闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
マサラタウンに帰ってきた。エニシダさんはフロンティアブレーンになりたいのならば何時でも言ってくれと言ってきた。
オレの次の進むべき道は決まっているからその話は多分来ない可能性が高い。それは仕方がねえ事だと受け入れる。
「……オーキド博士……なんか慌ただしいですね」
「うむ。実はポケモンバトルの大会を行うんじゃよ」
「……タマムシとかヤマブキとかの大きな街ならまだ分かるけど、マサラタウンで?」
「だからこそだよ」
なんか慌ただしいなと思っているとポケモンバトルの大会が行われるとオーキド博士の口から聞かされる。
タマムシとかヤマブキみたいな大きな街でのポケモンバトルの大会ならばまだ理解する事が出来るがこんな片田舎の村に近い町で?と疑問を抱けばシゲルが現れた。
「オーキド博士以外に特に目立つところがないからマサラタウンを盛り上げるため、そして若者がポケモントレーナーやポケモンコーディネーターを夢見て旅立つ為の第一歩を、夢を見せる……ポケモンを貰って旅立ちたいという思いは大抵の子供達は思っているからね」
「そうか……それでそいつはオレも出ていいのか?」
「いや、サトシは出てはならん!サトシは優勝者とバトルをするんじゃ!」
なにサラッと人のことを景品にしてくれてんだ。
事前にその手の話はオレに回せよと思いながらもオーキド博士の頼みなので一応は言葉を飲み込む。
勝手に決めやがってとの思いはあるが、それはそれとして言葉は飲み込んでおく。
「ところで……お前はアレからどうしたんだ?」
「毎日毎日ポケモンに関する勉強だよ……とは言え流石の僕さ!1年で必要な知識は完璧に蓄えた!」
「ハッハッハ、流石はワシの孫じゃの」
「だから各地を巡りながらポケモンを研究しポケモンリーグを目指す……サトシ、君が出る次のリーグは?」
「シンオウリーグだ」
「なら決まりだ。僕もシンオウリーグに挑もう」
シゲルが次に何処のリーグに出場するのかを聞いてくるのでシンオウリーグに挑戦することを教える。
シゲルはそれならば話は早いと自分もシンオウリーグに挑むのだと決意する…………決意するのは構わねえんだけど、ポケモン研究者として色々と学んだり論文作り上げとかなくちゃいけねえからそんな風にオレに合わせて地方を選んで大丈夫なのか?
「そして明日の大会に出場する……勿論、ここでの勝ち負けで優劣がつくだなんて全くもって思っていない。少なくとも君はこの僕をしっかりと倒しているんだから」
「クククッ……威勢だけじゃない事を祈る……オーキド博士、次はシンオウリーグに挑みます……でもって今回はルカリオだけを連れていきます」
「む?ルカリオだけか?」
「ええ、まぁ……色々と考えた結果ルカリオだけが良いと思いましてね」
シンオウリーグや劇場版が色々と魔境すぎる。
今の手持ちでも充分な成果を上げることが出来るが……シンオウリーグ、あの男よりシンジの方がヤバい。
今回のセキエイ大会でなんとかなったがシンジは決勝戦にまで駒を進めている。着実に実力を上げてきている。
今はオレが勝てると断言出来る……ただ……あいつは壁にぶち当たっている。その壁にぶち当たっているからこそ今はオレが勝てると断言出来るわけでその壁を越えられれば負けてもおかしくないぐらいの実力差に迫る。その為にはこっちも色々とな……。
「で、最初はニビジム、次にハナダジム、その次にクチバシティ、ヤマブキシティ、タマムシシティ、セキチクシティ、グレンタウン、最後にトキワシティの順番よ……トキワジムのジムリーダーは物凄く強いから最後に挑んだの」
オーキド博士の勝手な話を聞き入れた後に家に戻ればハルカがタウンマップを広げていた。
紙のタウンマップであり、カントー地方のみを記載されているタウンマップ……セレナが線を引いて過去にオレが旅したルートを教えてくれる。
「なんだ、オレと同じルートで行くのかよ?」
「あ、サトシ……色々と考えたけどサトシと同じ道を歩きたいなって……」
オレと同じルートでジムバッジを集める、集めたいと思っている。
ハルカは少しだけ恥ずかしそうにするが、同じ道を歩みたいと言ってくれる。
