闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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ワカバタウン 新しい風

 

チャンピオンリーグはベスト16だった。

対戦相手のダンデがぶっ倒れたオレの代理で次に進むかと思ったが負けは負けだと潔く去った。

オレはチャンピオンリーグ16の結果に不満がある。起きていたらまだまだ戦えていたし、仮に引き分けだとしたらオレの負けだ。

だからオレの中ではチャンピオンリーグベスト32だと思っている。

 

「霧が濃くなって来たわね……」

 

カントーのポケモンリーグを終えたので次はジョウトリーグに挑戦だ。

オーキド博士におつかいを頼まれたのでワカバタウンを目指しているのだが深い霧に包まれている。

セレナがタブレット端末に搭載されているタウンマップ上では確かにジョウト地方に入ったのだが濃霧でなにも見えない。

 

「困ったわね……ワカバタウンまで後もう少しだって言うのに」

 

「方角だけはあってるからそっちに向かって……ん?」

 

「懐、光ってるわ!」

 

「……にじいろのはねだな」

 

『きりばらい』を覚えているポケモンを持っていない。

リザードンでも出して『エアスラッシュ』で霧を切り裂いて道でも作ろうかなと考えていると懐が光った。

何事なんだと驚くセレナ。懐に入っている光り輝く物の正体はにじいろのはねだった。

 

「……こっちに行けって言ってるのか?」

 

「一応は方角的にはあってるけど…………」

 

にじいろのはねがあっちに行けと道を示している。

方角的にはワカバタウンに向かうところだがワカバタウンに辿り着くのかと思ったが……1つの池があった。

 

「……」

 

「クククッ……コイツは面白えな……だが、だからどうしたって話だな」

 

1つの池の上にポケモンが立っていた。そのポケモンの名前はスイクン、所謂伝説と呼ばれているポケモンだ。

スイクンはこちらを見つめている。正確に言えばオレの持っているにじいろのはねを見つめている。こんなところで伝説のポケモンに出会えるのは幸運だが、はいそうですかでスイクンに挑む気になれない。

スイクンはジッとこちらを見つめている。オレもスイクンを見つめている。セレナはスイクンの鋭い視線に若干だが怯えてオレの後ろに回り込む……が、スイクンがなにかをするわけでもなく北風が吹き荒れると霧が吹き飛んでスイクンが居なくなっていた。

 

「なんだったの……あのスイクンは……」

 

「オレが聞きてえぐらいだ……っと、おかげで道が見えるようになったぜ……行くか」

 

「……うん!」

 

あのスイクンがいったい何だったのかをセレナは気にするが気にしたってしょうがねえことだ。

霧が晴れて前が見えるようになったからワカバタウンに向かった。ワカバタウン、始まりを告げる街と言われてたりする街で風が心地良い。

 

「はい、トレーナー登録を終えたわ」

 

そしてなによりも……ポケモンセンターがある。

ド田舎なマサラタウンにはまともな店すら無いというのになんという贅沢な序盤の街だ。

ジョウトリーグに挑戦するのだと申し込めばジョーイさんがポケモン図鑑とジョウト地方のガイドブックを渡してきた。

 

「ところでジョーイさん、ウツギ博士の研究所って何処にあるんですか?」

 

「ああ、ウツギ博士の研究所なら……今から行くけども一緒に来るかしら?」

 

「はい!」

 

オーキド博士にウツギ博士の研究所におつかいに行ってきてと頼まれている。

よくわからないICチップを渡されている……多分だがポケモン図鑑をアップデートするのに使う感じの物だろう。

ジョーイさんにウツギ博士の研究所の居場所を聞けばジョーイさんも用事があるのだと一緒にウツギ博士の研究所に向かった。

 

「あぁ、ジョーイさんか。ポケモン達はテーブルの上に置いてくれないかな?」

 

「ウツギ博士、貴方に用事があるトレーナーが」

 

「え、僕に用事だって?」

 

顕微鏡で何かを観察しているウツギ博士。

用事があると言えばやっと振り向いたので

 

「どうも、マサラタウンのサトシです。オーキド博士からおつかいを頼まれたので来ました」

 

「ああ、コレは……ありがとう。コレがないと困るところだったよ」

 

「ウツギ博士、さっきジョーイさんにポケモン達を置いておいてって言ってましたけど……………」

 

「ああ、新人トレーナー用の最初の3体の最後の健康診断を終えたんだ……見るかい?」

 

「はい!」

 

