闘携帯獣伝説 サトシ〜何故か憑依していた闇に舞い降りてない天才〜   作:アルピ交通事務局

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3匹3頭3体、4人

 

「サンド『どくばり』だ」

 

「サン!」

 

サンドをゲットすることに成功した。正確にはまだオレのポケモンじゃないが言うことはちゃんと聞いてくれる。

ものは試しにと使える技を確認している。『ひっかく』『どくばり』『すなかけ』『つめとぎ』『メタルクロー』……タマゴ技を覚えていたのは割と意外だった。サンドは別にタマゴから厳選しなきゃいけないものじゃない、と言うよりはこの世界はその気になればタマゴ技を自力で取得出来るみたいだ……冷静になって考えればボルテッカーもタマゴ技でピカチュウが自力で覚えたからな。

 

「技の確認はここまでだ……」

 

サンドは使えるポケモンなのが分かった。ポケモンコンテストに出たいと言う思いが無い、出てくれと言えば出るぐらいの認識をしている。そしてなによりもサンドパンに進化するという意思があった。ポケモンバトルをしてくれて尚且つ進化する意思を持っているポケモン、悪いが進化を拒むポケモンには興味ねえ。

 

「ママ、役場に行ってくるよ」

 

「いってらっしゃい」

 

サンドの技の確認を終えたので役所もとい役場に向かう。田舎だから役所じゃない役場なんだ。

サンドを置いて役場に向かえばヤヒコとアムがいた。

 

「時期的にそろそろだと思ってたけど、ここを被るの?」

 

「まぁ、この町で色々と手続きする場所ってここしかねえからな」

 

この場にいる事に驚くのでなく呆れるアムとここしかねえと言い切るヤヒコ。

ここになにをしに来ているのかと言えばポケモントレーナーの登録云々だ……この世界じゃポケスペやゲームみたいに限られた人間しかポケモン図鑑を貰えるという事は無い……そもそもでポケモン図鑑は機械なんだから設計図があれば量産は可能だ。最新のスマホとか撮影した文字翻訳とかどういう生物なのかググれたりする機能がある。20世紀末ならば色々とスゴいが将来的には実装出来そうなテクノロジーだったが既にリアルポケモン図鑑が出来る時代にまでなっている。

 

「お前達は今から手続きか?」

 

「書くもの書いたけど順番待ち……大きな街の役場だったら部署ごとで分かれてるけど、1つしか窓口がないから」

 

「そうか……」

 

「ほら、お前も早く書けよ」

 

ヤヒコがポケモントレーナー登録手続き云々の紙を渡してくる。

この感じだとヤヒコも書き終えているんだなと住所や年齢等を記載していき……ポケモン図鑑の色が選べると書いてあった。

ポケモン図鑑と言えば赤色のイメージだがあくまでもそれはゲームに限った話、この世界じゃ色を選べる。赤が王道的だが黒色等もある……普通は黒がメジャーだろう。赤とか傷とか色ハゲとか目立つぞ。

欲しい色は青色、エンペラーブルーの様な黒い青色のポケモン図鑑が欲しいのだと申し込む。

 

「それでお前、結局なにを選ぶんだ?」

 

「なんだ……知りたいのか?」

 

「当たり前でしょ!あんたが1番最初に選ぶんだから」

 

「……クククッ……勝負事に素直でいいことだ」

 

数年前のポンジャンで賭けたポケモントレーナーとして旅立つ際に最初に貰えるポケモンの順番を賭けた。

その結果、オレの1人勝ちだが勝ちを認めないだのこんなの無効だなんだとは言ってこない、勝負事に対して誠実だ。コレが汚い大人ならば色々と文句を言う。最初から勝負は無かった。オレが勝った扱いにしろ。そんな理不尽を言ってくる。勝負が決まったのに勝負が決まってないのだと見苦しい言い訳をする奴は嫌いだな。

 

「フシギダネか?」

 

「ヒトカゲなの?」

 

「……さて、なんだろうな……」

 

最初に貰うポケモン、ここをミスしてしまえば後に痛い目に遭う。ポケモンの一部のゲームもそう、一部のポケモンは便利過ぎだが一部のポケモンが不遇過ぎての旅パからのリストラなんてよく聞く話だ。少なくともカントーの御三家はどれも優秀なポケモン達だ。

 

「教えろよ!そうすりゃ諦めもつくし」

 

「秘密だよ、秘密……少なくとも今は秘密にしておかなきゃならねえ」

 

「またなんか企んでるでしょ!ズルはさせないわよ!!」

 