少しだけムズムズするなと思うがコレは嬉しいって思いだろう。
「となると最初はジロウか……結局、あの時に試合は流れたがジロウは強いぞ」
「ええ……あのドサイドン、とんでもなく強いわ」
「クククッ……あのドサイドンを攻略出来るか否かだ」
ジロウの絶対的なエースのドサイドン、アレだけはレベルが違う。
ドサイドンを攻略する事が出来るか否かでニビジムのグレーバッジが掛かる……逆を言えば他はそこまでだったりする。
ジロウとハルカの試合を期待するタケシだが、タケシは平等、どっちかの肩を持つような真似はしない。
「ところでよ、オーキド博士がなんかポケモンバトルの大会をするみたいだ……優勝者はオレとのポケモンバトルだそうだ」
優勝したらオレとポケモンバトルが出来る……使用ポケモンは1体のシングルバトルだ。
それを聞けばオーキド博士が勝手なことをとタケシとセレナは呆れるが、ハルカは闘志を燃やしている。
「それはホントなのね!」
「ああ、ホントだ」
「ハルカ……燃えてるわね……」
「…………コレを逃せば暫くはサトシとの真剣勝負が出来なくなるわ……1回だけの真剣勝負、私もそのバトルの大会に出るわ!」
「…………シゲルが出てくるから気をつけろよ」
オレとの真剣勝負、将来的に行われるポケモンワールドチャンピオンシップスならば上に上がれば嫌でも戦う機会が来るだろう。
だがそれ以外では今後はチャンピオンリーグに行かなきゃ負けたら終わりの真剣勝負が出来ねえ。だからチャンスは今回だけだと闘志を燃やしているが……今回はシゲルが出てくる。
予想通りと言うべきかシゲルとハルカが圧倒的だった。ポケモンリーグで準優勝する実力を持っているんだから当然と言えば当然で明らかに段違いの実力をシゲルとハルカは見せつけた。
「むぅ……シゲルとハルカが残ってしまったの……」
「なにか問題でもあるんですか?」
「誰が勝つか、それが決まっているポケモンバトルはつまらんのじゃよ」
オーキド博士がシゲルとハルカの決勝戦にあまり喜びを見せない。
タケシがなにか問題でもあるのかと聞いてみれば勝つ奴が決まっている……確かにシゲルなら余裕だろう、ハルカならば余裕だろう、そう思えるような試合の流れだった。既に普通のレベルから抜け出ているシゲルとハルカ……特にシゲルの方はずば抜けている。今年1年をポケモン研究者に必要な知識を蓄えていたっていう話がホントなのかと疑うレベルでパワーアップしている。
誰が勝つか分からないからポケモンバトルはワクワクする……それなのにコイツがでてきたらその時点で勝ちが確定だと思わせる、それぐらいに逸脱した強さをシゲルとハルカは持っていて面白いと思えない一方的な試合を繰り広げていた。
「でも、決勝戦はそうはいきませんよ」
セレナは今から行われる試合を見守る。
シゲルvsハルカ、どちらが勝つかと聞かれればそれは……シゲルの方がやや有利と言ったところだ。
決勝戦はそう都合よくいかない。使用ポケモンは1体のシングルバトル……
「3,2,1!」
「ラブトロス、お願い!」「キングドラ、頼んだぞ!」
「む!」
ケンジが審判を務める中で互いにポケモンを出した。
シゲルはキングドラ、ハルカは……相手が相手だけに容赦がねえな。
今まで鍛えたポケモン達も充分に強い、だがそれでもラブトロスの方がやや上だ。
ハルカとラブトロスがまだ釣り合ってないところがあるがラブトロスはハルカの愛を認めている。
「見たことが無いポケモンだね……」
「ラブトロス『ムーンフォース』よ!」
「『フェアリー』タイプの大技!と言うことは『フェアリー』タイプか!」
ラブトロスに関してはデータが皆無に近い。
流石のシゲルも知らないポケモンなので興味津々だが相手に情報を教える程にハルカはバカじゃない。
ラブトロスの攻撃をキングドラは避けた。ラブトロスが撃った『ムーンフォース』が大きなクレーターを作っている
「なんてパワーだ……ラブトロスと言うポケモンから感じる威圧感、サンダーと似ている……伝説のポケモンレベルか!」
「ええ、そうよ!このラブトロスは伝説のポケモン!とっても珍しくてとっても強いポケモンなの!」
ラブトロスの圧倒的な力を見て稀少なポケモンでなく、稀少で強いポケモンだと見抜く。
ラブトロスは伝説のポケモンであるとハルカは堂々と告白をする。シゲルはそれを聞いて参ったなと考える。
