闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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添物

 

「ゴン!」

 

「え、ゴンベ!?」

 

バトルアリーナ目指して旅をしているとゴンベが勝手にモンスターボールから出た。

あまりにもいきなりの事なのでトレーナーのハルカも困惑をしている……が、中から出てきたって事はなにか目的があってだ。

カビゴンやゴンベの様な大食い用のポロックはちゃんとあるしと考えているとゴンベは走っていく……あいつ、ホントに鈍足なポケモンなんだろうか……。

 

「いい香り……」

 

「どうやらゴンベはこのレストランの香りに釣られたみたいだな」

 

「う〜ん……」

 

「どうした?」

 

ゴンベを追いかけていけば一軒のレストランに辿り着いた。

一般的な嗅覚でもコレはいい香りだと言うのは分かりセレナも高揚している。タケシもこの匂いは期待出来ると言う。

何時もならば1番食いつきそうなハルカは食いつかなった。なんだと聞いてみればメモ帳を取り出した。

 

「この辺にレストランがあるだなんて私のメモには無いのよ!」

 

「お前……バトルで凡ミスしたりするくせにそういうとこはしっかりしてんだな」

 

美味しいものを食べるの大好きガールのハルカ。

バトルアリーナまでの道中に美味しい店があるかどうかの確認をしているどころかビッチリとメモ書きをしている。

その能力をポケモンバトルに活かせよと呆れているとゴンベが店のドアの入り口をノックした。

 

「いらっしゃいませー!」

 

「え〜っと……ここって予約とか無しでもいける?」

 

「はい!新装開店記念で今ならば先着で無料でして」

 

「オープンの店に来れるなんて最高かもぉ!」

 

ハルカとそう歳が変わらない女の子のウェイターが出迎えてくれた。

世にいう秘境めしかクソめんどくせえ一見さんお断りの店なのかの確認を取ったら予約無しでもいける店だった。

新装開店した店だからハルカの情報網に無かったのか……店に案内してもらうのだが……

 

「……」

 

「どうした?」

 

「いや、外観の割に小さな店だなと」

 

見た目からしてもうちょっと大きな店だと思ったのだが思っていた以上に小さい。

別に小さい店は珍しくもなんともないがなんか違和感を感じるなと思いながらもバリヤードの料理を待つ。

スープとかの出汁を取らないといけない系はある程度はやるけども最後の仕上げは目の前で調理するシステムだ。

 

「バリバーリ!」

 

この手のシステムは料理が順調に出来ていくのが見れるからウケが良い。

しかしシンプルにキツい……オムレツを切ったら半熟のオムライスになるのを売りにしているタイプの店、何処か忘れたけどもそれが有名になりすぎてそれをするのが地味に高度な技術が必要だからと完全予約制に切り替えたって話がある。

バリヤードは『サイコキネシス』で調味料や調理器具を動かしていき料理を仕上げた………………

 

「うわぁ、美味しそうかも!」

 

「ゴンゴーン!」

 

「……サトシ」

 

「分かってるじゃねえか」

 

「家の炊事を任せられている俺だぞ?」

 

出来上がったのはグラタンとスープとトーストと言うシンプルな物だった。

見るからに美味そうな料理でハルカとゴンベとセレナがウキウキの気分だったがオレとタケシは料理にフォークを伸ばさなかった。

セレナとハルカとゴンベは不思議がることは無かった。ゴンベはペロリと自分用のを食べればハルカとセレナもフォークを突いた。

 

「「うっ……」」

 

「…………水っぽい、塩気がない、コクが無い……」

 

「…………店に言うのは失礼だが、この味じゃ厳しいぞ」

 

グラタンを口にするハルカとセレナは固まった。理由は至ってシンプル、料理が物凄くまずかった。

オレも試しにとグラタンを口にすればホワイトソースが水っぽいし塩気が無いしコクも感じられない。タケシも食べるがこの味でやっていくのは難しいとハッキリと断言する。

 

「ど、どういうことなの!?こんなにも美味しそうなのに美味しくないだなんて!」

 

