったと主張するゲンガーだが、ゲンガーは既に野生のポケモンに野生のゲンガーになっている。

モンスターボールを拾ってゲンガーに渡せばゲンガーは無言で見つめてくる。

 

「お前を捨てたトレーナーは馬鹿野郎だな……ゲンガーってポケモンは強いのによ」

 

「ゲン……」

 

「人間不信になるのは当然だろう……今、力技でお前をゲットしても構わねえがそれじゃあ意味がねえ。ついてこい」

 

自分を煽ててその気にさせているのかと疑心暗鬼になっているゲンガー。

そういう手を用いてゲットしたとしても言うことが聞かない可能性があるしゲンガーは人間不信のままだ。

先ずはオレがどういうトレーナーなのかを示さなくちゃならねえからとゲンガーを後のサクラギ研究所になる場所から移動し……クチバジムに向かった。

 

「ヘイ、ボーイ!こんな所になんの用だい?」

 

「ここに来るのなら理由は決まってるだろう」

 

ジムリーダーのマチスが現れた。

ここ最近のトレーナーに骨が無かったりしているから天狗になっているとは言わねえ。自信と慢心は紙一重だ。

マチスがなんの用事だと聞いてくるのでバッジケースをパカッと開いた。

 

「ふん、今までのジムリーダーが弱かったみたいだな……OK、ボーイ!お前に本物のポケモンバトルを教えてやるさ!」

 

オレの今までのジム戦は紛れだと言っている……実際にジムリーダーに挑んだのは1回だけだからなんとも言えねえ。

前回がアレだったのでシリアスな空気に耐えられないのかセレナは息をゴクリと飲み込んだ。

 

「大丈夫なの?」

 

「さて……少なくとも今はハラハラしている自分と楽しみにしている自分が居る」

 

ポケモンセンターでマチスにボコボコにされたポケモントレーナーのポケモン達を見てきたセレナは心配する。

マチス対策は出来ていると言うか一か八かの博打に出るしか最初から道は存在していない。それに成功すれば勝てて失敗すれば負ける……そういう状況だからこそ迷いなく勝負に出れる。1度飛んでしまえばその後は気が楽だ。

 

「これよりクチバジム公式戦を行います!使用ポケモンは1体のシングルバトル」

 

「ミーはコイツで行くぜ!いけ、ライチュウ!」

 

「ライラーイ!」

 

「いけ、サンドパン」

 

「サン!」

 

「タイプの上ではサンドパンが有利だけど……」

 

ジムリーダーは対策される側の住人であり、対策される事に関して対策している。

セレナはタケシ戦を思い出している。タケシも『みず』タイプ対策をしていてに加えてライチュウだろう。

 

「試合開始!」

 

バトル開始の合図と同時にゴングが鳴った。

マチスはサンドパンが来ても一切慌てていない、それどころか笑みを浮かべている。

 

「ライチュウ『なみのり』だ!」

 

「ライラーイ!」

 

「『なみのり』って……………ポケモン図鑑には」

 

「ボーイのガールフレンド、さては最新のデータにアップデートしてねえな?ライチュウは『なみのり』を覚えるんだよ!」

 

サーフボードを出現させたと思えば津波が巻き起こる。

当然と言うべきかライチュウは弱点である『じめん』タイプの対策は出来ている。ライチュウは津波に乗りながらサンドパンを飲み込んだ。

 

「『でんき』タイプのポケモンなんて『じめん』タイプさえ居ればいいなんて甘えた考えで勝てるほどポケモンバトルは甘くはねえ!」

 

「まったくだ……サンドパン『がむしゃら』だ」

 

「な、なに!?」

 

「クククッ……頑張れば一撃ぐらいは耐えれるんだ」

 

ポケモンバトルの奥深さを語りドヤ顔になっているマチス。

勝ったと思っているやつほど勝っていねえんだ、相手を作戦で勝ったんだと上手くハマっているのだと思い込んでる……痩せた考えだ。

サンドパンはなんとか立ち上がり『がむしゃら』を使ってライチュウに大ダメージを与える。

 