シゲルの持っているポケモンはレベルがとても高い……だが、伝説のポケモンクラスを相手に出来るポケモンは限られている。
少なくともシゲルのキングドラは伝説のポケモンクラスと渡り合えない。それどころか『フェアリー』タイプのポケモンなのでキングドラ自慢の『ドラゴン』タイプの技を使えない。
「ラブトロス……ランドロス、ボルトロス、トルネロスと同じロス系……じゃあトゲキッスと同じ『フェアリー』『ひこう』タイプか!」
「僅かなヒントでそこに至るのか!」
名前と見た目からラブトロスがなんなのかを連想した。
3神のロス系のポケモンの一種『フェアリー』と『ひこう』タイプの複合タイプのポケモンだと見抜く。
僅かなヒントで答えに至る、シゲルの地頭の良さにタケシは驚くがシゲルならばコレぐらいは予測できるだろう。
「……ラブトロス『ムーンフォース』」
「……キングドラ『あまごい』だ!」
ラブトロスは『ムーンフォース』一択……あのラブトロス『あまのじゃく』個体だから変化技が死んでる。
唯一の救いと言うべきか『ばかぢから』を会得している……だが……『じゃれつく』が最高打点……キングドラは肉を切らせて骨を断つと『あまごい』を使う。『ムーンフォース』が直撃してキングドラに大ダメージが入るがキングドラは倒されなかった。
「キングドラ、まだやれるね?」
シゲルは大ダメージを受けたキングドラを確認する。息が乱れていて大ダメージが入っているがまだ動くことが出来る。
キングドラはまだ戦えると頷けば……目にも止まらない速さで動く。
「早い!さっきまでとは段違いの早さだ!」
「特性が『すいすい』の個体……『あまごい』で『あめ』状態になっている時に素早さが倍になるが……」
「キングドラ『れいとうビーム』だ!」
「ラブトロス『おいかぜ』よ!」
さっきまでとは段違いの早さにタケシは驚く。
『すいすい』のキングドラ、『あめ』の中じゃ強力なポケモンでありラブトロスの背後に回り込めば『れいとうビーム』を放つ。
ラブトロスは『れいとうビーム』が直撃する、だから『おいかぜ』に絞る……素早さが逆転したから更にひっくり返してラブトロスの素早さを倍にする
「っ!」
「『じゃれつく』よ!」
ラブトロスはあんな見た目だが『あまのじゃく』と言う中々に個性的な特性だ。
『ばかぢから』を会得しておりそこからの『じゃれつく』はとても強力だ……ただし『あまのじゃく』が原因で積み技が全て使えない。
ダブルバトルになった時に相手を弱体化させる系の技を『かいでんぱ』とか『あまえる』とかをぶつければパワーアップ出来ると一応はラブトロスの使い方を教えてるが……ランドロスとボルトロスが色々とおかしな性能をしているから……『あまのじゃく』とか割と使うのが難しいけど使いこなせる武器があれば充分に、『あまのじゃく』ジャローダはとりあえず『テラバースト』か『リーフストーム』撃っておけばそれだけで勝つことが出来るという感じがある……威力130、タイプ一致込みだから190の『リーフストーム』が飛んできて二段階パワーが上がる……地獄絵図だな。
「キングドラ、戦闘不能!ラブトロスの勝ち!」
キングドラはラブトロスに負けた。
当然と言えば当然と言える結果……『おいかぜ』を覚えていなかったら『れいとうビーム』で攻撃して高速で移動して攻撃を避ける作戦がある。だが『あまのじゃく』ラブトロスなので素早さを上げる手段が『おいかぜ』ぐらいしかない。
両刀出来るポケモンであり『あまのじゃく』と言う強い特性持ち、『ばかぢから』を連発してから『じゃれつく』を使えば大ダメージになる。ラブトロスはレベルが物凄く高い……ラブトロスを基点にポケモンを鍛えればレベルが何段階も上昇するだろうが……これからは1人で頑張らないといけねえからな。
「はぁ……負けたわ……」
ハルカは見事に優勝した。そして優勝者の権利としてオレとのバトルする権利を手に入れた。
オレは問答無用だとサトシゲッコウガで挑む……開幕レジロック『だいばくはつ』でサトシゲッコウガが上手く使えなくて心残りだったからな。ハルカもバシャーモで挑んでくるが迷いなく全力で挑んで圧倒的な力で叩きのめした。
「オレが先にゲッコウガを出したんだ、他にも色々とあっただろう」
