闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜 作:アルピ交通事務局
マサラタウンのサトシになって夢だった……というオチは迎えていない。
そのオチを迎えるのは普通に嫌だ。折角面白い展開になってきたってのにそれを妨害されるのは許されない。ここまでしておいて夢でしたのオチだけは絶対に認めない。
「98,99、100」
サマーキャンプを終えてからはポケモントレーナーの修行をすることにした。
全ては覚えていないがある程度はポケモンの知識があるのでポケモントレーナーのトレーナーとしての修行だ。トレーナーとしての修行、色々とあるだろうが今は筋トレをしている。別にコレに関しては日課になっていること、料理人の見習いコックで野菜が入ったダンボール箱や発泡スチロールに詰められた魚なんかを運んでいる。料理人は嫌でも筋肉が必要になるものだ。
「ワンパンマンのトレーニングしておけば問題無いか」
栄養管理は資格は無いがある程度は出来る。だが、どんな筋トレをすればいいのかが分からない。
ワンパンマンのサイタマがやっているトレーニングしておけばある程度は筋肉が付くのだと腹筋を終えた後に腕立て伏せを始める。
もっとこう、スポーツ医学に基づいたとか色々とあるだろうが残念ながらオレは体育会系の部活に入ってないんだ。
「サトシったら、サマーキャンプに行ってから大分変わっちゃったわね」
「世界は広いって知ったんだ。だから自分から変わっただけだよ」
腕立て伏せをしていると洗濯物を畳んで持ってきてくれたママさん。
マサラタウンのサトシがオレになった事に関して違和感を抱いているかと思ったが割とすんなりと受け入れている。サマーキャンプのお陰で人は変わる……若い頃は苦労じゃなくて経験を買わなくちゃならねえな。
「はい、低脂肪牛乳」
「いや、そっちは目指してないから」
10kmのランニングも終えて家に帰れば低脂肪牛乳をママさんが渡してくる。
コレにプロテインが入っていたら完全にボディビルダーだがオレはそっち系を目指していない。筋肉ムキムキは逆に気持ち悪いし体に悪い。
「オーキド博士、パソコンを使わせてもらいますね」
「おぉ、好きに使うといい」
筋トレを終えた後に向かったのはオーキド博士の研究所だ。オーキド博士の研究所に来た理由はポケモンに関する知識を学ぶことだ。
既にポケモンの知識は持っているのだが、
『ストーンエッジ』という技がある。『いわ』タイプの物理攻撃でポケモンをやってたら知らない方がおかしいメジャーな技でどんな感じかと聞かれれば地面から岩を生やすのと岩の破片を飛ばすのの2パターン存在している。
御三家の『ほのお』タイプのポケモンのみが覚えられる『ブラストバーン』は地面に注ぎ込み火山のように噴火させるものもあれば光線に近い炎をぶつけて四方に火柱を立ててその火柱が巨大化して1本の火柱になり飲み込む。
『つのでつく』や『ソーラービーム』の様にイメージしやすい技もあれば『マジカルシャイン』や『だましうち』みたいにイメージしにくい技もある。この世界にはわざマシンが存在しない。代わりに技を幾らでも覚えることが出来て幾らでも使っていいルールになっている。多くを覚えていても使いこなせないのを理由に5個ぐらいで大抵のトレーナーは留めているらしいがな。
「…………」
自宅にパソコンが無いのとオーキド博士の研究所ならば過去にオーキド博士が輩出したポケモントレーナー達のバトルの映像が残っているとオーキド博士の研究所でポケモンバトルを見るが、命中率100%の技を回避したりしている。それだけでなく攻撃技が沢山使われている。リザードンの『ひのこ』はヒトカゲの『はじけるほのお』と同格だとオーキド博士がレポートを纏めている。コレはメラゾーマじゃない、メラだがこの世界じゃ普通にあることか。
「お祖父様……おやおや、誰かと思えばサートシくんじゃありませんか!」
「なんだ…………シゲルか」
「こんなところでなにをしてるんだい?君がパソコンと向き合うだなんて明日には槍でも降ってくるんじゃないのかな」
ポケモンの技の会得方法を頭に叩き込んでいるとシゲルが現れる。オーキド博士を探しにやって来たんだろうがオレしかいない。
