闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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シンオウリーグ・スズラン大会!シゲル再び!(後編)

 

『伝説のポケモン、サンダーを倒した!!しかしまだまだ試合は続きます!』

 

「嘘でしょ……サンダーを単体で倒すなんて」

 

「それだけサトシが強いという証だ……さぁ、どう見る?」

 

 シンオウリーグ・スズラン大会準決勝第2試合、マサラタウンのサトシvsマサラタウンのシゲルと言う今大会屈指の好カードな組み合わせでバトルの幕が開いた。シゲルの初手サンダーに対してサトシはガブリアスで挑み、最終的にはガブリアスとヘラクロス、シゲルはラムパルドとサンダーを失った。

 

「ここが試合の序盤だ」

 

「……そうだな……初手サンダーで試合の流れを作ろうとしたがガブリアスに阻まれた。俺の記憶に間違いが無ければガブリアスをこのシンオウでゲットしている。そのガブリアスが勢いをつけない様にラムパルドで撃墜、ラムパルドは2番手のヘラクロスに呆気なくやられたがガブリアスがいなくなった事でサンダーが動きやすくなった。『ぼうふう』をヘラクロスを回避する手段を手に入れたから『かみなり』で攻めたが『がむしゃら』と言う隠し玉があった」

 

 サトシは勝ち進むだろうと分かっている。アランが俺に対して最後の課題を与えてくる。

 この試合を考察や推理しろと、この試合は地方リーグでやっていいレベルではない。チャンピオンリーグでも決勝戦でやらなければならないレベルの試合。俺の次の相手は四天王以上の実力者、なにも考えず勘と勢いだけで勝負する段階は過ぎている。

 1人のトレーナーとしてこの試合を見て思い知らされる。シンオウリーグ・スズラン大会で今のところは1番の名勝負、そして俺も彼処に至っているのでもっともっとバトルをしたいという欲求に駆られる。

 サトシが勝つのだろうが、それでもシゲルが勝てないわけではない。どっちにせよ俺の次の対戦相手はありえないレベルのトレーナーだ。

 

「あのガブリアス……レベルが高いが荒削りなところがあるな」

 

「わかるか?……ガブリアスは使えるからとサトシが短期集中育成をした」

 

 俺がガブリアスを育成しているのならばもう少し上手く『ドラゴンクロー』で『もろはのずつき』を反らす。

 ガブリアスが強い!と感じるが、それと同時にガブリアスの動きが荒削りなところがある。その事を指摘すればルカリオがガブリアスを短期集中育成した事を教えてくれる。シンオウでゲットして間もないが育成を一点に集中しガブリアスを鍛え上げた。手持ちに余裕があるトレーナーならば一点集中が出来るが手持ちに余裕が無いトレーナーは出来ない。

 今のサトシは5つほどパーティをバランス良く構築する事が出来るので他のポケモンのレベルが低くなるデメリットがあろうとも短期集中育成に時間を費やせる。

 

「……っち……だが、それでこそだ」

 

「めんどくさいオタクみたいな発言だな」

 

「お前がやれって言ったんだろ!」

 

 ホントに短い間でガブリアスを育てた、多分だが俺がアランに弟子入りしてからガブリアスをゲットしている。

『ドラゴン』タイプの中でも比較的に進化が早い上でチャンピオンのシロナさんの絶対的なエースであることから鍛え上げれば化けるのは分かっている。だが、この短い間で相性が悪くも良くもないサンダーの『ぼうふう』をまともに受けても倒れずパワーしか売りが無いがそのパワーだけは絶対に負けないラムパルドの『もろはのずつき』を弾くレベルまで育成している。並のガブリアスでは既に敗北をしている。サトシのトレーナーとしてのポケモン育成能力の高さに苛立つがそれでこそ倒す価値があるトレーナーだと逆に燃えてくる

 

「シゲル選手、ポケモンを!」

 

「よし……いけ!カメックス!」

 

「なに?」

 

 シゲルがサンダーが敗れてからヘラクロスが敗れたと言うのでシゲルが先にポケモンを出す。

 ここでシゲルはシゲルにとっての絶対的なエースであり最初のポケモンであるカメックスを導入した。カメックスは『ステルスロック』の尖った岩の破片がぶつかるがダメージらしいダメージを受けない。

 

「初手サンダーで失敗してエースの導入、なわけないぞ?」

 

「……そうなると除去か」

 