「ふん、勝負を焦ったな!『がむしゃら』は自分の残り体力と同じようにする。戦闘不能寸前に追い詰める事は出来ても、戦闘不能には出来ねえ!使うのならば『じしん』や『じわれ』の様な技を使うべきだ!」

 

「サンドパン、間合いを開け」

 

「サン……」

 

「ライ……」

 

「どっちも後一撃でも攻撃を受ければ終わる……たった1手で……」

 

ジムリーダーは対策される側で対策の対策をしている。

マチスが使っているポケモンがライチュウならば『なみのり』や『くさむすび』のどっちも覚えている。『なみのり』の方が威力が安定しているしライチュウだからこそ『なみのり』一択だろう。

だからサンドパンには『なみのり』をくらうと耐えてもらい『がむしゃら』を使って追い詰める。色々とやったが『じしん』と『じわれ』を覚えることが出来なかったからな、間に合わないなら間に合わないなりに使う手がある。

 

「オレがなんも知らねえと思ったら大間違いだ……お前のライチュウはピカチュウをゲットして即座に進化させた。だからピカチュウの頃に覚えれる素早い動きを覚えていなくて鈍足なポケモンだ」

 

「鈍間なのはそっちもだろう!例え素早くてもこの技なら回避することは出来ねえ!ライチュウ『なみのり』だ!」

 

「まったく目先の欲に囚われて……詰みだ……サンドパン『あなをほる』」

 

自慢の手があるからと迷いなく攻める。自慢の慢が慢心に変わっていることに気付かず目先の欲に目が眩んで大事なことが見えていない。この技ならば既に覚えているんだと地面に穴を掘ってライチュウの『なみのり』を回避しフィールドに津波が巻き終わるとサンドパンは地面に着地しているライチュウ目掛けて飛び出した。

 

「ライ……」

 

「ライチュウ、戦闘不能!サンドパンの勝ち!よって勝者、チャレンジャーのマサラタウンのサトシ!!」

 

「あ、アンビリーバボー…………」

 

互いにあと一撃くらわせればいいだけだった。そこの手でマチスはミスを犯した。

素早い動きが出来ないのは調査済みで『でんこうせっか』を覚えていない。ちゃんとピカチュウを育ててからだったら『でんこうせっか』で負けていたが、マチスのライチュウは覚えていない。

 

「見事だ……気付かない間にミーは慢心してしまったみたいだ」

 

「自信と慢心は紙一重、勝ってるか勝ってないかの違いだ……」

 

「コングラチュレーション、コレがミーに勝った証であるオレンジバッジさ!」

 

「ああ、どうも」

 

3つ目のジムバッジ、オレンジバッジを手にする。

コレで3つ目……オーキド博士に報告したら既にシゲル達はクチバジム制覇してる云々を言われるんだろうな。

 

「サトシ…………物凄く危なかったわね」

 

「なにがだ?」

 

「マチスのライチュウが『なみのり』を覚えてるのを知ってたんでしょ?」

 

「ああ……知ってたぜ」

 

なにせポケモンスタジアム2やポケモンスタジアム金銀で『なみのり』ライチュウや『なみのり』ピカチュウを使ってくるからな、嫌でも覚えている。

 

「今回はなんとかサンドパンが耐えてくれたけど『なみのり』に負けてたかもしれないわよ」

 

「まぁ、そう見えるよな。もう少しサンドパンのレベルが高ければ『がむしゃら』なんて使わずに『じしん』で一撃で倒せていたんだが、流石に間に合わなかったからな」

 

「…………もしかして最初からこの展開を狙ってたの?サンドパンは物理攻撃に強いけど特殊攻撃には滅法弱い……それこそ『くさむすび』とかなら負けてたかも」

 

「それはねえんだ……サンドパンの体重は凡そ30kg『くさむすび』はポケモンの体重によって威力が左右される。イワークやカビゴン、ゴローニャレベルの重さなら威力を数字に変えれば120はいく。だが30kg程度ならばその半分、60程度だ。『なみのり』の威力は90……サンドパンに対して撃つのならば広範囲に及んで安定した威力を持っている『なみのり』を選ぶ……仮に『みず』『じめん』タイプのポケモン、ラグラージやヌオーなんかには『くさ』タイプの『くさむすび』一択だろうが、『じめん』タイプなサンドパン相手なら『なみのり』を選ぶ……ライチュウに対して『じめん』タイプで挑んできた。だったら『じめん』タイプの弱点である『みず』タイプの技である『なみのり』をぶつけようと思うのは極々自然なことなんだ」