先にオレがゲッコウガを出した。だからハルカはなんでも出せた……それこそラブトロスで挑まれたのならばかなり苦戦しただろう。
それにも関わらずハルカはバシャーモを出した。オレと悔いが残らないバトルをしたいのならば他にも色々とあっただろうに。
「いいのよ、コレで」
「……負けるつもりで挑んだのか?」
「そんなわけないでしょ……勝つつもりで挑んだのだけど……やっぱりサトシ、強すぎかも」
「鍛えてるからな」
ハルカはバシャーモで挑んだことに関して一切の後悔をしていない。
負けるつもりで挑んだのかと聞けば勝つつもりで挑んだと言ってくる……それでもオレが圧倒的に強かった、だから負けた。
ハルカは負けたが悔しいと涙を流さない。それどころか負けたってのに清々しい晴れた気持ちになっている。
「私ね、ポケモンを貰って旅立って色々なところを見て回りたかっただけなの……アレがしたいコレがしたいなんて目標らしい目標が無くて……ポケモンを貰ってそこから色々としようってアテもなくて。そんなところでサトシとセレナに出会って……」
「……見つけたか?やりたいことが」
「うん……最強のトレーナーにも最高のコーディネーターにもなる……ちょっと自信が無いけど」
「いいんだよ、それで」
最強のトレーナーにも最高のコーディネーターにもなる。
少しだけ自信が無いみたいなんだが、んなもんを気にしてる場合じゃねえよ。
「今のお前にはハッキリと意志がある。なにかをしたいと言う意志が……その意志のままに行動する、そうすることで生きている。意志が無く行動することは生きているとは言えない……今のお前は生きているな」
「……でも、サトシみたいに勝てるかどうか」
「……んなもん蓋を開けるまでなんも分からねえ。それよりも大事なのは真剣勝負を楽しむこと、お前の意志でお前の戦いをお前が楽しむ。そうすることではじめて生を感じる」
「……才能は?」
「んなもんはもっと後だ……いや、逆だ。むしろ才能って奴は結果を残してからはじめて存在を認知される」
才能が無い云々の壁についてハルカは言おうとする。
だが才能はもっともっと後、才能ってものを認知するには結果を残してからだ。
「才能も大事、それは否定しない。世の中にはどうしてもそれがねえと突破する事が出来ねえ世界がある……だが、その才能が発揮する場所は何処だ?真に発揮しないといけない場所は何処だ?それはどういう時だ?……それは真剣勝負の場所、その真剣勝負の場所で相手がどうのこうのと適当に纏めた外の理由で雁字搦めし傷付くことを恐れて逃げるか、それとも熱い意志で真剣勝負の場を楽しむのか……どの世界でも上に立っている奴等は常人じゃない。そこに行きたいと言うのならば……行こうじゃないか、まともってやつと真逆な世界に……」
「…………サトシは結果よりも過程が好きなのね」
「いや、オレは結果も気にするタイプだ……だが、人間が人間らしく生きていると言うのならば、結果に至るまでの過程こそに色々と詰まってる」
惰性に生きるよりも自分らしく生きる、それがオレの今の生き方だ。
結果が大事だなんだと言うのならば何故過去の人間の結果でなく出来事を逸話にするか、それは過程にこそ熱いものが宿っているからだ。最終的に織田信長が死ぬ運命だとしてもそこに至るまでの過程に圧倒的なまでのロマンがある。それと同じだとオレは思う。
「オレは下地は作ってやったんだ……しっかりとしろよ」
「サトシ…………好きよ……………大好き……」
「嬉しいねぇ、こんな美少女に好意を向けてもらえるとは……」
「もう!そういう態度じゃなくて真剣に答えてよ!」
「クククッ……オレは色々と破綻してるから、オススメは出来ない……それでもなにか言いたいならば、真剣勝負でオレを負かしてみろ」
「……サトシがメロメロになるぐらいのスゴい二刀流になってみせるわ!……サトシ……」
オレはあんまりオススメすることが出来ねえと言うがハルカは気にしていない。
オレに対して熱を上げており、ハルカはオレに対してキスをしてきた……コイツは完全に予想外だが……
「いい女になってこいよ」
「うん!」
ハルカが一人立ちして寂しくないと言えば嘘になる。
だが、ハルカは歩き出した……それを邪魔する権利はオレは持ってねえんだ。