闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「ヒコザル、もう大丈夫か?」
トバリジムに向かうことにし……ヒコザルを確認する。
シンジの奴が『もうか』に拘っていたがそれでも普通に強いヒコザルだった。
純粋にゴウカザルとして育成すれば充分に使える武器になるのにシンジは『もうか』に魅了されてしまっている。
「ヒコ!」
「問題は無いと言っている」
ヒコザルが元気かどうか、傷が完全に治ったが不調かどうかの確認をすればヒコザルは大丈夫という。
ルカリオが通訳しなくてもそれぐらいは分かる。体調がバッチリならばポケモンバトルをするかと聞きヒコザルはポケモンバトルをすると頷いた。
「マフォクシー、頼んだわよ!」
「ヒコザル、やるぞ」
何時もの様に野生のポケモンに挑んでも良いが対人戦の方が経験値になる。
セレナと一緒にいるおかげでセレナのポケモンバトルの腕はみるみると上昇していっている。
普通に腕自慢なトレーナーと同じぐらいのレベルのトレーナーになっている……だからこそ、倒しがいがある。
勝てると分かっている相手よりも勝つか負けるか分からない相手とのギリギリのクロスゲーム、それ以上に楽しいものは存在しない。
「マフォクシー『かえんほうしゃ』」
「ヒコザル『かえんぐるま』で炎に乗れ!」
セレナのマフォクシーは『かえんほうしゃ』を撃ってくる。
『かえんぐるま』を使って炎に乗り回転して突撃するがマフォクシーには大したダメージにはならない。
『ほのお』タイプを相手に『ほのお』タイプの技で挑むのは普通にミス……だからといって『あなをほる』で攻めれば分かりやすい。
「ヒコザル『みだれひっかき』だ」
「ヒコヒココ!」
「テーッ」
「マフォクシー、『サイコキネシス』よ!」
「テール!」
『みだれひっかき』を連発しマフォクシーにダメージを与えるがマフォクシーは倒れない。
反撃だと『サイコキネシス』を使ってきてヒコザルの体が浮いてヒコザルは弾き飛ばされたが負けるかと起き上がる。
「ヒコザル『あなをほる』だ」
「ヒコ」
『サイコキネシス』を使われたら厄介だ。
『あなをほる』で地面の中に潜るヒコザル、マフォクシーは何処に行っていると左右をキョロキョロとしている。
「マフォクシー、貴女の足元に出てくるのだけは確定よ!『でんげきは』を何時でも撃てるようにしておいて!」
『あなをほる』の構造はあまりにもシンプルなのでセレナは直ぐに対応をする。
地面から出た瞬間に『でんげきは』をぶつけて『あなをほる』を不発に終わらせる作戦……
「ヒコザル、地面に複数の亀裂を入れろ!」
その作戦の対処方法は考えてある。
ヒコザルは地面から飛び出なかった。ピシリと地面に亀裂を入れた。マフォクシーは『でんげきは』を放つ。
しかし不発に終わり直ぐに新しい『でんげきは』を溜める。そして新しくピシリと地面に亀裂を入れればマフォクシーは『でんげきは』を放つが失敗……それを数回繰り返す
「フォウ」
「マフォクシー……落ち着いて!」
「クククッ……そういう問題じゃねえぜ」
地面から飛び出るヒコザルに対して『でんげきは』を使い『あなをほる』を潰そうという作戦は間違いじゃねえ。
だがこっちにも色々と出来る……『でんげきは』を撃ってはヒコザルが出てこない、その状況が続いているのでマフォクシーはストレスがピリピリと溜まっており苛立っている。セレナはマフォクシーに落ち着くように言うのだが、マフォクシーはピリピリしていて落ち着かない。作戦そのものを変えないといけねえ。
「ヒコザル、通り道は作った!『かえんぐるま』で突破しろ!」
「ヒコォ!」
通り道、出口とも言うべきか幾つか亀裂を入れた。
そこを『あなをほる』で出てくるんじゃなくて『かえんぐるま』で飛び出る、ヒコザルは『かえんぐるま』で飛び出てきてマフォクシーに当たるがマフォクシーはヒコザルの『かえんぐるま』を受け止めた。
「フォウ!」
「マフォクシー『でんげきは』よ!」
「ヒコォ!?」