「……クククッ……現場を抑えなきゃズルはズルじゃねえんだよ」

 

イカサマを悪だなんて考えるなよ。ガチの運頼みなんてやったら幸運の星に居る奴しか勝てない。少なくともオレは運の星の下にいる。

なにせ杉浦という男からマサラタウンのサトシになっていたんだから、正か負かは分からねえが何かしらの運を持ち合わせている。そんな奴を相手に純粋な運のみで戦いを挑むだなんて馬鹿がする真似だ。

 

「なんじゃ、騒がしいと思えばお前さん達じゃったか」

 

「オーキド博士……何故ここに?」

 

「税金の申請じゃよ。ポケモン川柳の本がヒットしたからニビシティにふるさと納税、返礼品にニビあられを貰えるんじゃ……そう言うお前さん達こそ何故ここにおるんじゃ。子供だけで役場に来るとは」

 

「なに言ってるんだよ、博士!俺達もうすぐポケモントレーナーになるんだから色々と申請しとかねえと!」

 

「私達ももう10歳なんだから自分のことは自分でしないと」

 

オーキド博士にポケモントレーナーになる上で色々とやっておかなきゃならねえ申請をしに来ている、自分達は既に10歳なんだから自分達で行動出来る様にとヤヒコやアムは言う……それを言い出すのは最低でも後5年ぐらいは必要なんじゃねえのか?

10歳になったら旅立つ世界観だからイマイチこの辺だけは理解することが出来ねえ……10歳成人は大分やりすぎな気がする。

 

「おぉ、そういえばお前さん達はもうそんな歳頃じゃったの……うむうむ、今からが楽しみじゃ」

 

「オーキド博士、オレにはあまり期待しないでくださいね。ポケモンのゲットの数は多分ぶっちぎりでドベになると思う」

 

「図鑑開く暇があるならゲットしなさいよ」

 

「興味が湧かねえんだ……どうしたんですか?」

 

オレはゲットしたいと思えるポケモンしかゲットするつもりはねえ。

ポケモンのやりこみ要素の1つである図鑑を埋める事に関して興味を全く抱いていない……100匹以上のポケモンを持っていても扱い切れる自信がねえ。シゲル程に全てをマメに育てれる技量はオレにはねえんだ。興味無いポケモンはゲットしねえしな。

 

「サトシ、アム、ヤヒコ……そしてシゲル。サトシ、アム、ヤヒコ、シゲル………サトシ、アム、ヤヒコ、シゲルじゃと!?」

 

「どうしたのオーキド博士?自分の孫の名前でも忘れたの?」

 

「い、いや、なんでもない。ただ4人なのかとの」

 

「おいおい、しっかりしてくれよ!俺達は4人だぜ?」

 

オーキド博士がオレ達とこの場に居ないシゲルの名前を上げる。

それ自体は極々普通な事なのだが指を折って数えている。オレとシゲルとヤヒコとアムの合計4人……クククッ……気付いてなかったな、このジジイ。最初の3匹に対してオレ達は4人、1人は絶対に溢れる。だから4匹目を用意しておかなきゃならねえ。

原作知識を呼び起こしてみれば最初に貰うあの日、オーキド博士はポケモンを貰う子供が4人だったっけ?な描写をしている。完全に気付いてなかった……ふざけんなよ、クソジジイ。

 

「次の方」

 

「あ、行ってくるね」

 

役場の窓口の順番が回ってきたのでアムが手続きに向かった。

オーキド博士は冷や汗をタラタラと流し表情がコロコロと切り替わっていく。完全に4人目のポケモンの存在を忘れていた、それをどうしようかだ。ググってみたが大きな街ならばポケモンが何匹も用意されている。事前にどれが欲しいとの聞き込みもしているパターンもある。だが幸か不幸かオレ達は4人で今日ポケモントレーナーの申請云々を行う。ポケモントレーナーとしての登録手続きは無事に完了するが肝心の物が無い。初心者用のポケモンがな。

 

「の、のぅサトシ。あれからあのサンドの様子はどうじゃ?」

 

「無事に元気にやってますよ……」

 

「そうか……ならばサトシに」

 

「オーキド博士から貰えるポケモン、楽しみにしてますよ」

 

「う、うむ……皆、誰に選ばれるのか楽しみにしているぞ」

 