そういえばオレになってからシゲルに会うのははじめてだな。初期の頃は生意気だった記憶があるがいきなりの発言だ。
「なに、世界が広いって改めて認識した。ただそれだけのことだ」
「おいおいおい、アローラに行ったことすら無い君が世界の広さを語るのかい?」
「ああ、だからこそなんだよ」
「……なんか急に変わったな」
「そろそろオレもバカやってる場合じゃないってわけだ……ポケモントレーナーの勉強に忙しい、博士は庭園に居るからそこに行けば会える」
「いや、折角だから君が来てくれたまえ!僕達4人が同席する機会なんてあの日ぐらいだ」
「あの日?」
シゲルがなにを言っているのか分からないが、ついてこいと言うのでついていく。
くだらない事だったら帰ればいい、それぐらいの認識をしていると別の部屋に案内をされ……1人の男子と1人の女子が居た。
「っげ、サトシを呼んだの?」
「そんなバカを連れて来ても試合が腐るだけだって!3人でやろうぜ!」
男子と女子はマサラタウンのサトシを知っている。
オレからすれば誰だこいつ等は。1人はしゅごキャラ!のあむに似た女の子、もう1人はるろうに剣心の弥彦に似た男の子。
向こう側は知っているが、こっち側は全く知らない。
「君達、サトシが混乱してるよ……こっちはアム、そっちはヤヒコ……僕達は4年後の4月1日にポケモントレーナーになるんだ。お祖父様は顔を知っているけども君は初対面だろ?」
「……」
やれやれ、原作に存在していないキャラはこんな感じかを見せつけているのか。
サトシが最初にポケモンを貰う日、サトシは遅刻をしてシゲル以外と出会っておらず、その後の行方はチラリと語られているだけ。最終的には中盤の方で苦戦してポケモンリーグに出場することが出来ないという残念な事になっている。
「3人でやろうって言ってたけど、ババ抜きでもするつもりか?」
「お子様だねぇ……ポンジャンをするのさ」
シゲルはそう言うとテーブルの上に麻雀牌に似たなにかを置く。コレはアレか、ドンジャラとかいう子供向けの麻雀か。
一先ずはと麻雀牌に触ってみるのだがなんとも言えない。その様子を見てアムが大きなため息を吐いた。
「あんた、ポンジャンすら知らないのね」
「ポーカーみたいに役を揃える遊びなのはなんとなく分かる……ルールブック、というか役牌の説明書はないのか?」
「こんだけだ」
ポンジャンのルールは麻雀を子供向けにした物だ。
これらが3つずつある。それに加えて手に入れたら横に置いてアガることに成功した場合、点数が更にプラスされる牌、
「リーチは各々の自由、リーチをした場合はアガる事が出来れば更にプラス10点だよ……分かるかな?」
「ロンとツモとリーチしかないか……全員リーチになったらおじゃんか?」
「いや、そのまま続行だよ」
「……………………」
麻雀だと全員リーチになったらアウトだがどうやらセーフなルールみたいだな。
麻雀みたいなルールで考えても意味は無い、コレは純粋な遊びだ……だからつまらないな。
親を決めた後にサイコロが振られる……子供向けの麻雀だ。最初にどの牌から取るのが決まれば全員同時に動き出す。言っちゃなんだが6歳の子供が馴れた手付きで牌を動かすのもどうかと思うがな。
「……」
麻雀と似たような要領でやればいい。シゲルの向かい側がオレで東がヤヒコ、西がアム。
先ずは自分の牌を確認する……ピカチュウ×3、ヒトカゲ、イシツブテ、ゴローニャ、カイリュー、ユンゲラー……初手にピカチュウが3牌来ている。イシツブテとゴローニャも揃っている。だが、他はバラバラだろう。
「お前等、オーキド博士を誘おうとしてたけども博士は忙しいんだぞ……通うようになってから知ったことだけど、助手の1人も居ない。1人で全てを回してるんだ」
「知ってるわよ……でもこれ、3人でやったら面白くないの」
「そうそう!ゲームは4人でやるものだ!」
「と言っても、サトシくんにポンジャンが分かるかな?」
「なに……麻雀よりは簡単だ」
麻雀中は基本的には静かにするルールだ。言葉一つでなんの牌を持っているのかを教えるも同然だからな。
