闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
「ルーレット、スタート!」
ポケモンリーグ・セキエイ大会の開幕式が終わった。
翌日に選手一同が向かったのはセントラルのポケモンセンター……ここでは誰と戦うのか対戦相手が発表される。
選手一同が並んでるもんだから思ったよりも待っちまったがオレの番が来たのだとジョーイさんに対戦相手を聞けばルーレットが回る。4つのフィールドの内のどのフィールドで戦うのか決めるルーレットで……水のフィールドが決まった。
「サトシくんの1回戦の相手はコーム選手、フィールドは水のフィールドよ……試合は午後に行われるわ」
「ありがとうございます」
1回戦の対戦相手は原作通りだった……いや、別に原作通りで構わねえんだがな。
試合は午後の3時に行われるのを教えてくれるが……もっとこう、明日に控えてるとかじゃねえのか?幾らなんでも早すぎねえか?
ジョーイさんにお礼を言った後にセキエイタウンを歩く。
「水のフィールドね……サトシが持っている『みず』タイプはゲッコウガだけだからそれは確定だけど他にはどうするの?」
「ま、ここは基本的な3色を抑える」
「へぇ、基本的な3色か……それはいったいどんな色なんだい?」
「シゲル……」
どういう選出をするのかとセレナは聞いてくる。
変なコンボで行くよりもここは基本的な3パターンで抑えると言えばシゲルが割って入ってきた。
シゲルは優雅に紅茶を飲んでおり、オレの考えている基本的な3パターンについて聞いてくるので答える。
「別に難しいもんじゃねえよ……先ずは水中でも戦えるポケモン、必然的にコイツは『みず』タイプのポケモンになる。次に水のフィールドの浮島の上で戦うポケモン、コイツは機動力が高いポケモンになる。最後にフィールドを無視出来る空を飛ぶことが出来るポケモン……この3種を1体ずつ用意して手堅く抑える」
「なるほど……何時もの奇抜な発想じゃないようだね……」
「何でもかんでも毎回奇抜な発想はしねえよ……確率論も一応は頭に入れている」
オレだからなにかとんでもねえ事をしようとしているのかと考えているシゲル。
奇策が生きるのは着実な王道な手を持っているから、着実な王道な手を確実な攻略法で防ぎに来ているところの裏をかける。
水のフィールドみたいな厄介なフィールドには変な奇策は通じない。精々『こおり』タイプの技で水を凍らせるか『ほのお』タイプの技で水を蒸発させるかだ。少なくともサトシくんは『ほのお』タイプの技でプールの水を干上がらせるという奇策に出ている。
『決まったぁあああ!!草のフィールドでのバトルを制したのはアム選手!』
『お見事!岩のフィールドをヤヒコ選手がスターミーで突破したぞ!』
「…………どうやら僕達も負けてられないみたいだね」
近くの飲食店のテレビに映し出されているアムとヤヒコの試合。
2人も見事に勝利を納めているみたいでそれを聞いたシゲルはティーカップを置いてポケモンセンターに向かった。
それを見てオレも手持ちを入れ替えて登録しておかないといけないことを思い出し、ポケモンセンターに向かってオーキド博士にサンドパンとトゲキッスを入れ替えてもらう。
「ゲッコウガ、トゲキッス、オーガポン……悪くないわ。水中戦が出来るゲッコウガに空を飛べるトゲキッス、機動力が高くて相手が出してくる『みず』タイプのポケモンに強いオーガポン……なにが来ても問題は」
「いや、問題は大アリだぞ……ここで完全に予想外のポケモンが出てきたり水中戦のみをメインにした手持ちで来るかもしれねえ」
セントラルのポケモンセンターでポケモンを登録する。
今回出すのはゲッコウガ、トゲキッス、オーガポン……タイプバランスはいい感じでなにが出てきても対応は出来る……だが、ブーバーみたいなのが出てきてフィールドをガン無視にして戦ってくるのならばこっちが圧倒的に不利だ。水ポケモンオンリーで水中戦を望んで来ているのならばその時点でオーガポンが使い物にならなくなる可能性が高い。奇策で挑まれたらその時点で積むのが王道の弱点……っまぁ、今回に限っては問題は無さそうだが。