『かえんぐるま』を受け止めるのは流石に予想外、マフォクシーはそのまま『でんげきは』をヒコザルに浴びせる。
ヒコザルは倒れるが立ち上がろうとする……1回は立ち上がる……が、それでも無理なものは無理でヒコザルは倒れた。
「ルカリオ『いやしのはどう』頼む」
「ああ」
ヒコザルは戦闘不能、それでこのバトルは終わりだ。
とりあえずルカリオに『いやしのはどう』を使ってもらいヒコザルの治療をしてもらい、ヒコザルは元気になった……が、直ぐに俯いた。
「ヒコ……」
「クククッ……負けたことを落ち込んでるのか?確かにアレはオレの予想外だ……だから、後悔はするな」
「ヒコ?」
「オレが考えてオレがやれって命じているんだ……オレの選択でミスをやらかしたのならば責任はお前じゃなくてオレにある。ヒコザル、負けて悔しいか?」
「ヒコ……」
「だったらそれをバネにして伸びろ……オレはお前を鍛えて強くする……いきなりの無茶振りはしねえさ」
負けたことに関しては個人的に悔しいと思っている、だったらそれをバネにするしかない。
基本的には負け知らずなオレが言うのもなんだが負けから得られるものは確かに存在している。
「『あなをほる』の攪乱作戦、上手くやったな……ちゃんと指示通りに動くことが出来て偉いぞ」
「ヒコ……ヒコ……ヒコォオオオオオ!!」
オレの指示通りに動くことが出来た。ゲットして間もないのにそれが出来るのは偉いとヒコザルを褒めればヒコザルは泣いた。
今まで色々と溜まっていたものが我慢していたものがある。それが今回、何時もと違う環境になったせいで吹き出してしまった。
ヒコザルは涙を流しておりなにかを語る。ルカリオはそれを聞いて頷いており少しだけ怒りを感じる。
「どうやらシンジとの違いに驚いて苦しみから解放されたらしい」
「シンジとの違い……シンジはどういう育成をしていたんだ?」
「……すまないが、私の口からは深くは言えない。しかしシンジはヒコザルを褒めて伸ばす事を一切しなかったみたいだ」
ルカリオがシンジとの違いを知って苦しい思いから解放されたと言っている。
タケシがシンジはどういう。育成をしていたかを聞けばルカリオは少しだけ怒りの波動を身に纏っていた。
虐待とも言える育成をしていた……『もうか』を引き出す為に荒療治をしていた。それだけヒコザルの『もうか』がスゴいらしいがそれでもやり過ぎな育成をしていた。
「ヒコ」
「落ち着いたか?」
「ヒコ!」
ヒコザルは思う存分に涙を流した。スッキリしたかどうかを聞けばスッキリしたと落ち着いたと頷いた。
オレとのやり方の違いに困惑をしているが時期に慣れる……と言うか慣れてもらわないと困る。
「ヒコザル……オレはお前の『もうか』を頼るつもりはほぼ無い」
「ヒコ?」
「お前の『もうか』が凄まじくてシンジを魅了する逸品だとしても、『もうか』ってのは追い込まれてはじめて発動する。お前が順調にゴウカザルに進化すれば色々な事が出来るようになる。『もうか』に依存する理由は無い……お前以外にも優秀な『ほのお』タイプのポケモンはしっかりといる」
「……ヒコ……」
自分以外にも優秀な『ほのお』タイプが居ると言われればヒコザルはちょっと自信を無くす。
リザードン、ヘルガー、コータス、どれも優秀な『ほのお』タイプのポケモンだ。
「安心しろ、お前には物理『ほのお』の仕事がある」
「ヒコ?」
だがそれでもまだ足りない。
ヒコザルには物理『ほのお』タイプとしての仕事がある……正確には両刀に近いがヒコザルは物理『ほのお』ポケモンとして育てる。
「とりあえず『グロウパンチ』の練習だ……シュ!シュ!シュ!力を込めて拳を握れ!」
今覚える技は『グロウパンチ』だとシャドーをする。
ヒコザルはそれを真似る……シャドーをすることで『グロウパンチ』を会得するキッカケになる筈だろう。
「流石ね、サトシ……もうどういう風にすればいいのか考えてるだなんて」
「……自分がゲットしたポケモンをなんにも考えずに育成する方がどうかしてるぜ」
ヒコザルをどういう風に育てないのかもう未来が見えてることをセレナが流石と煽てる。