このゲームは顔に出たとしても問題は無い……麻雀みたいに100点、1000点、10000点と行かない。1番のアガリでも200点で牌ごとの点数が無いようにしている。後で足すことが出来るようになるみたいだがな。
「おっと、ラッキー」
シゲルは最初に引いた牌はファイヤーだった。
コレでシゲルがアガる事が出来たらシゲルに追加でプラス5点、シゲルはファイヤーの牌を横に出した後にもう1度牌を取りピチューの牌を出した……ピカチュウはオレが独占している。ピチューとライチュウで上がったとしてもあまり良い点を取れない。麻雀みたいに1荘も勝負しない、東西南北でチーだのポンだの関係無いリーチとツモとロンだけのポンジャンは1人1回1親の4局だけで終わる。
安牌を狙うのが1番だろう。オレがピカチュウを独占している以上はピチューでアガれる役牌は点数が低い……
「シゲル、コレは遊びでいいんだな?」
「遊びに決まってるじゃないか」
世の中には遊びじゃない金がかかっている麻雀もある。アカギなんか特にそうだろう。
シゲルに遊びかどうかの確認をした後に遊びだと言えばアムもヤヒコも頷きアムとヤヒコも牌を取っては捨てる。
流石に地和やダブルリーチは無いか……コレは遊びだ。遊びなんだから余計な事をしなくてもいい。
「そういえばお前達はなにか備えているのか?」
「備えてるって、ポケモントレーナーとしての備えか?当然だろう。俺は毎日走り込んでるぜ!」
「あたしはポケモンの手入れの方法を勉強してるわ」
「おいおいおい、僕達はポケモントレーナーだよ。どうすればポケモンリーグに出れるのかを学ばないと」
他愛のない会話だ。別に誰かがどの牌を持っているのか分かる秘密の会話をしているわけではない。
オレとシゲルは分かるが、この2人は存在しない存在だ。いや、設定上は存在している存在だろう。ここで何かしらのアプローチをしたらもしかしたらポケモンリーグに出場することが出来るようになるかもしれない……まぁ、他人を助ける義理は何処にもないが。
「なんだ全員ポケモントレーナー志望か。ブリーダーとかコーディネーターとかあるのに」
「馬鹿野郎!男だったら最強を目指すのは普通だろ?」
「いや、あたし女なんだけど……こう、チャンピオンってキラキラ輝いてるじゃない。ああいうのを見るとやっぱりなってみたいなって」
ブリーダーやコーディネーターがある中でのトレーナーを選んでいる。
アムとヤヒコはやってやるのだと燃えているのだが未来を知っていると色々と言いづらい事もある。シゲルはポケモンマスターを目指すのか?そもそもでポケモンマスターがなんなのか分からねえな。全てのポケモンと友だちになるとかそういう感じの終わりになった。旅はまだまだ続くよエンドはしょっぱいぜ。
「マスターボールを使いシゲルが落としたピチューを貰うぜ……リーチだ」
「ほぉ」
「ってことは……」
「ピカチュウ待ちか?」
……マジでただの麻雀ごっこだな。
ピチュー×2、ピカチュウ×3、イシツブテ、ゴローン、ゴローニャ……ここからアガれる役牌はピチューを得ての1番ショボいポケモンアガり、オレが最初からピチュー単騎待ちなのはゆっくりと盤面を見て考えれば分かること。つーかピチューを掬い上げてのリーチなんだからピチュー待ちなのは簡単に分かる……捨て牌にライチュウもあるからな。
「ロン、ポケモンアガリだ」
「……あ!」
「最初からピカチュウ握ってたの!?」
「っぐ……ビギナーズラックだ。ポケモンアガリは役牌の中で最弱のたったの6点、リーチ分を加算したら16点だ……リーチでアガれば逆転出来る」
ヤヒコがピチューを出してきたので遠慮なくロンでアガる。
ヤヒコとアムがよく見ればライチュウだけは落ちていてピカチュウはずっと握り込んでいる。オレがピカチュウを握り込んでいる事にやっと気付きシゲルは悔しそうな顔をする。
「…………つまらないな」
「なに?」
「お前達弱すぎるだろう、リーチした時点でピチュー単騎待ちぐらいは簡単に予測が付く……」
麻雀を簡略化した物だがもう少し頭が回るものかと思ったのだが頭が回っていない。
マスターボールでピチュー回収した時点でピチュー単騎待ちぐらいは簡単に予測することが出来る。
