闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「空気が冷えてきた感じがするわね」
「シンオウ地方は北の地方だからな」
ハルカがマサラタウンから一歩を踏み出した。オレも新しい一歩を踏み出すのだと船に乗ってシンオウ地方にやってきた。
シンオウ地方は北の地方、嫌でも寒さを感じる……確かプラチナ版だと雪マップ以外にもところどころで雪が残っていたな。
「シンオウ地方……育て甲斐がある面白いポケモンが居ればいいんだがな」
「クククッ……シンオウ地方は色々と面白えぞ」
セレナだけでなくタケシとも一緒に来ている。
育て甲斐があるポケモンが居てくれれば嬉しいなと言っており、シンオウ地方には色々なポケモンが居る。
「サトシ……少しだけ楽しそうだな」
「まぁ……色々とな……」
気分が少し上機嫌のオレをルカリオは気付く。
アニポケのダイヤモンド・パール編は基本的には神回と言われる話が多い……その話を盛り上げている男と再会する事が出来る。
オレの読みは的中しており、アイツは結局チャンピオンリーグに出場する事が出来なかった。セキエイ大会、決勝戦まで駒を進めたってのに負けやがった。優勝したのはククイ博士なのが少しだけ驚きだ。
「ついた!」
「……」
「どうした?」
「いや、他の地方と言われてもしっくりと来なくてな」
船が港に辿り着き船から降りる。
地味に長い船旅だったのでセレナが体を伸ばしているとルカリオがキョロキョロと見渡す。
タケシがなにをしているんだ?と聞けば他の地方と言われているのでなにかが違うのだろうと思っていたのだが、特にコレと言った変わり目が無いなとなる。
「まぁ……寒い以外は特にはな」
イッシュ地方みたいに今まで見たことが無いポケモンの多くを見ることが出来るとかそういうのは無い。
シンオウ地方に上陸してみたが寒いという感覚以外は特になんかこう……目立つのが無い。マサゴタウン、なんか特筆すべきところは無いからな。
「先ずはポケモンセンターでシンオウリーグ出場登録だな」
「ああ、そうだな」
「…………」
シンオウ地方に上陸した。幸いと言うべきかポケモンセンターがあるマサゴタウンだ。
タケシが先ずはと地方リーグことシンオウリーグに出場する登録を申し込みに行こうと言うのでポケモンセンターに向かった。
「ここも同じジョーイさんなのね」
「違う!違うぞ!セレナ!」
ポケモンセンターに向かえば何時ものジョーイさんが居た。
何処に行ってもジョーイさんは同じ顔だと言うがタケシは違うのだと否定する。
帽子の十字マークが違う、使っている香水が違う、まつ毛の本数が違う。同じに見えてそれぞれがしっかりと個性を持っているという。
「お前……場合によっては通報案件だからな……」
「女性のそういう一面に気付く男はしっかりとしていると言うがそこまでいけば気持ち悪いぞ」
タケシがジョーイさんの違いを熱く語るがなんかキモい。
場合によっては通報案件でありルカリオもハッキリと気持ち悪いと言った。
タケシはショックを受けるが……ホントに気持ち悪いぞ。
「さてと……ポケモンをゲットしに行くか」
「お、早速か」
「シンオウに来たならゲットしておいて損は無いポケモンがこの辺に居るからな」
シンオウリーグに出場登録を終えればポケモンゲットに行こうと言う。
新しい地方で早速ポケモンゲットに行くのかとタケシは笑みを浮かび上げる。シンオウに来たのならばゲットしておいて損は無いポケモンはこの辺に生息している。そいつはゲットしたい……ただし、慎重になってゲットしなきゃならねえ。
「サトシ、なにが目的なの?」
「コイツ」
『ムックル、むくどりポケモン。『ノーマル』『ひこう』タイプ。沢山の群れで行動する。体は小さいが羽ばたく力は非常に強い』
セレナがなにをゲットしたいのかを聞いてくるのでポケモン図鑑を見せる。
オレの狙いはムックル……この近辺じゃ割と見かけるポケモンである。
「ムックルか、確かコイツはシンオウ地方のポケモンだったな」
「……珍しいわね。サトシが鳥ポケモンを狙ってるだなんて」
「なに言ってんだ、今までも鳥ポケモンは狙ってたぞ」
トゲキッスも欲しかった。エアームドも欲しかった。
ただ所謂序盤の方に出てくる旅パ御用達の序盤鳥ポケモンをゲットするのは何気に今回が初だったりする。