だが自分がゲットしたポケモンをなんにも考えずに育成していたらいけねえ……ポケモンにはそれぞれ個性がある。その個性を引き出せるかどうかが大事……と言えばヒコザルの1番の武器、通常よりも遥かに強い『もうか』が大事だろうが……それに関してはあまり使う気がしねえんだよな。
「「「ぎゃあああ!!やな感じぃいいい!!」」」
ヒコザルの『グロウパンチ』の特訓が始まっているとロケット団が星になって飛んでいった。
まだなんにもしてねえのになにしてんだ彼奴等は?なんか余計な事をしてなければそれでいいが……
「ザァン」
「グース!」
「ザングース!」
「……あ?」
ロケット団が星になったなと思っているとザングースの群れが出てきた。
なんか無駄に興奮をしているザングース。そういえばムサシの手持ちにハブネークが居たような居なかったような……
「「グース!グース!」」
「いかん!興奮して暴走した状態になっているぞ!」
ザングースの群れは興奮していた……ルカリオが暴走状態になっていると聞けば各々がモンスターボールを取り出す。
こういう事があるから野生のポケモンは油断がならない。
「グレッグル、『かわらわり』だ!」
「ウーラオス『すいりゅうれんだ』よ!」
「ルカリオ『はどうだん』だ!」
グレッグルが、ウーラオスが、ルカリオがザングースの群れを相手にする。
こりゃロケット団が余計な刺激を与えている可能性が高い……こういうのはボコボコにしておかなきゃならねえ。
「ヒコザル、お前も戦えるな?こいつらで『グロウパンチ』の特訓をするぞ!」
「ヒ……ヒコ……」
ザングースの群れを見てヒコザルは怯えている。
『もうか』を発動した時はザングースにやられて追い詰められた時だったとシンジは言っていたな。
「ヒコザル『グロウパンチ』だ!」
「ヒコ……ヒコ!!」
ヒコザルに『グロウパンチ』を使わせる……この土壇場で完成させたのかヒコザルは攻撃力が上がる。
ザングースは静まるかと思ったがゾロゾロと集っている。
「ザァン!」
「あいつか……ヒコザル、あいつに向かって『かえんぐるま』だ!」
こういう時は群れのリーダーを倒すのに限る。
群れのリーダーは何処にいるのかと探した結果、見つけ出した。彼奴を倒せばこの馬鹿騒ぎが起きるとヒコザルに『かえんぐるま』で突撃すればザングースは腕を交差させて『かえんぐるま』を防ぎ『ブレイククロー』でヒコザルを叩きつける。
「ルカリオ、あいつが群れの……っ!?」
「な、なんだこの炎は!?」
ヒコザルで倒せなかったがこっちにはルカリオも居る。
ルカリオで行くかと思えば『ブレイククロー』で地面に倒れているヒコザルの尻尾の炎が大きくなった。
『もうか』の発動……それはクロガネジム戦で見た。だがそれとは違う、ヒコザルから溢れんばかりの圧倒的なパワーを感じ取れる。
「ヒィ、コォオオオオオ!!」
ヒコザルは立ち上がった。だが、目が充血している。
さっき攻撃した群れのリーダーに向かって指示も出していないのに『かえんぐるま』で突撃する。
『かえんぐるま』で突撃すればザングースは受けようとするが圧倒的なパワーを前にしザングースは弾き飛ばされる。
「ヒコォ!ヒコォ!ヒコォ!」
群れのリーダーを倒したと思えば留まることをヒコザルは知らない。
『かえんほうしゃ』を一発当ててザングースを倒す。ザングースが倒れたのならば他のザングースに『かえんほうしゃ』を浴びせて一撃で倒す。ヒコザルの圧倒的なまでの『かえんほうしゃ』を前にしザングース達は逃げ出す。これで一段落だと思ったが……ヒコザルは暴走していた。
「ヒコォオオ!!ヒコォオオオオオ!!」
「ヒコザル、ザングースはもう逃げていった!落ち着くんだ!」
「ダメだ、完全に自我を失って暴走している!なにを言っても無駄だ!」
ルカリオはもう終わったのだと言うが、暴走している。
タケシは今のヒコザルに言葉を投げかけても意味は無いのだと言えば……ヒコザルはこっちに向かって『かえんぐるま』で突撃してくるので受け止める!