「なによりもメリハリが無い、このままゆっくりと流れるって言うならつまらねえよ……なんか賭けないか?」
「賭けるって、博打は10歳になってからだぞ!!」
「あたし、今月のお小遣いもう使っちゃったからないわよ!」
「なに言ってるんだ、オレ達が賭けるのに相応しい物があるだろう」
「相応しい物?なんだい、それは」
「ポケモンを貰う順番だよ」
「なっ!?」
マサラタウンの子供は10歳になった次の年、要するに11歳になる年にポケモンを貰う。
大体が4月1日だ。知っての通りマサラタウンは過疎化が進んでいる街でオレと同じ日に旅立つのはたったの4人だ。言い方を変えれば1学年が4人しかいない洒落にならない過疎化だ……離島レベルの数だ。
そして問題はここから、最初に貰えるポケモンはフシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメの3匹で早い者勝ちだ。
「なに言ってるんだ!そんなの早い者勝ちだろう!」
「おいおい、いいのか?早い者勝ちだとシゲルが圧倒的なまでに有利、選びたい放題なんだぞ」
「え、あ……確かに、シゲルだったらオーキド博士の研究所に前日泊する事が出来るから」
「待ってくれ!そんなズルは」
「ズルじゃない、早い者勝ちだ……やっていいならオレは前日に研究所前で寝袋で待機してもいいんだ」
自分はズルはしないと言うのだが、物はいいようだ。
オーキド博士の研究所とオーキド一族の家が別の所にあるのは知っている。だが、オーキド博士の研究所にも人を泊める事が出来る部屋があるのを知っている。早い者勝ちでなんでもありというのならば、前日に寝袋で研究所にスタンバイする。
「フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメ……カントーの最初の3匹だ。そしてオレ達は4人だ……誰かが予想外のハズレを引くことになる。言っておくがオレは好んでハズレは引かないぞ」
ピカチュウには用はない。マサラタウンのサトシにならピカチュウとの相性がいいかもしれねえが、オレとの相性は分からねえ。
確かにサトシのピカチュウは世界最強のリザードンを倒したり準伝説のポケモンを倒した確かな実績を握っている。ピカチュウといえばポケモンの顔だとキョダイマックスに専用Zワザ、専用ワザがあり色々と優遇されているがオレはピカチュウそこまでなんだ。
「どれもこれも優秀なポケモン、そいつをエースにしてパーティを構築する……今のうちにこのポケモンがゲットしたいという理想がある。そんな中、いや、最初に欲しいポケモンがゲット出来ない。知っているか?初心者用のポケモンはポケモンリーグ協会がタマゴを独占している事を」
「…………勝てば好きなのを選べる………」
「待て待て待て!!そんなのを飲んでしまったら……そうだ、今ここで確認しよう」
「だから不可能だ……誰かが確実に被るし、3人以上が被ったらそりゃもう大変だ」
アムがこの勝負に勝つことが出来たのならば好きなのを選べるのだと欲に流される。
そんな中でシゲルが今ここでなにが欲しいのかを確認しようと言うのだが、誰か1人は被ってしまう。それが分かればヤヒコも顔付きを変える。
「安牌を狙うのは悪くない、だがそれだけじゃ理解の範疇を超える理には勝てない……今ここで博打に出れば勝てる……死ぬ覚悟を決めれば後が楽になれるんだ」
理外の範疇にあるからこそ博打は面白い。
シゲルは冷や汗をかいている。マメな性格でオーキド博士の孫で確かな知識を持っている。もし仮にオレ以外で賢いのを決めるのならば、マサラタウンのサトシを含めてもシゲルがぶっちぎりのトップだ。だが、頭が良いだけでここは突破できない。マサラタウンのサトシの様に理外の範疇にある力を持っている人間にここぞと言う時には敵わない。
「なに、リーチで1回でもアガればいいだけだ……なんだったらこのアガリを無しにしてオレが親の一局だけで終わらせても構わない。東西南北が無いとは言え4局はややこしい」
「っ…………………」
「俺は、俺はやる!!フシギダネを絶対に手に入れるためにも!!」
「あたしもヒトカゲが欲しいわ!」
「だそうだ……3対1でポンジャンでボコボコにしてもいいが……」
