闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「今度はアランがバトルするのか……」
「サトシ、アイツは強いのか?」
「ん?強いぞ」
シンジがシロナに挑んだが手も足も出ないままコテンパンにされた後に消化しきれないからとシロナがアランに挑んだ。
シンジがポケモンセンターに戻ろうとしていた足を止めた。チャンピオン直々の指名なので実に熱い展開だがアランが強いかどうか知らないシンジは強いか強くないかを聞くので強いと答える。
「アランはホウエンチャンピオンのダイゴのエース、メガメタグロスを倒した事がある」
「なに!?」
ホウエンチャンピオンのダイゴのエースを倒したと言えば驚いたシンジ。
とてもそういう強者が纏っている覇気の様なものをアランからは感じることが出来ない……が、アランは尋常じゃない程に強い。
「アランはポケモンバトル学のポケモン研究家だ……強いとしか言えねえな……まぁ、見ておけ」
「こっちも本気のバトルを想定してのポケモンを持ってないんで多少の事は目を瞑ってくださいね」
「構わないわ……天空に舞え、ガブリアス!」
「いけ、ガブリアス!」
「なっ……シロナさんのガブリアス相手にガブリアスだと!?」
ガブリアスを相手にガブリアスを出した。
チャンピオンシロナのガブリアス相手にガブリアスなんて1番の無謀だとシンジは思うのだがシロナはクスリと笑った。
「噂通り、面白い子ね」
「あいにく、面白いだけじゃないんで」
「ガブリアス『つるぎのまい』」
「ガブリアス『スケイルショット』だ!」
シロナは再び『つるぎのまい』を使う。
1回モンスターボールに戻したから最初の『つるぎのまい』の効果は切れていて『つるぎのまい』で攻撃力が二段階上昇する。
しかしアランのガブリアスは違った。『スケイルショット』を使った。一発、二発、三発と三発命中し青いオーラと赤いオーラを纏う。
「ガブリアス『ドラゴンクロー』」
「避けろ!」
「あのガブリアスの攻撃を避けている……アランのガブリアスは相当なレベルだがシロナには勝っていない……『スケイルショット』か」
「そう、アレで仕込みは出来たんだ」
「…………どういう意味だ?理解していない俺にも分かるように教えろ」
「『スケイルショット』は物理防御を一段階下げて素早さを一段階上げる……シンジ、ガブリアスの売りはなんだと思う?」
ルカリオがアランがなにをしたのかを理解した。
仕込みは既に充分に出来ている……シンジ達が意味が分かっていないのでシンジは教えろと言ってくる。
『スケイルショット』の効果について説明をした後にガブリアスの売りがなんなのかを聞いてみる。
「……圧倒的なパワーか?……俺のドダイトスは防御に自信はある。それでも『つるぎのまい』を1回使っただけの『ドラゴンクロー』に一撃で負けた」
「少しだけ合っている……ガブリアスの売りは圧倒的パワーを支える素早さだ……パワーと素早さを絶妙なまでに両立している。パワーもあってスピードもあってと言うポケモンはそれなりにいるがガブリアスはその中でも頭が抜けている……圧倒的なパワーとそれをぶつける事が出来るスピード、シロナは『つるぎのまい』で攻撃力を増した。対するアランは『スケイルショット』で素早さを増した……ここが割と大事だ」
「……力と素早さが同時に増す『りゅうのまい』は覚えないのか?」
「んなの覚えたらぶっ壊れだよ」
ガブリアスに何時になったら『りゅうのまい』来るんですか議論はだいぶ昔から言われているが奴に与えれば絶対悪用される。
ポケモン廃人曰く完成された完璧な種族値、特に素早さ102……コイツがホントに洒落にならない……この2のせいで多くのトレーナーを撃墜した。『フェアリー』タイプの出現で使用率が減ったが九世代で息を吹き返したと言われており、強いか弱いかで言えば強いポケモンだ。
「ガブリアス『ドラゴンクロー』だ!」
「……素早いわね……だったらガブリアス『りゅうせいぐん』」
「ガブリアス『げきりん』だ!」
アランのガブリアスは『ドラゴンクロー』を当てる。
シロナは自身のガブリアスよりも速くなっているので広範囲に及ぶ技で攻撃しようと『りゅうせいぐん』を使った。
アランはここで勝負を決めにいく。無数の『りゅうせいぐん』が降り注ぐ中で『げきりん』を発動しシロナのガブリアスを攻撃していくのだがそこに『りゅうせいぐん』が飲み込まれ土煙と突風が巻き起こり……煙が晴れればシロナとアラン、2人のガブリアスは倒れていた。
「っ……1つ、提案があるのだけれど」
「え、まだあるんですか?」
「………はどう?」
「……………………いいですよ」
シロナのガブリアスと引き分けになった。シロナは物凄く驚いており興奮をしているのだが冷静になりアランに提案をする。