そう考えれば珍しいかと思いながらもルカリオを見る。
「ルカリオ、ムックルは群れで生息していてシンオウ地方じゃスゲえメジャーなポケモンだ……何処に居るのか探してみてくれ」
「……あっちだな」
ルカリオに何処にムックルが居るのかの確認をさせる。一応オレも探知なら出来るので探知すれば群れのポケモンが多くいる。
人間が住んでいる土地と野生のポケモンが住んでいる土地の間に挟まれているちょうど境界線上辺りの絶妙な所だ。
「わっ!?」
「凄まじい電撃だな……『でんき』タイプのポケモンが居るのか?」
「…………どうやらトレーナーが居るみたいだ」
ムックルを探しながら歩いていると激しい電撃が飛んでいた。
セレナがそれを見て驚きタケシが『でんき』タイプのポケモンを考えるがルカリオの探知でトレーナーが居るのだと判明する。
とりあえず気になるので行ってみれば……そこにはシンジが居た。
「険しいダンジョンじゃないからレベルが低いな……」
「こういうところは初心者向けのポケモンばっかだぞ」
「……っ!!」
モンスターボールを片手にポケモン図鑑を開いているシンジ。
強いムックルを探しているんだろうが、こういう土地に住んでるポケモンは初心者向けのレベルが低いポケモンだ。
めっちゃレベルが高いポケモンが土地の主的なところは下手に街を作れない。険しいダンジョンとかなら強いポケモンは多いんだがな。
「お前は……」
「クククッ……よぉ、久しぶりだな」
「…………」
「知り合い、なのか?」
「トバリシティのシンジ……サトシがジョウトリーグの準決勝で戦ったトレーナーよ……チャンピオンリーグでサトシにリベンジするって言ってたけど……確かセキエイ大会は準優勝で」
久しぶりに顔を合わせれば驚いているシンジ。
タケシが知り合いなのかを聞けばセレナがジョウトリーグで戦ったトレーナーだと言い、オレと同じ世代でチャンピオンリーグでリベンジに燃えていたが、チャンピオンリーグにすら届かなかった。
「……去年のホウエンリーグ、お前は優勝した筈なのにどうしてチャンピオンリーグに出なかった?」
「エニシダさんに出会ってな、チャンピオンリーグを蹴って四天王と同格以上のフロンティアブレーンが居るバトルフロンティアに挑戦していた」
「バトルフロンティアに…………ジンダイさんに勝てたのか?」
「色々と危なかったがなんとか勝てた」
開幕サトシゲッコウガで流れを持っていこうとしたらレジロックの『だいばくはつ』でやられた。
サトシゲッコウガはオレにもダメージがやってくるっていうデメリットがあるからアレでコンディションが最悪になったことで色々と頭が冴えて120%の力を発揮する事が出来た。チャンピオンリーグを蹴った理由を知ればシンジは納得した。
「……ここに居ると言うことはシンオウリーグに挑みに来たのか」
「ああ……約束通りだ……」
ホウエンに挑みに行く際に言ったが、約束通りシンオウリーグに挑む。それを言えば……シンジは静かだが闘志を燃やしていた。
セキエイ大会以上に苦戦する大会になることは必須、オレという一度負けた相手が居るので1人のトレーナーとして燃えるのは普通の事だ。
「…………俺とバトルをしろ」
「悪いが今からムックルのゲットなんだ……今、手持ちはルカリオしかいねえ。お前もここに居るって事は目当てはムックルなんだろ?」
「ならムックルをゲットした後でいい」
「強情だな……まぁ、嫌いじゃねえぞ」
どうしてもオレとバトルをしたいというシンジ。
ムックルをゲットしに来たからそっちを優先させろと言えばそれを終えればバトルしろという。
中々に強情だがそういう貪欲なところは嫌いじゃねえぞと言いながらもオレはムックルの群れを見る。
「いけ、モンスターボール」
「5つもだと?」
物凄くレベルが高いとかそういうのでないのでとりあえずモンスターボールを投げる。
ポケモンをゲットするときは弱らせるのが基本だがレベルが低いのでモンスターボールが当たれば全員ゲットされる。
「サトシ、公式戦では同じ種のポケモンは1体しか」
「ああ、だから慎重に厳選するんだ」
公式戦では同じ種のポケモンは1体しか出せない。
5体をゲットしても育成しきれないのだとタケシは言おうとするがオレは5体もムックルが必要じゃない。