「どうしたもこうしたも、調理光景を見てただろう」

 

美味しい見た目なのに全くと言って美味しくない料理。

こんなことがありえるのかとハルカは不思議に思うがどうしたと言われても調理光景で原因が分かる。

タケシもオレも作っている段階でその事に気付いたので食べることを躊躇っていた……

 

「ゴンゴン?」

 

「どうした?」

 

「ゴン!」

 

「あ、こら!ゴンベって、破れた!?」

 

このまずい料理じゃ潰れるのは確定だなと思っているとゴンベが反応する。

ハルカ達のフォークが止まっている料理でなくなんか狭いなと圧迫感を感じる壁に触れればビリっと壁は破れた……襖みたいな薄さだなと思っているとウェイトレスの女の子と瓜二つな女の子が見えた

 

「ちょっと!営業妨害しないでよ!」

 

「営業妨害?お客の1人も居ないじゃない!」

 

「え……もしかして……双子?」

 

「「……ふん!!」」

 

セレナが双子かどうかを聞けば顔を合わせて互いにそっぽを向く。

仲が悪い双子だなと思っていると向こう側の店のシェフであるニューラがこっちにやってきた。

ニューラはグラタンをパクリと食べれば物凄く不味いと表情を変えた……なにをしてるんだと思っていると向こう側の厨房でジュージューと音を立ててハンバーグを作ってきた…………

 

「今度は……」

 

「ニュウ!」

 

「ああ、貰うわ……美味いな」

 

さっきの一例があるので今度も美味しくないんじゃないのかとセレナは警戒をする。

だが今度は大丈夫だとオレはハンバーグを食べるのだがとても美味い……オレが美味いと言えばタケシもハンバーグをパクリと食べた

 

「おぉ、美味いな」

 

「でしょう!バリヤードが作ったものなんか料理ですらないわ!」

 

「けど、ダメだな」

 

「……え!?」

 

「こんなもん人に出せるか……自分で食う用じゃねえんだぞ」

 

ニューラの出してきた料理は美味かった、美味かったが見た目が良くなかった。

ハンバーグは単体でハンバーグだけ、鉄皿に載っているわけでもなければ付け合わせが豊富とかでなく丸い白の更にハンバーグが1個ポツンと乗っていた。タケシも味の方は合格だけどダメと言う、オレもハッキリとこんなもん人に出せるかと言った。

 

「なっ、美味しいって言ったじゃない!」

 

「お前、コレが店の名物の料理だって写真に載せる事が出来るのか……鉄皿じゃないのはともかく付け合わせが無いだろう」

 

「確かに……質素なハンバーグね……家で食べるならまだしもコレがお店なのはちょっと」

 

「料理に求めるのは味じゃないわ!見た目よ!」

 

「その割には全然食べられてないクソ不味い料理じゃない!!」

 

「…………客を挟んで喧嘩をするな!!そもそもどういう状況だ!」

 

新装開店したとか言っているけども全容が大きく掴めない。

喧嘩するなと言いどういう状況か、先ずはそこから整理しなきゃならねえと事情を聞けば見た目通り二人は双子だった。

バリヤードを引き連れてるのがトラン、ニューラを引き連れているのがレース、親が立派な料理人で跡継ぎ問題が発生して主張により喧嘩別れをした。トランは見栄え重視、レースは味重視………

 

「飲食店をやる上ではどっちも大事だろうが」

 

ベビーカステラとかパンケーキみたいに構造がシンプル過ぎてプロじゃなくても簡単に再現出来る料理とかは世の中にはある。

それをどうやって売るか、1つは味を更に追求する、もう1つは見た目を意識する

 

「ちゃんとした店をやるなら味も見た目も重視して作らなきゃ流行る物も流行らねえ……こんな不味い味じゃ客は来ない、こんな質素な見た目じゃ写真を撮る価値は無い」

 

まぁ、SNSで料理あげてる奴はこの味美味しいとかでなく綺麗とかそういうの重視で味とか気にしてない。

インスタ映えの用語が出てきた頃はインスタに載せる為にだけ買って飯を食わない……奴等はスイーツを食っているんじゃない、情報を食っているんだ。

 