 

あの状況で誰もが選ぶのは『なみのり』なんだ。それだけは間違いない、オレでも『なみのり』を選ぶ。

仮に『なみのり』じゃないならば『めざめるパワー(氷)』をぶつける……威力が安定しない『くさむすび』はラグラージとかヌオーとかに使う用で基本的には『なみのり』一択だ。

 

「それが分かってるなら最初に『あなをほる』を使えば……」

 

「マチスのライチュウは強い、『あなをほる』を1度見せれば警戒してしまうし確実に一撃で倒せない。『じしん』を使えないなら『がむしゃら』で体力を限界まで削る。あのライチュウが素早い技を覚えてないのは事前に調査済みだ……『がむしゃら』で限界まで削り『あなをほる』攻撃で相手の息の根を止める……危ない状況だった事実には変わりはないが、結果だけ見れば勝つべくして勝ったんだ」

 

「……最初の『なみのり』で負けるって考えは最初から無いのね」

 

「そこを恐れてたら『がんじょう』の特性を持っている『じめん』タイプのポケモン、イワークかゴローニャ達しか使えない……」

 

「振り切ってるわね……勝つべくして勝ったって言った方がいいのかしら……」

 

結果を見ればサンドパンでライチュウを倒すことに成功した。

その過程は割と危ないギリギリのラインを歩いているが、最初の一発だけ耐える事に成功すれば後はもう完全にこっちの流れだった。セレナは最終的にはオレの手のひらの上で動かされているだけなのだと困惑しつつも頷いている。

 

「こういう言葉は好きじゃないが、サンドパンなら出来ると思ってた……信じてたんだ」

 

その為の育成をしていたとも言えるしな。

 

「それでオレはどうだ、ゲンガー?」

 

「ゲン……」

 

「オレはお前の事が必要なんだ……お前が信じなくてもオレはお前に秘められているポテンシャルを信じてるぞ」

 

クチバジム戦までついてきてもらったゲンガー。

包み隠さずにオレを見せた。ゲンガーはなにを思ってるのか分からねえが、少なくともオレはゲンガーが欲しいと思っている。

オレが投げたモンスターボールをゲンガーはずっと持っておりジッとボールを見つめている。

 

「ゲン!」

 

色々と考えた後にゲンガーはモンスターボールの開閉スイッチを押した。

モンスターボールが地面に落ちればコロンコロンと揺れてカチリと開閉スイッチの音が鳴ったのでポケモン図鑑を取り出す。

 

0094 ゲンガー♂ シャドーポケモン 特性『のろわれボディ』

『シャドーボール』『れいとうパンチ』『サイコキネシス』『ナイトヘッド』『くろいまなざし』『さいみんじゅつ』

 

「『のろわれボディ』個体……」

 

このゲンガーはサトシのゲンガーだ。だから特性が『のろわれボディ』なのはなにもおかしくはない。

もしかしたら『ふゆう』かもと期待を抱いていたが『のろわれボディ』だった。別に『のろわれボディ』が悪いわけじゃない……『ふゆう』がゲンガーとの相性が強すぎるんだ。

 

「コレで4体目…………」

 

残り2体の内、1体は原作に則れば手に入るはずだ。

もう1体に関しても原作に関わっていれば遭遇する機会が普通にやって来る……ただオーキド博士が言うようにドクターストップ云々があるから何体かポケモンはゲットしておく……先ずはパーティ構築が先か。

優秀なゲンガーとオレンジバッジをゲットする事が出来たので笑みを浮かべてオーキド博士に報告すればシゲル達は既に3つ目のジムバッジをゲットしているからお前がビリだとハッキリと言われた……彼奴等、どんなルートを通ってるんだよ。

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