オーキド博士に新しく貰ったポケモン図鑑を開く。
ムックル ♂ 『するどいめ』
『たいあたり』『なきごえ』『でんこうせっか』
ムックル ♀ 『するどいめ』
『たいあたり』『なきごえ』『すなかけ』『でんこうせっか』
ムックル ♂ 『するどいめ』
『たいあたり』『なきごえ』『つばさでうつ』『でんこうせっか』
ムックル ♀ 『するどいめ』
『たいあたり』『なきごえ』『つばめがえし』『でんこうせっか』
ムックル ♂ 『するどいめ』
『たいあたり』『すなかけ』『つばめがえし』『でんこうせっか』
「あ〜……違うか」
目当てのムックルが居なかったのでオレはゲットした5体のムックルを逃がす。
それを見たタケシはどういうことなのかと驚いている。ルカリオもムックルが欲しかったんじゃないのかという顔をしている。
「お前、使えるムックルを探しているんだな」
「そりゃ使えるムックルじゃねえと……」
「使えるって、サトシ……いきなり強いムックルを探しているのか?弱いムックルを鍛えるのがトレーナーの醍醐味の筈じゃ」
「違う違う、そうじゃなくてだな」
「バーッ!!」
「ッ!ムクバード!」
弱いから逃がすのはいけないことだとタケシは言おうとするがオレの狙いは別にある。
狙いについて説明をしようとすればムクバードが出現する……ムックルしか居ない筈のこんな場所でのムクバード、シンジは直ぐにそいつがこの辺の群れの頂点のムクバードだと分かればエレキッドで挑む。
「エレキッド『かみなりパンチ』だ!」
「レキッ!」
「ムクバッ!?」
「よし、モンスターボール、アタック!」
効果は抜群の『でんき』タイプの『かみなりパンチ』で一撃を浴びせる。
ムクバードには確かなダメージがあったようでシンジはモンスターボールを取り出しムクバードに当てて……ムクバードをゲットした。
普通なら喜ぶところだがシンジはガッツポーズの1つもせず、ポケモン図鑑を開いた。そして無言が続く。
「クククッ……あんまいい個体じゃなかったんだろ?」
「……群れのリーダーとは言え険しいダンジョンのポケモンじゃない……他の険しい地域のムクバードの方がいいか」
この辺に生息していて群れのリーダーを務めているからとの期待があったが、その期待は裏切られた。
平穏な土地柄じゃ強いと言っても限度がある。自分が思っていた以上の能力を持っていなかったのでシンジはムクバードを逃がしてオレンの実を渡した。
「…………シンジ……お前はムクバードが欲しかったんじゃないのか?」
「あのムクバードは俺の予想を下回った、ただそれだけだ」
「クククッ……ガチだな……だが、それがいい……あのムクバードは多分だが群れのリーダーだ。アレ以上のムクバードやムックルが欲しいって言うならここで粘らず険しいダンジョンに生息しているムックルの群れを探すのをオススメするぞ」
「……お前はどうするつもりなんだ?」
「オレは当初の予定通りムックルを探すさ」
自分の望んだレベルじゃないムクバードを見てシンジはこの辺のムックルに見限った。
ここに居ても才能がある強力なポケモンをゲットすることは出来ないと判断を下してエレキッドをボールに戻した。
「この辺りのムックルはレベルが低いぞ」
「こういうところのポケモンは大抵はレベルが低いんだよ……と言うか狙いはそこじゃねえよ」
「なに?」
「お前はレベルやステータスが高いムックルを狙っていたがオレは特性が『するどいめ』じゃなくて『すてみ』のムックルを狙ってんだよ」
「『するどいめ』じゃなくて『すてみ』のムックルだと?……それがなにか関係しているのか?」
「ムックルの最終進化系のムクホークの特性は2つ、1つは皆がよく知る『いかく』で物理アタッカーの攻撃を1段階下降させる。この特性も強いが『きもったま』とかには効果は無い。もう1つの『すてみ』は強い。ムクホークは『ブレイブバード』と『すてみタックル』を覚えることが出来る。この2つの技は威力が高いが、自分にもダメージを負うことになるが『すてみ』の特性と噛み合えば威力が1,2倍になる。タイプ一致で高火力で尚且つ特性で威力の増加、ムクホークは『インファイト』を覚えるからこれは大きい、ムクホークの弱点である『こおり』『いわ』そしてこうかはいまひとつな『はがね』タイプのポケモンに対して『インファイト』を叩き込める。