オーキド博士がオレにサンドの様子を聞いてきた……オーキド博士の研究所には既に初心者用に育成された3匹が居る。その3匹を早い者勝ちにする予定だがここに来ての4人目の発覚。だから既にポケモンを貰っているからだなんだと適当な理由をつけてピカチュウを選ばせるつもりか?そうはいかねえよ。というかあのピカチュウ、初心者用のポケモンとして鍛えているポケモンじゃねえ。初心者用のポケモンじゃないポケモンを新米に渡すな。ポケモン研究者でポケモンを渡す仕事を上から言われてるんだから手を抜くな。役所側がミスするって結構重大なミスだからな。

 

「今からじゃ間に合わねえか……かと言って隣町から貰うも出来ねえ……だから野生のか」

 

もう既に新米トレーナー向けに育てられたポケモンの出荷は終えている。追加発注は出来ない。

何処のポケモンセンターもポケモン研究所も新人トレーナー用のポケモンの最終調整を行っておりどのポケモンが何匹必要ですの申請をしている場合じゃねえ。かと言って隣町から余ったポケモンをくださいとも言えない。そうなれば旅立つ日が最低でも1日遅れる。

最初の3匹と異なりあまり見かけないポケモン、ポッポやコラッタじゃ確実に文句を言われる……トキワの森まで行かなきゃピカチュウは手に入らない。いや、トキワの森のピカチュウも数が少ない。無人発電所でゲットするのがベストだろうがオーキド博士にそんな暇はねえか。

 

「クククッ……神様よ、マサラタウンのサトシは世界最強のピカチュウを引き連れるだろうがそいつは既に見てるだろ?」

 

オレが欲しいポケモンは大体の目星は付いてるんだ……気になる所もあるにはあるがな。

アムやヤヒコが役場でポケモントレーナー云々の申請を終えたのでオレの番がやって来てオレもポケモントレーナーの手続きをする。

オレのトレーナーIDは970401、アニメのポケモンが始まった時と同じ感じ。妙なところで運を持っているな。

 

「さて……最後の確認だ」

 

そんなこんなで明日ポケモンを貰う日になった。最後の確認をしておく……忘れ物は無いのかの確認だ。

着替え、寝袋、調理器具、ポケモンフーズ、キズぐすり、ラムのみ、オボンのみ、常備薬、ラムのみとオボンのみを粉末にした物、ポケモンフーズに水筒に食料etc……明らかに鞄に入らない量だが何故か鞄に入る。アイテムボックスの概念はこの時代から存在していた。

忘れ物は何処にもない、仮にあった場合は購入するしかない。一人暮らしをした際に事前に色々と買って良かったと思ったが後で必要になったと気付く事はよくある話だ。

 

「サトシ、じゃーん!」

 

「帽子?」

 

「そう!懸賞で当たったのよ!!」

 

最後の荷物確認を終えて鞄に詰め込んでいるとママさんが手招きをする。

なにをしているのかと思えば一番最初の衣装の頃のサトシが被っていた帽子を見せてくれる。初期の頃のサトシが被っていた帽子は確か懸賞で世界に100個しか存在しないプレミアムが付いている激レア物だった筈だ。

別に帽子なんて欲しくは無いから懸賞に応募していなかったがママさんが送ったみたいで当てた……とんでもない豪運だな。

 

「サトシ……毎日必死に勉強をしてたりする貴方に親としてなんのアドバイスも出来なかったわ。正直、ポケモンバトルに関してはわからない事が多いけど、きっと貴方なら世界一のポケモントレーナーになれる……私の精一杯の応援よ!」

 

「ありがとう……似合ってる?」

 

「ええ、似合ってるわ」

 

多分コレはアレだろうな。例えどんなブ男や醜女でも学生服を着た時はあんたが1番イケメンだ美女だと言うお母さんと同じ理論だな。

ああいうのって言われる側は割と傷付くんだよ……だがまぁ、ママさんがオレに出来る唯一のアドバイス、応援と言うアドバイスをしていると思えば嬉しいな。

 

「さてと……ビリリダマ時計はこっち。電池の入れ替えも充分」

 

ここで万が一、抑止力的なのが働いたら困る。オレはピカチュウを選ぶ気は最初から無い。

ビリリダマの目覚まし時計を寝惚けて投げたのがサトシの遅刻の原因だ。だから、ビリリダマ目覚まし時計は頭の上には置かない。机の上に置いておく。それだけじゃなく新品の電池に入れ替えておく。

これでもまだ遅刻するという運命にあるというのならばオレは諦める。原作なんざ知ったことじゃねえとオレは進んで勝手にオレの思うがままに生きている。それが正しいのか間違いなのか、少なくともオレのモノサシでオレがそうしたいと思って行動している。