なにを提案しているかどうかは分からないがアランは少し考えた後に構わないのだと受け入れた……この感じだとバトルの申し込みだろうな。オレ達はポケモンセンターに戻った。
「ねぇアラン、シロナさんとなんの約束をしてたの?」
「まぁ、それはお楽しみという事で……」
「むぅ……お楽しみって事はなにかあるのね!楽しみにしてるよ!」
スズナがアランになんの約束を取り付けていたか聞いたがアランはお楽しみ……アランの声的にお楽しみはこれからだが似合う。
スズナはアランの事を信じているのか深くは聞いてこず楽しみに待っていると言った。
「ヒコザルが思ったよりも重傷だから今日は休んでいきなさい」
「……そうですか……」
一方のシンジはヒコザルが重傷だと言われた。
『つるぎのまい』を積んだガブリアスの『ドラゴンクロー』を受けたんだからそりゃ重症になる……
「シンジ、貴方何時もヒコザルを出してるけど……もうちょっと考えてヒコザルを出さないと。ガブリアス『ドラゴン』タイプと『じめん』タイプなんだから……他になんかあったはずでしょ?」
「……お前には関係無い話だ」
「関係無いって……ヒコザルをわざと傷つけているようにしか見えないわ」
「あら、それは最低な事ね」
セレナがやけにヒコザルに拘っているという事を指摘し、意図的にヒコザルを傷つけている事も気付く。
わざとダメージを与えていると言い切ればその事を……チャンピオンのシロナが聞いていた。
「まさかマサラタウンのサトシくんも居るなんてね……アランくんを優先したけど、貴方ともバトルしてみたかったわ」
「クククッ……今のオレの手持ちじゃあんたに手傷を負わせるのが限度……万全の状態じゃねえとやってられねえ」
「万全の状態の貴方を倒してみたいわね……それよりも、あのヒコザル……なんの意図があってわざとダメージを与えているのかしら?」
「……『もうか』を引き出す為です」
流石にシロナに聞かれれば答えないわけにはいかない。
シンジがヒコザルを多くのバトルに出してはダメージを受けさせているのはヒコザルの『もうか』を出すためだ。
「『もうか』を出すためって……クロガネジム戦でヒコザルは『もうか』を発揮したじゃないか」
「違う!あんなのは『もうか』じゃない……俺はコイツと出会った時に見た、通常の『もうか』よりも遥かにパワーが上な凄まじい『もうか』を!ヒコザルには物凄い才能が秘められている!」
『もうか』ならばクロガネジム戦で見たとタケシは言うがシンジはそれじゃないという。
ヒコザルには通常よりも遥かに強いパワーを秘めた『もうか』を持っている。シンジはそれに惚れ込んでヒコザルをゲットした。
「『もうか』は追い詰められた状態にのみ発動する。だからヒコザルを追い込んで『もうか』を発動させる……追い込んでも中々に『もうか』は発動しない。だが俺は諦めない、絶対に『もうか』を物にする」
「あんまオススメできねえなそれは」
「なに?」
「『もうか』は発動する条件が体力が少なくなった時だ……追い詰められた時の火事場の馬鹿力が強いのは恐ろしいがそこに至るまでに負ける……今まで何度もそうだ。そのスゲえ『もうか』を発動するより前に倒されている」
「だからその『もうか』を引き出せるように」
「追い詰められた時だろう……ヒコザルは稀少なポケモンでゴウカザルまで育てれば物理も特殊も変化もなんでも出来る万能なポケモンになる。無理に『もうか』に拘るよりもゴウカザルになるのを鍛えて」
「──めに決まっているだろう……」
『もうか』を出そうと必死になっているシンジ。
その『もうか』は凄まじいだろうがヒコザルの最終進化系のゴウカザルの方が色々と使える。
そっちの方を視野に入れておいた方が良いんじゃないのかと聞けばシンジは今までで1番鋭い目でオレを睨んでくる。
「そんなやり方はダメに決まっているだろう!」
「シンジくん?」
「確かにゴウカザルは強い!だが、ただ普通の強いゴウカザルじゃ意味は無い!圧倒的な力が必要なんだ!『もうか』だ!俺はヒコザルに秘められている『もうか』の火力に魅了されたんだ……あの火力があれば、あの火力があればお前を、サトシゲッコウガを倒せる!」
……やっと出たな、本音が。
シンジの本音は絶対無敵とも言えるサトシゲッコウガを倒す秘密兵器、それが通常よりも遥かに強いヒコザルの『もうか』
「ダメだな」
「ヒコザルが『ほのお』タイプだからか?言っておくがあの『もうか』状態の『かえんほうしゃ』ならば例えサトシゲッコウガと言えども致命傷は避けられない。モウカザル、そしてゴウカザルになれば『かくとう』タイプも追加される……そこから放つ『フレアドライブ』は絶対の一撃になる。Zワザに負けない」
「違えよ……今のお前がダメだって言ってるんだよ」
「なに!?」