 試合の流れを一気に掴むために初手サンダーを決めたが失敗に終わり、次の手に移っていると考えたがアランは違うと否定する。

 シゲルの最後の砦はカメックス、いや、メガカメックス。全てに置いて超一級品のスペックをしており特性の『メガランチャー』と組合わさりありえない威力の攻撃が出来る。

 

「……頼んだぞ、ジバコイル!」

 

「リリリ!」

 

「っ……」

 

 カメックスに対してジバコイルを出した。

 相性の上では有利だがカメックスは『はどうだん』を覚えれる。メガカメックスになれば『はどうだん』を使い倒せなくもない。ただ……狙いはそこじゃない。

 

「っく!戻れ!!」

 

「なんだよ!?なにもしねえのかよ!?」

 

「あれが1番の最適解だな……それに気付くとは流石だ」

 

「えっと、どういうこと?」

 

 後ろでバカが何もしないのかよと驚いているがアランは納得した。

 セレナがどういうことなのかを理解していないので説明を求めるが今回は俺にしろと言われているので俺が解説する。

 

「カメックスの狙いは『こうそくスピン』で『ステルスロック』の除去だ。それさえ終わればシゲルはさっさとカメックスを引っ込めるつもりだが、その一手で『でんじは』を浴びせれる。その一手が試合の終盤で大きく悲鳴を上げる」

 

『ステルスロック』が地味に厄介だからカメックスの『こうそくスピン』でどうにかしたいという気持ちは分かる。

 アレはなんだかんだでジワジワと蝕むもので試合の終盤になっていけばホントに厄介なものだ。だからここでカメックスを導入したがサトシは牽制のジバコイルを出した。普通ならばここで『10まんボルト』等の強力な『でんき』タイプの技を連想するが、サトシはここで『でんじは』を選んだ。相手の切り札が『まひ』状態で動きが遅かったり動けなかったりは殺してくれと言っているも同然だ。

 

「サトシめ、ただポケモンを出すだけで分からせたのか」

 

「いや、この場合はシゲルがスゴいが正しい……多分、ここで気付いて引ける奴は早々に居ない」

 

 ルカリオがポケモンを出しただけで理解させたことを感心するが、ここでスゴいと評価しないといけないのはシゲルだとアランは主張する。それに関してはタケシやセレナも意見しない。自分達ならば攻められると危惧するがそれでも耐えてみせるで1手を通してしまう。

 

「いけ、ウインディ!」

 

「ディ!……ディン!?」

 

 4番手に出したのはウインディ、『ステルスロック』にやられてダメージを受ける。

『いわ』タイプの技だから受けるダメージはやはり大きいがそれでも持ち堪える。どういう風に動くか?

 

「ウインディ『ニトロチャージ』」

 

「ジバコイル『ロックオン』」

 

 シゲルのウインディは『ニトロチャージ』を使いサトシのジバコイルは『ロックオン』を使う。

 

「あのジバコイルは『がんじょう』個体、どう足掻いても一撃では倒すことが出来ない。ウインディの機動力を高め確かなダメージを与えて『がんじょう』の壁を破る為の『ニトロチャージ』だが、それを踏まえた上で『ロックオン』……一撃で仕留めるつもりか」

 

「『しんそく』があるけどジバコイルは『はがね』タイプ……割に合わないね」

 

 サトシのジバコイルがウインディの『ニトロチャージ』を耐えた。

 結構なダメージを入っているが『ニトロチャージ』は追加効果が便利な物で技の威力だけを見ればそこまで、サトシは一撃で仕留めるつもりで居るのだと気付けばスズナさんがウインディには『しんそく』がある事を言うが『はがね』タイプのジバコイルには通じない事を考えて割に合わないという。

 

「潔く『かえんほうしゃ』辺りで」

 

「いや、サトシのことだ。難しいと判断したら『だいばくはつ』を使うぞ?」

 

 シゲルの盤面がかなり厳しい事を考えるセレナは潔く『かえんほうしゃ』辺りでダメージを与えた方がと言うがタケシがサトシならば迷いなく『だいばくはつ』を使うことを指摘する。『だいばくはつ』を迷いなく使えるあいつはホントに恐ろしい。

 

「ジバコイル『でんじほう』だ!」

 

「ウインディ!『フレアドライブ』だ!!」

 

「これは…………そういうことか」

 

『ロックオン』は次に使う技を必中にするだけで素早く技を出す技ではない。

『ニトロチャージ』で素早さを上げて『でんじほう』を使うジバコイルを仕留める……だが、それで勝てるほどに甘くはない。

『フレアドライブ』で突撃するウインディに対して『でんじほう』を放つ、『でんじほう』を受けるがウインディは止まらずに『フレアドライブ』でジバコイルを突き飛ばし、今度は両者倒れる。