「そ、そこまで言うなら貴方が美味しいものを作ってみなさいよ!!」

 

「そうよ!見た目も良くて味も良い料理を作ってみせなさい!」

 

2人の料理に対してクレームをつければ怒る。だが不味いし質素な見た目だから当然と言えば当然の反応だろう。

 

「出来らぁ!」

 

「サトシ、なんか絵のタッチが変わってるわ!」

 

「雰囲気が昔の漫画みたいになってるかも!」

 

スーパーくいしん坊のノリで出来らぁ!と言ってやった。

昭和のノリになっているとセレナとハルカにツッコミを入れられるがコレぐらいはやっておかないといけない。

この問題を早急に解決するかと厨房に立った

 

「サトシ、俺も手伝うよ……セレナとハルカは審査役をしてくれ」

 

タケシも手伝いをしてくれると言う。

セレナとハルカはどっちが良いのとかそういう事を言ってくれる審査役…………

 

「特別な設備は無し、特別な調理器具無し、一般的な大衆洋食屋……カレーやシチュー等は無く、ブイヨン系も無しか」

 

とりあえず手札の確認。

 

「なにを作るんだ……あの2人をあっと言わせて仲良くさせる料理を作るんだろ?」

 

「クククッ……さて、どうかな……美味い料理=流行るとは限らない時代だぜ?」

 

タケシはオレが美味しい料理を出して2人を納得させると思っているのだが美味い料理=流行るとは限らない時代だ。

こんなんでもオレは一応は料理人、料理以外にも料理に関係する経営学を学んでいる。

料理は美味い=流行るって考えはとっくの昔の話だ……そもそもで不味くて流行っている料理屋なんて早々に存在しない。

手作りの味に拘っている、家庭の味を再現している、ちょっと良いところの材料を使っている、このボリュームでおかわり無料、食べ放題……他にも色々とあるが美味しい料理+なにかでフォローしている。

最近は冷凍食品とか缶詰の技術がすごいし何処かの国は偽の店を作り出してネット評価1位を取ったりしたとか色々とやっている、下手な高級志向に拘らない限りは大手のチェーン店の味で大抵の人は満足する。

 

「特定の奴しか作れない料理はあんまオススメ出来ねえ……ある一定のレベルの料理人なら簡単に作れる味、そこに色々なトッピング……シンプルで後から加工しやすい、それが売れる料理の大前提だ」

 

高級志向に偏りまくれば特定の奴しか作れない料理もありっちゃありだが、この店の設備じゃ限界がある。

液体窒素とかを使った科学料理とかあるけどアレって滅茶苦茶設備に金がかかる……ああいう凝った料理は量産出来ねえ。

 

「隠し味にカレー粉を入れて混ぜてっと……後は任せたぞ」

 

「ああ」

 

さっきの仕返しにハンバーグで行くことにした。ナツメグなんかを入れた後にカレー粉を隠し味に入れた。

カレー粉は色々なスパイスが入っている……時間が無いからデミグラスソース作れないし挽肉の方に味付けしなくちゃいけない。

ソースの方は……グレイビーソースで隠し味にビールを数滴入れればいいとして……

 

「バリ……」

 

「ニュ……」

 

「んだよ?」

 

バリヤードとニューラがジッとこちらを見てくる。

自分達の料理を貶されたから文句の1つでも言ってやろうと思っているのだが文句を言えるところが何処にもない。

むしろ見習わないといけないところが多いなと言うところであり……オレは3つの付け合わせを作った。

 

「粗挽きハンバーグだ」

 

「わぁ〜美味しそう!」

 

タケシもハンバーグを綺麗に焼いてくれてオレも付け合わせを盛った。

粗挽きハンバーグの完成だとハルカとセレナ、そして双子の前に出せば双子は固まった。

 