ジョーイさんがジョウト地方の初心者用の3体を届けに来たと聞けばセレナは目を輝かせる。

ウツギ博士も見ていくかと聞いてくるので見ていくのだと頷いた。ウツギ博士は3つのモンスターボールに触れる。

 

「カントー地方では初心者用のポケモンは『くさ』タイプのフシギダネ『ほのお』タイプのヒトカゲ『みず』タイプのゼニガメと決まっている。だが、ジョウト地方では違うポケモンを渡しているんだ」

 

「チコ!」

 

「『くさ』タイプのチコリータ」

 

「ヒノ」

 

「『ほのお』タイプのヒノアラシ」

 

「ワニャ!」

 

「『みず』タイプのワニノコ……この3体の何れか1体がジョウト地方では渡すことになっているんだ。思い出すな、去年僕もポケモン博士として新人トレーナーを送り出したのを。ケンタくんにマリナちゃんにジュンイチくん、元気にしているかな」

 

その3人……ジュンイチとマリナはともかくケンタは全くと言って出番が無いという悪夢。

あくまでもスピンオフの主人公だから優遇はしない……マスターズエイトの時にチラッと出たぐらいか。

 

「っと、そろそろ時間かな」

 

「すみませーん!!ウツギ博士いらっしゃいまっか!!」

 

ウツギ博士が過去を懐かしんでいると女の子の声が響いた。

そろそろ時間かなとウツギ博士は声がする方向に向かうとそこには阪神ファンいや、エレブーズファンの女の子がいた。

 

「やぁ、待っていたよナナコちゃん」

 

「待ってたんはウチもや!遂にこの日が来たんやからな!!」

 

「新人トレーナーか……」

 

「ん?お二人さんは?」

 

「あ、私達はウツギ博士にお届け物をしにきただけ……そういうあなたは新人トレーナーよね?」

 

「せやで!!ウチはナナコ!エレブーズの大ファンや!」

 

「それは見れば分かる……オレはサトシだ」

 

「私セレナ、よろしくね」

 

「よろしゅうお願いします!…………ところでお二人さんはポケベースは何処のファンですか?」

 

おい、そういう感じの質問をしてくるなよ。スターミーズとかコイキングズとか答えたら敵認定されるだろう。

この質問を答えるのを間違えれば敵認定される……どういう風に答えようかと考えていればセレナは首を傾げた。

 

「ポケベースってなに?」

 

「なっ……………あ、あんたポケベースを知らんのか!?」

 

「有名なの?」

 

「さぁ……この世界の一大イベントと言えばポケモンバトルの大会だからな……オレはポケベースに熱中してないから推しのチームは居ないぞ」

 

セレナはポケベースがなんなのか知らなかった。オレも一応は知っているけども、そんなに見ていない。

オレは純粋にスポーツが嫌いだから。いや、スポーツが嫌いって言うよりは体育会系の人間が嫌いなのが正しい。スポーツ選手は言っちゃ悪いがクズな性格の奴が多いからな。薬物に手を出すバカもこの世界に普通にいる。試合前にスピーダーキメててドーピングとして引っかかった事もあった。

 

「あ、あんたらホンマにトレーナーなんか!?ポケベース知らんし、推しのチーム無いって……人生楽しいん!?」

 

「酷え言われようだな……言っとくがな、オレはポケベースなんかよりも熱中する物を見つけてんだ。だからポケベースが最高だなんだ言われても全然ピンと来ねえんだよ」

 

「…………なんか、やと?ポケベースなんかやと!!サトシはん!!ウチとポケモンバトルや!」

 

「こらこら、待ちたまえ……ナナコちゃん、ポケモンバトルは喧嘩をする為にあるんじゃないんだ。なによりも君はどのポケモンにするか決めてないじゃないか」

 

「ウチが選ぶポケモンはとっくに決まっとる!!チコリータや!!」

 

「クククッ……威勢はいいが相手分かってるのか?」

 

ウツギ博士がこのままだと喧嘩と同意義なポケモンバトルが始まるのだと間に割って入る。

そもそもでポケモンを貰ってないのだと間を取り持とうとするのだが最初に貰うポケモンは決めているのだとチコリータを貰う。

チコリータにエレブーズの鉢巻を巻かせるナナコ、相手が誰だか分かってものを言っているのかと思ったが自分の大事な物を傷つけられたのならば相手が誰かなんか関係無いか。

 

「ウツギ博士、オレは別に構いませんよ……どうせ結果は目に見えているんですから」

 

「言うたな!ほなら、勝負やで!」

 