 

「ジバコイル、ウインディ、戦闘不能!……3体のポケモンが戦闘不能になった為にインターバルを挟みます!」

 

 素早さを上げてパワーのゴリ押しか……ホントに満遍なく出来るお手本通りな無駄が無いポケモンバトルだ。

 5分間のインターバルを挟むことになったので俺はジュースを購入する。

 

「『ステルスロック』がまだ場には残っているな……これが悲鳴を上げるが、流石のサトシも相手を牽制する手は無い。シゲルの後半戦最初の1体は絶対にカメックスだな」

 

「まぁ、そうなるだろうな……このまま何もなければサトシが勝つだろう。だが、シゲルはそれを理解しているから何かしてくるだろ」

 

『ステルスロック』が地味に厄介だがもう『ステルスロック』を解除するカメックスに対する牽制球なポケモンはいない。後半戦最初のポケモンはカメックスと予測しアランも頷く。とは言え前半戦でカメックスを出させてダメージを少しでも与えている……ホントにやりたかった『まひ』状態に出来なかったのはサトシには痛手だろう。

 そしてアランの言うようにこの流れで行けばサトシが勝つ、シゲルはサトシを刺せる背中にまで追いついているが最後の壁に阻まれている。

 

『さぁ、後半戦の開始です!』

 

「いけ、カメックス!」

 

「ガメ!」

 

「いけ、ジュカイン!」

 

「ジュウ!」

 

 5分間のインターバルを終えればシゲルがカメックス、サトシがジュカインを出した。

 ジュカインも状態異常の技を覚えさせれるがあのジュカインがそういうのをした記憶は無い。オーガポンの変則的な戦いとは異なる育成をしているのはアランから少しだけ聞いた。

 

「『こうそくスピン』で『ステルスロック』を破壊しろ!」

 

「『にほんばれ』だ!」

 

「戻れ!」

 

 読み通り『こうそくスピン』で『ステルスロック』を破壊した。そしてその為だけに呼んでおいたと言わんばかりに迷いなくカメックスを戻した。シゲルの手持ちは残り3体内1体はカメックス、メガカメックスになれるがジュカインはメガジュカインになれるのでメガシンカのアドバンテージは無い。

 

「いけ、ボーマンダ!」

 

「……相性最悪か」

 

 シゲルの5体目のポケモンはボーマンダだった。ジュカインにとって相性がこの上なく最悪なポケモンだ。

 

「ジュカイン『リーフブレード』の乱れ打ちだ!」

 

「出たな『リーフブレード』」

 

 本来ならば直接ぶつける『リーフブレード』を遠隔斬撃として使う。

 本来の威力よりは遥かに劣るがこの場合は質よりも量で攻める、とにかく手数で攻める。

 

「シゲルクラスに、それが通じるのか?」

 

 シゲルのボーマンダは見るからに強そうでなくホントに強いポケモンだ。

 ただでさえ相性が不利なのにと思えば案の定、質より量で攻める遠隔斬撃の『リーフブレード』を何発も受けていてもボーマンダは苦しい表情を1つも浮かべずにジュカインの目の前にまで接近した。

 

「『ドラゴンクロー』」

 

「そのパワー勝負を待っていた!『ドラゴンクロー』だ!」

 

 ジュカインは『ドラゴンクロー』で近付いてきたボーマンダを撃墜しようとする。シゲルはそれを読んでおり『ドラゴンクロー』で対抗する。おそらくは素早さはジュカインの方が上なのだろうがパワーの方が、『ドラゴン』タイプのボーマンダが『ドラゴン』タイプの『ドラゴンクロー』を使っているから威力が高い。

 

「メガシンカがあるなら、それをすればいいのに」

 

「いえ……メガジュカインになれば『ドラゴン』タイプが付与されて逆に不利になる可能性が高いです」

 

 スズナさんがメガジュカインになればボーマンダと渡り合える事を指摘するがメガジュカインになれば『ドラゴン』タイプが追加される。『ドラゴン』タイプも弱点になるので下手に使うことが出来ない。

 

「ジュカイン、距離を取れ……凝縮タイプの『ソーラービーム』だ」

 

『ドラゴンクロー』同士がぶつかるが、ボーマンダの方がパワーが上だ。

 それはサトシも承知しており『ドラゴンクロー』のぶつかり合いを割とすぐにやめる。ボーマンダも中々に速いがジュカインはそれを軽々と上回りボーマンダと距離を開いた。そして……世間一般がイメージする『ソーラービーム』とは違う小さなビームが出た。