 

「…………やれやれ、遠足前の子供か?」

 

そんなこんなで朝を迎える。ビリリダマ型の目覚まし時計で時間を確認すれば朝の5時だった。

ホテルの下っ端コックをしていた頃にこれぐらいの時間に起床して朝1番の仕込みというか野菜の皮むきや店の準備だなんだで馴れている。ホテルのレストランでビュッフェ形式とオーダー形式の2つの店があって下っ端なオレはビュッフェ形式で簡単なサラダなんかを担当していたな。

 

「起きろ、サンド」

 

「サァン?」

 

「やっとこの日がやって来た……オレの運命を決める日……いや、運命は決めるものじゃないか」

 

ここまで努力に努力を重ねた。その結果、5時に起きるという事に成功した。

サンドを起こせばまだ眠そうな顔をしている。オレも若干だが眠いので意識を叩き起こす意味合いを含めて朝シャンをする。

今までの人生で数回ぐらいだぞ、朝シャン。定期的に銭湯に行ってたりはしていたが、朝シャンはサトシになってから初だろうな。

 

「ふぅ……意識がハッキリとしてるな……」

 

朝シャンをしたことで身も心も綺麗サッパリして清々しい気分になる。

ここまで意識がハッキリとしているのは良いことだと水を一杯飲んでいるとママさんが現れる。

 

「もう起きてたのね……おとなになったと思ってても旅立つ日はやっぱり子供ね」

 

「子供心を忘れてないだけだよ」

 

「ちょっと待っててね。朝ご飯を作るから」

 

ママさんがオレに驚きつつも朝ご飯を作る。その間にオレは着替える。

初期のマサラタウンのサトシの衣装、この衣装を着たことではじめてオレはマサラタウンのサトシになったのだと実感する。

 

「……………」

 

「どうしたの?」

 

「いや、午後から1番道路で通り雨みたいで」

 

「まぁ……初日から通り雨なのね」

 

色々と考え事をしていると気になったのか聞いてくるママさん。

取りあえずは午後から通り雨が降るのだと適当な事を言って誤魔化しておく。オレが気にしているのはそこじゃない、オレは賭けに出た。最初の3匹のうちの1匹をどれにするのか。ヤヒコはフシギダネ、アムはヒトカゲ、シゲルはゼニガメを求めている。

マサラタウンのサトシが本来求めていたのはゼニガメだった。なんだかんだでサトシはゼニガメ達を手にしている……ならば最初の3匹よりも世界最強のリザードンを倒せる素質のあるピカチュウなんて思うだろうがアレはマサラタウンのサトシだから出来た事だ。

 

「あら、こんな時間に誰かしら?サトシ、ちょっと出てくれないかしら」

 

「うん」

 

朝食を食べ終えて糞を終えた頃にインターホンが鳴った。

今日からポケモントレーナーになるのに客人が来る。しかもこんな朝っぱらから誰がやって来たのかとドアを開けた。

 

「サトシ!!」

 

「セレナ?……ホントに来れたんだな」

 

ドアの向こう側にはセレナが居た。

セレナが居たことに物凄く驚くと言ったリアクションはしない。一緒に旅をして色々と見て回るか?と誘ったのはこっち側なんだからホントに来たことに嫌悪感等は出さない……ただ驚いている。アニポケ世界はサザエさん方式で時間の流れが曖昧だ。この世界はどういう風になっているのか?少なくともサザエさん方式じゃない筈……初期の頃は2か月後とか色々と言っていたからな。

 

「うん!カロス地方とカントー地方じゃ時差の関係で1日異なるの!だからサトシより1日早くポケモンを貰えたの!!」

 

「そうか……昔見た時は可愛かったがキレイになったな」

 

「サ、サトシ!?」

 

セレナが現れたので褒める。グラサンは装備していないXYのセレナの衣装を身に纏っている。

突然褒められたセレナは慌てる……というかだ……胸が大きいな。子供向けアニメだから胸の大きさ無しの基本的にはまな板な世界観の筈だがしっかりとボインだ。

 

「えへへ……サトシも似合ってるよ」

 

「そうか…………最初のポケモンをなに貰ったかなんて聞いている場合じゃない。そろそろオーキド博士の研究所に向かわないと」

 

「あ、そうだった……サトシ、サトシが探してたの見つけたわ!」

 

「クククッ…………」

 

「え?」

 

「いや、なんでもない。オーキド博士の研究所に行こう」

 

神様、どうやら賭けはオレが勝ったみたいだぜ。

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