「ヒコォオオオ!ヒコォウ!」
「あっつ……ルカリオ『いやしのはどう』だ」
「だ、だが」
「コイツが『もうか』の一種なら『いやしのはどう』で治る!」
「そ、そうか!『もうか』は体力が追い詰められれば発揮する!『いやしのはどう』で体力を回復させて『もうか』の発動圏内を抜ければ」
オレが必死に動きを抑えている間に『いやしのはどう』を使うように言う。
今のヒコザルにそんな事をすれば水を得た魚じゃないのかと思ったのだろうがコイツは『もうか』の一種。
タケシが『いやしのはどう』で治る理由が分かればルカリオは『いやしのはどう』を送り込み『もうか』状態から強制的に元の状態に戻った。
「ヒコ…………ヒコ……」
「……覚えてないのね……」
ルカリオの『いやしのはどう』で『もうか』が発動しなくなる体力になった頃にヒコザルは辺りを見回す。
さっきまで居たザングースが居なくなっているが明らかに大きな焼け跡が残っている。もしかしてという顔をしているのでセレナがヒコザルに覚えていないのねと言えばヒコザルは落ち込むがヒコザルは元に戻っただけでオレは充分だ。
「コレがシンジを魅了した通常よりの遥かにパワーが上回っているヒコザルの『もうか』か……確かにこの『もうか』を使いこなせるようになればサトシのポケモンでも危ういだろうな」
「クククッ……シンジの目は狂ってなかったってことだろうな」
「でも、やっと引き出せても暴走しちゃったわよ?」
タケシがコレならば魅了されるだろうなとヒコザルの通常よりも遥かに強い『もうか』に納得がいく。
シンジの目は狂ってなかった……だが、現状使い物にならない。セレナが暴走して使い物にならないという。
「いいんだよ、この『もうか』に頼る戦闘は極力しねえ……仮に『もうか』が発動してコントロール出来ても『フレアドライブ』とかを使うわけにはいかねえしな」
シンジを魅了した圧倒的な力を持っている『もうか』は確かにヒコザルは宿していた。
だがオレはそれに頼ろうという考えは持っていない。『もうか』に頼らなくてもゴウカザルになれば充分に強い。
「ヒコザル、やったな」
「ヒコ?」
「『グロウパンチ』を完成させたじゃねえか」
ヒコザルを褒めればヒコザルはなんのことか分かってねえみたいだった。
『グロウパンチ』を完成させた……『グロウパンチ』は色々と便利な技だから覚えておいて損は無い。
ヒコザルに『グロウパンチ』が完成したと言えばヒコザルは『グロウパンチ』を使う。新しい技を覚えることが出来てヒコザルは喜んだ。
「ザングースを追い払う潜在能力をお前は秘めている……お前は弱いポケモンどころか強いポケモンだ……シンジの奴は気持ちが先走り過ぎてて前が見えなくなってやがる。ゆっくりとそしてしっかりと基盤を整えていくぞ」
「ヒコ!……ヒコ!?」
ヒコザルと気持ちを新たに一歩を進むとヒコザルは眩い光に包まれた。
原作的には大分先だった筈だがレベルからしてそうなってもおかしくはない……
「モウキャ!」
「クククッ……『グロウパンチ』を覚えて気持ちを切り替えたら進化したか」
こりゃシンジの圧迫したやり方じゃ限界があるって言ってるみてえだな。