 

「なんだよ、あのへっぽこな『ソーラービーム』は!?」

 

「おそろしいな……あの『ソーラービーム』は」

 

「ええ、ボーマンダが苦痛の表情を浮かび上げてるわね」

 

 その名の通り溜め込んだ太陽の光をビームにして放つ『ソーラービーム』

『にほんばれ』でチャージを不要とし速射させるが普通の『ソーラービーム』ならばもっとデカい光線になっている。だが、サトシのジュカインは『ソーラービーム』を更に凝縮した。小さくすることで威力と速度が更に高まった『ソーラービーム』になっておりセレナが今まで『くさ』タイプの技を受けても特になにも無かったボーマンダが苦しそうにしていると指摘する。そしてそこで攻撃の機会が来る。

 

「『ドラゴンクロー』だ!」

 

『ドラゴンクロー』をジュカインは目にも止まらぬ速さでボーマンダに叩き込んだ。

 ボーマンダは飛ばされて1回2回と弾み起き上がろうとするが起き上がることが出来なかった。

 

「相性最悪のボーマンダを……そんなことが可能なのですか……」

 

「…………それが可能だから化け物だ」

 

 コウヘイだったか?ジュンと言い他の奴等が耳を傾けてくるのが鬱陶しく感じる。

 アランに最後の課題としてやれと言われた解説を色々と入れているのを聞いて意見を出したそうにするが、今回は解説しかするつもりはない。

 

「ボーマンダ、戦闘不能!ジュカインの勝ち!」

 

「戻れ……相性をひっくり返すとは……だが、次で君にブレーキを踏ませる。いけ!バドレックス!!」

 

「……アレは……スズナさんのブリザボスに似ている?」

 

 シゲルを着実に追い詰めているがシゲルはまだ終わらない、5体目のポケモンを出したが俺の知識に無いポケモンだ。

 スズナさんのブリザボスに似ているポケモンに乗っているポケモン、アレはなんだ?と思っているとアランが驚いていた。

 

「まぁ、ブリザボスが居るから居るのは分かっていた事だが……黒馬か」

 

「アラン……説明を」

 

「あのポケモンはバトレックスとレイスボス、非常に珍しい2つが合体して1体になるポケモンでこくばバトレックスと言うカウントをする。ジャンルで言えば幻や伝説級でありタイプは『エスパー』と『ゴースト』……足速くてクソ高い火力で殴れるポケモンだ」

 

 アランは知っているので説明をスズナさんが求めれば答えた。

 バドレックスのこくばの姿、なにやら聞くだけでもスゴく特別な感じを連想させられるポケモンだ。アランはシンプルな強さを持っていると説明をしてくれる。

 

「クククッ……そいつはビックリだな」

 

「サンダーとメガカメックスで失敗したのならば新しい手は当然必要だろ?……言っておくがサトシゲッコウガに負けない強さを持ってるよ」

 

「戻れ、ジュカイン。いけ、スイクン」

 

「クォオオオン!!」

 

 サトシはこくばバドレックスを見て玩具を手に入れた子供のように喜んでいた。

 もしこくばバドレックスが居なければサトシの勝ちは確定だったから俺でも喜んでいた。ジュカインにはデカいダメージは無いが危険だと引いた。アランがシンプルに素早くてパワーがあるポケモンと言っていたのとこの反応からしてサトシはこくばバドレックスに関する知識を持っているのか。

 

『皆様!スイクンです!スイクンが現れました!!』

 

 伝説のポケモンの中ではメジャーで知名度が高く追いかけているトレーナーが居るスイクン、会場が一気に盛り上がる。

 そしてここで『にほんばれ』の効果が消える。

 

「バドレックス『アストラルビット』だ!」

 

「スイクン『ミラーコート』だ!」

 

「……何時もなら『めいそう』を積んでそうだけど」

 

「バドレックスは『くろいきり』を覚えるしなによりも、パワーがデカすぎる……スイクンの耐久力をも軽く凌ぐパワーを持っている」

 

『アストラルビット』と言う技で攻めるバドレックス。

 見たところなにか特別な感じな追加効果は無い、ただし至ってシンプルな広範囲の高火力な技だ……この感じだと俺のガチグマの『ブラッドムーン』を越えている可能性がある。

 セレナはなんだかんだありながらも何時もは『めいそう』を使って耐えながらの戦法だが今回サトシは迷いなく『ミラーコート』を選んだ事について気にするがアランがバドレックスの『アストラルビット』が強すぎる事を教えてくれる。

