闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「ふぁ〜……良い天気だ」
「ええ……マサラタウンって程良い気温ね……………って、呑気に日向ぼっこしてる場合なの!?」
今年オーキド博士が送り出したマサラタウンの4人の新人トレーナーがバッジを8個以上集めて帰ってきた。
ポケモンリーグ・セキエイ大会は2ヶ月後で移動する時間を含めたら1ヶ月と3週間、大体50日ぐらい。
1度、サトシに敗れたヤヒコ達は猛特訓……って言ってもマサラタウンにはバトルが出来る施設もなにもないから、武者修行に出ているわ。そんな中でサトシは私と一緒に日向ぼっこをしていた……………1度全員に勝っているから生まれる慢心?
「安心しろ、慢心とかそんなんじゃねえよ……修行はちゃんとするさ」
「じゃ、じゃあなんでこんなところで日向ぼっこを」
「今はその時じゃない……いや、違うな。今からがその時だ」
「え?……うわぁ!?」
「久しぶりに会ったのに随分と悲鳴を上げるのね」
サトシが今がその時だと言えば……ヤマブキジムのジムリーダーのナツメさんが何処からともなく現れた。
気配が一切しなかったから思わず声を上げたけどもナツメさんは呆れている。
「瞬間移動でここまで来たのか……凄まじいな、お前の念力は」
「念力じゃなくて瞬間移動……貴方に極限にまで追い詰められたせいで超能力がパワーアップしたのよ」
「クククッ……死地から生還した者の特権、生を感じる事と地獄を歩んだことにより得る強靭な魂……超能力なんてのは精神論か科学論のどっちか。お前の超能力は精神論で力を出している、そんなところか」
「大体そんな感じ」
ナツメさんが超能力で、瞬間移動でマサラタウンにまでやって来た。
ヤマブキシティからここまでかなりの距離があるのにそれを一瞬だなんて前よりも超能力のレベルが上がっているんじゃないかと思っていると前よりも超能力のレベルが上がっているみたいでサトシが倍プッシュでとことん追い詰めて心が強くなったみたい。
「片言……つーか、視線合わせることが出来ないのか」
「その……………貴方を見れば怖いから………」
「……サトシ……」
「後悔はしてねえよ」
片言で口数が少ないナツメさん。
サトシと目線を合わせないようにしているのでサトシがその事を聞けばサトシに対してトラウマが出来ている。
普通にジム戦で倒したんじゃなくてその後に精神的に痛めつけてたからトラウマになるのは仕方がないことよね。
「さて、じゃあ……やるか」
「ええ……アレから鍛えなおした……今度は勝たせてもらう!」
「コイツはオレの修行なんだよ」
バトル出来る広い場所に移動すればサトシはモンスターボールを構える。
ナツメさんとマンツーマンのポケモンバトル、何十何百何千とバトルを繰り返すつもり。
「暇になっちゃったわね」
「フォウ?」
サトシがナツメさんと激闘を繰り広げる。
アレから鍛えなおしたって言葉は嘘じゃなくてナッシー、ヤドキング、ルージュラ、エルレイド、エーフィ、そしてフーディンを引き連れている。フーディンはただのフーディンじゃない、メガシンカを備えたフーディン……あの時は精神が安定していなかったみたいでメガシンカが上手く出来なかったみたいだけど今は普通にメガシンカ出来るみたい。
「……いいなぁ……」
私は羨ましいなとナツメさんとサトシを見つめる。
ナツメさんはサトシのポケモンバトルの相手を務める事が出来ている。私じゃサトシの足元にも及ばないからサトシの練習相手にすらならない。本気で最強を目指しているサトシの力になりたいけど、サトシの相手を務める事が出来ない。ポケモンバトルの練習試合をする時は何時もサトシのポケモンを借りてるぐらいだし……でも、羨ましいのはそこじゃない。
大好きなサトシを支える事が出来ているのが羨ましいんだけど、もう1つ……ちゃんと目標を持って頑張っている。ママが私をサイホーンレーサーにしようとしてそれが嫌とは言わないけどもなんだか違うと感じている。ホントの私らしい胸を張って私だって言えるものが見つかってない。サトシと一緒にカントーを巡ってみたのだけれどなにかいいものは見つけれなかった。
