闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「クククッ……とんでもない熱気だな」
シンオウリーグ・スズラン大会の決勝戦、対戦相手のシンジと向かい合い睨み合った。
アランに弟子入りする前ならばともかくアランに弟子入りして心身共に鍛えなおした。ホウエンリーグ・サイユウ大会でハルカと対峙した時は感じなかった。ハルカが悪いってわけでもねえ。基礎しか教えてねえオレが悪いってわけでもねえ。
ハルカは色々なところを旅したいという思いでポケモンを貰った。だが、シンジはレイジさんの背中を見て育ち、実家は育て屋でポケモントレーナーとして強くなるという思いなどがあった。
単純なスペック、生まれ持っての才能、そしてその才能を開花させる為の過酷な環境、優秀な師、生まれ変わるキッカケ、新たなる力、シンジは全ての条件がピッタリとハマった。
「ルカリオ、感じるな」
「ああ……今まで出会った者の中で最強だ」
最強で最高の状態のシンジ、シゲルとの戦いで力の出し方を学んだオレとの決勝戦。
審判はオレ達の熱気に当てられて、審判としての重圧が凄まじくシロナに代わった。
「コイントスは?」
「表だ」
「裏だ」
どっちがポケモンを先に出すかの順番を決めるコイントスが行われる。
コイントスの結果は裏、シンジがポケモンを後に出す。何時もだったらこのコイントスを当てまくるんだが、運気すらもシンジは会得しているか。
「ルカリオ、頼んだぞ」
「バゥ!!」
「ルカリオか……ドダイトス、バトルスタンバイ!」
「ドゥ!!」
オレの1体目のポケモンはルカリオ、対するシンジのポケモンはドダイトス。
文字通り全力で挑んでくる以上はポケモンを絞らないといけない。ドダイトスはシンジが最初に貰ったナエトルが進化したもので、シンジの持っているポケモンの中でも特にレベルが高い。エイチ湖でフルバトルをした時はシンジのコンディションが悪かったが、全て吹っ切れて前に進み出している。
エイチ湖でバトルをした時のドダイトスとはもう違う。
「試合開始!」
「ルカリオ、『はどうだん』だ」
「ドダイトス、『はっぱカッター』改!」
シロナが試合開始の合図を告げれば先ずは手始めにと『はどうだん』で攻める。
ルカリオは『はどうだん』を撃つ構えを取るが、たった1枚だけだが圧倒的な速度で飛んでくる『はっぱカッター』が命中し『はどうだん』を失敗した。
「アレは、複数連発系の技を1つに凝縮したもの……」
「ドダイトスを運用していく上で『はっぱカッター』を極めないといけないからな、当然教えている」
オレが一部のポケモンに教えている連発して当てる技の威力を一点に絞った物を見て驚タケシ。
アランはドダイトスを使う上で『はっぱカッター』を極めないといけないとシンジにドダイトスの正しい使い方を教えている。
「さぁ、どうする?ルカリオの代名詞である『はどうだん』は潰れたぞ?」
「ルカリオ、走り回れ!」
シンジが煽ってくる……まだ試合は始まったばかりで勢いを掴みたいと言う思いはある。
だが、その思いは不要。今のシンジ相手には欲の皮を突っ張って行動したらその時点で一気に試合の流れが奪われる。
ルカリオはドダイトスの周りを走り回るように指示を出せばルカリオは走り回る。ドダイトスは……追いかけないか。
「ルカリオ、『かげぶんしん』だ!」
「甘い!真『はっぱカッター』だ!」
ルカリオの代名詞である『はどうだん』を使う前に『はっぱカッター』が当たり『はどうだん』を上手く使えない。
シンジは『はどうだん』は使えないぞと言ったがまだ出来ることはあると『かげぶんしん』を指示した。移動しながらの『かげぶんしん』の作成で、間隔等の法則性が一切無い分身が無数に生み出された。だが、シンジにとってそれは想定内だった。
『な、なんだこの『はっぱカッター』は!』
「コレは……逆に使っているのね……」
「ええ。ドダイトスの『はっぱカッター』はドダイトスの背中にある木から放たれる。パワーを一点に凝縮した『はっぱカッター』改とは逆の発想、パワーをより分散させた真『はっぱカッター』、ドダイトスは背中の木から全方向に無数の『はっぱカッター』を放てるわ」
セレナがさっきの『はっぱカッター』改と逆を行っている事に気付きスズナが解説を入れる。