 

「純粋に速くてパワーがあるか……至ってシンプルが1番厄介だな」

 

「持っている技術とかを上手く使い分けて戦うのがトレーナーだが、あれは……恐ろしいな」

 

 スイクンの『ミラーコート』よりも『アストラルビット』が先に入った。

 アランの言っていた様に純粋に速くてパワーがある、至ってシンプルが故に1番厄介でタケシはアレは強すぎて恐ろしさを感じる。

 アランが何度も伝説のポケモンは毒でもあり薬でもあるという注意、サトシもここぞという時しか伝説のポケモンを使わない、その理由はここにある。基礎的なスペックが他を寄せ付けない圧倒的……どうする?『ゴースト』タイプならば『しんそく』は通じない、『ミラーコート』で跳ね返す事は失敗に終わった。普通に火力勝負も素早さ勝負も勝てない。技術もあのシゲルならば叩き込んでいる筈だ。

 

「バドレックス『わるだくみ』だ!」

 

 ただでさえ強いのに、パワーを上昇させるタイプの技を覚えているのか!?

 

「『ぜったいれいど』だ!」

 

 そしてそれを読んでいたのか!

 

「……立っている?」

 

「……『ぜったいれいど』は相手の方が強い場合通じないんだよ……スイクンよりもこくばバドレックスが強い」

 

 サトシが『ぜったいれいど』を指示して『わるだくみ』中のこくばバドレックスに攻撃するが何事もなく立っていた。

 スズナさんが『ぜったいれいど』は相手より弱い場合は通じない……パワーとスピードとレベルがバドレックスがスイクンを上回っている。バドレックスの方がレベルが高い。

 

「『アストラルビット』だ!」

 

「『ものまね』だ!」

 

「無駄だ!パワーが足りない!」

 

「当てなきゃいいんだよ!!」

 

 スイクンは『ものまね』を覚えるのか……。

 今までの知っているスイクンの動きではなくなっている、それだけサトシが追い詰められているという証拠だ。『アストラルビット』をスイクンが『ものまね』するがスイクンの『アストラルビット』はバドレックスの『アストラルビット』に殆ど消される、が、一部はバドレックスに当てた。

 

「パワーとスピードは兼ね備えているが、耐久力はスイクンが上か……『ボディプレス』の様な防御力を攻撃力に変えるタイプの技があれば」

 

「……」

 

「『アストラルビット』」

 

「『アストラルビット』だ!!」

 

 サトシのスイクンは『アストラルビット』を使う。こくばバドレックスも『アストラルビット』を使う。

 広範囲にも及ぶ『アストラルビット』は相殺かと思ったがこくばバドレックスの方が威力が高く相殺は出来ない。そのまま力技で押し切られてしまいスイクンに命中しスイクンは倒れた。

 

「スイクン、戦闘不能!バドレックスの勝ち!」

 

「…………」

 

 俺が手も足も出なかったスイクンをシゲルはバドレックスで倒した。バドレックスの恩恵が大きいのは確かだがそれでもシゲルは倒した。今まで余裕を残しての快勝か伝説級やメガシンカがぶつけられて苦戦するのどちらかだったが、一方的に倒されるのははじめてだ。

 俺が同じ条件でここまで行けるかと聞かれれば難しい……だからアランに弟子入りしている。

 

「いけ、ジュカイン!」

 

「ジュウ!!」

 

「ジュカイン、メガシンカ!」

 

「……ちょっと情けない事をしてしまったな」

 

「サトシのことを言っているなら怒るわよ?」

 

「違う……俺は今回、シンジに勝ってほしいと思っている……ビデオカメラの1つでも用意しておかないといけないと後悔してる」

 

 ジュカインが再び現れメガシンカをした。

 それを見てアランが自分を情けないという。セレナがサトシについて情けないと言うなら怒ると言うがアランは俺に加担出来なくて情けないと嘆いている。

 

「ビデオカメラが無くてもこの目で焼き付けるからいいんじゃないの?」

 

 

 この試合を最前席で生で見ることが出来ている、この試合を見るだけでホントにトレーナーとしての経験値が多く入る。

 スズナさんはそれをわかっているから焼き付けるだけで充分なことを言うのだがアランはなにか言いたそうにしている。

 

「なにが、ある?」

 

「サトシが全力を出す」

 

「む?今まで本気で全力だぞ?」

 