「お前、オレにばっか執着し過ぎだ……もっと広い視野で冷静になって考えねえと」
「そんなこと、そんなこと出来るわけないだろう!今回のシンオウリーグ、お前は絶対に出てくる。だからシンオウリーグに備えないといけない。今まで育てたポケモンは勿論だがそれでも足りない。俺にはメガシンカもZワザも無い……それなのにお前にはサトシゲッコウガ、メガリザードンY、スイクン、ラティアス、オーガポン、ジュカイン……お前に勝てるか勝てないか、そこが今回のシンオウリーグの変わり目だ!お前が俺にとって最大の障害であることには変わりはない!」
「……サトシ、お前じゃ無理だ……いや、お前だから無理だ」
シンジはオレに勝たなければ道は閉ざされるという思いで死に物狂いで必死になっている。
シンジから漏れ出た本音を聞いてタケシはオレの言葉でああだこうだ言っても意味はない、オレを最大の壁と認識しているから。
コレは無理があるなとシンジと距離を置くことにした。
「マサラタウンのサトシに勝たないといけない、か……そりゃそろそろ焦るよね」
「まぁ……優勝出来ていないからな」
スズナがシンジの本音、焦りを聞いてそりゃそうなるなと納得した。
オレという存在が圧倒的なまでに脅威になっている……ホウエンリーグに出た際にオレが居ると言うのが分かった時点で心折れてたトレーナー達が居た。
「気合いでって言いたいけど……ダメだよね?」
「そんな精神論でどうにかなる世界なわけねえだろう、そういう雑なアドバイスはマジでやめろ」
気合い入れて気合い入れた特訓で何時も以上に頑張る、なんていう精神論じゃダメ。
精神論で行こうとしているのでアランはそういうのは無しだと言っている……シンジ、下手したら闇堕ちしそうな雰囲気がある。
どういう風にすればいいのか、自分なりの答えを必死になって探し出そうとしている。
「お前が1番の原因……でも、お前が悪いってわけじゃないのがなんとも言えないな」
オレと1回公式戦のフルバトルをして圧倒的な力でオレが勝利した。
その後に繰り広げられていた決勝戦、そこから色々と快進撃は続いている……負けたと言えるのは数える程度だ。
アランはシンジの焦りの原因はオレにあると言う。でもオレが悪いというわけでもない……同年代で成功している奴が居る……
「ちょっと外の空気吸ってくる」
オレからなにかアドバイスを送るという事は出来ないだろう。シンジにとってオレは敵だ。
自分なりのやり方を模索し強さを追求しているにも関わらずオレに負けている。
「シンジの本音……同じ歳で成功しているお前が気に食わないと言うよりは同じことが出来ていない自分を許せないというところだろう。そこから色々と迷子になっている」
「クククッ……大変だねぇ……」
「お前がそれの原因だろう」
「オレが悪いってか?」
「いや、それとこれとは話が違うが」
外の空気を吸ってくるとポケモンセンターの外に出た。
シンジについての本音を聞くことが出来たルカリオはそうだったのかと頷いている。
シンジは大変だなと言えばオレが原因でシンジはああなってると言うがオレが悪いのか、全てオレのせいにすれば丸く収まるのかと、オレが悪なのかと聞けばルカリオは言葉を悩ませる。
「綺麗な三日月だな」
「……どうした急に?」
「月の光が綺麗だなってな……光が強ければ強いほど影の濃さは増す……オレが強ければ強いほどシンジは焦って正しい判断をすることが出来なくなっちまって……シンジに必要なのは2つ、1つはキッカケだろう」
「キッカケ?」
「自分なりのやり方ってやつを模索しているんだろう……生温いやり方でするんじゃなくて徹底して強さを追い求める。そのスタイルも決して悪くはねえが何処かで一回躓く。一回躓いてそこから挫折するか立ち上がるか……大抵の奴等は挫折するがシンジは立ち上がったが躓いた際に出来た心のモヤが立ち上がったシンジを邪魔している。なにか大きな出来事があればシンジは正しいルートに修正出来る。そのキッカケが必要だ」
そのキッカケが来るのはもう少しだけ先の話になる。
そしてもう1つ……シンジがそれに気づいてしたのであればシンジが正真正銘ヤバい敵に成り変わる。
そこに気付くか気付かないかは割と重要だなと三日月を見上げていると……1体のポケモンが居た。
『クレセリア みかづきポケモン 『エスパー』タイプ 飛行するときはベールのような羽から光る粒子を出す。三日月の化身と呼ばれている』
「クレセリア……珍しいな……けど……なにしてんだ?」
月の光で絶妙に隠れていて一箇所に留まっているクレセリア。
珍しいポケモンが出てきたもんだと思っているとクレセリアは何処かを見つめている……何処を見つめているんだと思えば、リングマの特訓をしているシンジを見つめていた。
「なんだ、心配して損したな」
シンジもシンジで心強い奴が見守ってくれていた。