1点集中の『はっぱカッター』でなく力をより分散させた『はっぱカッター』……質よりも量を極めたと見せて四方八方に分身をしているルカリオに向かって当てる。
「っぐ……ダメージこそ少ないが攻撃のチャンスが見えんな」
「クククッ……そうこなくちゃ」
威力を分散させて数を増やした真『はっぱカッター』によって無数の『かげぶんしん』を作り出したルカリオの分身を突破する。
当然本物のルカリオにも命中はしたが威力を拡散させている『はっぱカッター』だから大してダメージにならない。だが、ルカリオは感じている。オレも感じている。攻撃するチャンスが生まれていないのを。
「さっきから『はどうだん』をどういう風に当てるか?で動いているな……サトシ自身がドダイトスを持っていてドダイトスの様な動きが遅い重量級のポケモンの戦闘方法を知っている。シンジもそれを知っていて、重量級の戦闘スタイルを知っているから近づいて来ない相手に対する対処法も知っている……同じポケモンを持っていて、同じスタイルで鍛えているからお互いに攻略法を熟知しているな」
「お互いにポケモンは交代する事が出来るトレーナーだし、奇策な技術も持っている……千日手になるんじゃないかしら?」
オレが『はどうだん』を当てる戦闘スタイルで行っている事にタケシは気付く。
お互いドダイトスの使い方を知っているから攻略法を知っている。そしてお互いにポケモンを交代することが出来るトレーナー、時には奇策に走ることも出来る。セレナが千日手になって行き詰まっていて交代をするんじゃないのかと考えた。
だがオレもシンジも交代は一切視野に入れていない。
「……」
「クククッ……泥沼になればやりづらいのはお前じゃないか?」
素早い動きでの戦闘をドダイトスは出来ない。
『はっぱカッター』を自由自在にコントロールすることが出来ているのだがルカリオに大きなダメージを与えることは出来ていない。
どうしてもドダイトスの間合い、近距離物理戦に持っていかないといけない。だが、ドダイトスはオレも持っている。だからなにが出来てなにが出来ないかの運用方法を通常のトレーナーよりも知り尽くしている。
「ドダイトス『ストーンエッジ』だ!」
「ルカリオ、パワーを溜めて『はどうだん』」
オレの狙いは『はどうだん』を当てることだ。そこは変わることはない。
シンジは攻め手を変えてオレを揺らすのかそれとも自力で突破口を切り開くか考えた末に『ストーンエッジ』を指示した。
地面から生えるタイプの『ストーンエッジ』じゃなくて岩の破片を飛ばしタイプの『ストーンエッジ』だ。ご丁寧にまばらでなく一列に並んで飛んでくるのでルカリオに通常よりも込めるパワーを増やした『はどうだん』を放った。
『ストーンエッジ』がボコンボコンと破壊されていきドダイトスに『はどうだん』が命中した……だが、『ストーンエッジ』に当たった事で通常よりもパワーを溜めた『はどうだん』の威力は落ちた。『しんくうは』ぐらいにまで落ちた。
シンジのドダイトスのレベルは高く、その程度では大したダメージにはならない。
「普通に『はどうだん』をぶつける、か……」
一応は『れいとうパンチ』をルカリオには覚えさせている。
殴ることは可能だが、そうなるとドダイトスの間合いに入ってしまう。ドダイトスの『ぶちかまし』を受ければ流石のルカリオでも戦闘不能になる。シンジはどうにかしてドダイトスの間合いにルカリオを入れる。オレはルカリオの『はどうだん』を普通にぶつける。
どっちも手を知っているのはホントに厄介だ……だが、少し見えてきたな。
「ドダイトス『ストーンエッジ』タイプB!」
少しずつ攻略法が見えてきたと思っているとシンジが手を変える。
岩の破片でなく地面から岩が生えるタイプの『ストーンエッジ』を使う。反応することが出来ない速度じゃない
「ルカリオ、法則性はある。踏み台にしろ」
ドン!ドン!ドン!と地面から岩が出てくる『ストーンエッジ』
何処からともなく変なところから出てくるという事はない、一筆書きの様に続いているから出るタイミングは分かる。
ルカリオに法則性があることを伝えればルカリオは『ストーンエッジ』を見て、来るタイミングを見極めた。
「バウ!」
ルカリオは『ストーンエッジ』に飛び乗る。
シンジは『ストーンエッジ』のタイミングを変えたり『ストーンエッジ』が出るルートを変えたりはしない。