 アランがなにかを予見している。

 メガジュカインの『リーフブレード』で攻める。弾幕は展開したら『アストラルビット』にやられるので至近距離で戦う、『アストラルビット』を撃たせるよりも先にと動くがこくばバドレックスがホントに規格外の速度を持っている。ただでさえ速いジュカインがメガジュカインになって更に速度が上がっているにも関わらずそれをも上回る。

 テッカニンやレジエレキぐらいしか勝てるポケモンが居ないんじゃないのか?と思える。

 

「ジュカイン、戦闘不能!バドレックスの勝ち!!」

 

 メガジュカインは何回か『リーフブレード』で攻める。途中で『アストラルビット』が襲ってくるがそれを切り裂いて『リーフブレード』を直接叩き込むがこくばバドレックスは倒れない。『リーフブレード』で『アストラルビット』を切れると分かれば文字通り切り進むのだが『アストラルビット』は背後からも忍び寄り捌ききれずジュカインに命中してジュカインはメガジュカインから元のジュカインに戻った。それはジュカインが戦闘不能になったという証で審判が判定を下した。

 

「サトシが、追い詰められた…………シゲルのバドレックスはまだ動ける。『ステルスロック』を2回受けたカメックスにはメガカメックスがある」

 

 タケシの脳裏にサトシの敗北が過る。

 こくばバドレックスだけでも非常に厄介な相手なのに裏にメガカメックスが控えている。メガシンカの枠を既に使っているからメガリザードンYは出来ない。

 

「クククッ……ハハハ……いやぁ……最高だ」

 

 圧倒的に追い詰められた状況の中でサトシは笑った。

 この状況は理不尽としか言えない……それでもサトシは真剣勝負を楽しんでいる……

 

「「「「っ!」」」」

 

「バゥッ!?」

 

 変わった、一瞬にして空気が変わった。

 遂にサトシが負けちゃうのかと、今度はシゲルが勝つのかなどの色々な言葉が飛び交う中でそれに気付いたのはホントに僅かだった。

 幸いと言えるのはスズナさん、タケシ、俺、セレナはその変化に気付いたことだろう。ルカリオもそれに気付いた。

 

「サトシの雰囲気が変わったぞ!なにがあった!?」

 

 ルカリオがサトシの雰囲気が変わったことを指摘する。

 アランはそれが起こるのを最も最初に分かっていた、分かっていたからルカリオは聞いた。サトシになにが起きているのかを。

 

「……サトシは持っているポケモンのレベルは高く多彩な技を持っている。その上で高度な戦術を使い腹の探りあいや相手を牽制するビビらせあいなんかが上手い。サトシは演算処理能力じゃ俺には勝てないって言うけどそっちの勝負ならサトシに俺は勝てない」

 

「……それで?」

 

「サトシは……強すぎるんだ」

 

「強すぎるって、今更なことをなんで」

 

「……アベレージが高い、高すぎる。だからサトシが追い詰められることなんて早々に無い。博打要素はあれども打算がありながらの勝負をしている……そして今、サトシは徹底的に追い詰められた。ダメージを与えているとは言え厄介なこくばバドレックス、後ろに控えているのはメガカメックス、この状況でメガシンカ等無しでの形勢逆転はまず無理だろう……だが、その無理を可能にするのが火事場のクソ力だ」

 

「まさか……追い詰められて出てくる力がやっと出たのか?」

 

 かつて俺が求めたヒコザルの『もうか』の様に追い詰められないと出せない力はある。

 精神論と言えばそこまでだが、追い詰められて崖っぷちになれば思考が加速する事は多々ある。サトシは今まで追い詰められることはあったがそれでも綺麗に、華があると言える勝利を何度もしている。だから崖っぷちとは程遠い。

 追い詰められることで人は色々と変わる。現に俺は追い詰められた、その結果、アランに頭を下げて弟子入りした。

 

「やっとってのは少し語弊があるが、追い詰められることで出る力が出たのは確かで……この状況にピッタリなポケモンは1体、サトシの文字通りの絶対的なエースがまだ出ていない」

 

「っ!!」

 

「さぁ、いくぞ!ゲッコウガ!」

 

「コウガ!!」

 

 サトシは持っているポケモンの数以外は基本的にはバランスが良い。

 役割分担は勿論のことタイプが絶妙だ……スイクンやラティアスに目が行きがち、と言うかシンプルに出番が回ってこない。他のポケモン達が強すぎて。サトシを知っているトレーナーならば知っている、スイクンでもメガリザードンYでもない文字通りサトシのポケモンで最強のポケモン、ゲッコウガ。