「やぁ」
「ああ、どうも……じゃ」
「って、おい!ちょっと待て!」
「なんだよ?」
シゲルが今頃は戦っているんだろうが今は自分の試合を気にしないといけない。
そろそろ水のフィールドに向かうかと歩いているとオレの対戦相手のジャグラーのコームに出会ったので軽く一礼をした後に行こうとすると立ち止まらされた。
「これから俺と戦う相手だろう!なにさらっとしてんだ!!」
「んなの関係あんのか?……オレは今から倒す相手に仲良くしようぜなんて言うタイプじゃねえんだ……フィールドとプライベートは別にするタイプだがオレ達は今からバトルする関係性だぞ?なにを求めてんだ」
「っぐ……」
ぐうの音も出ねえ正論を言われればなにも言い返せないコーム。
大方オレに宣戦布告の1つでもしに来たのか「1回戦で敗北だが不幸じゃないぞ」とか言う遠回しの嫌味を言いに来たなら無視一択だ。
「まぁ、精々寝首をかかれない様に気をつけろ……いや、違うか。正面からお前をぶっ飛ばすんだったな」
「サトシ……煽りすぎよ」
「この程度で荒れれば底は見えてる……んじゃ」
相手にしている場合じゃないのだと無視して向かうのは水のフィールド。
遂に来ちまった……1度でも負ければ死んでしまう大会に。こういうのをオレが求めている。
『コレは奇妙な運命なのでしょうか?岩のフィールドで戦ったヤヒコ選手、草のフィールドで戦ったアム選手、氷のフィールドで戦ったシゲル選手!三者三様なバトルフィールドで見事に勝利を納めた3名はマサラタウン出身!そしてこのサトシ選手もマサラタウン出身!さぁ、どんな熱い激闘が繰り広げられるのか!!』
「おい、実況!なに盛り上がってるんだ!主役はオレだろう!」
「これよりポケモンリーグ・セキエイ大会1回戦を行います!使用ポケモンは3体のシングルバトル!どちらかが3体戦闘不能になった時点で試合は終了です!……コーム選手からポケモンを」
「ふっ……真の主役とは遅れてやってくるものさ。いけ、ナッシー!」
「ナッシー!」
「ナッシーか……」
コームが出したのはナッシーだった。
どちらかといえば鈍足なポケモンだが浮島にドシンと構えている。機動力がある浮島を移動できるポケモンじゃねえのか……それ以上に利点があるのがナッシーと言いてえんだろうが……
「いけ、トゲキッス!」
「チョゲ!」
『コーム選手のナッシーに対し、出てきたのはトゲキッス!カントーでは中々にお目にかかれない稀少なポケモン!さぁ、どんな試合が生まれるのか!!』
「ナッシー『タマゴばくだん』だ!」
「トゲキッス『でんじは』だ」
「ナシ!?」
バトルが始まればナッシーは『タマゴばくだん』を使ってきた。
非接触技でこちらに近づけさせないように試合を運ぼうとしているのだろうが甘いのだとナッシーに『でんじは』を浴びせた。
ナッシーは『タマゴばくだん』を撃つのをやめたのでここからはオレのターンだ。
「トゲキッス『エアスラッシュ』だ」
「チョゲプリイイイ!」
『エアスラッシュ』をナッシーに浴びせる。
効果は抜群であり苦しむナッシー……何かしらの策を撃ってくるのかと思ったが特にこれといった事をしてこない。
「ナッシー、痺れを振り払うんだ!」
「トゲキッス『エアスラッシュ』の連打だ」
『まひ』状態でまともに動くことが出来ないのだとナッシーに乗り越えろと言うがそこまでか。
トゲキッスは『エアスラッシュ』を何発も撃ち込んでいきナッシーを怯ませる。そのせいでなにも出来ない。
『こ、コレは……『エアスラッシュ』の追加効果の怯みか!?『でんじは』で動きを封じた後に『エアスラッシュ』の連発!そこから生まれる怯み状態!』
「ナッシ〜」
「ナッシー、戦闘不能!トゲキッスの勝ち!」
先ずは1勝をもらった。
トゲキッスの『エアスラッシュ』乱打はナッシーにとっては効果は抜群でありなすすべ無く倒された。
コームはモンスターボールにナッシーを戻した後に呼吸を整える。
「ビギナーズラックか……こいつならどうだ!いけ、シードラ!」