『ストーンエッジ』と『はっぱカッター』でルカリオを倒せるなんて考えれない……まだ1体目で後続の事を考えての『ステルスロック』を使えば迷いなく『れいとうパンチ』を叩き込みに行く。
ポケモンの交代はオレは視野に入れていない。相手のポケモンがクラウンエンテイとクレセリアで無いかぎりは最初に出すポケモンはルカリオと決めている。ルカリオで突破口を切り開く。
「ルカリオ、『はどうだん』だ!」
「バウ!」
『ストーンエッジ』の岩を飛び移り続けて程良い間隔の距離を取れた。
狙いは今だとルカリオは『はどうだん』をドダイトスに向かって放つ。ドダイトスは『はどうだん』を受けたが倒れない。
シンジのドダイトスは攻撃を受けるのを前提に育成しているから防御面が硬い……だからと言って欲張って『れいとうパンチ』は出来ない。
「どうする?後に繋ぐバトルでもするか?」
「バカを言うな。ルカリオを倒す戦術を練っている」
シンジに軽く揺さぶりを入れたがシンジはルカリオを倒す戦術を練っていると言い返す。
クレセリアやクラウンエンテイが居るからドダイトス1体を犠牲にしてでも問題は無い……と言える相手じゃない。
『はっぱカッター』と『ストーンエッジ』しか今のところは使っていない。
「ドダイトス、『ストーンエッジ』タイプCだ!」
「タイプCだと?」
『ストーンエッジ』は岩の破片を飛ばすタイプと巨大な岩を地面から出す2つのタイプがある。
その2つを同時に使うことは出来ない。岩の破片を飛ばすタイプの『ストーンエッジ』で相手を追尾させる事は出来るが追尾に意識を割いていてそこから別の技に転じるのはほぼ不可能だ。
タイプCがどんな『ストーンエッジ』かと思えばフィールドに横一列でドン!ドン!と地面から出てきた。
「ルカリオ、焦るな。単調であることには変わりは無い。さっきと同じでいける!」
「それはどうかな?」
「なに?」
タイプCとは言ったものの、地面から岩が生えるタイプの『ストーンエッジ』だ。
横一列に並んでいるがルカリオの機動力ならば軽々と対応をすることは出来る。ルカリオは軽々とジャンプして地面から生えるタイプの『ストーンエッジ』を対応した、その時だった。
「バゥ!?」
「っ!」
「コレを待っていた!!」
横一列にならんだ岩が前に前に出てくる『ストーンエッジ』だったがルカリオが飛び越えた瞬間、前に出なくなり後退していく。
技の流れからして飛び越えた先に岩が出てこないと思って油断していたルカリオは『ストーンエッジ』で飛ばされ、ドダイトスの目の前にやってきた。
「『ぶちかまし』だ!」
「『れいとうパンチ』だ!」
ドダイトスの完全な射程範囲内に入った。
シンジはその時を逃さないと『ぶちかまし』を指示した。ルカリオは『ストーンエッジ』で弾き飛ばされ体勢が上手く立て直すことが出来ていない状況の中で『れいとうパンチ』を使うべく拳に冷気を纏った。
『ぶちかまし』と『れいとうパンチ』がぶつかり合い、ルカリオが弾き飛ばされた。
「バゥ……」
「ルカリオ、戦闘不能!ドダイトスの勝ち!」
『き、決まったぁ!互いに均衡していた戦いでしたが勝負を制したのはドダイトス!サトシ選手のルカリオを倒した!』
「……ドゥ……」
「成る程、そういう『ストーンエッジ』か」
横一列に岩が飛び出る『ストーンエッジ』を連続して出していく。
機動力が高いポケモンならばその『ストーンエッジ』を軽々と越えていく。だが、越えた瞬間に前に出てくる『ストーンエッジ』が戻ってくる。例えるならば前に進んで来る津波が引いてくるかの様に。
アクションゲームとかでよくある一定の間隔とリズムで前から物が落下してきたと思えば、今度は後ろから迫ってくる形で物が落下してくるアレ、スーパードンキーコングのラスボスのキングクルールの鉄球みたいなのを応用したな。
岩の破片を飛ばすタイプの『ストーンエッジ』と違ってUターンや縦の動きを気にしての追尾を重点的に意識を割かず、相手が越えてきたと認識したのならば後ろに戻るようにすればいい。
「アランの入れ知恵だな……」
「ああ。悔しいがこのタイプCはアランから教わった」
ルカリオはボールに入るのが嫌なのでオレはフィールドに入ってルカリオを外に出す。
このタイプCの『ストーンエッジ』は他2つの『ストーンエッジ』とは異質な動きをしているのでアランの入れ知恵かと聞けばシンジは素直にアランから教わったことを認めた。