 

「出たか……あの時は一瞬だった。『くさむすび』であっさりと勝負を奪われ、その真の力を見ることすら無かった。だがあれから2年……そこまで至った!!」

 

「ゲッコウガ、やるぞ!」

 

「コウガ!!」

 

 ゲッコウガを中心に水柱が出現する。ゲッコウガに纏わりつけばゲッコウガは姿を変える。

 サトシと相対する場合、絶対に避けて通ることは出来ないサトシゲッコウガ。サトシゲッコウガを見たことが無い人が大半なので不思議なゲッコウガ!と叫んでいる。

 

「ゲッコウガ『つじぎり』だ」

 

「『アストラルビット』だ」

 

 弱点の『あく』タイプの『つじぎり』で攻めるゲッコウガ。

 こくばバドレックスは『アストラルビット』で無数の幽霊を出現させるがゲッコウガ、いや、サトシゲッコウガは『つじぎり』で斬り伏せる。

 

「動きの質が違う」

 

 メガジュカインが悪いんじゃない、サトシゲッコウガが違い過ぎる。

 アランがカメラを持ってきていない事を後悔したのも頷ける、俺も瞬き1つ許してはいけないと思う……究極静技……

 

「追い詰められてやっと発揮できる120%の力、今のサトシはゲッコウガと一緒にこくばバドレックスをどういう風に倒すしか見えてないし聞こえていない。余計な情報は全て遮断し必要な情報のみを取り入れていて高速で情報処理している」

 

「アラン、それって……ゾーンって呼ばれるやつじゃないの?」

 

「ポケモンバトルにおいてトレーナーは指示役だ、実際に動くのはポケモンだ……ただ将棋やチェスを極めた奴は時間が止まったかの様な感覚に到れると、バスケや野球とはまた違うゾーンがあるとは聞いたことがある。サトシは追い詰められて、その領域に入るための扉を開いた。そして軽々と入った」

 

 ゾーンと呼ばれる極限の集中状態に至ったんじゃないかとスズナさんが聞いた。

 ゾーンは聞いたことがある。アランがサトシが入ったゾーンはスポーツ選手が入るゾーンとは少し異なるゾーンに入っていることに気付く。

 

「『あくのはどう』からの『つじぎりX』」

 

 サトシゲッコウガは手に持っている『つじぎり』の刃に『あくのはどう』を纏わせた。

『あくのはどう』を『つじぎり』の斬撃に乗せて飛ばしたと思えばそれと同時に『あくのはどう』を纏わせた『つじぎり』でこくばバドレックスに攻撃した。

 

「バドレックス、戦闘不能!ゲッコウガの勝ち!」

 

「戻れ……先に言っておくよ。このこくばバドレックスと毎日メガカメックスは戦っている!いけ、カメックス!そしてメガシンカだ!」

 

「ガァメェ!!」

 

 こくばバドレックスは戦闘不能となり、シゲルは最後のポケモン、カメックスを出した。

 相手がサトシゲッコウガなのでメガカメックスに即座にメガシンカさせた……………………

 

「もうすぐ、終わるのか……」

 

 分かっている、ポケモンバトルにはしっかりと終わりがあるのを。どちらが勝ったか負けたかを決めるのがバトルなのを。

 だが、だがまだ見ていたい。もっともっと見せてほしい、この時間が終わってほしくない。そう思っているとアランに肩を掴まれた。

 

「馬鹿野郎、お前はこれ以上を目指すんだろ?」

 

「ッ……」

 

 サトシとシゲルの激闘の熱に当てられてしまい我を失ってしまった。

 この時が永遠に続けば良いのにと言う思いは嘘ではない、アランにポケモンバトルを楽しいと思っていないと気付かされた俺が楽しいと思える。こんなことは滅多に無い。アランが正気に戻してくれて、俺はコレを越えるのだと、これ以上を生み出す。その為に厳しい修行を乗り越えたんだ。

 

「…………アラン、お前に弟子入りしてお前が師匠になって今日ほど良かったと思った日は無い」

 

「出来ればそれは勝ってから言ってくれ」

 

 この熱に我を失っても無理はないと言われても俺は否定出来ない。アランが現実に引き戻してくれた。アランでないと無理だっただろう。

 

「カメックス『はどうだん』だ!」

 

 メガカメックスは『はどうだん』を使う。3つの砲台から素早い『はどうだん』を放つのだがサトシゲッコウガはスパッと斬り伏せる。

 