ナナコはオレにポケモンバトルを挑むのでオレは承諾する。

ウツギ博士の研究所を出ればバトルフィールドがあったのでそこでポケモンバトルをすることに。

 

「さぁ、一番手にしてエースや!頼んだでチコリータ!」

 

「チッコォ!」

 

「んじゃま、ラプラス頼んだわ」

 

「クォーン!」

 

貰ったばかりのチコリータでいったい何処まで戦うことが出来るのか……と言いたいが向こうは本気で来ているんだ。

だったらこっちもそれ相応の態度で返さなければ失礼ってもんだ。

 

「ラプラス『ゆきげしき』だ」

 

「チコリータ『たいあたり』や!」

 

先ずはと『ゆきげしき』を使って『ゆき』状態にする。

『ゆき』状態になれば防御力が高まるのでラプラスはチコリータの『たいあたり』を真正面から受けたがビクともしない。

それどころか図体がデカいラプラスを押そうと必死になっており最早『たいあたり』にすらなっていない。

 

「水ポケモンには『くさ』タイプの技でイチコロや!チコリータ『はっぱカッター』や!」

 

「ラプラス『オーロラベール』だ」

 

「サトシ…………遊ばずに最初から決めるの!そうじゃないと失礼でしょ!」

 

「クククッ……まぁ、そう言うな」

 

『ゆきげしき』を使い『オーロラベール』を使った。コレでラプラスはチコリータの技のダメージは皆無に等しい。

セレナは勝負を決めに来る事が出来るのに完全に遊んでいるオレを注意するのだが……オレはあえてこうしている。ナナコがポケモンバトルに対してどう向き合っているのか、どういう風に戦うのかを見たい……が、貰ったばかりのチコリータじゃ限界はあるか。

 

「『ふぶき』だ」

 

「クォーン!」

 

「チッ……コォ……………」

 

「チコリータ!……大丈夫か、チコリータ…………っく…………覚えとれや!」

 

「クククッ……………お前、今オレにリベンジを申し込むつもりだろう?」

 

「ああ、今は負けたけども何時か絶対にあんたを倒す」

 

「それだよ、それ……その負けてたまるかって思いがいいんだ……オレは決してポケベースをバカにしてるわけじゃねえんだぜ?ただポケベースよりも熱くこみ上げるものをオレは見つけているんだ。ポケモンバトルっていう心を躍らせるもの、その躍っている心を喰らう……これほどまでに美味いものはねえ…………そしてオレは感じたんだ。生きてるってのをよ」

 

ダンデ戦で負けかけたあの時に確かに感じた。敗北という死を、それと同時に勝ちたいという思いも。

サトシゲッコウガがスタミナを使いすぎるからを理由にぶっ倒れちまってベスト32なんて屈辱を味わっちまったんだ。

 

「エレブーズファンなのはああだこうだ言わねえがな、ポケモントレーナーとしてポケモンを貰って旅立つって言うなら腹ぁ括れよ。なんせこのオレが相手になるんだからよ」

 

「ナナコ、サトシは去年のポケモンリーグのセキエイ大会のチャンピオンなの!落ち込まずに前を向いて……じゃないとサトシに届かないわ」

 

挑むのならな全身全霊をかけて挑んでこい。

そう言えばナナコの目に闘志が宿る。セレナはオレがセキエイ大会のチャンピオンだと言い落ち込まないように言ってくる。

相手が何であれ挑んだんだ。相手が世界最強だろうがなんだろうが関係ねえ事だとオレは思うがな。

 

「サトシはん……チャンピオンやったんか」

 

「地方リーグを優勝しただけのまだまだ未熟なポケモントレーナーだ……お前が挑もうとしているのはそんな恐ろしい猛者の巣窟だ……言っとくが上に行けばオレクラスはゴロゴロと居るぞ」

 

「っ…………………面白いやん……だったらポケモントレーナーのてっぺんを目指したるわ!!」

 

「クククッ……ま、頑張れよ」

 

ポケモン図鑑とモンスターボールをウツギ博士から貰いナナコは旅立った。

オレが煽ればやる気を出すとは中々だが……あいつはジムバッジを8個集めることが出来なくてジョウトリーグに出てこねえんだよな。

 

「さて、オレ達もジムを目指すか」

 

「そうね……あ……何処が1番近いジムなの?」

 

「大丈夫だ、既にルートは割り出している……一番最初に挑むジムはキキョウジムだ……さぁ、行こうじゃないか」

 

こうしてジョウトリーグを目指す冒険の旅の第一歩が踏み出された。

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