とっても楽しい物が多く見れた。激闘を繰り広げるサトシの背中はとってもカッコよかったわ。けど、サトシを応援する事が出来るだけで自分が自分自身に頑張れって応援出来る物を見つけれなかった。
「よっこいしょっと……ありがとう、ケンタロス」
「ブモォオオオ!!」
気分が晴れないからサトシがゲットしたケンタロスに乗った。
ケンタロスに乗れば気分が少し晴れるかなとケンタロスの全力疾走で風を感じる。
ポケモンレーサーはこの風を楽しんでる。コレはとっても気持ちがいい風だけど……私の中のなにかが違うって言っている。
風は気持ちいい……けど、なにかが違う……サトシが言う三流でもいいから熱を失わない物が見えない。
「フォッコ『めざめるパワー』よ!」
サトシがナツメさんとバトルをしていて私は手持ち無沙汰になっている。
差し入れのお菓子を作ってもいいけど、たまには私自身を鍛えないといけないとサトシが大量にゲットしたケンタロスに挑む。
オーキド博士が言うには毎日オーキド研究所の庭園を走り回っているみたいで強靭な足腰を持っている。
『ブモォオオオ!』
だからサトシが鍛えているリーダーのケンタロスじゃなくても十二分な強さを持っている。
私が相手だから手を抜いて戦うだなんて真似はしない。一切の手を抜かずに『ギガインパクト』でフォッコを吹き飛ばす。
「フォッコ、大丈夫?」
「フォゥ……フォオオオウ!!」
「コレは『もうか』ね……フォッコ『かえんほうしゃ』よ」
「フォコ!」
ケンタロスの『ギガインパクト』を真正面からまともに受けたフォッコ。
なんとか立ち上がればフォッコは赤色のオーラを身に纏う。特性の『もうか』が発動した証拠で『ギガインパクト』の反動で動けなくなったケンタロスに『かえんほうしゃ』を浴びせるけどケンタロスは倒れない。
「考えないと……」
サトシはポケモンバトルに偏っているけど知識が豊富、アランほど豊富じゃないけどそれでも充分過ぎる知識を持っている。
それを生かした戦法はしているし……何よりも考えている。最後には直感に従って動いているけども、常に一手以上先を想定して動いている。相手の心の内側を見透かしたかの様に動いている。なにか特別な知識を持っているから出来るわけじゃなくて頭が良いからサトシには出来ていること。
「ブモォオオオ!」
「フォッコ、避けて!……あっ」
ケンタロスが前足を上げて地面を強く叩いた。
『じしん』を使ってきたから避けてって指示を出したけど、どういう風に避ければいいのか指示をしていない。
『じしん』の衝撃波を回避する様に言わないといけないのにただ単に避けるように言う。技によってはそもそもで触れない系の技もあるのに、それを知っているのにただ「避けて」の一言で放棄しちゃった。
「フォッコ、大丈夫?」
「フォコ……」
「ごめんね……ホントにごめんね……………」
なにかをしなきゃいけないって思っているのと夢中になれる物を見つけたいと思っている。
自分がやりたいことが見つからない……探せばあるかもしれないけど、今の私にはそれが無い。ただ惰性に生きている。
それってホントに生きているって言えることなのかしら?失敗を恐れて惰性に生きているのは普通なのかもしれないけれど、なにかに熱中してそれに注ぎ込む。真面目に生きようと1つの印に無理に意識を向けようとしている……サトシからすればそれはおかしな話、真面目に生きてても報われないとかそういうのじゃなくて普通の人はこうでないといけないという脅迫概念に囚われている。真面目であることはある意味悪癖で、そういう意味では真面目じゃなくていい、少しぐらいは狂ってても問題は無い。
「ポケモントレーナーはサトシみたいになれない……それはサトシが強すぎるからじゃなくて、サトシみたいに生きれないから……そんなサトシに憧れているならサトシに近付きたい……私は私なりの道を見つける……」
まだ私には夢を見る時間がある。厳しい現実の壁を突きつけられている。
でも、私はそれでもなにかがあるって信じて自分の夢を探し続ける……まぁ、その内の1つはサトシの妻だけどもそれは何れ叶う筈よ!