「ダメだアレだと。ただ速いだけでは意味が無い……緩急を入れないと」

 

「……シンジ?」

 

 俺の脳裏に俺ならばこうするというイメージが鮮明に過る。

 そしてシゲルはカメックスに速度が違う3つの『はどうだん』を使う。速度が違うことで1つを斬ってから次を斬るが出来ずサトシゲッコウガは『はどうだん』を受けるがそれでも起き上がる。

 確かなダメージになると思ったがサトシクオリティ、そこそこのダメージで終わっている……

 

「『はどうだん』そのものを当てることが出来ている……いや、違う、『はどうだん』を連撃すればいい」

 

 シゲルはメガカメックスに『はどうだん』を使わせる。

 3つの砲台から放たれる『はどうだん』だがよく見ればサイズが異なっている、腕の砲台よりも背中の砲台の『はどうだん』の方が大きい。となると両腕の『メガランチャー』の『はどうだん』でサトシゲッコウガの力を削いで背中のデカい『メガランチャー』の『はどうだん』で削り切る。

 

「アラン、シンジが……大丈夫、なの?」

 

「壁を越えた証拠だから問題は無い」

 

 見える分かる考えれる。

 サトシゲッコウガの動きが手に取るように分かると言えば嘘になるが、今まで見えなかった道が見えるようになった。

 スズナさんが俺を心配している様だが問題は無い。これだ、この状態だ。方向性は分からないが、俺もサトシと同じ高さまで至った。燃える筈が頭がスゴくスッキリしハッキリする。

 

「ゲッコウガ『かげぶんしん』」

 

「無駄だ!『はどうだん』は本体を見分ける!」

 

「その為の『かげぶんしん』じゃねえ!!『みずしゅりけん』だ!!」

 

 サトシゲッコウガが無数の『かげぶんしん』を生み出した。

『はどうだん』は必ず当たると言われている技の1つでシゲルは通じないと言うがサトシが『はどうだん』を知らないわけがない。無数の『かげぶんしん』が1つになり巨大な『みずしゅりけん』を生み出し『みずしゅりけん』が熱を帯びて真っ赤に染まりメガカメックスに投げられてフィールドが水蒸気に包まれる。

 

「ガァ……メェ……」

 

 フィールドにはメガカメックスとサトシゲッコウガが向かい合っている。

 メガカメックスは倒れた。メガカメックスからもとのカメックスに戻り審判は頷いた。

 

「カメックス、戦闘不能!ゲッコウガの勝ち!よって勝者、サトシ選手!」

 

『し、試合終了ぅうう!!激闘に継ぐ激闘を制したのはサトシ選手だ!!どちらが勝ってもなに1つおかしくはないこの試合、勝利の女神が微笑んだのはサトシ選手!』

 

「…………ッ!!」

 

「だ、大丈夫?」

 

「大丈夫です……少しフラッと来ただけです」

 

 試合が終了したのだと分かれば尋常ではない疲労感に襲われた。

 スズナさんが心配をするので少しフラッと来ただけで何処か怪我をしたわけじゃないと教えるが心配そうにする。

 

「なにが、試合を皆見ていたのにシンジだけがなにかが違うように見えたんだが」

 

「それはその通り、正解だ……シンジは壁を越えて究極の集中力を手に入れた。ゾーンを更に凝縮した集中力、30秒が限界だがその30秒の間はチャンピオンすらも凌駕する……集中爆発(バースト)か、集中爆発(バーストモード)とか言う技術だ」

 

 タケシが俺の変化に気付きアランが頷き、ゾーンを凝縮した究極の集中力を手に入れた事を教えてくれる……

 

「まさか……」

 

「言ったはずだ、最後の課題だと……短期集中育成難易度ルナティックコースで相手がサトシ、最後の一押しは重要だろ?」

 

 この状態に足を踏み入れる為にアランは俺に解説や考察をさせた。

 文字通り最後の課題であり、その課題を無事に乗り越えることが出来た……疲労感は酷い、だがそれでも会得したものがとても大きい。

 

「なんだよ……シンジもサトシも、オレが、オレが知らない間にポンポンとオレが必死になって越えようとしてる壁を越えやがって……なんなんだよ……」

 

 ジュンの奴が勝手に折れているが知ったことじゃない。

 サトシの敗北が頭に過ったがやはりサトシが勝ち上がった。決勝戦は俺とサトシ……サトシが届かない高みからすぐ隣に居るレベルにまでやって来た。

どっちにしよう

  • でんきテラスタルヌケニン
  • メガリザードンX
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