「や、やってやる!!勝てばいいんだ勝てば!!」
「クククッ…………」
煽られただけでこんなになるとはまだまだ青いな。いや、青くない方がおかしいな。
取りあえずは賭けは成立したので牌を混ぜる。牌を混ぜているとドアが開いた。
「おぉ、お前さん達ここにおったか」
「あ、オーキド博士……そうだ、オーキド博士に立会人になってもらおうぜ!」
「あ、いいねそれは……オーキド博士、今から誰が勝ったのかをちゃんと見ててよ」
「それはポンジャンかの。ポンジャンはいいぞ、リアルタイムでどの手を打てばいいのかを盤面を読んでの行動をしなければならない。ポケモンバトルに通じる……しかし、何故立会人を」
「最初に」
「サートシくんがポンジャンの初心者なんですよ……だから、間違ったアガリを見せられたら困るんです!」
「なるほど。ポンジャンは奥が深くややこしいルールじゃからの」
ヤヒコが最初に貰うポケモンについて賭けている事を言おうとするがシゲルが間に割って入る。
アムが余計な事を言うなと鋭くヤヒコを睨んでいる。賭け事をしていると言われたのならばオーキド博士は怒るだろう……コレだ、この瞬間をオレは待っていた。オーキド博士は近いうちにやってくる。その時の一局だけでいい。オレが親じゃなくてもいい。一局だけのポンジャン
「ツモだ」
「え?」
「聞こえなかったのか、ツモだ…………いや、この場合だとこう言った方がいいな。天和だ」
「なっ!?」
ヒトカゲ、リザード、リザードンが3つずつ、ポンジャンで最も難しいアガリで最も点数が貰えるアガリ、ポケモンパーフェクト達成だ。開幕でぶっ放せばシゲルはありえないと驚いた。実際問題ありえないこと。
「ま、まさか天和ポケモンパーフェクト達成をするとは……倍率幾らなんじゃ」
「オレが親なので200点ですよ、天和の倍率計算は入ってない説明書通りのアガリです」
「こんなのっ、こんなのっ!」
「やめなさい、ヤヒコ」
このタイミングで天和なんてありえない、天和なんて麻雀をやってて1回あるかないかの奇跡だろう。
それをこの土壇場のタイミングで引き当てたなんてありえない……そう、ありえないんだ。だからこそヤヒコはイカサマをしていると言いたい。アムもイカサマをしていると言いたい。シゲルもイカサマをしていると言いたい。だが、肝心の証拠が存在していない。
なに、やった事は至ってシンプルだ。全員がオーキド博士に気を取られている間に牌を移動させた。専用の機械の雀卓じゃないからツバメ返しに似た技術は割と簡単だ。
「まぁ、こんなもんだ」
オーキド博士は天和をやったのだと思っている。だが、この場に居るメンツはイカサマをしたと思っている。
実際のところはイカサマをしているのだが証拠を掴むことが出来ていない。オーキド博士がやって来たのだと意識をオーキド博士に向けている。賭けポンジャンの事を危うく言いそうになるからストップさせたりでヒヤヒヤなものだろうが関係無い。勝っている中で1番危うい事をしているのは危うい立ち位置に居たのはオレだったが逆を言えば……いや、既に終わったことか。
「オーキド博士、失礼しますね……元々は4人目を探しての代理で打っていたので、ポケモンの動画を見て勉強してきますよ」
「うむ、頑張って知識を身につけるのじゃぞ」
オーキド博士の前だから下手に暴れられないシゲル達。
まだまだ続けてもいいがどうせ勝つのが目に見えている……勝つか負けるかわからないギリギリの勝負、その勝負で勝った際に得られる利益を求めているんじゃない。勝った際に得られる達成感、生きているという感覚をオレは感じていたい。
オーキド博士が立会人になったとは言えオーキド博士はあくまでも初心者のオレがポンジャンで間違わないのか見ているだけに過ぎない。賭けをしているだなんて知らないだろう。
「……金を賭けていたら倍プッシュしたんだがな」
あいつらから毟り取れるものといえば最初にポケモンを貰う権利ぐらいだ、もっともそれを活用するかどうかは話は別だ。
蛭魔妖一の様に都合の良いパシリにするなんて真似はしない……シゲル達はコレで格付けが済んだのだと認めない、そうなればシゲル達はパワーアップしてくれる……面白い事になるな。