「ドラァ!」
「トゲキッス『エアスラッシュ』だ」
「水面に潜って逃げろ!」
コームの2体目はシードラ、この水のフィールドに適しているポケモンだ。
先ずはと『エアスラッシュ』を撃つのだが水中に潜って隠れる……『エアスラッシュ』が当たれば6割の確率で怯む、だから『エアスラッシュ』には絶対に当たっちゃいけない……だが、そこからどうするつもりだ?トゲキッスに攻撃を当てなくちゃ話にならねえ。
「トゲキッス『わるだくみ』だ!」
「シードラ『バブルこうせん』」
「翼を仰いでから避けろ」
「っく……」
そっちが攻撃してこないならば遠慮なくやらしてもらう。
『わるだくみ』で特殊攻撃力を上げていると隙が生まれたのだと水中から顔を出して『バブルこうせん』を撃ってくるのだがトゲキッスは翼を仰いで風を吹かして『バブルこうせん』の軌道を逸らして回避する。
「クククッ……『れいとうビーム』撃たねえのか?」
『みず』タイプのポケモンのサブウェポンと言ってもいい『れいとうビーム』
打つチャンスは確かにあったのにシードラは撃ってこなかった。撃ってこなかったんじゃなくて撃てなかったが正しい……覚えてねえんだろう『れいとうビーム』
「シードラ、撹乱しろ!」
「モグラたたきに付き合うつもりはねえよ。『はどうだん』だ!」
自慢の素早さを武器に水のフィールドを移動してトゲキッスを撹乱する作戦に出た。
これで作戦を理詰めしていくつもりだろうがトゲキッスには回避不能な『はどうだん』がある。トゲキッスは『はどうだん』を飛ばせばシードラは逃げようとするが『はどうだん』は追いかけていきシードラに命中して水しぶきを上げてシードラは空中を舞う。
「『でんじは』だ」
空中を舞うシードラに『でんじは』を浴びせる。
今の『はどうだん』でそれなりにダメージを受けただろうがコレでもう余計な事を考えなくて済む。
「『エアスラッシュ』だ」
「チョオゲエ!!」
「く、クソぉおおお!動け!動け!動けぇえええ!!」
『まひ』状態で動けないシードラに『エアスラッシュ』を乱打する。
どうにかして動くようにコームはシードラに言うのだがトゲキッスの『エアスラッシュ』の追加効果か『まひ』のどちらかで動くことが出来ない。エアスラッシュの乱打でシードラは水面にぷか〜と浮かんだ。
「シードラ、戦闘不能!トゲキッスの勝ち!」
『おおっと、ポケモンの選択を誤ってしまったのか!?サトシ選手のトゲキッス、無傷のままコーム選手を追い詰めたぞ!』
「こいつならば、こいつならばいける!いけ、ゴルバット!」
「ルバット!」
コームの3体目はゴルバットだった。
これで少しはまともなバトルが出来るかと思ったが、どうにもあのゴルバットから強い雰囲気を感じねえ。
「ゴルバット『どくどく』だ!」
「トゲキッス『でんじは』」
「お前、さっきからそればっかだな!!」
「クククッ……たりめえだろ?今回は王道の3種を抑えてるんだからよ」
ゴルバットが『どくどく』を使ってくるのでそれよりも先に『でんじは』を浴びせる。
『まひ』状態になってしまって動くことが出来なくなる。腕が翼なゴルバットはゆっくりと水のフィールドに向かって落ちていく。
コームは『でんじは』を撃っては『エアスラッシュ』で乱打してくる事に関して文句を言ってくるのだが、オレはなにも悪いことはしてねえんだ。今回は王道の3種を抑えているんだからよ
「『エアスラッシュ』」
「っく……っぐ………」
コレこそが、コレこそがトゲキッスの特性を最大限まで生かしたコンボ『まひるみキッス』
特性の『てんのめぐみ』は追加効果を発生させる確率を倍にする。『エアスラッシュ』は3割の確率で怯むところが倍の6割、単純計算で2回に1回以上は怯み更には『でんじは』を浴びせているので『まひ』でまともに動けず先に攻撃を仕掛けれない。