問題は私自身のやりたいなにか、サトシが最強を目指すならそれに相応しい強さを手に入れないといけない。でも、それはポケモントレーナーとしての強さじゃないわ。
「はぁ……」
「なんだ、ため息を吐いて……愚痴なら付き合うぞ」
「サトシ……強いってなんなのかしら?」
「また随分と哲学的な悩みだな……もっと他にも色々とあるだろう。フォッコが進化しないとかそういうのを」
「いや……フォッコが進化しないのも悩んでるわよ。でもその主な原因が強くないからかなって」
「強いってなんなのかか……悩みどころだな」
強くなりたいって思いをサトシに打ち明けてみた。
純粋にポケモントレーナーとして強くなりたいんじゃなくてこう、人として強くなりたい感じ……でも、強いってのがなんなのか分からない。
「どんな敵が来ても絶対に勝つ力を持っていることが強いって事じゃ無いわ。かと言って敵が居ないぐらいの超越した力を持っているわけじゃないし……強いってなんなのかしら?」
「オレはそうだな……自分を貫くことが出来るってのが強え条件じゃねえかと思っている」
「自分を貫くこと」
「オレもセレナに出会う少し前までは惰性に生きていた……適当な理由を作り上げて人のせいにしていた。けど、今は違う。自分がそうすべきだと思った事を迷いなく選べる……自分がそうすべきだと思った事から逃げたらいざという時、本当に逃げちゃいけない時に逃げてしまう……だから自分を貫こうとしている奴が強い。セレナも勝つ力とか負けた弱さとか色々とあるかもしれないけど、勝つにせよ負けるにせよセレナはセレナとして勝つ、負ける……そうじゃねえと意味がねえよ」
「そっか……そうよね……サトシ、私とバトルして!」
「唐突だな……いいぞ」
色々と悩んでだけども自分らしさを出していることが一番大事なんだと言われたから目を覚ます。
サトシにポケモンバトルを挑む。使用ポケモンは1体のシングルバトル
「ゲッコウガ、やるぞ!」
「コウガ!」
フォッコを出した私を相手にサトシは一切の手を抜くことはしない。
ゲッコウガを出してあの不思議な現象を引き起こし、サトシだけのゲッコウガに、サトシゲッコウガになった。
遊びじゃない真剣バトル、ゲッコウガの強さは今まで何度も見た。倒されたことが無いんじゃないかぐらいの圧倒的な強さを持っているサトシの絶対的なエース……
「楽しい……」
「クククッ……そいつはよかったじゃねえか」
サトシゲッコウガを前にして、どうせ勝てないとか流石はサトシとかいう思いよりも真っ先に出たのは楽しいって感情だった。
遊びじゃない真剣勝負の楽しさに目覚めた。サトシはそれに気付いてくれて笑ってくれる。
「んじゃ、開幕ブッパのキョダイ『みずしゅりけん』だ!」
「コォオオオ!」
ゲッコウガに巨大な『みずしゅりけん』を作らせる。
コレはどうやっても回避することが出来ない一撃でフォッコは真正面から受けて戦闘不能になった。
「負けちゃったわね……」
「フォコ……」
「落ち込まなくていいわよ……だって、相手はあのゲッコウガなんだから」
『みずしゅりけん』に倒されたらサトシと一旦別れ夕日を眺める。
フォッコは手も足も出なかったどころか一撃で倒された事を本気で落ち込んでるけど、あのゲッコウガを前にして戦うのは至難の業よ。
「少しだけど分かった……サトシが真剣勝負の味が美味しいって言う気持ちが……私も私の真剣勝負を探してみたい!フォッコ、まだ私は私らしさを見つけてないけど付いてきてくれる?」
「フォウ!……フォ!?」
「え!?」
気持ちを新たに一新すればフォッコも頷いてくれた……コレで新しい一歩を踏み出せる。
そう思っているとフォッコが眩い光に身を包み、フォッコはテールナーに進化した。
「テールナ!」
「やった!遂に進化したのね!」
「テール!」
何時になったら進化するのか少しだけ気になっていた。
フォッコは遂にテールナーに進化した……オーキド博士にフォッコがテールナーに進化をした事を伝えれば、なにかキッカケがあったんじゃないのかと聞いてくる。フォッコに足りなかったのは経験値じゃなくて気持ちだったみたい。