「まさかいきなりルカリオがやられるだなんて……」
「あの『ストーンエッジ』は完全にやられたな」
「でも、入れ替える事を視野に入れてなかったね」
「長期戦になっていたけれどもまだ1体目だ。なにが出ても対応が出来るとかしっかりとした戦闘スタイルを持っているポケモンで上手く試合を動かしたり流れを掴みたいとこだろ」
いきなりルカリオがやられた事にセレナは驚きを隠せない。
タケシはタイプCの『ストーンエッジ』が勝負の決め手だった事を感じ、スズナが入れ替える動きを見せなかったことを疑問に思う。
アランがまだ1体目で試合も序盤も序盤だから下手に色々な事をしたりポケモンを出したりして手の内を曝け出したりするんじゃなくて1体目のポケモンで試合を動かしたかった事を伝える。
「すまない……」
「クククッ……こんな事もあるし、これでいいんだよ」
ルカリオをフィールドから出して隣に置けば謝ってきた。
1体目に選ばれたからには最低でも1体はポケモンを倒して流れを生み出すつもりだった。だが、予想以上にシンジのドダイトスが強かった。素早さが補えない以上は技術でカバーをするという上手い戦い方を見せた。
「あっちも割と厳しい」
ルカリオの『れいとうパンチ』はドダイトスの『ぶちかまし』とぶつかり合った。
タイプCの『ストーンエッジ』が後ろから出てきた為に何時もの『れいとうパンチ』を綺麗に入れる構え等が出来ずドダイトスの『ぶちかまし』に力負けをしたもののドダイトスに『れいとうパンチ』を入れることそのものは成功している。
四倍弱点の『こおり』タイプの一撃と『はどうだん』でドダイトスの体力は大きく削れている。
「いけ、オーガポン!」
「ガォッ!」
『サトシ選手の2体目のポケモンはオーガポン!これまた非常に珍しいポケモン!そして『くさ』タイプ同士の対決となりました!』
「……ドダイトス『ステルスロック』」
「クククッ……そう来るだろうな!オーガポン『ちょうはつ』だ!」
ルカリオを倒す為に色々と手札を開示しまくった。
タイプCの『ストーンエッジ』は1回見れば試合の途中でも攻略方法は浮かぶ。ならドダイトスは次に繋げる戦術をする。
『ステルスロック』をばら撒こうとするドダイトスに対してオーガポンは『ちょうはつ』をし『ステルスロック』を阻止した。
「パワーウィップ!!」
「ガォッ」
『ステルスロック』を阻止した後に『パワーウィップ』を使う。
素早さならばオーガポンの方が遥かに上でオーガポンは『パワーウィップ』をドダイトスに当てた。
「ドゥ……」
「ドダイトス、戦闘不能!オーガポンの勝ち!」
『ドダイトス、一撃でダウン!ルカリオとの勝負で体力や気力を大きく使っていたか!』
「戻れ……ルカリオとのバトルで体力を大きく削ったドダイトス相手にオーガポンの専用技である『ツタこんぼう』じゃなくて『パワーウィップ』か。その姿は確か『いどのめん』オーガポンだったか」
ドダイトスがやられたが特に焦る様子を見せない、それどころか極僅かな情報を分析するシンジ。
ゲームと違ってオーガポンをコロコロと試合ごとに面を変えることが出来る旨味がある。オレにはスイクンやゲッコウガがいる。だから『みず』タイプをこれ以上重複させたらパーティバランスが悪くなる。だからこそ、『いどのめん』オーガポンで挑んだ。
準決勝のシゲル戦でサトシゲッコウガを見せた。この決勝でサトシゲッコウガを温存するなんて真似はしないし出来ない。そうなるとスイクンの扱いが難しい。スイクンを出すのならば『いどのめん』オーガポンを出さないで心理的な揺さぶりをかける。
「そのポケモンが強力なポケモンなのは知っている。エンテイ、バトルスタンバイ!」
「!」
『ななな、なんと!!シンジ選手、ここでエンテイを出してきたぞ!!』
『いどのめん』オーガポンだと分かった上でのシンジはクラウンエンテイを出した。
オーガポンってポケモンが種族として優秀で強いポケモンなのを理解している。ドダイトスの『ステルスロック』が失敗したから…流れを自分で作って掴みに来たか。
どっちにしよう
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でんきテラスタルヌケニン
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メガリザードンX