「料理は五感全てを使って楽しむ物だ……今回は鉄皿が無かったが鉄皿があれば鉄皿の上に乗せてソースをかける。香ばしいソースの匂い音、ハンバーグを切った時に出てくる肉汁、肉汁とソースの混ざり合った味、粗挽きの食感……それらで楽しむものだ」

 

料理は味覚だけの世界じゃない、味も見た目も五感のすべてを使って楽しむものだ。

今回は出来なかった工夫について言えば双子は悔しそうにし……ハンバーグを食べて……負けを認めようとしている。

 

「美味しい〜……って、セレナ一口も食べたないじゃない……どうしたの?」

 

「こんな失敗作を私に食べさせるつもりなの?」

 

「「…………え!?」」

 

「…………失敗作ね……オレとしてはコレでも渾身の出来なんだがな……」

 

ハルカも美味しいと満足げな顔をしている中でセレナがフォークを1ミリも動かしていなかった。

こんな料理を食べさせようとしているだなんて料理人失格だわ!と言う演技をやってみせる……

 

「行くわよ」

 

「え、ちょ、ちょっと!」

 

「クククッ……いやぁ、セレナを満足させれなかったからオレの負けだな」

 

セレナとハルカが美味しいのかどうかを判断する役割なのにセレナが無理、ダメと言ったからオレの負けだ。

双子はどういう意味なのか分かっていない、ハルカもどういう意味なのか分かっていない。

偉そうにした割には客1人を満足させることが出来ない料理を出してしまったなと思いながらも双子の店を出ていく。

 

「サトシとタケシのハンバーグ、とっても美味しかったわよ?ニューラが作った物と比べても負けない、ううんむしろ勝ってるわ……あ!演技なのね!」

 

「いや、ワザと失敗作を作った」

 

「…………美味しかったわよ?」

 

「ハルカ、ちゃんと見たの?……サトシ、ポテトサラダとフライドポテトとさつまいもよ?」

 

ワザと失敗作を作ったと言えばハルカはどの辺が失敗作なのかが分からない、味は絶品だったという。

ハンバーグの味は絶品だっただろう。だがセレナやタケシは気付いている……オレがハンバーグの付け合わせをポテトサラダとフライドポテトとサツマイモにしたのを。

 

「ハンバーグってのは捏ねる前に入れる調味料と肉の種類、最後にソースで大体は決まる……ちゃんと料理をする事が出来る腕前ならば失敗することが難しい料理だ……ハンバーガーのハンバーグはスカスカだがハンバーグとしてのハンバーグは肉厚でジューシーなのは何処にでもある。繁盛している店ならば何処で食ってもある一定の基準の美味さを越える……じゃあなにが大事か、それは付け合わせだ」

 

「フライドポテト、サツマイモ、ポテトサラダ…………芋の三連続だ……ハンバーグを食べているのに、何故か芋の方を多く食っている。ハンバーグを食っているのか芋を食っているのかが分からなくなっている!」

 

ハンバーグを食っている筈なのに芋を無駄に食っている。

コレは由々しき事態、芋で無理に増量している腹を膨らませに行っている感じが凄まじい。

 

「ここにオシャレなキノコのソテーとかを載せるだけでワンランクも料理の質は上がるんだ……芋、三連続の時点でハンバーグの味が良くてもそれはもうハズレだ」

 

「そう言われれば……付け合わせを選べるなら味が違うミニハンバーグとか」

 

いやそれ、ただグラムを増量しただけじゃねえか。

 

「とにかく味を優先するのも大事だし見た目を優先するのも大事だしレシピも慎重にならないといけない……あの店は足元を盤石にしなきゃならねえ」

 

その気になればキノコのソテーとかを作れたけども今回はあえて3連続の芋で行った。

ハンバーグは余程の事でなければハズレることはない、もしそれでハズレるならば味が悪いというのがあるがあのニューラの腕前からして味のレベルはしっかりしている。大事なのは付け合わせなどの工夫……あの2人はそこすら気付けていない。

バリヤードと自分の力だけで、ニューラと自分の力だけでどうにかしようと言う心意気は見事だが肝心の料理があれじゃ意味は無い。

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