『こおり』『いわ』『はがね』の3つのタイプに対して圧倒的なまでに有利で更には『とんぼがえり』も覚えるから相手を攻撃しつつ手持ちの入れ替えを、特に『くろいまなざし』みたいなのから逃げることも出来る、ただし欠点もある。高い素早さと攻撃力を持っているから即座に倒すのを前提とするポケモンで耐久力や弱い。それを補う為に別のポケモンでパーティ構築、相手のタイプが『こおり』『はがね』『いわ』もしくは物理防御力が高いポケモンでなければ先陣を任せて出せとりあえず『ブレイブバード』を撃つだけで大ダメージを与えることが出来る。無論『いかく』ムクホークが弱いとは思っていない。だがムクホークは高い攻撃力と高い素早さが売り、後のことを考えるよりもガンガン攻める『すてみ』個体の方がオレの性に合うし、ムクホークの火力が上がる」
とりあえず等倍で通る相手ならばムクホークの『すてみタックル』か『ブレイブバード』で大きく削れる。
相性の悪いのが来れば『インファイト』でいける、ステータスが下がってて出番がもう無いならば『とんぼがえり』で逃げれる。
「…………そこまで考えていたのか……」
「ポケモンにはそれぞれ適した戦いなんかがある。『でんき』タイプのポケモン=『かみなり』を使える『でんじほう』が使えるという認識の時点で二流だ」
「っ……」
無理に両刀にしても意味は無かったりするし、最適解をある程度は出さなきゃならねえ。
ムクホークの最適解は『ブレイブバード』『すてみタックル』『インファイト』『とんぼがえり』……『テラバースト』とか『でんこうせっか』も一応は入るが絶対にこの4つの技のどれかは確実に入っている。
特性が『すてみ』のムックルは居るのか……2回ほど挑戦してやっと『すてみ』のムックルをゲットすることが出来たのでバトルを行う。
「使用ポケモンは1体だ……ムックルはゲットしたてだからまだまだだ……ルカリオ、いけるな」
「バゥッ!」
「ルカリオ……ヒコザル、バトルスタンバイ!」
「ヒッコォ!」
シンジの待望のポケモンバトルとなる。
ムックルはゲットしたばかりなのでまだ使わない。図鑑でデータ確認したが『つばさでうつ』を覚えていない。
とりあえず『つばめがえし』の特訓は視野に入れるとしてシンジとのバトル、ルカリオを出せばシンジはヒコザルを出した。
「ルカリオ『しんそく』だ」
「ヒコォ!?」
「っ…………っち……………使えないやつめ」
「クククッ……まぁ、こんなもんだろうな」
試合開始と同時にルカリオの『しんそく』を叩き込んだ。
ルカリオとヒコザルの間には大きなレベルの差がある。『しんそく』をくらえばヒコザルは一撃で戦闘不能になった。
もう少し良いバトル、もしくはそれなりに善戦すると言うイメージを持っていたのだろうがヒコザルは一撃で戦闘不能になりシンジはボールに戻して舌打ちをし使えないと言い……去っていった。
「…………酷いわね…………ポケモンに対してあんな事を言っちゃって」
「いや………シンジはスゴく悩んでいたぞ……」
「え、そうなの?」
ヒコザルを使えないと言って去っていったシンジを酷いという。
タケシも同じ意見であり頷いていたのだがルカリオがそんな中でシンジが悩んでいることを教えてくれる。
「なにかは分からない……このままではダメだと思っている……己も周りも律することで力を高めようとしている……だが……あのヒコザル、レベルが低かった。ゲットしてそんなに時間が経過していない、修行不足と感じた……停滞している現状を打破しようと死に物狂いになっている」
「クククッ……見なきゃいけねえ現実に対して答えを自分なりにやってるんだろうが中々に成果が出てねえ……自分なりの答えがなにかあるはずだ、そうやって考えていると普通に特訓してる奴に負ける時もある……もっともアイツはやるべき事をしっかりとやっているから普通には早々に負けねえんだが……」
まともじゃない上位の連中の壁にぶち当たっている。
才能も本物、やる気も本物、覚悟も本物、思想も本物……それでも届きそうで届かない世界がある。
上位の壁に対してどういう答えを出すのか……あと一歩、シンジにはあと一歩が足りない。その一歩を越えさえすれば最強格になる。
シンオウリーグに出るためのバッジ集めの旅の何処かでその一歩を踏み出せればいいんだがな。