害悪と言われている『まひるみキッス』のコンボ……このコンボを突破するには『でんじは』で『まひ』状態にならない『でんき』か『じめん』タイプのポケモンかもしくはトゲキッスよりも速いポケモンで圧倒的な火力で殴りつける。特殊防御力が高いから物理で殴らないといけない……まひるみキッスに強いポケモンはなんだろうな?こいつ『はどうだん』や『かえんほうしゃ』を覚えたりするから『はがね』タイプで挑んだら逆にカモられてボコられるし耐久力高いから大抵の攻撃は一発は受けきれるんだよな。
「ルバ………」
「ゴルバット、戦闘不能!トゲキッスの勝ち!よって勝者、サトシ選手!」
『決まったぁああああ!!水のフィールドを制したのはサトシ選手!激戦を繰り広げるかと思いきやトゲキッスによる圧倒的なまでの蹂躙!強い!強すぎるぞ!!』
『まひるみ』キッスを決めてみれば想像以上に恐ろしいコンボだった。
怯まない『せいしんりょく』を持っているポケモンかトゲキッスよりも速いポケモンで仕掛けられる前にぶっ倒すをされない限りは強い……なにが質が悪いかと言われればトゲキッスがまだサブウェポンを隠し持っていること。ウツロイドとヒードランとカプ・コケコには弱いからな、トゲキッス。
「……ふぅ……なんだ、こんなもんか」
色々と自分なりに緊張してたみたいだが、いざ自分がポケモンバトルをすれば今まで通りのペースを取り戻した。
甲子園の魔物的な存在に足を掴まれている……実際のところはそういう幻影に囚われていただけでオレはなんにも変わりは無かった。
「サトシ選手、見事に勝利を納めましたね!」
「ええ…………他のポケモンに出番が無くて良かったです」
試合が終了すればテレビのカメラが向けられる。
インタビューを受けるので適当に答えていき、何事も無かったかの様に去っていった。
セレナとはセントラルのポケモンセンターで合流しようと言ってあるのでセントラルのポケモンセンターに向かえばセレナと……アランが居た……。
「あ、サトシ……凄かったわ!相手の選手も弱くないのに圧勝って」
「あのレベルはこの大会にはゴロゴロと居る……………久しぶりだな」
「ああ……お前、あんなガッチガチのトゲキッスを使いやがって……夢も希望も無いだろう」
アランに久しぶりに出会ったのだと声をかければアランは若干だが引いていた。
夢も希望も無いガチの『まひるみ』キッスを見せたらドン引きする……と言いたいがな。
「『ダイジェット』+『じゃくてんほけん』」
「おいやめろ、それは冗談抜きでやめろ」
「クククッ……大丈夫だ。ここはメガストーン以外、なにも持たねえだろ?」
「まぁ、そうか……………」
「で、なにしにきたんだ?」
トゲキッスの極悪コンボを言えば嫌そうな顔をするアラン。
この世界じゃポケモンにアイテムを持たせるっていう考えは無いに等しい。持つのは精々メガストーンだけだ。
アランは納得をしてくれたのだが『まひるみ』キッスという悪夢を見たので暗い顔をしているのでなにをしに来たのか聞いてみる。
「あのポケモンをゲットしたい……生息地不明のポケモンだ。確実に会えるチャンスは2回、その内の1回はこの後なんだ」
「成る程…………オレを利用するってか?」
「……前払いだ」
「あ?」
あいつと確実に会える可能性は2回、正確に言えば4回存在している。
だが、アランは4回ある内の2回には立ち会えない可能性が大きく1番最初に出会う時にゲットしたいのだとオレを利用する魂胆だ。
別に嫌でも巻き込まれちまう事だし場合によっては世界が滅びかけない案件だから引き受けるが、オレを利用するのはちょっとなと思っているとアランは石を渡してくれ。
「コイツは……」
「キーストーンだ…………もしアイツをゲットする事が出来ればYの方をやる。俺がXを使っているからYはお前が使ってくれ」
「クククッ……………まぁ、今回の支払いはそれにしといてやるよ」
まさかこんなにも早くにキーストーンを手に入れることが出来るとは思わなかった。
「あ……分かるか……」
「安心しろ、そっちは事件解決さえしてくれりゃなにも言わねえよ……ただし、ゲット出来るかどうかはお前次第だ」
「そこは俺が頑張るしかない……ここに来たもう1つの目的はお前が優勝するのを見に来たんだ。1人のポケモントレーナーとしてな」
お前、プラターヌ博士の助手じゃなかったか?……まぁ、いいか。